株式会社ヨシノ自動車

新型 日野レンジャー

ハロー!ニュートラック!

最速!新型レンジャー試乗レポート

最速!新型レンジャー試乗レポート

このコーナーではヨシノ自動車が今後販売する、気になる商用トラックのニューモデルを試乗し、最速リポートします。第1回では16年ぶりとなるモデルチェンジを行った日野レンジャーです。グレードは210馬力。プロシフト仕様のウイング車です。日野が210馬力を主力と位置づけるのはなぜでしょうか? その理由は“乗れば”分かりました。

文・構成:青木雄介

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印象に残るフロントマスク。秘密は…

新型 日野レンジャー

まず外見ですが、一目見て新型と分かるたたずまい。基本としてバンパー内蔵型のヘッドライトに、真ん中に日野のロゴが入っているのは最終型と同じです。大きく違うのは最終型では主張の強かったウインカーがヘッドライトに内蔵され、そのぶんヘッドライトが大型化されている点です。さらにフロントグリル形状をプロフィアと共通化し、中央のロゴの存在感を高めています。中央のロゴと左右のヘッドライトが3角形をなすようにデザインされているため、安定感のある落ち着いた印象を与えています。

常時点灯で効いてる! シグニチャーランプ。

新型 日野レンジャー

さらに他の中型車と一線を画すのが、ヘッドライトに内蔵された常時点灯しているLEDによるシグニチャーランプ(オプション)。必ずしも必要なものではありませんが、乗用車での流行をいち早く取り入れていて、かなり格好いいです。この点は他社の中型車と比較した場合、大きなアドバンテージになるでしょう。

新しいシートは日野の哲学を感じるところ!?

新型 日野レンジャー

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乗りこむとシートのクッション圧は最終型とほぼ同じか、心もち柔らかめ。デザインは最終型に較べるとその差異は歴然としていますが、座るとそれほどの違いは感じません。評判の良かった座り心地はそのままに、良いところはちゃんと継承されている印象です。

これ大事。気分があがるカーボン調!

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コクピットはカーボン調素材の主張が強く、それでいて各スイッチ類もそれぞれ質感を変えているので高級感が増しています。またメーターパネルが一新されて、中央に液晶のインフォメーションパネルが配置されたため、ハイテク感が大幅に上がっています。さらにシフトノブを完全に廃止したダイヤル式のシフトチェンジャーが、このハイテク感の大きな理由になっています。

疑問が残るダイヤル式のシフトチェンジャー

新型 日野レンジャー

パーキングポジションはなく、ドライブとリバースにそれぞれスローギアがあるだけ。搭載されているプロシフトはトルクコンバーター式ではないので、乗用車のオートマのようにクリーピングで微速発進しません。それを補ったり、ホームづけするのに使用する特別なギアなのですが、いちいちスローギアにダイヤルを回すのかは疑問が残るところ。イメージはおそらく、スリーペダルのオートマチックでホームづけする際の半クラッチ状態だとは思いますが、それにつけてもせめてスローギアだけでもダイヤル以外の選択肢はなかったのか、少々残念な点ではあります。

驚きの低振動! 音の大きさはそこそこ。

新型 日野レンジャー

エンジンをかけましょう。6.4リッターから5.1リッターまで、ダウンサイズされたエンジンですが音の大きさは最終型とほとんど変わらない印象です。けれども圧倒的に低振動になっていて、アイドリングでも車体が震えるディーゼル・バイブレーションは非常に低く抑えられています。これは長距離はもちろんですが、毎日の運行においても、疲労軽減に一番有効なのではないかと思います。長距離運行で毎晩トラックのベッドで寝ると考えた時、エンジンを切って寝る方がよく寝れるのは常識です。疲労を日々の蓄積と考えた時、この低振動は非常に重要だと思います。

