株式会社ヨシノ自動車

新型プロフィア トラクターヘッド

ハロー!ニュートラック!

新型プロフィア トラクターヘッド 最速試乗レポート!

新型プロフィア トラクターヘッド 最速試乗レポート!

このコーナーではヨシノ自動車が今後販売する、気になる商用トラックのニューモデルを試乗し、最速リポートします。第4回では昨年、14年ぶりとなるフルモデルチェンジを行った日野プロフィアのトラクターです。グレードは450馬力。プロシフト仕様の4×2シングルです。新型プロフィアそれ自体は前回取材済みですので、今回はトラクターならではの機能と、いっそう使い勝手が向上したリニューアル部分をフォーカスしたいと思います。

文:青木雄介
写真:青木雄介、大島宏之

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新型プロフィア・トラクターはトレーラーを連結したいデザイン!?

新型プロフィア トラクターヘッド

まずエクステリアからいくと正面中心に日野のロゴがあり、両端にあるヘッドライトがそれを下支える構図はリジットと同じです。発売から1年が経ち、もうすでにおなじみの顔ではありますが、特徴ある大型のフロントグリルのアンダーラインまで下がっているヘッドライトの位置が、車体をより低く見せる効果があり、後ろにトレーラーを牽くことを想像すると、より迫力のある画が想像できます。その新幹線にも通じるデザイン効果は、新型プロフィアの大型リジットでも効果的でした。このデザインは全長の長い車体を牽いている姿と、絶妙なバランスをなします。

踊り場のパンチングメタルは賛否両論か!?

新型プロフィア トラクターヘッド

後ろにまわると、トレーラーに接続するジャンパーホースはスパイラルタイプを標準にしました。さらに、よりコンパクトにしています。踊り場のデッキ材はアルミのパンチングメタルに変更し、滑りにくくし足元の粘り率を高めています。さらに一枚あたりの貼り面積を増やし、軽量化と整備性を向上しています。ここは賛否両論あるところ。ボルボトラックもパンチングメタルの踊り場を使用していますが、アフターカスタムで縞板に張り替えるユーザーが多く、好き嫌いは分かれそうですね。

独自の仕様にしたい!? 架装性を高めたフレーム構造

新型プロフィア トラクターヘッド

スライド式カプラーでより幅広いトレーラー選択が可能になっているのは前モデルも同じです。ただしフレーム構造が大きく違います。フレーム上面の段差をなくしフラット化しつつ、多数のグリッドホールをうがつことで幅の広い架装性を持たせています。例えば燃料タンクの増設やバッテリー、エアタンクの位置変更がしやすくなっていて、購入後の仕様変更にも柔軟に対応できます。また錆止めの粉体塗装をより強力に行うことによって下回りの錆止め効果もパワーアップしているとのこと。海辺の海コン輸送で錆が懸念されるトラクターには有り難いですね。

トレーラーブレーキは、ハンドブレーキではなくスイッチひとつ

新型プロフィア トラクターヘッド

さぁ、乗りこんでみましょう。相変わらず新型プロフィアのハイルーフは抜群の快適性を誇っています。新型プロフィアを長距離で使うならハイルーフ一択にしたいところ。収納性の高さや立って着替えられる快適性は何者にも替えられません。キャビンに入ると、トレーラーのハンドブレーキがないことに気づかされます。新型でハンドブレーキは廃止され、スイッチひとつの作業用トレーラーブレーキになり、連結の確認もディスプレイに表示されます。トレーラー連結時のカプラー重量と左右バランスをモニタリングするセンサーはオプション装備になっています。海上コンテナ輸送では必須機能ですね。

キャブサスの改良効果とエアシートで快適な乗り心地

新型プロフィア トラクターヘッド

さっそく試乗してみます。試乗車両のエンジンは13リッターのE13Cです。静粛性は先代の最終型とほぼ同じか、心もちマイルドになった程度。同じエンジンですから当然といえば当然ですが、ギガやスーパーグレートといったライバルと比較しても気になるものではありません。他車を1段上から見下ろせる腰の高さの割に、改良されたキャブサスのおかげで、トラクター独特の揺れは抑えられていると感じました。トレーラーに20トン以上の積載があった場合、どの程度のしゃくりがあるかは未知数ですが、車体からの入力はエアシートの減衰力でかなり相殺されていたので、積載時の乗り心地も期待できそうです。

選ばない理由はないプロシフト

新型プロフィア トラクターヘッド

トレーラーを連結していないとプロシフトは5速で発進します。ノーマル、エコモード、パワーモードと試しましたが、いずれも5→7→9→11というように段飛ばしで快調に定速までもっていきます。エコモードは音も静かで、物足りなさも感じません。プロシフト12は乾燥単板ダイヤフラムスプリング式の自動変速付きAMTです。シングルクラッチですが、手動のマニュアルで操作するより素速く的確にシフトチェンジし、キックダウンにも素直に対応します。トラックにとって、シフトチェンジの早さは動力性能と燃費性能に大きな影響をもたらします。特に坂ではシフトチェンジの微妙な遅れが「垂れ」と呼ばれる失速を生むからです。積載重量が大きくなるトラクターでは、いまやプロシフトが有利と言えるでしょう。

最新の前車追従システムの実力は!?

