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新型ボルボFH(2026年モデル)

ハロー!ニュートラック!

最速!試乗記 “変わったところを徹底解説” 新型ボルボFH(2026年モデル)

最速!試乗記 “変わったところを徹底解説” 新型ボルボFH(2026年モデル)

これまでも先進性において、他ブランドの追随を許さないボルボ・トラックのFHシリーズ。2026年モデルは大きく踏み込んだアップデートを果たしました。今回最大のトピックは、ついに日本仕様でも標準装備となった「CMS(カメラモニターシステム)」の採用です。ドアミラーに代わり、ドア上部付近に搭載された高輝度カメラが左右の視界をモニターに映し出します。

さらに進化したVDS(ボルボ・ダイナミックステアリング)と、熟成を重ねたI-シフト+13リッターエンジンの組み合わせが、このモデルをさらなる高みへと引き上げています。その実態を徹底評価してみました。

文&写真:青木雄介

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プッシュスタートへの変更

新型ボルボFH(2026年モデル)

2026年モデルからシリンダー鍵によるエンジン始動が廃止され、プッシュスタート方式に変更されました。ブレーキを踏みながらボタンを押すだけという、乗用車では当たり前のパッシブスタートが、ついにボルボ・トラックにも採用されたことになります。

新型ボルボFH(2026年モデル)

付属のリモコンはドアの施錠・解錠に加え、AUXボタンにより外部から空調をオンにすることが可能です(前回設定の状態で起動)。スリーパーコントロールのパーキングクーラーやヒーターのコントロール、外部ライトの操作にも対応しています。リモコンはボタン電池式で、電池残量が低下した場合でも、ステアリング下のマーク部分にリモコンをかざすことで微弱電力を使った始動が可能です。また緊急用の物理キーが内蔵されており、ドア解錠専用となっています。

ようこそ、ミラーのない世界へ

新型ボルボFH(2026年モデル)

今回の2026年モデル最大の変更点が、このCMS(カメラモニターシステム)です。左右のドア上部に高輝度カメラを配置し、キャビン内のモニターに左右の視界を2分割で表示します。ドアミラーの廃止により風切り音が大幅に低減し、空気抵抗が下がることで燃費向上とCO2削減にもつながる一石二鳥の装備です。

実際、ステーを覆うAポストカバーとCMSの組み合わせにより燃費が約1%改善することが確認されています。たとえば燃費3km/Lの車両であれば約3.03km/Lへの改善となり、小さな改善を積み重ねることで大きなコスト削減およびCO2削減効果を発揮します。ちなみにカメラのついたステーのサイズは、従来のミラー幅とほぼ同じとのことです。

モニターへの第一印象

新型ボルボFH(2026年モデル)

新型ボルボFH(2026年モデル)

実際に座席に座ってモニターを視認します。まったく違和感はありません。それどころか座席に座り、モニターを認識した瞬間に、物理ミラーへ戻るのが怖くなりました。理由はひとつ、死角が「見えて」いるからです。

モニター下部のボタンで基準線(ガイドライン)の長短を調整でき、トレーラーの長さ(セミ~フルトレーラー)に合わせた設定が可能です。ガイドラインはドア部のナビゲーション/調整キーで前後に調整し、モニターキーの延長基準線ボタンで表示・非表示を切り替えます。「ここまで後退できる」「ここからが危険域」という停止位置の目安をドライバー自身がカスタマイズできる点が実用的です。

昼夜を問わない視認性

新型ボルボFH(2026年モデル)

日中は高精細表示でクリアな視界を提供し、トンネル走行や夜間は自動で暗所対応表示へ切り替わります。さらに拡張夜間モード(赤外線カメラ)へのマニュアル切替も可能で、夜間でも同等の視認性を確保できます。ここがCMS最大のユーザーベネフィットです。夜間でも昼間と同じような感覚で後方確認できるのです。

右左折でもしっかり全体を把握できるオートパン

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オートパン機能も秀逸です。前進時はハンドル操作に追従して視点が自動で移動し、後方・側方の視認性をリアルタイムに確保します。トレーラーの折れ角と車両後端の相対位置把握が直感的に行えるため、従来のミラーでは追いきれなかった死角の補完に役立っています。

肝心なのは左バック問題を解消したこと

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この死角の補完で、トレーラードライバーならもっとも気になるのが左バックのシーンでしょう。従来からボルボはベッドスペースに窓がないので、左バック時にトレーラーの舵角を直接確認する術がありませんでした。ミラーのみの左バックは大きく経験が要求されるポイントであり、ボルボの運転障壁として低くはないポイントでした。

これがCMSによって解消されます。正確にいうと、ミラーによる右バックとほとんど同じ感覚でバックできます。

後退時に気になるところを映して見る

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後退時にオートパンは機能しません。バック時の見える範囲の切り替えはボタン操作1つで行えます。広角表示になるため距離感の誤差には注意が必要なものの、トレーラー連結時の死角の把握には十分な視界が確保されます。標準でも車体近傍まで広く映り車線変更時の安全確認に優れます。またカメラ角度を変えることによって「気になるポイント」を自ら目視できるようになります。

