トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第70回
第70回 『みんなのトラックフェス2022』レポート
第70回 『みんなのトラックフェス2022』レポート
トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第70回
第70回 『みんなのトラックフェス2022』レポート
第70回 『みんなのトラックフェス2022』レポート
「もはや社会現象!? ユーロスタイルの盛り上がりは止められない!」
さる11月に滋賀県の奥伊吹モーターパークにて「みんなのトラックフェス」が開催されました。出展台数は123台で、来場者数は約3000人。紅葉が美しい山間の会場にボルボ、スカニアを中心としたユーロスタイルのトラックが集結しました。今回の鍵人訪問記ではフェスの鍵人の皆さんに現地インタビュー。ファストエレファントの新作ウィリーの情報も公開します。日本最大級のユーロスタイル発信源となる、このイベントのねらいはなんでしょうか?
編集・青木雄介
WEB・genre inc.
____このトラックショーは何回目になるのでしょうか?
瀬野:これで6回目ぐらいです。初めは奈良でやっていました。もともとはセノプロのお客さんのためだけに奈良でやっていたんですよ。最初の3回ぐらいは、ですね。
____ではそこから参加企業が増えて、規模がどんどん大きくなっていったんですね。
瀬野:本当に暗いニュースばっかりですから、こういうことはどんどんやっていきたいんですよね。
____まさにコロナ禍の真っ最中の時に、同じことをおっしゃっていましたね。
瀬野:はい。その気持ちは変わらず「やっていこう」と思っていますね。いっそ今後は11月の第3の週末は「トラックショーの日」として「確定したいな」と思っているんですよ。場所はもっといろいろな場所で開催すると思います。
____いろんなロケーションでユーロスタイルのトラックが見れられるのは楽しみですね。今回のこの奥伊吹モーターパークもすごく写真映えします。
瀬野:車で来ると奥地すぎませんか!? 入ってくるとき「間違えた」と思いませんでした(笑)?ここは台数が停められるし、音を出してもいいし、「ちょうどいいかな」と思っています。
____今回はトラックの試乗もあるんですよね? なかなか思い切った決断だと思いました。
瀬野:週末にやる理由としては、やはり子どもさんにも来てもらったり、トラックに乗ったことのない人達に乗って欲しいんです。特に他業種の人達にも「体験してほしいな」と思うんです。
____今回の試乗車の内訳を教えてください。
瀬野:ボルボとスカニアが2台ずつあります。
____それならたっぷり乗れますね。ちなみに今回、出展されているトラックで瀬野さんおすすめのセノプロトラックはどの車でしょうか。
瀬野:だいたい形はどれも同じカスタムになっていますが、今回は自分のスカニアを乗ってきました。デモ車にしていて、このトラックが一番おすすめですよ。個人的には自分が乗ってきたのを推したいんですが、セノプロに限らず恰好いいトラックが多いですよ。スカニアのカスタムは僕にも分かるのですが、ボルボのカスタムも恰好いいですね。なんかボルボ対スカニアみたいになっちゃってますけど(笑)。所々でスーパーグレートもありますけど(笑)。