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そして今回の試乗の大目玉である昨年よりさらに進化した前車追従システム、スキャニングクルーズIIIを試してきました。このハイグレード機能はプロシフトとE13Cエンジンにのみ与えられる機能で、35km/h~90km/hでの前車追従に加えて0km/h~35km/hの渋滞走行時にも対応します。そして停車から発進(アクセルまたはリジュームスイッチで行う)まで行ってくれるので、渋滞時は非常に重宝するでしょう。この改良変更は言うまでもなく新型スーパーグレートのプロミキシティ・コントロール・アシストへの追撃といえます。ただスーパーグレートは自動発進まで行うのに対し、プロフィアの発進はドライバーが行わなければいけません。

石橋をたたいて渡るような慎重さが純国産メーカーらしさか

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これは技術の差というより、渋滞時のドライバーの介入比率を高める目的で注意力散漫やシステムに依存させすぎないための仕掛けではないか、と感じました。新型は随時、ドライバーモニターで顔向きや目ぶたが閉じていないか検知されています、車線逸脱やふらつきがあると驚くほどの警報で警告されます。私見になりますが、日野は車線内走行を保持するステアリング介入が導入されるまでは、自動発進は導入しないだろうと予想しました。石橋をたたいて渡るがごとくの安全意識は、さすが純国産メーカーという感じです。

長距離輸送の未来はここにある!?

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またスキャニングクルーズは自動車専用道路(高速道路)でしか作動しなかったため、渋滞時の動作は検証できませんでしたが、高速道路上での定常走行では前車を認識し、追従走行することが確認できました。この機能の画期的な点は安全性を高め、長距離走行時にドライバーの右足を解放する疲労軽減の意味合いもありますが、一定のアクセル量でニュートラル走行を加えながら定速走行することで、驚くほどの低燃費を実現するところにあります。高速道路の使用率の高い企業にとってメリットがあり、さらには多くの運送会社に高速道路の使用を促す機能として社会的利益も高いと言えるでしょう。必ず効果は出るはずなので、今後の燃費の実証的なデータを期待したいところです。

新型プロフィア・トラクター 試乗のまとめ

新型プロフィア トラクターヘッド

新型プロフィア・トラクターは先代モデルより100万弱、定価が上がっています。E13Cの場合、エンジン特性は前モデルと同じなので、マニュアルモデルを選択すると運転感覚に大きな変化はないでしょう。メリットは新型プロフィアのデザインの良さとインテリアの快適性にあると言えますが、これは予想以上に大きい変化です。一方でプロシフトモデルを選択すると、スキャニングクルーズIIIが威力を発揮します。特に高速道路上での追従運転による快適性と燃費効率の高さは、「時代の変化」を明確にアピールしてくるでしょう。スローモードにクラッチで超低速でのホーム接岸を調整できる、プロシフトの3ペダルも好評のようです。1年前に発売された新型プロフィアの大型は、半分以上がマニュアルシフトとのこと。渋滞での追従性を発揮するスキャニングクルーズIIIによって、この購買比率が変わってくるのか、興味深いところです。一方で当分、大幅な値引きは期待できないのも事実です。まずは小口便など高速道路を利用した一般貨物用のトラクターとして普及、その後に海上コンテナ用のトラクターとして徐々に普及していくでしょう。償却の個人商店であれば、当分ヤードの視線をくぎ付けにすることは間違いなしですね。

新型プロフィア トラクターヘッド最小回転半径は前モデルと同じく5.4メートル。

新型プロフィア トラクターヘッドキャブロックは廃止されたものの、運転席側からフロントリッドを開け、さらにロックを外さないとキャブは上げられない。

新型プロフィア トラクターヘッドシンプルで飾り気のないE13Cエンジン。採用期間の長いエンジンなのでエンジニアにとっては勝手知ったるエンジンです。

新型プロフィア トラクターヘッド新型プロフィアはハイルーフにするとベッドなしのキャビンに見えます。スタックダクトが頂点に位置しているのも特徴的。ホコリや雪がつまりにくく、より冷却効果の高い空気を取り入れるためです。

新型プロフィア トラクターヘッドリアフェンダーは樹脂製の3分割方式を採用しました。取り外しが楽なのでチェーンの着脱はより容易になっています。

新型プロフィア トラクターヘッド車内にあるエアサスのリモコン。普段はマグネットでシート後方に定着されています。

新型プロフィア トラクターヘッドカタログにはないSYNCと書かれたシンクロモード・スイッチ。排気ブレーキとフットブレーキを連動させてより制動力を高めます。トレーラー連結時はトレーラーブレーキともシンクロします。その右側はスイッチだけになったトレーラーブレーキです。

新型プロフィア トラクターヘッドこちらは2デフのプロフィア・トラクター。新型となり重量物でも存在感を発揮できるでしょうか。

アマチュアの目線

ジャックナイフは大丈夫!?

走行時にドライバーがトレーラーブレーキを使用できないのが昨今のトラクター。新型プロフィアも例外ではありませんが、アクセル量とトレーラーへのブレーキ量を調整してジャックナイフを起こさせないようにするのが日野の車両安定制御システム、VSCです。降雨時や積雪時の下りカーブでは命綱ともいえる機能ですね。この機能と一蓮托生というのは日野の自信なのかと思いきや、トレーラーハンドブレーキは国によって廃止されていました(R13ブレーキ規制)。個人的にはレバー式の独立したトレーラーブレーキのニーズはまだまだ高いのではないかと感じましたし、古いシャーシに対応できるのか、など廃止を疑問視、困惑する声も上がっているようです。

日野プロフィア トラクター 取材協力:横浜日野自動車株式会社 相模原支店 TEL: 042-777-6150

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メーカーHP:日野 新型プロフィア・トラクター

新型プロフィア最速レポート

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鍵人訪問記 日野製品開発部
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