トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第12回
東京モーターショー2017特集 後編
東京モーターショー2017特集 後編
トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第12回
東京モーターショー2017特集 後編
東京モーターショー2017特集 後編
「待望のライバルあらわる! ボルボディーラーから見た新型スカニアとは?」
前回に引き続き、今回も東京モーターショー2017の後篇です。こちらでは2018年夏に導入が予定されている新型スカニアを徹底特集します。21年ぶりとなる大型モデルチェンジとなるスカニア。2009年に日本法人であるスカニアジャパンが設立され、東京モーターショーでは今回が初出店。新型車を内外にアピールする並々ならない意気ごみを感じさせました。「5年後には輸入トラックで販売台数1位を目指す」というスカニアジャパン。ボルボディーラーであるヨシノ自動車、中西はスカニアの新型車をどう見たのでしょうか?
写真・薄井一議
デザイン・大島宏之
編集・青木雄介
新型スカニアR500 ©SCANIA.COM
東京モーターショーで発表されたのは、いわゆるRシリーズとよばれる「R500」とGシリーズとよばれる「G360」という2つのモデルです。Rシリーズはトラクタ―タイプ。Gシリーズはリジット。トラクターは最高出力500馬力、最大トルク2550Nm。13リットルの直列6気筒ターボを搭載し、トランスミッションは前進12段、後進2段のオートマチックであるスカニアオプティクルーズを搭載しています。Gシリーズは9リットルのエンジンとなり、最高出力が360馬力、最大トルクは1700Nm。全高はRシリーズより一段階低いのが特徴です。
フロントグリルの存在感やヘッドライトの位置はRシリーズ、Gシリーズともに先代を踏襲していて、ひとめでスカニアと分かります。より現代的に洗練されていますが、先代のデザイン性の高さをあらためて印象づけるモデルチェンジとなりました。スカニアらしさとはやはりパワフルでタフ。路面に対してほぼ垂直なフェイスは強さをかもしだしていて、スカニアらしいブランド特性がにじみでる顔つきといえますね。
エクステリア
着座するとハンドル位置がフロントウインドウに近いため、前方、側方の視界の良さが際立っています。高い天井に採光口(緊急時の脱出口にもなる)、豊富な収納スペース、助手席を立って移動できるフラットなフロアなど新しい基本構造のいくつかはボルボと共通しています。ただデザインの方向性がまったく違うので、ボルボを見慣れた目にも新鮮に映ります。シートは流行のファブリックではなく革素材を使用し、インテリアも黒が似合う筋肉質で男らしいデザインです。例えばシフトノブの造形はまるでバイキングの装飾を思わせるこだわりのデザイン。スカニアのトレードマーク、グリフィンを彷彿させますね。
インテリア
ハンドルはスポーティな楕円で乗用車感覚。スピンナーはつけずにこのまま使いたくなります。
シフトノブ。こういう細かいデザインにおもわずニヤリとしてしまうはず。
ベッドは高めで肉厚。R500は冷蔵庫も標準装備です。
ヘッドレストにはトレードマークのグリフィン。男らしさ全開です。
天井の採光口と収納スペース。
先代とあまり変わっていませんが、ベッドには読書灯やエアコンのスイッチなど寝ながら操作できる装備が。
ミラーはスカニアらしい3面仕様。メインが縦長にシェイプされています。
エンジン
現行と新型ではだいぶイメージが違いますね! びっくりしました。デザインはボルボが先に新型を出している分だけ、その影響を感じるしアップデートもされている印象です。それまでのスカニアは荒削りな、実用型の大型トラックというイメージがありました。その点で明らかにボルボとはカラーが違うと感じていたのですが、今回は違います。もともとスカニアってちょいワルのイメージがありますよね(笑)。以前は革ジャンを着ていたのが、新型は洗練されてジャケットを着るようになったというイメージでしょうか。
新型スカニアに搭載される13リッターディーゼルエンジンDC13型。最大出力500馬力、2550ニュートンをたたきだします。スカニアXPI(超高圧噴射)はコモンレール燃料噴射システムで、噴射の量とタイミングを変え最適な燃料噴射を行うため、トルクを抑えることなく燃料使用を最小限に抑えます。スカニア VGT(可変形状ターボチャージャー)は、電動アクチューエータによって調整。低速のエンジン出力とトルクを高め、エンジンレスポンスを改善します。また今回新しく搭載されたスカニアエンジニアリングシステムはユーロ6の排ガス処理システムと同様に、エンジン性能のすべての制御を管理するために開発されました。この新しいDC13型は従来より3%の燃料消費を抑制、エアロダイナミズムの改善とあわせて5%の燃費抑制効果があるとのこと。また搭載される12段AMT、スカニアオプティクルーズは従来より45%のシフトチェンジ時間短縮を可能にし、0.4秒で変速可能になりました。
・国産、輸入を問わず独自のアイデンティティをもった新デザイン。
・驚くべき視界の良好さと解放感。
・グレードは500馬力のみという潔さ(2017年現在の予定)。自慢の低燃費とあわせ試してみたい。
・日本の発売は欧州市場についで世界で2番目に早い。
・輸入車カテゴリーを盛り上げていく存在になりえる秀逸なパッケージング。
・いっそフラッグシップのSシリーズも入れて欲しい(4.2M専用トラクターとして)
まずリジットが引き続き、日本に入るのは素晴らしいですね。これはボルボにはない商品ラインナップ。9,600mm採れていて国産と変わりません。積載は12.7トンなので13トン切っちゃうのは残念かな。総重量が25トンですから、エンジンが13リッターのスカニアは仕方ないかも知れません。トラクターでは確かにボルボと競合する点は否めませんが、新型スカニアのインパクトは国産トラック対輸入トラックという構図になると思っています。だからボルボとスカニアが一体となって国産の牙城をどこまで崩していけるかが楽しみです。私はボルボの販売者として、新型スカニアには勝手にそういう連帯感覚をもっています。よりお客さんに知ってもらえれば、もともと持っているカラーがボルボとスカニアでは全然違うのが、分かってもらえると思いますしね。スカニアはよりタフで、重量物をものともせず、悪路だって気にせずどんどん走るというイメージでしょうか。やはり重機や重量物系のお客さんと相性が良いと思うのですが、スカニアジャパンはいっそ700馬力オーバーを入れた方がいいと思うんですよね。トラックではなくなっちゃいますけれど、特にクローラーの720馬力とか。以前、お客さんの問い合わせでボルボで入れられないかと相談をいただいたのですが、並行輸入じゃないと難しかったんです。でもスカニアがその選択肢を持っていたら、そのイメージがスカニアのイメージをけん引していくと思うんです。
SシリーズはRシリーズより全高がさらに高く、長距離ドライバーの快適性を最大限に考えたプレミアムクラスです。その全高は3,690mmで専用のエアディフレクターを合わせると4メートル近くになります。室内には2段ベッドがあり、革の部材には赤いステッチが入ったり、高級感あふれるのが特徴です。この高さゆえに走行が限定される日本での発売はなさそうですが、仮に4.2メートル(クンロク)シャーシ専用だったり、ターミナル輸送専用であれば充分実用性はあります。16.4リッター、スカニア至宝のV8エンジンで730馬力。夢がありますね。
新型スカニアの詳細、お問い合わせはこちらから
https://www.scania.com/jp/ja/home.html
やっぱり輸入トラックは最高です! ボルボの新型FHもこの機会に是非ご覧ください。