電動格納できるカメラステー

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カメラのステーもスマートな設計です。ドア上のボタンで電動格納ができ、前後いずれの方向からの接触でも可倒して衝撃を和らげる設計です。「狭い現場やパーキングエリアでステーをたたむ煩わしさ」が、システム的に解消されています。格納状態でも走行は可能ですが、約15km/h以上で自動展開して復帰します。

パッセンジャーコーナーカメラも継続採用

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パッセンジャーコーナーカメラ機能も継承・強化され、サイドディスプレイに表示されます。左折時の死角をカバーする表示エリアは、魚眼のひずみを解消して視認性を向上しつつ、必要なところを映すよう最適化されています。なお夜間も停止時以外に作動でき、拡張夜間モードにより暗所でも識別が可能です。駐車場での不審者確認など、安全な車内から周囲を可視化できる点も見逃せない機能です。

思い通りに動く、さらなる進化

新型ボルボFH(2026年モデル)

2018年モデルで初導入され、2021年モデルで調整機能を加えたVDS(ボルボ・ダイナミックステアリング)が、2026年モデルでもさらなる進化を遂げました。悪路・砂利道・深い轍・スラロームを組み合わせた外周路でのVDS体感試乗を実施しました。

深い轍に差し掛かっても、ステアリングへのキックバックは大幅に低減されています。「轍を感じない」というのは誇張ではなく、ドライバーの入力に対してタイヤが確実に追従し、「思った通りに動く」感触がコース全体を通じて維持されました。スラローム区間でも狙い通りに旋回できる操縦安定性は、長距離運行だけでなく建設現場やダンプトレーラー用途での有用性がきわめて高いです。

バースト時でも制御が入るVDS

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あらためて特筆すべきはパンク(バースト)時の制御性です。バーストを想定した場合でも、ハンドルを取られる挙動を抑制し、進路へ戻す制御が従来より進化しています。緊急時でも車両が直進位置へ戻ろうとする働きが強化されており、万が一の際の安全性が格段に向上しました。競合他社には非搭載のこの機能(今後もその予定はありません)が、ボルボFHの走りの骨格を形成していることを改めて実感しました。

熟成のすすんだ三段構えのサスペンション

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フロントサスペンション(アクスル)、キャブサスペンション、シートエアサスペンションの三段構成は変わりません。しかしこの3つが連動して路面入力を段階的に吸収する制御の熟成は、着実に深まっています。

砂利道や深い轍でシートに伝わる衝撃は体感レベルで別次元の仕上がりで、長時間の運行における疲労軽減効果は計り知れないものがあります。「揺らさず自然に止める」というボルボの乗り心地哲学は、パーツを変えることなくセッティングの熟成によってさらに磨かれています。また乗り心地の進化にともなって、静粛性もさらに高くなりました。

さりげなくサポートしてくるボルボ

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今回のシングル試乗(トレーラ連結)では、オーバルコースでパイロットアシストとレーンキープアシストの挙動も確認しました。パイロットアシストは時速8km/h以上で作動します。あくまでドライバーを「支える」設計であり、長時間の非接触状態が続くとアラートが鳴り、未対応のままでいるとハザードを点灯させたうえで停止する安全設計が貫かれています。

昨今、ニュースになるドライバーの脳梗塞や心筋梗塞といった突然の危機的アクシデントへの備えとなります。ちなみにレーンキープアシストは時速55km/h以上で有効となり、車線逸脱しそうになると穏やかに車体を車線中央に戻す挙動が、非常に自然な印象でした。戻すというより押し返してくるような、動的質感の柔らかさも「ボルボらしさ」と個人的には感じられました。

2デフに乗ってみた! 20トンけん引で551馬力を確める

新型ボルボFH(2026年モデル)

今回の試乗会では、最高出力551PSを誇る2デフ仕様ボルボFHの試乗走行も実施されました。けん引車両は積載が約14トンで、平台4~5トン相当の荷重を合わせれば合計およそ20トンの実負荷条件での評価になります。

結論から述べるなら、これぞI-シフトの独壇場でした。出力特性は発進時から力強く、ベタ踏みでぐいぐいトルクが湧いてきます。3ペダルで400馬力のシングルトラクタで20トンをけん引する場合と比べると分かりやすいのですが、操作も音も圧倒的に初速からスマートです。551PSパッケージとして期待通りのパフォーマンスであり、オートマチック制御の完成度に感銘を受けました。

新型ボルボFH(2026年モデル)

新型ボルボFH(2026年モデル)

シングルクラッチでもシフトの切れがよく、段付きやしゃくりが出ず、適切なギア選択がスムーズで迅速なのでタイムラグを感じません。排気ブレーキもしっかり効き、重量があっても安定した制動力を発揮します。揺れはあるものの、全体としてスムーズな完成度の高い走りを実現しています。

