新型スーパーグレート・トラクター

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まる分かり! 新型スーパーグレート・トラクター試乗レポート

まる分かり! 新型スーパーグレート・トラクター試乗レポート

このコーナーではヨシノ自動車が今後販売する、気になる商用トラックのニューモデルを試乗し、詳細をリポートします。第6回は、三菱ふそう新型スーパーグレート・トラクターです。昨年の秋口に発売され、現在では実際に運行する姿も見かけるようになってきました。
今回試乗したのは上位モデル、プレミアムグレードの428馬力です。トラクターとなって新たに装備された機能もあり、リジットとはまた違った印象を受けることになりました。実際使用するドライバー視点で、じっくり新型スーパーグレート・トラクターをレポートします。

文:青木雄介
写真:青木雄介、大島宏之

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内装にはリアル・カーボンを使用

新型スーパーグレート・トラクター

今回の試乗車は上位ラインのプレミアムラインです。このパッケージではファンクションモニターが5インチに拡大されている他、スイッチ類はシルバーパーツに彩られ、本物のカーボンパネルが使用されています。
ミラーにはヒーターとワイパーも標準装備され、ベッドもより肉厚な仕様に変更されています。見どころはカーボンパネルのリアルな質感で、高級性がノーマルとは段違いに格上げされています。そもそもの新型スーパーグレートの直線的でシンプルな運転席のレイアウトと、リアル・カーボンの質感がマッチすることもあります。商用車の枠組みをこえたドライバーへのリスペクトが込められていて、感動すら覚えます。

トラクターにうってつけのラウンド感

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座ってみると、リジットのときには感じられなかった感覚があることに気づきます。シートの座面が高めに感じられ、左前方の死角が見通せるようなラウンド感です。トラクターの場合、ホーム付けの際は前進にしろ後進にしろ、リジットに較べてコントロールの幅がより大きく複雑になるため、死角の確保がより重要になります。
見えにくい場合、狭い構内のホーム付けなどではシート座面を高くしてヴューポイントを高くするのですが、新型では自然と通常走行のポジションで、ホーム付けのヴューポイントが確保されています。これはストレスのないホーム付けでは非常に重要なことです。新型スーパーグレートはトレーラーヘッドとして使いやすい基本構造であることが理解できます。

本当のAMTの実力とは

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さてエンジンをかけてみましょう。リジットに較べて若干ですが、音が静かに感じられます。メーカーサイドより、静音性についてのアップデートはありませんが、エンジンは6R20型のT3エンジンです。この音の謎を色々と考察してみたのですが、そもそもの車体総重量の違いの他に自動変速機であるシフトパイロットのマナーが、やはり素晴らしいことに尽きるでしょう。
走りだすとAMTであるシフトパイロットはヘッド単車時では6速スタート、9速、10速、11速とシフトアップし、定常走行になると「E」シフトモードになります。これはニュートラルでエコノミー走行をしている意味ですが、この状態にもっていく最短コースを、回転を高めずに行います。T3は先代の6R10型のターボをさらに強化したエンジンですが、リジット同様にターボのタービン回転音は控えめです。トラクターからT4エンジンも新規に追加されましたが、こちらは460馬力のモデルに搭載されます。

自然吸気のようなエンジンとしなやかな身のこなし

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10.7LのT3エンジンはさながら自然吸気エンジンのようです。
メカニカルノイズをほとんど感じさせないエンジン音は、このプレミアムグレードには非常によく合っていました。高級性能と素直に受け入れられるはずです。また燃費はメーカー公表値でリッターあたり3.4kmとのこと。先代の6R10型に較べ、自動車取得税や重量税も軽減されるようです。
キャブサスとリアエアサスの効果なのか、路面入力の受け止め方も先代より、よりしなやかに洗練されています。特に段差による下突きのような衝撃はほぼ緩和され、シフトショックによるヘッドのしゃくりもほとんど感じません。腰高に感じられる分だけ、台風や大風のときにヘッドがどれだけ揺れるのかはちょっと気になりますが、トレーラー牽引時でも安定感のある身のこなしを見せてくれるだろうと思います。