主力は210馬力のプロシフト仕様。

新型 日野レンジャー

走りだすと、プロシフトの一段一段しっかりシフトアップしていく仕様は今まで通り。日野は新型レンジャーを210馬力でプロシフト仕様を主力としていくようです。まず第一の理由は、210馬力までの低馬力仕様は尿素を必要としない尿素フリーなのです。さらに馬力を落としてでも新型のA05型エンジンとプロシフトで現状、中型車NO.1の低燃費をうたう、いすゞのレンジャーに対向したい狙いがあると思われます。実際にトラックの燃費は空荷ではなく、積載燃費で測られるべき実効的な数値です。加えて各社燃費を公開したがらないので実数値で検証は出来ませんが、総合的に考えて日野はライバルと比較して「210馬力のプロシフトが一番アドバンテージがある」と考えているようです。

その理由は、シーケンシャルレバーの出来の良さ!

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では210馬力は物足りないのではないか? この疑問の答えは今回のプロシフトの大きな話題になっているハンドル左下についたシーケンシャルレバーと言えるでしょう。これがなかなかの使い勝手の良さなのです。発表会の時点では、「なぜこんなところに?」と疑問だらけだったレバーの位置ですが、実際に運転してみると「ちょっと力が足りないな」とか、「空荷なので引っ張らずにいこう」という際のシフトチェンジが、ハンドルに手を置いた状態での運転の流れの中で自然にできます。実際、210馬力は荷物を満載にすると物足りない数値にはなります。そこをシーケンシャルレバーでドライバーに自在にコントロールして欲しいということなのでしょう。オートマではなく、マニュアルでレバーを使っての操作感も上々。肝は、ハンドルに近い位置ですべて操作が完結できるところにあると言えるでしょう。

話題の安全装備、その使い心地は!?

新型 日野レンジャー

新型レンジャーではミリ派レーダーと画像センサーを使用した安全装備が充実しています。停止車両や歩行者を検知し、減速し被害軽減をするだけでなく完全停止までもっていきます。車線逸脱警報やふらつき警報といった初めて中型車に取り入れられる安全機能のひとつに、車間距離を自動制御するスキャニングクルーズⅡがあり、これは非常に楽しみにしていた機能なのですが、今回の試乗車両にはついていませんでした。

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長距離輸送での疲労軽減にこれほど有用な機能もないと思うのですが、この点はまた別の機会に。「ドライバーが頼ってしまい事故を起こしがち」とオートクルーズには否定的な経営者の方にも、自動ブレーキ付きの前車追従機能であるスキャニングクルーズⅡなら安心して使用を推奨できるのではないでしょうか。

新型レンジャー試乗のまとめ

新型 日野レンジャー

エクステリア、インテリアとも新時代を感じさせるデザインは申し分なし。プロシフト仕様にするメリットはダイヤル式のシフトチェンジジャーも、キャビン内のウォークスルーもそもそもプロシフト前提でデザインされているので、今後のトラックのオートマチック化をいっそう加速させると思われます。明らかなライバルとの差は、長距離運行における快適性の違いです。この試乗車では試せませんでしたが、ハイルーフはもはや別格の空間の広さであり、高速道路での運行では自動追従機能も重宝します。ここに今回、レポートした素晴らしい低振動性が加わるので、価格を別として選ばない理由を見つける方が難しいでしょう。一方、210馬力は尿素フリーを別にすれば、ちょっと物足りなさを感じるところ。シフトダウンを多用することで、逆に燃費が悪くなる可能性もあり、扱う荷種次第といったところでしょうか。

新型 日野レンジャー※パネル、スイッチ、カーボン調と素材感を変えるこだわりぶり。

新型 日野レンジャー※インパネはウォークスルーとあいまってスッキリした印象。センタートレーも重宝しそうだ。

新型 日野レンジャー※スピーカーもさりげなくカフェ調で行きとどいたデザインを意識させる。

新型 日野レンジャー※トランテックス製のウイングは軽量で積載も最大までとれる。

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鍵人訪問記 日野製品開発部
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