____所々でスーパーグレートとプロフィアが気をはいているのもトラックフェスらしくて良いですよね。国産のユーロスタイルも観たいですからね。
瀬野:そうですね。2日間あるんで、たっぷり観ていって欲しいですね。
____瀬野さんに教えていただきたいのですが、最近のユーロトラックの盛り上がりを感じられる所はどんな点でしょうか。
瀬野:やっぱり弊社でもバックオーダーを抱えられるぐらいになっている点ですね。待っていただく分、迷惑がかかってしまうのが申し訳ないのですが。
____どれぐらい待つんでしょうか。
瀬野:長いものだと2年半ぐらいですね。
____そんなに納期がかかるんですね!
瀬野:これだけ「燃料費が高い」と言われている時勢に、まだまだ利益を出して頑張っている運送会社さんのためにも、我々も頑張って「喜んでもらえるトラックを造らなければいけないな」と思っているんですよ。僕としては前に造ったトラックにこうやって再会できるのも嬉しいんです。本当に綺麗に乗ってもらえてるんですよ。たとえば他のトラックは全部デコトラなんだけど、セノプロを入れていただいている会社さんも参加しています。ありがたいんですよね。僕としてはこういう会社さんだったり、「セノプロなんて入れても仕様がないやん」と言っている会社さんにこそ、入れたいんですよ(笑)。
____プライドも刺激されるということですね。
瀬野:そうですね。
____他のクルマはデコトラということですが、そもそもセノプロさんのトラックはまったくデコトラ的な要素がないですよね。
瀬野:ないですよね。やはりそこはドライバーさんから意見を吸い上げてもらえている、というのがありがたいんです。「次、どんなのに乗りたいの?」、「次はセノプロみたいなトラックに乗りたい」。そうドライバーさんから言ってもらえるんですよね。
____時代を感じますね。
瀬野:あとあと映画になったらいいと思うんですよね。僕は映画を撮りたい。現代版デコトラみたいなテーマですよね。
____トラック野郎シリーズですね。ドライバーは桃次郎より真面目そうですけど(笑)。
瀬野:すでに色々と考えてるんですよ。綾人サロンという YouTuberの番組で、亀田史郎さんにセノプロのトラックを乗ってもらったんですよね。その伝手で亀田興毅さんを紹介してもらいたいんです。亀田興毅さんが主人公で、セノプロに乗ってもらって現代版のトラック野郎だってあり得るでしょ。そうすれば若い子達も「自分達もこんなトラックに乗りたい」と思うはずです。トラックといえば『空飛ぶタイヤ』とかああいう映画もありましたけど、もっとバラエティに富んだトラック映画をやりたいんですよ。Vシネマだっていいんです。最後はほんまのデコトラとバトルしたりするんです(笑)。おもしろそうでしょ!? もう絶対に脚本はやらせて欲しい。これを考え出すと寝れない時があるんですよ(笑)。
____今回、みんなのトラックショーに出展された経緯を教えてください。
前沢:瀬野さんや中西さんたちに「弊社も是非」と誘っていただきましたので、トラックを持ってきました(笑)。けれども弊社は基本的に飾ったトラックはないんですよ。それで持ってきたのが、このトラックなんです。弊社で一番旧いトラックです。補助車として使用していて専属のドライバーはいません。誰かのトラックが車検に入ると代車として使われていました。今回のお話を受けて「じゃあ社長車を作ろうか」という話になりまして、一応これを私の車にしました。
____トランスウェブの考えるユーロスタイルでしょうか。
前沢:いや、ユーロスタイルというよりは中東っぽく見えるかもしれないですね(笑)。
____ダカールラリーを走るトラックみたいで、すごく恰好いいです。ぜひ詳細について教えて欲しいんですが、キャビンについているサンバイザーは日本のトラックっぽいですね。
前沢:このバイザーはヨーロッパでもみんな同じようなパーツをつけているんです。ここに付いている部品は全部、ヨーロッパで買ってきたパーツです。このトラックの見どころは内装にあって、旧くなっていたので全部リフォームしました。うちの会社の色が白とブルーなので、白とブルーでやってみました。
____すごいですね。これは出展用としてリフォームしたんですか?
前沢:そうです。「旧いものも大事にしよう」というメッセージを込めているんですよ。
____素晴らしいですね。やはりこのスカニアに思い入れがあったりするのでしょうか。
前沢:私が創業して、最初に買ったスカニアがこのトラックなんです。形式で言うと4シリーズと言って3世代前ぐらいのスカニアになります。以前、ヨーロッパを走った時に高速のパーキングで買ったステッカーを貼ったりしています。
____恰好いいですね。これぞミスター・ユーロトラックですね。最近のユーロトラックの盛り上がりにともなって、スカニアの人気がすごく高くなっていますよね。前沢さんはその点をどのように感じられているんですか。
前沢:本当にすごい盛り上がりですね。弊社がスカニアと付き合ってきた歴史は長いのですが、もはやカスタムに関しては上がいるので「僕がなにか言える立場ではない」と思っているんですよ(笑)。
____いやいや。このトラックからは昨今のユーロスタイルでは出せない、トランスウェブさんならではの歴史の重みを感じます。やはり「ユーロトレーラーはユーロトラックで牽きたいな」とイベントを見ていて感じたのですが、今回はすごくケスボーラー社のダンプトレーラーが目立っていますね。
前沢:そうなんですよ。ご購入いただいたお客様たちが10台ぐらい出展してくださいました。
