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日野プロフィア・ハイブリッド

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最速! プロフィア・ハイブリッド試乗レポート

最速! プロフィア・ハイブリッド試乗レポート

このコーナーではヨシノ自動車が今後販売する、気になる商用トラックのニューモデルを試乗し、最速リポートします。第7回は、この夏に発売された日野のプロフィア・ハイブリッドのリポートです。プロフィア・ハイブリッドは超低床をのぞきウイング、平台など多様な架装が可能です。特に冷蔵では搭載しているバッテリーを電動コンプレッサーに使用できるので、ハイブリッドのメリットをフルに活用することが出来ます。重量にして290kg、容量にして11kWh(プリウスPHVは8.8kWh)のリチウムイオン電池を搭載するプロフィア・ハイブリッド。例えばクール・ハイブリッドとして冷凍機の電動コンプレッサーに使用することで、サブエンジンの必要がなくなり、サブエンジンで使用していた燃料代がまるまる浮くことになります。その仕組みはどうなっているんでしょうか? 従来の冷凍車に較べてどんなメリットがあり、どのぐらい価格差があるのでしょうか? そして肝心の燃費と乗り味はどうだったのでしょうか? 徹底リポートします。

文:青木雄介
写真:青木雄介、大島宏之

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ハイブリッドを主張するエクステリア

日野プロフィア・ハイブリッド

日野プロフィア・ハイブリッド

まずキャビン正面から青の差し色が特徴のハイブリッド専用グリルが目を惹きます。左右のドアにはハイブリッドの文字を刻んだオーナメントが主張しています。この文字が並んでれば、SAで横に並んでもサブエンジンの音に悩まされることはありません。それ以外は特に目立った特徴はありません。中に入ると試乗車は3座タイプの3人乗りになっていました。それ以外は特に変わったところは見当たりませんが、メーターパネルにバッテリーの表示があり、充電量が一目で分かるようになっています。プロフィア・ハイブリッドのエンジンはA09Cの380馬力、8.9リッター直列6気筒エンジン。こちらのエンジンに出力125馬力の大型モーターが組み合わされます。単純にエンジンの馬力とモーターの馬力を合わせて500馬力超えのスーパートラックを想像してしまいますが、お互いが補完しあう協調関係なので「牧ノ原の坂で敵なし」ということにはなりません。ただ理解しておきたいのは、やはりそれだけの技術が込められたハイテク・トラックということです。

ハイブリッド専用の新開発12段AMTを採用

日野プロフィア・ハイブリッド

エンジンをかけるとA09Cが目を覚まします。音はダウンサイジングされたエンジンなので控えめ。走りだすとすぐにシフトワークが、プロシフトとは印象が違うことに気づかされます。今回、日野自動車はプロフィア・ハイブリッドを導入するにあたってハイブリッド専用の12速AMTを導入しました。クラッチをエアシリンダ化し、トランスミッションもノンシンクロで切り替えます。変速にエアを使用しているのですが(ボルボ、ダイムラーも採用)変速スピードは短縮され、シンクロをモーターに任せることで最適かつ間断のないトルクを得られるようになっています。また構造それ自体はオイルも使わず、部品点数が減らせたことにより故障のリスクも軽減されているとのこと。この新開発のトランスミッションの存在はプロフィア・ハイブリッドを語る上で欠かせない大事なところです。

EV走行が勘所のハイブリッド走行

日野プロフィア・ハイブリッド

まず肝心のエコモードで走ってみます。一般道を走行しているとなるほど頻繁に9速、10速を使って回転を上げない自動変速の仕様になっています。惰性でアクセルを緩める、または一定時間、速度をアクセル量を変えずに走っているとエンジンはアイドリングに変わり、代わりにモーターによるEV走行になります。この状態ではバッテリーからの電力を使用して走行のアシストをしています。インフォメーションにもバッテリーの残量表示の下にEVという文字が現れます。なるほど。この走行を続ければ続けるほど燃費が稼げるのが分かります。リターダーとブレーキで電力を回生してバッテリーにチャージ。するとやはりバッテリー下の文字がCHGに変わり、バッテリーチャージしていることを教えてくれます。ブレーキはあくまでもエネルギーを回生するのが優先となり、バッテリーがフルの状態では回生が解除されます。そして信号待ちで車両が停車すると、几帳面にアイドリングストップ。この一連の流れがプロフィア・ハイブリッドのハイブリッド走行です。

どれだけエンジンに負荷をかけずに走れるか?

日野プロフィア・ハイブリッド

今度はパワーモードを試してみます。登り坂でアクセルを踏み込んでみるとエンジン動力に加え、モーター出力がアシストを行います。感覚としてはトルクが太くなっているのを感じますが、あくまでも自然吸気エンジンにターボユニットをくわえたぐらいの感覚。モーター動力はいわゆるダウンサイズエンジンへのアシストといった趣です。ここにきて良く分かるのは、とにかく燃費を抑えるために高回転を避け、低燃費を実現するために努力するトラックということ。さらにドライバーサイドから見て、アクセル入力量を減らし、EV走行をより長くする運転の仕方は、他のディーゼルトラックにおける低燃費を心がけた運転となんら変わることはありません。普通のディーゼルエンジンで燃費をかけずに運転できる運転手はプロフィア・ハイブリッドでも高い低燃費効果をあげることが出来るし、プロフィア・ハイブリッドの運転に慣れた運転手は、普通のディーゼルエンジンのトラックを運転しても、やはり高い低燃費効果をあげることが出来ます。これがまるで空手の型のように出来ているトラックなので、自然と低燃費走行が楽しくなってくるのは意外でした。

