株式会社ヨシノ自動車

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第79回

会津通商株式会社 今井 修二 様、有限会社マロニエ流通 大武 正徳様

会津通商株式会社 今井 修二 様、有限会社マロニエ流通 大武 正徳様

「私がボルボトラックを選ぶ理由 第14回」

ボルボドライバーや導入を決めた企業を招いて、ボルボトラックを語りつくす「私がボルボトラックを選ぶ理由」。第14回目となる今回は、福島喜多方市に本拠を置く会津通商株式会社様と栃木県那須塩原市に本拠を置く有限会社マロニエ流通様です。同じデザインで色違いのボルボを導入されたとても“仲の良い”両社。その経緯から、実際のスカニアとの比較やボルボの優位性について愉しく語っていただきました。ボルボを導入するための最適解やグレードは? 導入を考えている皆様なら必見の内容です!

編集・青木雄介
WEB・genre inc.

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今井 修二(いまい しゅうじ)様
会津通商株式会社 代表取締役 1970年生まれ。福島県喜多方市出身。2006年に会津通商株式会社に入社。2015年に代表取締役に就任。現在に至る。

大武 正徳(おおたけ まさのり)様
有限会社マロニエ流通 専務取締役 1967年生まれ。栃木県那須塩原市出身。1991年に有限会社マロニエ流通に入社。2019年に専務取締役に就任。現在に至る。

付き合ってみたら、面白そうだ

___今回、一緒にカスタムボルボをご依頼されたと聞きました。福島県と栃木県の会社なのに、なぜお二人はそんなに仲が良いのでしょうか。

今井:出会いは20年前ぐらいです。マロニエ通商さんから仕事が欲しくて、「私の方でも仕事を世話するから一緒に仕事をしませんか」と共通の知人を介してお願いしたことがきっかけです。もともと我々が傭車先を探していたのに、逆に仕事をもらうようになったんです(笑)。我々でお願いするはずだったのは1軸シャーシの仕事だったのですが、その1軸シャーシが使えませんでした。そんなことをやっているうちに我々が仕事をいただくようになりました。結局、そのトレーラーは使わずに終わってしまい我々の関係だけが続いてきましたね(笑)。

___なるほど。1軸シャーシは重量が積めなかったり、トラクタを選んだり、ハンドルが切れなかったりなかなか難しいですからね。大武さんはその辺はどうでしょうか。

大武:最初は「ずいぶん訛ったお兄ちゃんが来たな」と思いましたね(笑)。私も人のことは言えないんですがもっと独特の方言なんですよね。まず「面白いな」というのが第一印象でした。それに海上コンテナのシャーシを真っ白に塗ったシャーシで来ていたんですよ。本来なら緑とかオレンジが一般的ですよね。その白のシャーシがすごく珍しかった。そこに緑や赤を加えて「ラリーのイメージカラー(ランチャ・ストラトス)」と言っていました。当時からヘッドにサイドバンパーをつけて、屋根の中にシングルの部屋を作って屋根も高くしていました。そのヘッドに乗って現れたんですが、訛っている割には「だいぶ派手な車に乗ってるな」と(笑)。これは「付き合ったら面白そうだぞ」と思いましたね。

___いいですね。

大武:当時は相手先をネットで調べるような状態ではないので、「もっと長く付き合ってみたいな」と思ったのが第一印象ですね。会津通商さんがどんな会社なのか知らないし、向こうもマロニエ流通がどんな会社かわからないですよね。あくまでも伝手の繋がりだったんですけどね。とにかく「面白いやつだ」というイメージでしたね。

なぜ2階建てのトラクタを造ったか

___元々はトレーラーから始まったんですね。

今井:我々は岩手から東京までトレーラーの路線便を担当しています。運行するにあたって途中で車を変えるより、1台に2人のドライバーをつけるのがいいんじゃないかと思いました。乗り換えさせるのではなくて交代させたい。そうなればトレーラーの方がいいと。長距離なので荷物はたくさんあります。それにトレーラーだと積んで降ろす時間はとてもかかりますがヘッドの切り替えだけなら、ものの5分です。その方がトレーラーの差し替え時間が短縮されるし「そっちの方がいいだろう」と。

___それは2024年問題への対応だったのでしょうか。

今井:対応というより問題化する前に、我々はそれをもう考えていました。年間の総労働時間を短縮するために、荷主に頼んで試験運行という形で始めました。その後から2024年問題が世間で騒がれるようになったんですよ。

