株式会社ヨシノ自動車

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~   第78回

株式会社ヨシノ自動車 レンタカー事業部

株式会社ヨシノ自動車 レンタカー事業部

「そのトラック、レンタルしませんか? 事業内容に合わせて最適解を提案できるヨシノ自動車」

本年度よりヨシノレンタカー厚木営業所がオープンしました。中古車の展示場である広大な敷地を利用し、少ない人員ながらも営業を開始しています。まずは、その狙いを社長である中西俊介に直撃!さらに新戦力を得て、大幅な業務改善にもトライしています。厚木でのレンタカー事業開始は、これから伸びていく栃木や木更津といった新事業所をけん引するための、販売、レンタカー、保険、整備という大事な屋台骨の確立、その第一歩です。そして屋台骨が支え合うような構造になることで、“ヨシノ自動車”という大きなビジネスモデルが成立します。今回はそんな中西の事業構想を包み隠さず、解き明かします!

編集・青木雄介
WEB・genre inc.

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レンタカー事業部 事業部長・太田 :元整備士で、トラックのみならずクルマにも幅広い知見をもつ業務改善請負人。

レンタカー事業部 厚木店所長・山﨑 :新設された営業所をひとりで切り盛りする若手所長。レンタカー“あるある”には事欠かない!?

見落とされがちだったレンタカー事業

___もともとヨシノ自動車において、レンタカー事業はどういった意味を持っていたのでしょうか。

中西: 弊社の中の主力事業で、30年近くやっている本業の1つではあるんですよね。そこに携わるスタッフも多いのですが、どうしても経営として注力してしまうのは売上高の大きい販売事業になってしまいます。だからこそレンタカー事業は、それぞれの部署長に裁量を任せていた流れがありました。その中で、ここ最近は販売が中古車市場のタマ不足の影響を受けたり、新車の仕込みや仕入れがうまくいかないなどの問題点がありました。

___販売に課題が出てきたんですね。

中西: 片方でレンタカーをやっていると、使用して数年経てば高年式の良質な中古車として販売することができます。それが弊社のレンタカー事業の付加価値の一つだったわけです。そのボリュームを大きくしていきたかった。そのためにはレンタカー事業を大きくしていかなければいけない。振り返ってみると、レンタカーの保有台数はそれほど大きく上がっているわけではなく、増えてもいなければ減ってもいないという状況が続いていました。よくも悪くも安定していたんですね。

___要因としては固定のお客さんだけになってしまっていて、新規のお客さんが増えないということでしょうか。

中西: そうですね。色々と要因はあるのでしょうけれどスタッフが定着しなかったり、事業環境として他の販売などの職種とかに比べると、成長が鈍かった点は否めないんです。本来なら、人が増えて事業が成長していく。店舗展開をしていって拡大していく。それが理想としてはありながらも、なかなか思うように頭数が揃うような人材を確保できませんでした。もちろん30年以上、お付き合いしている昔からのお客様はいらっしゃるので事業としてマイナスになることはなかったんですが。

___先日、ヴィンテージカーの取材で町田のショップに取材に行った時にホワイトボードに「ヨシノレンタカーで積車」と書いてあるのを見つけました(笑)。そのとき、やはり 自前で積載車を持ちたくないお客さんは、ずっと借りてくれるだろうなと思いましたね。

中西: 町田周辺は特にそういうショップさんが多いですからね。

誰もが出来る訳ではない複雑な業務とは

___さて、そんな中で現在のレンタカー事業部の部長である太田さんが入社されます。改革中とうかがっていますが、問題点はどういったものがあったのでしょうか。

太田: 問題点というより、むしろ感心したのは業務がすごく複雑でそれを皆さんがこなしていることです。それを「誰もができるのが当たり前」という前提がありました。

___なるほど。

太田: スタッフが当たり前にやっている業務というのが、皆さん熟練されていて時間をかけて培われているので当たり前になっているんです。ですから入社した人間がすぐできるものではない。そこは改革をしようと思っているのですが、例えばお客様から頂いた入金に対して入金伝票であったりジャーナル(売上履歴)だったり、いろんなものを手書きしなければなりませんね。入金伝票も振替伝票も頭では分かっていたのですが、私自身、現物を見たのは初めてでした。「まだこれをやっているんだ」というのが正直な気持ちでした。