本当に実用的といえる自動追従の分水嶺とは

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新型導入時の目玉のひとつだった前車追従システム、プロミキシティー・コントロール・アシストも特にアップデートはありませんでした。一般道でも使えることを期待していましたが、まだ高速道路やバイパスのような限定的な使用範囲のようです。メーカーとしても技術的に可能だとしても、段階的な進化をあえて選んでいる印象です。

もちろん総ての道で不自由なく使用できるようになると、快適性や安全性が劇的に改善されるのは言うまでもありません。今回は一般道のみの使用ですが、前車を認識するとその距離をちゃんと計測してくれます。勘に頼っていた車間距離なども数値化してドライバーが認識できるのは素晴らしいことだと感じました。

残念な死角防止アラームの装備見送り

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その他の車線逸脱アラームですが、逸脱しそうになるとかなり強めのブザーが鳴ります。右側車線であれば右側のスピーカー、左側車線であれば左側のスピーカーと非常に分かりやすいです。
ただ残念なのは、リジットにはあった車体左側方の死角に入り込んだバイクや自転車を警告してくれる警告灯がないことです。40フィートを牽いている場合、トレーラーの死角まではカメラが追いきれないということだと思うのですが、トレーラーこそ必要な機能だったので、残念ですね。

進化するリターダ

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トレーラーといえば新型では流体式リターダが改良され、軽量かつパワーアップしました。制動トルクは2,800Nmから3,500Nmへ。坂道などでのより強力な制動力が期待できます。
もともとリターダ専用のラジエターも付いていましたが、エンジン冷却水を使用することで構造がよりシンプルになりました。ヘッド単体でその制動力は実感できませんでしたが、制動トルクは今後、馬力と並んで重視される動力性能でもあり、「より効く」ことがドライバーの毎日の負担軽減とブレーキパッドの摩耗を抑えるのは言うまでもありません。ちなみに新型プロフィア同様ですが、トレーラーブレーキはありません。

購入にあたっての新型のポイントをおさらい

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試乗の感想は以上です。さらにアップデートされた新機能としてはスマートフォンで社外から運行前点検ができること。

純正色が365色あり、カプラー袈装も内製化したことで注文から納期までの日数が大幅に削減されること。

またオイルの劣化状況を監視するFSS(フレキシブル・サービス・システム)が搭載されています。FSSは距離、または時間で交換していたエンジンオイルやミッションオイルの最適な交換時期を教えてくれるので、例えば10万キロごとに交換していたエンジンオイルが、劣化状況に応じて12万キロ以上に伸びたりするので(その逆もありか?)ランニングコストの削減に役に立つと思われます。

新型スーパーグレート・トラクター

新型スーパーグレート・トラクター 試乗のまとめ

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今回、プレミアムラインに試乗したということもありますが、リジットとは違うトラクターならではの良さを随所に感じることが出来ました。とにかく風合いの美しいリアル・カーボンは高級車のピアノブラックに匹敵する出来の良さです。
自動変速の高度化によって乗用車のオートマとの比較が多い昨今の新型トラックですが、ふそうのAMTであるシフトパイロットも例外ではありません。ふそうだけでなく10年も前なら、あまりの故障の多さに敬遠されていた自動変速機も、現行車でそういう噂は聞きません。
新型スーパーグレート発売時には全車AMTという思いきった方針を打ち出したふそうですが、トラクター発売とタイミングをほぼ同じくして3ペダルMTも発売しました。今回、自動変速は試乗してみると、後退は別としてシフトチェンジがかかりやすい前進などの場合、10センチ単位の寄せは慣れが必要なことがよく分かりました。その辺がクラッチで操作しやすい3ペダルの人気の秘密です。
ただ根強い3ペダル人気も、自動変速による一般道での前車自動追従機能が可能になると「いよいよ最後かな」という印象です。新型スーパーグレートはトラクターにおいて、さらに自動変速による静音性や快適性が従来のトラックのイメージを超えて高級性能になったことを印象づけます。
ミニバンが高級志向になり、その乗り味を生かして、よりエグゼグティブな趣向を凝らすようになったのと同じく、大型トラックもまた大型トラックならではの乗り味の良さを追求する時代に入ったことを、端的に教えてくれる1台ですね。

新型スーパーグレート試乗レポート
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