___それは素晴らしいですね。

大武:ほんとうに。この(会津通商の)車庫内にも白いプロフィアのヘッドがあるんですが、 彼はすでに2024年問題に着手していました。ツーマンで運行しなければならないとなった時にどうすればいいか。路線便ですから積荷の管理が大切だし距離も長い。彼はそこで「単車みたいに 2階建てにすればいい」と作ったんで。「2階の部屋で1人を寝かせておいて、もう1人は走っちゃえばいい」と。そのとき私は「うちはお金がないから作れないけどやってみればいい」と言ったんですよ(笑)。彼はそんな世にも珍しい2階建てのトレーラーを造っちゃった。そのときすでに、もうドライバーの時間管理は始めていたんです。そういう試行錯誤があって今があるでしょうね。

2階建てトラクタ。現在ではマロニエ流通様で使用されています。

___言い方は語弊がありますが、ちょっと前までは「車は走れるだけ走らせろ」というのが普通だったですよね。なぜそんなに前からドライバーの時間管理に注目していたのでしょうか。

今井:まずトレーラーは免許を取ってすぐには乗れませんよね。教えなければいけないので、どうしてもベテランと初心者が一緒に乗る機会が必要になってきます。ベテランにとっても自分の得にならない、初心者を乗せているがために自分はシートを倒して寝るのであれば「かわいそうだ」と考えたんです。「教えているのに、なんでこんな苦労しなければいけないのか」と思っちゃいますよね。

___よく分かります。誰もがボランティアの世話好きではないですものね。

今井:それなら上と下でスペースが分かれていれば解決するのかな、と思ったんですね。最初は仕切りカーテンもやってみたんですが、着替えとかになるとどうしても自分の空間が必要になるので「かわいそうだな」と思ったんですね。

トレーラーをボルボでまとめてブランド向上

___時間管理の面と、ドライバー 2人を同時に運行するための必要性があったわけですね。

今井:そうですね。その時、スカニアやボルボにも2段ベッドがあるか聞いていたんですよ。でもとてもじゃないですが、初心者がいきなり外車に乗れないですよね。まずは国産で慣れてもらって、そこからです。

___ちなみに今井社長から見て、どのタイミングなら外国車に乗せれますか。

今井:最低1年は必要でしょうね。

___なるほど。大武専務はどう思われます。

大武:1年は早すぎるでしょうね(笑)。3年は乗ってもらわないと外車には乗せられませんね。

___やっぱり世の中は「ドライバー不足」と言われていますよね。その時に会津通商さんだったり、マロニエ流通さんのボルボやスカニアを見たら「俺も乗りたいな」と思ってくれるドライバーさんは必ずいますよね。

今井:それは導入する理由のひとつとしてあって、郡山営業所はトレーラー専門なんです。 今後、ボルボ1本でまとめていくなら、「あそこはボルボでまとめている」とイメージされますよね。 そうなると郡山営業所が、「あそこに行けばボルボに乗れる」と思われます。あとはディーラーの問題です。やはりボルボはUDが見てくれるじゃないですか。UDさんなら会津若松インター降りたところにアピオ営業所があるんですが、ほんの3歩歩いた隣にあるんですよ(笑)。UDさんが近くにあれば、細かなメンテナンスもできるし急なトラブルでもディーラーが対応してくれます。

___なるほど。

今井:スカニアは外車として一番最初に入れたんですが、ディーラーがあまりにも付近になさすぎてずっと不安でした。たまたま故障は一切なかったんですけどね。モデルチェンジしちゃったし、私はどうしても現行より前の型の方が好きでした。ちなみに弊社にあるスカニアは意外と高齢車でもう100万キロを超えているんですよね。

___すごい。やっぱり長距離を走られているんですね。やはり岩手と関東の往復でしょうか。

今井:そうです。

アルフレッド:ピストン輸送でずっと走らせている感じですか。

今井: そうです。ずっと走りっぱなしです。それで今回は初めてボルボをヨシノさんにお願いしました。

同じデザインで色違いはどうだろう?

___それもマロニエ流通さんと同時に2台ですか。仲が良いですね(笑)。

今井:購入の理由としては、当時国産のヘッドが半導体の問題で手に入りにくかったんですよ。もともとはそれが原因で「ボルボなら入るんじゃないか」となったんですよね。そこでボルボへ発想を変えて「買おう」となりました。買うにあたって亡くなった父(会長)が「40周年で記念車を造りたい」と言いました。そこから始まったんです。昨年の10月26日で我々は 40周年だったんです。それに間に合わせるような形で造ろう、と。デザインに当たっては半年ぐらいで考えました。急ピッチで考えていたところ、大武さんに「40周年で車造るけど一緒にどう?」って聞いてみたんですよ。