___なるほど。昔ながらの方法で効率化されていないんですね。

太田: 一つの業務に対して、いくつもの業務がついてくることが問題でした。多くの手をかけなければいけないことが、そこだけを見れば手間ではないかも知れませんが、トータルで見れば大変な業務量になってしまう。私自身が入社した時に「これは難しいな」と思ったんです。一人前になるまでに時間がかかってしまう。ヨシノ自動車から見ると業務の簡素化なんですが、私がこれまでやってきたことを考えると、あくまでも一般化です。ただこれまで長い間やってきたことを考えると、いきなり変えるのは難しいので「少しずつ改良していければ」と思っています。それはたぶんレンタカー部門だけの問題ではないんです。

レンタカーの事業規模を大きくするためには

___なるほど。その意見は外部からヨシノ自動車を見ている者としても、ちょっと意外なエピソードでした。中西社長はそういう効率化は真っ先に着手するだろうと思っていましたので。

中西: そうでしょうね。先ほどの前提の話にあったように、レンタカー事業は「任せている」状態でした。私自身が入社してレンタカー業務に携わったことは、一度もないんです。その部署長に任せているという状態だったので、業務の不効率さというのは傍から見ていて感じはしていました。整備部門もそうなんですが、「こんなに遅くまでやっているのか」という良くない慣習が常態化しているわけです。それが具体的に何かというのが携わっていない分、すごく見えにくかったんです。

___それが外部から太田さんが入ることによって明るみになる。この場合、外部の人間が入らないと分かりませんよね。

中西: この改善は1個 1個、段階を追っていくステップなので、いきなり大きく変えたわけではないんです。そもそも同じ数字を手書きで何枚も書くというやり方は、理にかなっていない。かつては販売の現場にもありました。ですから仕入れ伝票をまとめてカード化したんです。その現行のシステムを入れて10年以上が経ちます。実際のところ販売台数の増加から行けば業務の人間を倍にしなければいけないのに、効率化するシステムを導入することによって人員は増やさずに対応できています。そういった意味では、業務効率を上げることで生産性は上がっている。これはもちろんレンタカーや整備でも可能なことなので、今年から着手しているところです。

___了解しました。ではまず、なぜレンタカーの母数を増やしていきたいのか、という点について伺っていきたいと思います。台数を増やすことによって、どういった相乗効果があるのでしょうか。

中西: 基本的に台数を増やすことはずっと考えてきたことなのですが、対応するスタッフの頭数がなかなか揃えられなかった。どちらかというと少数の職人でまわすように各店舗が営業してきたんです。

改革の先鋒的な厚木営業所

___各店舗に独自のセオリーがあったということでしょうか。

中西: いや、独自のセオリーではなくて、例えばここにいる山﨑も中途採用なので最初は川崎の本社に来ます。基本的なベースは川崎でトレーニングされます。川崎はもうすでに30年以上の実績とノウハウがあるので、変化をしながらも基本的なベースは変わっていない。 悪い言い方をすると、昔ながらの職人技でここまで通してきた側面があります。それに耐えられない人は辞めていく、新しい人が来ても仕事が覚えられなくて辞めていってしまう。その繰り返しがあって、できる人だけが定着していく。その繰り返しなんですよ(笑)。

___なるほど。

中西: 今後の我々の中期計画の中で、「レンタカー需要を拡大していく」という目標は必ず達成したい。とはいえ、現場が回せなければ計画それ自体の意味がない。あらためて店舗の中の非効率な業務をいかに簡素化していくか。生産性を上げていくか、というところに着手していきたい。その上であらためて店舗を拡大していきたいです。

___その意味でいえば厚木営業所は今年スタートしたわけですから、改革の象徴でもあるわけですよね。改革が着手された最初の事例というわけですよね。

中西: スタートとしてはそうです。ここをベースにして、この1年や2年という単年度でどれだけ成長できるか、そのためには顧客を獲得していかなければいけないですが、厚木に在籍している販売メンバーもいるので、いかに店舗のマネージメントを確立するか。「そこが課題かな」と思いますね。