2デフ仕様は、建設・土木で重量物運送の需要が高い分野です。運転操作に対するストレスを最大限に緩和することで、幅広トレーラなど公道上で神経の使うけん引をより安全に操縦できるだろうと感じました。特に夜間走行の多い重量物運送においては、赤外線で昼間なみの後方認識が可能になるCMSの威力は相当に大きいと感じました。

さらに側方衝突警報を進化させたボルボ

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ボルボ・トラックスが掲げるブランドメッセージ「Protecting what matters(大切なものを守る)」。交通弱者を守ることを最優先とする思想は1927年の創業以来変わりません。2024年より商用車もEuro NCAPの評価対象に含まれ、それ以降ボルボ・トラックが各モデルで高評価を受賞してきた実績は、単なるアピールではなく約100年にわたる安全哲学の証明だといえるでしょう。

その哲学をさらに深めた進化が2026年モデルです。衝突被害軽減ブレーキ(レーダー+カメラ制御)や、フロントショートレンジアシスト(フロントソナー使用)は継続搭載。注目すべきは側方衝突警報の進化版ともいえる新機能で、車体の隣接に自転車などが存在し、その方向へステアリング操作した場合にも車両が自動停止します。助手席側方向指示器が作動した際に有効となる緊急ブレーキ機能が備わっており、車速20km/hまで作動します。こちらは欧州の将来の法規制に先行して製品化されてきました。これらの機能は、都市部配送や狭い現場作業が多い日本の運行環境にも直結する安全装備と言えるでしょう。

強みを活かすテレマティクス

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2026年モデルからボルボ・コネクトが標準搭載となり、新車登録後5年間は無償で提供されます(その後は有償継続)。ボルボ・コネクトはフリート(車両管理)ユーザー向けのデジタル管理ポータルおよび運行管理サービスです。テレマティクス(車両通信)技術を活用し、スマートフォンやパソコンからリアルタイムの車両状況を統合管理することで、業務効率化や燃料費削減をサポートします。PCだけでなくタブレットやスマートフォンからもアクセスできるため、事務所外での確認もスムーズです。

地図・リアルタイム車両管理

地図表示はGoogleベースで、標準・衛星写真・渋滞状況(青=渋滞なし、黄・赤=渋滞)への切替が可能です。トラック専用の道路制限情報(通行不可路や高さ制限など)も表示され、ボルボのサービス拠点の位置を地図上にオーバーレイ表示する機能も備えています。

車両のリアルタイムステータス表示では位置・住所・燃料・AdBlue残量などを確認でき、車両不具合発生時には通知が届きます。ジオフェンス(仮想領域)機能では四角形・円形・多角形など任意の形状で倉庫や拠点を登録し、車両の入出域時に管理者へ通知を届けることができます。

レポート・分析機能

レポート機能も充実しており、標準8種類のレポートに加え、100以上のカスタムパラメータから自社の調査項目を自由に組み合わせることが可能です。ECU由来の正確な燃費・アイドリング時の燃料消費量・PTO使用時の燃料消費量・AdBlue消費量に加え、CO2・NOx・PMなど環境指標の可視化も可能です。保有車両のコスト管理および環境対応を運行データから直接分析できる即戦力の高いツールです。

新型ボルボFH(2026年モデル)

試乗後のまとめ

1993年にボルボFHが登場して以来、エンジンや外観など幾度もの進化を重ねながら、マンネリに陥ることなく常に性能向上を果たしてきました。新鮮さを失うことなく、熟成とともに信頼を積み重ねてきたシリーズです。

そんな2026年モデルのボルボFHは、CMSという目に見える大きな変化と、VDS・サスペンション・I-シフトという走りの熟成という二つの軸で進化した一台です。さらに551PS仕様の2デフの高い実用性、ボルボ・コネクトの5年無償提供は、トータルコストを重視する運輸事業者にとって魅力的な選択肢となっています。

新型ボルボFH(2026年モデル)

CMSは単なるデジタル化ではありません。ドライバーの安全確認の質を根本から変える装備であり、「ミラーより見える」という体験は一度経験すると後戻りできません。

乗用車において、ミラーカム(ミラー型ドライブレコーダーやデジタルミラー)が完全に普及しない主な理由は、人間の目による「距離感の掴みにくさ」と言われています。鏡と違ってディスプレイに焦点を合わせる必要があり、ピント調節にタイムラグが生じることで、運転時の視線移動に慣れや負担を伴うことが最大のハードルと言われています。

新型ボルボFH(2026年モデル)

しかしそれはあくまでも乗用車においてのこと。大型トラックの場合は、死角を視認できる安全性と安心感が大きく優先されます。この安心感のためなら、喜んで慣れたいとプロドライバーなら感じるでしょう。

VDSの進化も印象的で、悪路・轍・バーストを想定した状況でも「思った通りに動く」安心感は、単なる操縦支援を超えてドライバーの信頼に直結します。さらに乗り心地、静粛性、ドライバビリティを加えて、「守りたいものを守る」という言葉が、単なるスローガンではなくトラックそのものに宿っていることを、今回の試乗で改めて実感しました。

文&写真:青木雄介

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