___いやー。つくづく仲が良いですね。

今井: マロニエさんのカラーに同じデザインで、色違いはどうだろうと思ったんですよね。今のマロニエさんのカラーは白ベースなんですが、昔のカラーリングを取り入れてもっと派手に行こう、と言いました。マロニエさんは弊社より創業が長いんですよ。そんな話をしたら「せっかく記念車を造るんだったら話に混ざろうかな」と言ってくれたんですね。

___その時、大武さんはどう思われましたか。

大武:まずボルボはUDさんでメンテナンスを見てくれるということが何よりの安心材料でしたね。弊社のメインは日野自動車なんですけど、日野自動車でスカニアを販売した時は超不作で「お願いですから返してください」というようなトラックでした。

___それはどういうことでしょう。

中西:つまりあの当時のスカニアはボルボ以上に壊れやすかったんです。日野さんは提携して販売していたのですが、もう面倒見きれないというぐらいトラブルが頻発したんですよ。それで買い取るので返してくださいというところまでいったんですよね。それも高く買い取るから「戻してくれ」と。三菱ふそうさんがアクトロスをやめた時と一緒ですよ。とにかく回収していましたね。

大武:乗りたかったんですよ、スカニア(笑)。でも本当にお願いだからやめてくれ、という感じだったので、「我々は外車には縁がないんだな」と思っていました。そんなところで、今井社長から誘われたので、「お願いしてみようかな」と。冷蔵庫をつけるとか、スライドカプラーをつけるとか、自動チェーンをつけるのかどうか、とか。生意気を言って申し訳ないんですが、福島は必要かも知れないけれど我々の方は雪が降らないんですよね(笑)。

___那須の方は降らないんですか。

大武:山の方はひどいですよ。でも我々としては、雪が降ったらトレーラーは止めればいいと考えています。会津通商さんの荷物は止められませんよ(笑)。でも通行止めになったら何時間も足止めを食らっちゃうんです。それを考えたら、もうどこかで止まって「待機していた方がいい」と思うんですよね。

飾れる会社とそうではない会社

___事故を起こすぐらいなら、ということですよね。

大武:そうですね。それで最後に見積もりが来たんですが「うわー」と思っちゃいましたね(笑)。

今井:思った以上に値段が張っていたんですよね(笑)。 どうしても国産感覚というのが抜けないし、1つ1つのフォグランプにしても1個あたりの単価がものすごく高い。

アルフレッド:全部、一番いいパーツを使っていますからね(笑)。

___ユーロスタイルはかけようと思えば、いくらでもお金がかけられますからね。

アルフレッド: 同じフォグランプでもね。

中西:ブランドによって値段に差が出ちゃいますからね。

___確かにそうですよね。会津通商さんもマロニエ流通さんもドライバーが飾りたいと言ったら、どの程度まで可能だったのでしょうか。

今井:メッキとマーカーランプだったり、ぐらいですかね。ドライバーさんはみんなデコトラから始まってますからね(笑)。昔はスチールホイールだったでしょう。アルミホイールは雲の上の存在でした。でも周りがアルミホイールをつけ始まったので、やはりドライバーの心をつかむためには外見はとても大事です。スチールホイールを一生懸命、シルバーに塗ったところで「ちょっとね…」と思うじゃないですか(笑)。そのうち塗りがはみ出してタイヤと一体化してくるじゃないですか。それは汚い。

___爆笑。

今井:それならアルミホイールにしたらいいんじゃない?となって会社内でも当たり前として定着していきました。ただうちの会長は「そんなことをしたところで運賃が変わるわけではない」と言って反対していたんですよ。でも私は「ドライバーが集まらないんだから車をネタにするしかないんだ」と言い続けました。それもそれっぽくドレスアップしないと人は来ないよ、と。

___昔は飾れる会社と飾れない会社ってはっきりしていて、飾れる会社なら行くっていうドライバーもすごく多かったですからね。

今井:はい。それで 弊社は平成19年にふそうスーパーグレートを17台近く買ったんですよ。写真に残っている通り、メッキになってないんです。これだとノーマルで乗ってる路線の会社っぽいですよね(笑)。それもハイルーフでさえないんですよ。当時の購入担当者はハイルーフにする理由もわからない。ちょうどその頃に、僕がこの会社に戻ってきたんです。 「何でハイルーフにしなかったんだ」と言いました。ここから徐々にハイルーフを入れるようにして、現在はほぼ全車ハイルーフです。やっぱり「ハイルーフに乗りたいな」というドライバーは多いんですよ。それはそれでドライバー同士でそういう話は伝わるんですよね。 最近、一番衝撃的だったのは、ハイルーフで学校の先生が来たんですよ。