____こういうイベントだとユーロトラックとのセットは目立ちますね。ありがとうございました。
____今回はキャリオンさんだったりトランスウェブさんだったり、規模感がどんどん大きくなってきていますね。
中西:123台ですからね。前回の3倍ですよね。私自身もびっくりしています。今回も準備としては2~3ヶ月前から始めたので、なかなか忙しい準備になりました。出展車両を募集するのも2ヶ月前から始めていて、最初の1か月ぐらいはすごく反応も薄かったんですよ。だから当初の見立てとしては「5~60台集まればいいかな」と思っていたんです。
____楽観的だったんですね(笑)。
中西:はっきり言うとゆるかったんですよ(笑)。最後の2~3週間ぐらいになって「そろそろ締めようか」という時に、ヨシノ自動車もそうですが他の3社も一気に出展するトラックが増えてきたんです。
____なるほど。仕事に使う車だから予定を開けられるかどうか最後まできっと微妙だったんですね。
中西:そういうことですね。それもあるから仕方ないかもしれないですね。残念ながら最後の方は断っているんです。この場所もスペースがあるとはいえ、使えるレイアウトは決まっていますから、これ以上入れちゃうとパーキングみたいになっちゃいますからね。せっかく魅せるトラックが集まってるので、「これぐらいが限度じゃないかな」と思っています。
____このイベントももうヨシノ自動車としては3回目ですが、ユーロトラックの傾向のようなものって感じられますか。
中西:今回はそれこそ新しく入った新車もあれば、4~5年乗ってるようなトラックもあって、カスタムのスタイルとしては大きく変わってるようには見えないかも知れません。バー をつけてフォグランプをつける基本的なカスタムは変わっていないんですが、そのブランドはどんどん変わってきてるんですよね。
____確かにそうですね。毎年流行が変わってる気がします。それと今回はスカニアのトラックがすごく多くてびっくりしました。
中西: やはりヨーロッパでもそうだけど、スカニアはカスタムのし甲斐がありますよね。 ヨーロッパのイベントでもカスタムされたスカニアを多く見ます。ボルボのカスタムとはまた違った、スカニア独自のカスタム文化があるんですよね。そういった意味で言うとボルボとスカニアというのはキャラクターの違った2メーカーだと思いますので、その違いを楽しむのもこのイベントの醍醐味だと思いますよ。
____今回は後ろのトレーラーもケスボーラー社製などヨーロッパ製が増えてきましたよね。トランスウェブさんが入ったことによってトレーラーもセットで見れる醍醐味が、「これまでとは全然違うな」と思いますね。
中西:日本でもこれからトレーラー需要はますます増えていくと思うんです。そんな中でトレーラーメーカーさんの数だとか、種類も含めてヨーロッパには敵わないと思うんです。ヘッドもスカニアやボルボといったヨーロッパ製とは相性が良いですからね。
____フレーム(ファイヤー)パターンの新作が出来ましたね。3台並んで壮観でした。
アルフレッド:まず一番最初のトラックショーで買っていただいたアオキミツル商事さんのアベルが1台と、青いのが去年のトラックショーにも出したアベル2号。そして今回が新作であるアベル3号です。
____トレーラーも一緒にカスタムしたんですね。
アルフレッド:社長さんが「やりたい」ということでカスタムしました。
____アベル3号の見所を教えてください。
アルフレッド:やはりケン・ザ・フラットトップさんの手描きのフレームパターンです。それにピンストライプ。バーは全部ジャンボで、トレーラーにもガードをつけています。今回は後ろもカスタムして泥除けを付けたり進化してますね。新作のストランズのフォグランプも付けています。
____ファストエレファントの新作であるウィリーについても教えてください。
アルフレッド:ウィリーは由来がありまして、『フリーウィリー』という映画があるんですよ。シャチを子どもが手なずける映画なんですが、その自由奔放に動き回っているイメージから取りました。でも実際はとても実用的な車を作りました。中はスピーカーを替えたり、内装も凝った作りをしてるんです。シートカバーも新作を入れました。シートカバーとベッドカバーとフロアマットとあって、外側はファストエレファント一押しのジャンボとストランズです。その辺はしばらくファストエレファントのカスタムのベースとして造っていくつもりです。それと今回はブラックウルフと共同開発したブラックエレファントというオリジナルホイールを履いているんです。
____すごいですね。
アルフレッド:大きさは385で黒色も塗ったわけではなくて元から黒なんです。それにジャンボのホイールカバーをつけています。ブラックエレファントは新商品でイチオシですね。
____ではこのイベントについて訊いていきましょう。前回より台数も多くなりましたね。
アルフレッド:去年の木更津より3倍ぐらい台数は増えてますね。今回は123台のうち110台がトラックです。ユーロトラックのイベントとしては日本最大級ですね。ただ他にやってる人がいないということもあるんですけどね(笑)。でもまだまだですよ。デコトラのイベントなら500台ぐらい集まりますからね。
____なるほど。それでも成長がめざましいですね。
アルフレッド:今回は4社で出展することによって、「ちょっと贅沢なイベントになった」と思います。出店料も取ってないし、入場料を取ってるわけでもない。お客さんに集まってもらって「トラック業界を盛り上げたい」というイベントなので。個人的にしみじみ思うのは「よくこんなにトラックが入ったな」ってことです(笑)。とにかく来ていただいたお客さんに楽しんでもらえればいいんです。あわよくば、それが色んな出会いに繋がればいいですね。