___思えば厚木営業所というのは、開設からずっと中古トラックの展示場だったわけですよね。そこにレンタカー業務を導入したのは、どういった意図があるのでしょうか。

中西: そこには2つ要素があって、まったく違う場所に新しい店舗を出すのはリスクがあります。厚木ならそもそも店舗があるので初期投資としてはハードルが低い。厚木でずっと販売をやってきたので、販売とレンタカーはお客さんがかぶるので相乗効果が見込めるんです。

販売、レンタカー、整備をセットにすることによる相乗効果とは

___販売とレンタカーのお客さんは一致するんですか?

中西: 一致しますね。土建屋さんは自分たちでダンプを持っていますよね。ただ新しい受注を受けてもう2、3台欲しいという時にレンタカーを借りたり、工事の大きさによってリースを使ったりする。やっぱり需要がある中の、どちらもが選択肢なんです。それでいてレンタカーは比較的、店舗が出しやすくてスタート年度から売上を作るプランが立てやすい。

___なるほど。

中西: それが1つで、もう1つは、弊社は販売、整備、レンタル、保険と大きく分けると4つの事業から成り立っています。その4つを全拠点で展開できる体制をつくるのが、理想なんです。それはヨシノ自動車全体の理想の展開ということで、例えば厚木でいえば、もともと販売をやっていてレンタカーを始める。この先は整備工場を作れれば理想的だな、と考えています。今のところ同じことを栃木営業所でも「やっていきたいな」と思っています。距離的な近さからいって厚木で先にレンタカーを始めましたが、いずれどこか近いタイミングで栃木営業所の中にも、レンタカー事業をオープンしたい。隣の工場を買い取ったこともあるので整備工場を作り、もちろん車両販売も始めたい。

___販売、レンタカー、整備(工場)がセットになっているんですね。

中西: そうです。セットにしていきたいです。

___川崎や鶴見、横浜町田といったこれまでのレンタカー事業は単体の営業所でした。そうではなしに「販売とセットにしていきたい」ということですね。

中西: そうです。全事業に相乗効果を持たせるための構造を、物理的に作り上げていきたいということですね。

___そのイメージで言うと現在、厚木営業所にはトラックのほぼ9割以上は、販売用の中古トラックです。レンタカーは5台から10台ぐらいでしょうか。この比率をどれぐらいまで高めていきたいのでしょうか。

中西: 比率的にはレンタカーを50台、販売用車両が50台ぐらいにしたいですね。まずはそれが最初の目標でしょうか。

___なるほど。そこでお伺いしたいのですが、現場をみている山﨑さんから見て厚木地域はレンタカーのニーズはあるのでしょうか。

山﨑: 厚木は思っていた以上にレンタカー屋さんが多くて、密集した地域だったんです。 だから「今まで借りてきたところから借りるよ」というお客さんが多いですね。そこを崩すという意味で正直、苦戦しているところはありますね。すでに出来ているコミュニティの中に、切り込んでいってる形なので。

横浜町田と厚木にみる地域のニーズの違い

___そうですか。そういう意味では厚木はレッドオーシャンで、町田なんかはブルーオーシャンで需要があったんですね。

中西: 特に町田はセーフティーローダーなんかの車載車に関して、大きな規模感で揃えているレンタカー屋さんがなかったのは確かです。その需要が当たったとはいえますね。地域性がありますので、どこでも持っているトラックの車種で勝負しても、既存の出来上がったマーケットを崩すのは難しそうです。ただ今後は需要があって、かつ他のレンタカー屋さんが持ってないトラックを掘り起こしていきたい。例えば町田で言うところの車載車で、厚木でもそういう得意な車種ができれば切り口になります。

___そうですね。

中西: 他のレンタカー屋さんとかぶる車種だと、どうしても値段を下げざるを得ない。それだと意味がなくて、他になくてラインナップされていたら良い車種があって、お客さんのリクエストによっても導入することができる。ヨシノ自動車のメリットとしては希望の車種を導入できるメリットがあります。例でいうと増トンクレーンなんかそうですね。展示されているだけなら意味がないので、レンタルで貸してお客さんが使わなくなったら戻してもらう。ヨシノ自動車はそういうニーズに柔軟に対応ができる。すごくやりやすいのです。