当時のスーパーグレート。

教員からトラックドライバーになる夢をかなえる

___ええ!? 本当ですか。

今井:はい。これはびっくりしましたね。「乗りたい」と言うんですよ。それまでも、うちの会社をずっと見ていてくれたらしいんですよ。その先生は10年近く、この会社を見ていた、と。弊社にあるハイルーフの台数も知っていて「1台以外は全部ハイルーフですね」って言い当てたんです(笑)。

___一同、絶句。

今井:その人はなぜハイルーフを知っているかと言うと、趣味でキャンピングカーに乗ってるんですね。キャンピングカー方面でもハイルーフがあるんでしょうね。

___その方は会津通商さんに入社されたんですか。

今井:はい。現在でも働いてますよ。もう2年ぐらいでしょうか。学校やめるのに半年以上かかるんですよ。

中西:そうですよね。クラスを持っていたりすれば生徒に混乱が生じちゃいますものね。

今井: 半年前に面接に来て「来年の5月からお願いします」とか言うんですよ。それで今から面接なの「長くない?」って思っちゃいましたね。我々としてもせっかく教員免許を持ってるのに「もったいないんじゃない?」って訊きました。トラックが好きだし、キャンプも好きだから「日本全国行きたい」と。今でもドライブ気分で全国を走っているみたいですよ。

___夢がある、いい話ですね。

今井:車に寝るのも好きだから、もう家に帰るのもめんどくさいと言うんですよ(笑)。会社にキャンピングカーを乗ってきたこともありますね。そこは地元でも有名な先生一家なんですよ。私も知ってますから「大丈夫なの?」って訊いたんですよ。お嫁さんの方も先生一家なので、教員をやめさせていいものか考えてしまいましたね。

アルフレッド:その方はおいくつぐらいなんですか。

今井:確か 48歳ぐらいだったかな。

アルフレッド:それはなかなか大きな決断ですね。ずっとこの時を待っていたんでしょうね。

今井:「トラックは何か?」という話まで生徒にしていたらしいですよ。長距離トラックは「こうだ」という理想を子供たちに伝えていたんでしょう(笑)。

___一同爆笑。最高ですね。理想的なトラッカー教育が始まっていたんですね。

アルフレッド:是非、講演でもやってほしいですね。

今井:一応「車検に通るドレスアップはいいよ」と言ってるんですが、 毎回見るたびに本格的になっていくんです(笑)。訊いてみたら月5000円と決めているそうです。1万円のパーツであれば 2ヶ月後に買って、それを自分でつける。

アルフレッド:絶対楽しいでしょうね。

今井:だからトラックも少しずつ変わっていってるんですよ。自分でも言ってるんですよ。「昔、やりたかったことを今やっているんだ」と。

飾るのをOKにすると事故が減った

___すごく分かりますね。

今井:我々はもともとメッキがNGの会社でした。それがメッキをつけ始めたら、ドライバーが目覚めました。トラックを洗う習慣が根づいたんですよね。私としては寝る時間がなくなるから「やめな」と言いたいのですが、逆に事故は少なくなったんですよね。それ以前は多くて大変だったんですよ。こすったとか軽微な事故はあるものの、大きな事故は本当になくなりました。やはり車を大事にしてもらえるようになるんですよね。

___昨年、奥伊吹のトラックショーで優勝したスカニアはユーロスタイルですよね。 昔からそうだったのでしょうか。

今井:もともとはノーマルだったんです。

中西:そうだったんですか。スカニアはある程度のカスタムパーツは最初からついていますね。

今井:そうです。最小限のサイドバンパーとかそんなところだったんですよね。色も当初のカラーリングとは違うんですよ。カラーリングを残して、その上からステッカーを貼っているのでよく見たら前のラインが残っているんです。わざと消さないで残してあるんです。その名残りをあえて残したかったんですよね。そういう意味ではあのスカニアはお色直しを2回、やっているんです(笑)。じゃあスカニアを「ユーロスタイルにしていこう」と思って、YouTubeなんかを見ているとフォグランプとかがついてるから「つけた方がいいよね 」と付けていったら、現在のスタイルになりました。

___ちなみにそのユーロスタイルのカスタムは、客先の反応はどうだったでしょうか。

今井:受けは良かったですよ。逆に注目されて「何を運んでいるの?」と訊かれた時に荷主の名前を言われるのが嬉しいと言っていただけました。

___それは願ったりかなったりですね。マロニエ流通さんのお客さんはどうでしょう。

大武:弊社は特に問題になることはないですね。

あえてボルボは全国を走らせる

___トレーラーが入るお客さんの業種を教えてください。

大武:那須の酪農に関わる牧草や、紙、巻き取り製品やダンボール等を運んでいます。トレーラーはそういった荷物ですね。基本的にお客さんに飾りを注意されるようなことはないですね。農協さんから倉庫まで全部委託を受けているので、そこに来る農家のお客さんが「派手だな」というぐらいですね。みんな軽トラで来ますんでね(笑)。紙屋さんもさすがにデコトラはアウトです。煙突は車検OKなので大丈夫なんですが、前出しバンパーはダメですね。そこは怒られない程度にほどほどに。