先読みでバッテリーをマネージメントできるプロフィア・ハイブリッド

日野プロフィア・ハイブリッド

さらに高速道路のような定速走行では燃費をさらに伸ばすことが可能になります。試乗では体感できませんでしたが、GPSによるルート先読み予測でモーター出力を適切に管理するとのこと。例えば5分後に長い下り坂があればそこで回生電力を得られると想定し、登攀では積極的にモーター出力を使用するような機能です。AIが100km先までの標高情報をもとに大まかなシナリオを制作し、10kmごとに細かくトルク配分を決めていきます。高速道路ではスキャニングクルーズであるオートクルーズを利用します。ハイブリッドシステムによるロケーターECU機能による、勾配先読み制御は世界初。先読みし、バッテリーをマネージメントするこの機能は、自動運転社会を先取りした機能ともいえるでしょう。

直結式よりよく冷え、サブエンジンより低燃費

日野プロフィア・ハイブリッド

まずこのハイブリッド走行があり、専用の冷凍機を搭載するとクール・ハイブリッドになります。バッテリーマネージメントは電動コンプレッサーに優先的にまわされ、冷凍庫内の室温を維持します。冷凍機を利用するトラックは直結式かサブエンジン式が普通ですが、エンジンから直接、コンプレッサーを回す直結式だと待機中もエンジンをかけ続けなればならず、エンジン回転の影響も少なからず受けます。一方、冷凍機専用のエンジンを備えるサブエンジンでは、燃料も別途かかりますし、待機中の音も大きいのが難点です。その点、バッテリーで駆動できるクール・ハイブリッドではエンジンの回転数の影響は受けませんし、サブエンジンのように別途、燃料も必要もなく、待機中の音もほとんどありません。冷凍能力はほぼサブエンジン式と同クラス、-20℃への到達時間は直結式に較べて30分早い(夏場の比較)とのこと。試乗車は外部電力を使用できるスタンバイも付いてました。ただこのスタンバイはPHVのようにバッテリーへの充電は出来ず、あくまでもコンプレッサーを使用する電源のみの用途です。さらに残念なのは、せっかくのハイブリッド仕様なのにハイブリッド用のバッテリーを車内のアクセサリーに使用することが出来ません。ですから待機中の車内の冷房や暖房に使用することが出来ません。この2点をクリアすれば、もっと魅力あるハイブリッドトラックになるだけに残念で仕方ありません。

いくらお得なの!? プロフィア・ハイブリッドのメリットを考察する

日野プロフィア・ハイブリッド使用するリチウムイオンバッテリーは車両後方、縦根太の間に格納されています。

以上が試乗レビューとなります。まずハイブリッドモーターを持つメリットが、箱に電源が必要な「冷凍車である」というのは非常に明快で、分かりやすい話です。より多くの販路をもち、あらゆるタイプのトラックで使用できるプラットフォームにプロフィア・ハイブリッドがなるには、対価に見合ったコスト性が求められます。プロフィア・ハイブリッドの平均燃費は4.75km/L(重量車モード燃費値)。高速走行では5.2km/Lぐらいまで伸びるようです。価格は通常のディーゼルより300万円ほど高い価格設定ですが、エコ車両導入支援の補助金が150万円、出ます。さらには初回の重量税免税と、自動車税は非課税(いずれも燃費基準+17.5%を達成しているため)となります。さらに価格差を埋めて余りあるのが、サブエンジンの燃料費がかからなくなることです。メンテナンス費の削減と、通常走行での低燃費で更なる燃料費削減が可能になります。

価格以上に大きい、クリーンなイメージと製品特性

日野プロフィア・ハイブリッド

特に故障の要因になりやすい自動変速のシフト回りの改善と、電動コンプレッサーと冷凍ユニットを一体化し、接続管を排することでメンテナンス費を抑えられる点は評価すべき点でしょう。構造それ自体が常時スタンバイを使用する冷凍機のような安定性があり、家庭の冷蔵庫を使用しているのと同じく温度を一定に保ち、安定した冷凍品質を確保できるところも注目です。またあまりセールスポイントにはならないかも知れないですが、大幅な二酸化炭素排出低減にも寄与します。ここはもっと強く主張されてしかるべきかも知れませんね。自社の製品が環境性能の高いプロフィア・ハイブリッドで運ばれていることを喜ばないクライアントは、まずいないでしょう。
プロフィア・ハイブリッドは高速道路において、速度リミットの境界線で「我、先に」と速さを競うタイプのトラックではありません。定速走行を守り、低燃費運転をしているドライバーを社内で表彰するタイプの会社でこそ光ります。ランニングコストを下げ、輸送品質を高く保ち、CO2削減にも寄与する。プロフィア・ハイブリッドは革新の機能で、導入する企業のプレゼンテ―ションも高める、非常に高いポテンシャルをもったトラックだと言えるでしょう。

日野プロフィア・ハイブリッド改造が必要になりますが、格納式テールゲートも装着可能です(試乗車はテールゲート付)。

日野プロフィア・ハイブリッド4軸の冷凍ウイングでハイブリッドかつテールゲートが付いて、最大積載量11.8トンは優秀ですね。

日野プロフィア ・ハイブリッド 取材協力:横浜日野自動車株式会社 相模原支店 TEL: 042-777-6150

購入やリースに関するお問い合わせはこちらメーカーHP:日野 新型プロフィア・トラクター

新型プロフィア最速レポート

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鍵人訪問記 日野製品開発部
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