___確かにそれは魅力的ですね。展示場に並んでいる中古車をレンタルで借りたいと考えたお客さんの、相談に乗ることができますからね。山﨑さん、そういった傾向はありますか。

山﨑: そういう意味で言うと、厚木は大型車両のニーズが大きいと思います。持っていないお客さんが多いですね。ニーズがあっても「他社にないんだよね」という車種は、だいたい大型のセルフやセーフティか増トンクレーンですね。逆にダンプや平台、クレーンなんかは自前で持ってるお客さんの方が多いですね。厚木だとセーフティーローダーは車屋さんが自前で持っているんですよ。多分なんですが町田よりは土地が広い分、自前で買っちゃうんでしょうね。

中西: そこは土地の値段に比例した分かりやすい地域差ですよね(笑)。

山﨑: それと白ナンバーから緑色の営業ナンバーに変えて出せるかも、トラックのレンタカーにとっては大きいですね。

レンタルとリースの違いを正しく知ると!?

___なるほど。実際に展示されている車両を「あのトラックを少しの間だけでも借りれないかな」という要望をかなえられることは、ヨシノ自動車にとっても他社との重要な差別化になっているわけですね。

中西: そこは弊社の事業としてもかぶっているところがあって、短期リースはレンタルではなくて販売サイドの仕事なんです。会社内で競合しちゃうところがある(笑)。レンタカーの延長線として出すのか、あくまでもリースや販売車両として出すのかによって違いが出るんですね。

___そこをもう少し具体的に、太田さん教えていただけますか。

太田: 例えば新車で買ったら 5年とか7年とかの期間で月の償却費が決まるんです。リース、レンタカーだと実際に使っている期間だけの費用になり、そのまま経費として計上できます。税制面、キャッシュフローではメリットがありますよね。

___いわゆる、より経営上の負担がない選択肢なんですね。

太田: そうですね。レンタカーとリースの違いは、自動車税などの車両管理費が、リースの場合は使用者のお客様、レンタカーだとレンタカー会社となります。ヨシノ自動車はお客様のニーズにあった商品を提案できます。レンタカー、リース、中古車・新車の販売、顧客の事業の成長に合わせて提案ができるのがメリットだと思います。

1ヶ月からリースで緑ナンバーを取得できるメリット

___なるほど。レンタカーとリースというのは明確に「こっちが得」というような分岐点が期間などであるんでしょうか。

中西: ないといえばないですね。一般的にレンタカーというのは分かりやすく言えば、1日から数ヶ月レベルです。年単位ならリース。それが「分かりやすい」といえば分かりやすいけれど、お客さんのニーズ次第なので期間で「どちらが得」とは言い難いんです。

___そうなんですね。ヨシノ自動車の短期リースは最短どれぐらいから扱えるんですか。

中西: 1ヶ月です。これはユーザーの使用環境によりますが、結局のところ運送事業者には 営業ナンバーが必要です。営業ナンバーがついてないと荷物が運べません。基本的に白ナンバーの「わ」ナンバーは仕事ができないんです。特例としての届け出はあるんですよ。事故の代車として特例として使用するとか。ただその手続きをしなければいけないし、保険としても損保というカテゴリーがあります。それはすごく限定的なんですよね。例えばお客さんの事情によって「この半年間だけ荷物が増える」などの需要が出た時には「わ」ナンバーだと対応ができなかったりするんです。そういう時に弊社はレンタカーをお客さんの会社のナンバーにして貸し出すことができます。所有権は弊社のままにして使用者をお客様名義に変えます。その場合は短期リースという使い方をします。そういった意味では、ニーズがある。我々としても積極的に打ち出しているわけではないのですが、常にそういう話はいただきますね。

___例えばお客さんには、ボルボを試しに使ってみたいと考えるお客さんがいるかもしれませんよね。ボルボの半年の短期リースも可能なのでしょうか。

中西: 可能は可能です。

___すごい。ボルボを短期リースて試用してみたいお客さんっていっぱいいると思うんですよね。

中西: 実は今までもやっているんですよ。でも「それなら購入する」というお客さんがほとんどなんです。もうそれなら5年で組みたいとか。前回の21年モデルが出た時も3年リースで月々20万を切ったプランもやっていたんですよ。でもあんまり食いつきが良くないんです。