___紙だと搬入先は有名な富士市などですか。

大武:富士にも古紙の搬入などで行きますね。主に場所は福島県や茨城県、新潟県などです。あとは不埒な考えなのですが会津通商さんと造ったボルボはわざと人目のつくところを走らせています(笑)。あえてなんですが、あのボルボに乗ってるドライバーだけは日本全国を走っています。主にコンサートの機材運搬の仕事などです。北海道の札幌ドームから福岡のペイペイドームまで。その仕事がない時は巻き取り紙を運んだり、牛の餌を運んだりですね。

___インスタグラム(@maro194964)とかにも写真をあげられているんですね。

大武: そうですね。でもあんまり良くないんですよね。場所を特定しちゃうと何月何日にどこどこ走っていると「労働時間大丈夫なの?」と労働基準監督署に突っ込まれかねないですから。インスタは監督署も見ているみたいですよ。でもまぁ機材運搬は1週間はホテル住まいなので現地で降ろしたら1週間は車を動かせないんですね。誰のコンサートの機材を運んでるとは一切言いませんが、日本全国を走っているイメージですね。

ボルボに乗るとドライバーが帰ってこない!?

___そんなボルボですが、皆さん使ってみての感想を教えてください。

今井:ドライバーはまだ1人しか乗せていないんです。スカニアからボルボに乗り換えてもらいました。彼が一番きれいに乗ってくれるんですよね。もうマニアレベルで洗車するので (笑)。そのドライバーいわく、乗り心地はスカニアより良い。スカニアに乗ってボルボに乗ると何が違うかというと、室内空間の広さはスカニアには負けちゃうんです。

___そうなんですね。

今井:グレードがトップラインなので中が特別広いんですよね。でも乗り心地は良い。どんな風に良いの?と訊くと、ほぼ音が聞こえないと言います。外の音が聞こえない。静かなのは軽自動車と高級車の違いみたいなものでしょう。トラックに乗っているのですが、トラックに乗っている感覚がないと言っていますね。それがひとつと、ベッドが違うらしいんですね。寝心地が良くて、家で寝てるよりボルボで寝てる方が楽だ、と言っていますよ。

中西:確かにベッドマットは高級なんですよね。

今井:こだわっていますよね。

大武:ボルボに乗せると「ドライバーが帰ってこない」と言われてますよ(笑)。よその会社ですけどね。「もうここで寝た方がいい」となっちゃうんですね。

今井:そうなんです。今朝、帰ってきたドライバーも夜中2時にドッキングなんで、家に朝の1時ぐらいまではいれるにもかかわらず、もう夜の7時半ぐらいに会社に来ちゃうんです。それでヘッドの中で寝ちゃうんですね。別に構わないし、パーキングクーラーもついてるからエンジンもかけないし、家で寝ているよりこっちの方が「寝心地がいい」と言ってるんですよね。

___(笑)

ディーラーが全国にあるという安心

今井:それとハンドルがめちゃくちゃ軽い。スカニアが重すぎたんですけど、ユーロミラーもスカニアに乗っていたのであまり気にならないそうです。あのユーロミラーって最初はちょっと戸惑うんですよね。幅がわからないから、首都高の入り口とか緊張するんですよ。とにかく乗り心地と、寝心地が最高らしいです。性能に関してはちょっと私の方がよく分からないのですが、「まあ良いってことでしょ」と流していますよ(笑)。

中西:スカニアはオートライトがついてなかったでしたっけ。

アルフレッド:今のモデルはついてるんじゃないでしょうか。たまにスカニアも架装するんですよ。納車する時はスムーズに走っていくんですね。でも1ヶ月ぐらい経って検査で戻ってくると、「こうも変わるか」というぐらい変速ショックが大きくなっているんですよね。

___そうなんですね。

アルフレッド:ミッションのつなぎとか、そのお客さんに合わせて馴じんできているのかもしれませんけれどね。やっぱり「変速ショックがもう大きくなるんだ」と驚いたんですよね。ボルボは変速ショックを感じさせずスムーズに走れるんですが、ボルボだと20万キロを超えたあたりで出てくるような癖が、スカニアは結構早いタイミングで出てくるってイメージなんですよね。バックだと特に分かりますよ。個人的にはスカニア大好きなんですけどね。

大武:ボルボは日頃のメンテナンスがUDでも見てもらえるのは本当に大きいですよね。やっぱり安心して乗れます。弊社も入社3年以上のドライバーで、その一人にしか乗せてません。その前から私と一緒に日本全国を走ってくれていたドライバーなので全国向け専属という感じですね。それまでは日野ばかりだったんですが、ボルボは国産とは比べ物にはならないですね。やっぱりいいですよ。おっしゃった通り、静かでハンドルも軽いですし、もともとクオンに乗っていれば近いものは感じられるんでしょうけど、それでも違いますからね。

50万キロを過ぎるとインジェクターが不具合を出しがち問題

___なるほど。

大武:私の懸念としては、弊社のクオンは50万キロ過ぎたあたりからインジェクターが壊れるので「このボルボはどこまで持つのかな」という心配です。同じエンジンだからやはり「同じ問題が起きるのではないか」と心配しているんです。セルを回してエンジンがかかるタイミングが、1秒までは行かないんだけど「ちょっと長いな」と感じると不安になるんですよね。

アルフレッド:そのお見立ては間違いないです。現行のボルボはコモンレールタイプに変わったんです。だからインジェクターが逝っちゃうというのは、そうそうないんですが、ひとつ前のエンジンはインジェクターがいかれちゃう故障はよくある故障なんですよ。

___確かにアルフレッドさんは50万キロ以降のオーバーホールを薦めてましたよね。

アルフレッド:そうなんです。目安としては長回しが危ない。燃圧がかからないからエンジンがかかりにくいんです。その長回しが不安になってくるのは大武さんが経験されていらっしゃるからでしょうね。

大武:長回し自体が悪いわけではないんでしょうけど、不安になりますよね。クオンはインジェクターの修理で相当に出費させられているんです。やっぱり前のモデルのエンジンなのでね。我々もボルボのメンテナンスプログラムには入っていますね。

アルフレッド:ボルボの保証は3年です。メンテナンスが5年です。現行のボルボのインジェクションが壊れたという話は1、2回しか聞いたことがないですね。

整備は時間に余裕をもって予防整備を欠かさない

___そのインジェクションの問題は、予防整備は難しいのでしょうか。どうしても症状がでたら交換になってしまうのでしょうか。

アルフレッド:予防整備をするのであればバルブクリアランスの調整ですね。その調整を車検の時にして、付近のボルトなんかが緩んでる可能性もあるので規定のトルクで増し締めします。インジェクションの不具合というのは、その微妙なずれから発生するので、振動によってどうしても付近に空間ができてしまって燃圧が下がるので、バルブクリアランスの調整と増し締めでだいぶ改善されるはずなんです。

大武: 機械的に壊れるならまだしも、100円ぐらいのゴムパッキンがダメになってそこを見抜けないで100万円の修理代を請求されるのは勘弁です。まずその100円のゴムパッキンを変えてくれ、と。だから弊社は急がせて修理はお願いしないんです。基本的にどこも故障すると「夕方までにあげてくれ」とか急がせますよね。でも弊社はしっかり納得するまでやっていただくようにお願いしています。その意味では、安心して乗れているんですけどね。 やっぱりディーラーとのコミュニケーションをしっかり取りたいんです。予備車もあるので。

アルフレッド:昼に電話がかかってきて、夕方までに何とかしてと言われても、その時間が取れない。そのお客さん的には最初に車を持ってきたのが1回目、次に部品を交換するのが2回目、さらにその部品以外に交換箇所があったらそれで3回目。少ない時間しかもらえてないからちゃんと見れない。それで「再々々修理じゃないか」と言われちゃうんですけど、「ちゃんと時間をくれないからですよ」と伝えます。マロニエさんのように「時間をあげるからしっかりやってくれ」と言われたら本当に楽なんですけどね。

___結果、そっちの方がトータルコストは低かったりしますよね。トラックは仕事に使うものなので故障は手痛い。そう考えると走行距離や状態で予想して、手を打っていく予防整備がすごく大事なような気がしますね。壊れてからでは遅い。

アルフレッド:ボルボってほぼ半永久的に使えるパーツが多くて、まずグリースを挿すところがありません。ハブベアリングもプロペラシャフトのジョイントもグリースが入らないから、とにかく壊れたらおしまいです。壊れたらそのもの自体を交換しなければならない。予防整備は特に大事になってくるんです。ハブベアリングだったら何10万キロかに1回は交換しましょうとか、そういうスケジュールがあるんです。焼き付いたらおしまいなので。

___なるほど。

アルフレッド:国産のいいところでもあるんですけど、がっちり毎回ベアリングを整備できますよ。それでも外れる時は外れますから。どっちがいいかですね。いさぎよく非分解にして触れない、その代わりほとんど壊れることはない。逆に車検の時とか、ベアリングを外してみるけどそのミスで外れる可能性はある。どっちがいいかですね。整備士として言わせてもらうと「外さない方がいい」と思うんですね。

実際のところ、ボルボ、スカニアの燃費とは!?