根強いトラックを「所有」するという意識

___そうでしたか。意外ですね。

中西: それは僕がプランしたんですけど、国産のお客さんはボルボに乗ってみたいという気持ちがあっても「壊れるんじゃないか」とか不安がありますよね。それは乗ってみればわかることなので「お試しで」と思ってプランを設定してみました。お試しするんだったら、いっそ価格を下げないとお客さんもメリットを感じないよね、と。それであればリース料月々20万円を切るような形で最長3年でやってみたのですが、反応はいま一つだったんですよね。それ自体はもう5年前からやってることなんです。

___なるほど。それならいっそ買おうってなってしまうんですね。むしろ信頼性という意味では、国産と差がなくなってきたのかも知れませんね。

中西: ボルボの短期リースは実績ゼロですからね。やっぱり買うか、買わないかですね。ここは難しいところなんですが、まずお客さんに経営的にリースのメリットを説明しなければいけないところから始まります。これは営業会議でも毎回出る話題なんですけどね。まだまだお客さんはトラックを所有するという意識が強い。ヨシノ自動車が販売しているボルボはノーマルで乗られるというよりほとんどがカスタムです。完全に自分のものとして扱いたい。だからこそ3年クローズで返却しなければならないとなると「そういうのはいいや」となっちゃうんですね(笑)。

___分かります。

中西: そこはローンの感覚なんですよ。いつか自分のものにしたい。なかなか難しいですね。そこを突き放してトラックを設備体と考えていただけると意識は変わるんでしょうけど、どうしても自分の愛車という感覚が残っているんでしょうね。

太田: それは僕もすごく感じます。営業で回っているとレンタルだけではなくてリースだったり、中古車だったり何か引っかかるところはないかなといろんな話をするのですが、今のところ新車は入ってこなくて、中古車もなかなか入ってこないという状況があって良い中古車がお客さんの方でもなかなか見つけられないという状況が続いています。そこで中古車の話をするとすごく食いつきがいいんですよね。話をしていると「実際に買いたい」と。

事業規模にあわせてプランを選べる

___なるほど。

太田: 僕はその場合、「今の時代は車を買う時代ではないですよ」とはっきり言っています。乗用車が顕著ですが、リースだったりカーシェアだったりこれだけ普及している中で買うメリットがそもそもなくなってきたということなんですよね。とはいえ、お客さんの事業 成長に合わせて提案していくので、最初はレンタカー、次は中古車を買って次は新車となります。そもそも「新車を買いたい」という気持ちは、根底には、あると思うんですよ。

___「買いたい」という気持ちが宿題のように起業したときからあるんですね。なんか分かるな。「ゆりかごから墓場まで」じゃないですけど、事業内容に合わせて提案できるのがヨシノ自動車ですもんね。

中西: そこを目指してやっていますからね。

___その意味では厚木にレンタカー事務所ができるというのは、分かりやすくなりますね。

中西: そうなんですよね。ここに来てさえいただければ販売車両を見て行ってもらうこともできるし、レンタカーの手続きをしてる間に販売車両を眺めていただくこともできるわけです。

山﨑: 川崎でレンタカーの業務をしていた時よりもレンタカーのお客さんが「でも車が欲しいんだよね」って話が厚木だと出てくるんですよね。来ていただいて「レンタカーはここだけなんですよ」と話をすると、目に入るのはほとんど販売車両なので「実は探してるんだよね」という本音が出てくるんだと思います。それは川崎に比べて多いですね。川崎は敷地内にはレンタカーしかないので話に上がらないんですよね。

中西: たぶん川崎にもニーズはあるはずなんですよね。でも川崎は店舗で営業しているので、レンタカーの話だけで終わっちゃうんです。我々は他にも「中古車を販売してますよ」と言ったところでも現物がないと、なかなかイメージが湧かないということなんでしょう。

高時給でも人材が集まらない売り手市場

___その意味で言うと、やはり厚木営業所がヨシノ自動車の未来的な営業モデルなんでしょうね

中西: そうです。この1つの拠点で弊社の事業内容が全てまかなえる拠点と言えるんですよね。

___確かにここに整備工場ができたらもう完璧ですね。そうなると人員を増やさなければいけないですね。人材確保はいかがですか。

中西: 大変です(笑)。1つは弊社が業界的に知名度があるわけではないからです。それでも大手に分類されちゃうんですよね。

___ええ!? ヨシノ自動車は大手だと思っていました。

中西: 弊社は売上100億程度です。これが乗用車になったら売上は1000億単位になっちゃうんですよ。オーナー企業の中古車販売業で多店舗展開していて、乗用車になるとやっぱり 規模感がどんと大きくなるんですよね。社員も数千人、売り上げも数千億。そういう世界です。トラックでは1000億を超える中古車販売業は1社もないです。そう考えるとマーケット的には小さいんですよ。