大武:今のところ不具合はないよね。

今井:大きいのはないんですが、オートライトがちゃんと作動しないから手動に切り替えたって言っていましたね。それとボルボは燃費もいいですよね。弊社の路線はほとんど高速なので、オートクルーズにすると燃費がいいんです。フットクルーズは逆に燃費が悪いですね。弊社で試してみたのですが、フットクルーズで頑張って時速90kmを目指しながら走るのと、コンピューターで時速90kmで走るのではオートクルーズの方が全然燃費はいいですよね。

アルフレッド:ちなみにリッターあたり、どれぐらい走るのでしょうか。

今井:スタッドレスでなければスカニアで6~7kmぐらいです。ボルボもほぼ変わらないと言ってましたね。

アルフレッド:スカニアも燃費はいいと聞きますね。やっぱり積む荷物によって違うんですよね。お客さんによって燃費の良し悪しは変わってくる、と聞きます。

今井:やっぱり重機系の会社とかは落ちますから、ほぼ我々のトレーラーは空車と言ったら語弊があるんですが、路線の荷物は重量がない。路線以外のトレーラーはいろんなものを牽くので燃費は悪くなりますね。高速で安定した走行であれば燃費はいいんだろうけど、中身が変わると燃費も変わるので「だいたいこれぐらいです」とは言えないですよね。

中西:どうしてもメーカーは絶対言いませんね。ボルボですらも表向きは言いません。荷物によっても違いますし、高速なのか、市街地なのかでも違いますし、ストップ&ゴーが多いか少ないかによって違いますし、実際にお客さんに聞いてもそうです。40フィートの海コンを牽いて岡山まで行ってリッター6~7kmという話も聞けば、地場を走ってると、かろうじて3kmは行くけど4kmはいかない……というような。

___ありがちな数字ですね。

中西:その辺の3から3.5kmなんていう数字になってくると、もう国産と変わらない。ボルボの優位性が言えなくなっちゃうんです。中長距離の基準内の積載量の荷物だと、急に良くなる。スカニアもそうですけどね。本当はメーカーもボルボの燃費の良さを言いたいんだけど、言えないんですよ(笑)。

アルフレッド:ヘッドの燃費を言っても意味ないですからね。

今井:そう。絶対いいに決まってるから(笑)。国産でやったことありますけどヘッドだけならリッター10kmは走りますもんね。一般道はどうしてもストップ&ゴーがあるから、燃費が悪くなっちゃう。高速はそれがないから絶対に伸びるんですよね。それと馬力がないトラックは燃費も悪いんですよ。弊社は途中から馬力は 400以上450馬力ぐらいまで上げてきてるので、380だと燃費が悪いんですよ。これ何でわかったかというと本当にたまたまなんです。

高馬力なら燃費が良くて到着時間が早い理由とは

___それはどういうことでしょう?

今井:ディーラーが間違ったんです。380馬力で頼んだ車両が450馬力で来ちゃったんです。

___一同 爆笑。

今井: 外見だけだと分からないじゃないですか。岩手に配属される車両だったんですが、「何でこの車だけ燃費が違うの?」と燃費の良さが際立っていました。450馬力は値段も高いはずなのに、ディーラーは 380馬力の値段で販売しちゃったんです。それで疑問におもい調べたら、馬力が違っていた。そこから弊社は全部、高馬力仕様に変えたんですよ。

___面白い話ですね。やはり高馬力はメリットですね。

大武:日野自動車って馬力表記をしないんですよね。だからディーラーに電話して「このトラックは何馬力?」って訊くんですよ。他はエンジンにあったり、車体に書いてあったりするんですけどね。

今井:馬力が違うと新しい車なのに坂で古い車に抜かれたりするんですよ(笑)。東北自動車道の村田ジャンクションとか、ああいう長い坂だとわかるんですよね。「やっぱり馬力が違ってた」という。ドライバー同士で「お前、1速落としてるのか?」とか言いあいながら。さらに馬力で違いが出るのが、到着時間が変わってくるんですよね。

___ああ!確かにそうですね。なるほど。

今井:例えば東大阪をよ〜いドンでスタートすると、馬力の差で到着に40分ぐらい差が出ますね。結局、馬力のないトラックは上り坂で踏ん張れないので、どんどん置いていかれるんですよね。

___うーん。やっぱり馬力は大事ですね。

大武: 同じ年式の460馬力のボルボとクオンを走らせても、ボルボの方が先にグワッと登っていっちゃうんですよね。我々は定量の重量なので同じトン数で走っていくと、必ずボルボが先に行っちゃいます。こっちは日野の450馬力で走ってるにもかかわらず、ボルボに抜かれてクオンにも抜かれていきます。「おいおい。そんなに馬力違ってないだろ」と毎回思ってますよ。やっぱり到着時間が変わっちゃうんですよ。「遅いよ」って言われて、「ゆっくり走るのが好きなんだよ」って言いながら右足は全開のべた踏みだったという(笑)。何が違うんでしょうね。

I-shift、そしてデュアルクラッチというボルボ至高のトランスミッション

___日野はプロシフトですか?

大武:そうですね。

中西:そこかもしれませんね。 燃焼効率だけじゃない、ミッションとの組み合わせやシフトタイミングとか大きいですよね。

___シフトの差ですね。その点からいったら、やっぱりボルボのI-shift(アイシフト)は最高ですもんね。

アルフレッド:I-shiftは最高です。

中西:3年前から出ているクオンのシフトもI-shiftです。エスコットという表記ですけど、中身は完全にI-shiftです。特に去年、今年ぐらいのクオンは完全に中身はボルボです。

___I-shiftは変速の時間が非常に速いから、坂道でもトルクが切れないんですよね。 要は登っていてもタレがないですよね。

中西:もともとI-shiftは上りの速さが売りだったんですよ。坂で他社のトレーラーと比較すると一目瞭然です。どんどん引き離していきますからね。

___さらに言うとデュアルクラッチという、さらに速いミッションがありますからね。

アルフレッド:デュアルクラッチは反則ですよね。卑怯です(笑)。ほとんど無段階変速のように走りますからね。3速に入っていたら、すでに4速にも入っていて変速タイミングであっという間につないじゃうんです。もはやクラッチが2個ついてるような仕組みなんですよね。デュアルクラッチの540馬力だったら、もうほんと世界最高のトラクタだと思います。ただ個人的にはI-shiftで十分だと思っています。

___たしかにそうですね。

アルフレッド:現行のI-shiftは十分に速いし、デュアルクラッチはモノはいいんですが整備費がめちゃくちゃ高いんですよ。クラッチ摩耗したらユニットだけで100万円はしますからね。だから本当に距離を走らない社長号とかだったら最適でしょうね。今でこそおすすめできますが、 最初の頃は初期不良も出ていましたから。

___デュアルクラッチってI-shiftより300万ぐらい高いんでしたっけ?

アルフレッド:そこまで高くはないですよ。

中西:高馬力とセットになっていたから、高く感じるんですよね。 2013年から460馬力でもデュアルクラッチを選べるようになったんですが、去年までは高馬力モデルしかなかったから高く感じる。

アルフレッド:デュアルクラッチはもう本当に全然違いますからね。

大武:そこまで言うなら乗ってみたいな。

中西:今度、試乗会にお誘いします(笑)。

アルフレッド:I-shiftですら変速ショックはとても滑らかです。距離を走って変速ショックが大きくなってくれば、パソコンで調整してつなぐタイミングを変えれば、初期状態のように戻してくれます。もう僕からしたらI-shiftで本当に十分なんです。デュアルクラッチは贅沢品ですよ。現在だとラグジュアリー仕様の標準仕様なのでやっぱり高馬力に向いていますね。

オススメはスタンダード+自分でカスタム

今井:その辺のクラスになるとやっぱり重トレとかの方がお似合いなんでしょうね。我々は多分いらないね。

大武:そうなの?

中西:正直、本国でもシングルのトラクタにはあまり使われてないみたいですね。向こうだと4軸のヘッドとかもあるんですね。リフトアクセル付きで。そもそもスウェーデンだとGDW(車両総重量)が70トンとかなんですよ。日本は36トンまでですけど。

今井:そうですか。我々はいらないよ。全然いらないよ(笑)。

大武:そうかな。

アルフレッド:僕のおすすめは全部、スタンダードモデルにするでしょ。ラグジュアリーになると何かと全部、スイッチ操作なんですよ。あれは手動で動くようにしておいた方がいいと思います。革張りのステアリングなんかは、もう絶対に自分でやった方が楽しいですよ。ラグジュアリーのプラス100万円は、自分たちでカスタムする方が絶対に面白い車になります。

大武:そうか。好きな色も選べるし、その方が楽しそうだね。

中西:ハンドルやシートを革張りに変えるのだって100万円はしませんからね。確かにそうかな。

大武: そうだね。じゃあ次はそうしてください(笑)。

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