___なるほど。

中西: 我々も人材派遣業の会社と日々コンタクトをとっているんですが、募集の数がそもそもコロナ前の倍ぐらいになっているんです。その中で弊社をより目立たせるために上位に持ってくるためには、毎週ものすごい金額を課金しなければいけないんですよ(笑)。本当に SEO 対策と一緒です。Google検索をした時に1ページ目に出てくるためにお金を払わなければいけない。そういうことをしない限り、全部埋もれていっちゃうんですよね。例えば栃木営業所の車両管理で、大型免許保有を条件に時給2000円でバイトの募集をしたんですよ。

___それは途轍もない高時給ですね。ご覧になってる皆さん、ヨシノ自動車の人材募集は必見ですよ(笑)。

中西: 本来ならありえないじゃないですか。その2週間の掲載で応募 0ですからね。片方で、それは栃木というエリアもあるんです。そもそも募集数がいっぱいあるから、例えば「整備士」と検索した時に1ページ目に出てこないわけですよ。栃木県だけでも数百ページになっちゃうらしいんです。検索で見てくる人というのは、上位5ページだけらしいんですよね。レストランでもそうですよね。探しても1ページ目、2ページ目ぐらいまでしか見ません。まず埋もれてしまうのと、時給2000円と出したところに逆に怪しさを感じられてしまったのかもしれません(笑)。どれだけハードなんだと(笑)。

55歳でセンサーが狂うことの意味

___一同爆笑

中西: 業務内容を見てみると車両清掃と大型車回送といたって簡単な仕事です。単純な作業内容しか書いてないわけです。それで「2000円ってありえないよね」って思われたんだと思うんですよね。弊社にいま産休に入っている車両管理の子が「私一度会社を辞めて栃木にアルバイトに行こうかな」って言っていました(笑)。「引っ越すならそれでもいいよ」と伝えました。現実としては人材を選べるような市場環境ではないということですね。

___人材を成長させないと会社の成長もないですもんね。

中西: 神奈川の川崎、厚木、東京の町田(横浜町田)、栃木や木更津と人材を募集しているんですが、やっぱり地域差があるんです。その点で行くと川崎が一番苦戦しています。整備士にしろ、営業にしろ、レンタカーのスタッフにしろ、なかなか来ない。考えられる原因としては都会なので働く場所が他にもいっぱいあるんですよね。

___なるほど。成長をモットーに数字至上主義を貫けば、話題のチェーン系中古車ディーラー(ビッグモーター)みたいなことにもなりかねないですよね。あの問題を中西社長はどう思われました?

中西: 同じ中古車業界とはいえ、我々はB to B(企業相手のビジネス)で彼らはB to C(一般顧客向けのビジネス)で参考にはならないとは思いますが、こんなことは考えました。自分もまだ現役でやっているし、情報をキャッチする能力だったり、それを成長につなげる能力には長けていると思っているので、「まだ間違いはしない」と思っています。仮に社員全員が、僕に忖度したとしても大丈夫だと思うんです。ただ僕は45歳の時から言っているんですが「55歳を超えたら分からない」と、今の幹部にも言っているんです。センサーが狂ってきちゃうんですよね。いま僕がやっているのはちょっと先を見た「市場環境はこうなるはずだ」、ヨシノ自動車が成長するためには「ここを今のうちに着手しておきたい」という舵取りです。これは唯一、僕ができる仕事なんです。

___そうですね。

中西: その予測と判断が結果的に間違っていないから、今のところ成長できていますが、それがくるう時が「絶対来る」と思っています。どんなに優れた経営者でもくるう時は来るんです。そこに予防線を張るとすると、「55歳ぐらいかな」と目安にしているんです。それまでには自分とは違う意見、半分は同調するけれど半分は自分の意見を出せる能力が、弊社の幹部には必要だと思っているんですよね。それがなければ今は安定していたとしても「危うい」と思っています。

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