
トラック業界"鍵人"訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第101回
2025 NEW環境展 出展篇
2025 NEW環境展 出展篇

トラック業界"鍵人"訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第101回
2025 NEW環境展 出展篇
2025 NEW環境展 出展篇
「脱PTO、始動はソーラー!? 「環境で選ばれる物流」へ、電動トレーラー最前線!」
脱炭素や省エネへの取り組みが加速するなか、物流の現場にも新たな波が押し寄せています。2025年5月、東京ビッグサイトで開催された「2025NEW環境展」において、異彩を放っていたのがオートサービスヤマグチ、ヨシノ自動車、タニ工業の3社による合同ブースです。目玉になるのはポーランド製の大型穀物トレーラーを日本仕様にカスタムし、さらに太陽光充電付きのボルボトラクタのセットです。静音性や排ガスを出さない環境性能はもちろん、災害時の電源確保など多機能性も兼ね備えています。環境に配慮したトレーラーの可能性を提示する意欲的な出展の裏には、現場で培った知見と、会社同士の信頼関係がありました。会場で語られた開発の舞台裏と未来への展望に迫っていきます。
編集・青木雄介
WEB・genre inc.

ポーランド製穀物トレーラーのカスタムから、電動アームロールの自社開発まで。物流の未来を見据え、実直に挑戦を続けるのがオートサービスヤマグチ代表・山口幸将様です。環境展で披露された大型トレーラーの裏側には、確かな情熱が感じられました。

ーーー国内のトレーラーの容積は、どのくらいあるんですか?
山口:だいたい48立米くらいですね。いま、原発が止まってる状況で、バイオマス事業なんかで使うチップって、水より軽いものを「大量に運びたい」というニーズがあるんですよ。北海道はもともと穀物輸送が盛んだから、他社製ですがフランス製の穀物トレーラーがあります。弊社も「それに負けないものを造りたい」と思い、長年模索していました。そのなかで弊社の協力会社、合同会社トゥーマン協力の下、穀物トレーラーを専門で製造しているポーランドのzaslaw(ザスワフ)社と出会う事になりました。翌月にはポーランドまで足を運び工場見学をして、そのまま打ち合わせをしました。こだわったのは【完全オリジナルのJAPAN仕様】です。zaslaw社も穀物トレーラーに特化した製造会社のため、その分野に関する深い知識や高度な技術、豊富な経験など、一般の業者にはない強みや特徴があることを実感しましたね。
ーー向こうで仕様を変えてもらったんですね。
山口:そうなんです。アクスルなど、日本の品番に合わせてもらいました。アフターメンテナンスを考えると、国内の整備工場で普通に対応できるようにしておきたかったんですよね。
ーー前回は普通の土砂を運ぶダンプでしたが、今回は深ダンプなんですね。
山口:そうです。土砂が運べない深ダンプです。ちょうど環境展があったので、ヨシノ自動車さんと一緒に出すことになったんですよ。仕様変更は弊社でやりましたけど、今回は新しく電動のアームロールを開発したんです。


ーーそれがこのタニ工業さんの4トンアームロールなんですね。
山口:はい。電動モーターでアームロールを動かす仕組みです。車両はタニ工業さんから提供してもらって、施工は弊社でやりました。
ーーPTOを使わないメリットというのは、どこにあるのでしょうか?
山口:都市部だと夜や早朝にゴミを収集するんですけど、そのときに音が出ないのが大きなメリットですね。それと、排ガスも出ませんし、災害時に燃料を使わずに動かせるというのもポイントです。将来的に見ても、こういうアームロールは有効だと思いますよ。
ーーこのシステムはもともとあったものなのでしょうか?
山口:いや、これは1から弊社で造りました。太陽光パネルをつけてあって、走りながら充電もできるようになっています。トレーラーのほうはボルボのトラクターヘッドに取り付けていて、ヨシノ自動車さんで施工してもらいました。これまでも一緒にやってきたので、今回もぜひ協力したかったんですよ。サイズ的には国内最大級になると思います。


ーー前回の電動ダンプはどうでしたか?
山口:評判はよかったですよ。全部売れました。
ーー素晴らしいですね。この太陽光パネルだけで、どのくらい動かせるんですか?
山口:バッテリーが満充電なら10回くらいは荷台を上げ下げできます。でもそれだけじゃ足りないので、走りながら太陽光で充電して補うイメージです。
ーーなるほど、補助としてはしっかり機能しているんですね。
山口:そうですね。前回は土砂や砂利を運ぶお客さん向けでしたが、今回は穀物を運ぶ方向けに造っています。
ーー北海道向けということですね。
山口:そうです。ちょっとニッチなユーザーさん向けにはなるんですが、需要はちゃんとあるんですよ。北海道は特に飼料運搬が多いので、地元のお客さんに使ってもらえると思っています。


ーー飼料運搬だからこそ、静音性が役立つとかメリットはあるのでしょうか?
山口:今回は、電動であることをそんなに前面に出しているわけではないんです。環境展だから電動仕様にしているだけで、販売のメインはあくまで飼料用のトレーラーとして考えています。見た目もサイズも、今までのトレーラーとは全然違うので、普段使われているお客さんが見たら「なんだこれ!?」って思われると思いますよ。寸法も機能も、しっかりメリットを出せていますし、その点には力を入れてます。しかも今回はポーランド大使館の方も見に来てくれているんですよ。
ーーそれはすごいですね。ポーランドって小麦や穀物が中心の国ですもんね。
山口:そうなんです。北海道と気候がすごく似てるんですよ。だから用途も一致しています。基本はPTOで動かせるようになっていますけど、電動でもいけます。お客さんの用途に応じて選んでもらいたいなと考えています。
電動モーターシステムについて
https://as-yamaguchi.com/patented_motor_system.php
脱デモのためのデモカーとして生まれ変わった「電五郎」。もはや単なるトラクタではありません。我らがアルフレッド中渡瀬の手によって、機能も美学も進化を遂げました。今回は進化のポイントを深掘りしました。

ーーまず電五郎のアップデートについて教えてください。
アルフレッド:はい、まずルーフにソーラーパネルを載せました。電動トレーラーを引っ張る仕様なので、電力消費が増えますからね。もちろんバッテリーを外部充電してもいいんですが、それだと手間がかかるので、なるべく「ソーラーで補おう」と企画しました。
ーーそれは、どれぐらいで充電できるんですか?
アルフレッド:晴れていれば自然に充電されていきますし、曇っててもある程度は充電してくれます。かなり実用的ですよ。あと、出展している後ろの電動トレーラーも、弊社で施工できます。販売とアフターはヨシノ自動車にお願いする形ですね。販売元はオートサービスヤマグチさんです。
ーー最初に造った電動ダンプトレーラーの評判はどうでしょうか?
アルフレッド:おかげさまで好評です。鍵人にも登場したマルキュウジャパンさんと浅井建材さんが導入してくれていて、ちゃんと現場で使われています。アンダーデッキ式に比べると少し動きは遅いですが、PTOなしで動くというのはやっぱり大きな魅力ですね。



ーー前に見たときより、電五郎が派手になっていませんか?
アルフレッド:そうですね、バーを追加したり、フロントのリップスポイラーを外してロアバーを付けたり、サイドバーも取り付けています。ホイールはファストエレファントのブラックエレファント、タイヤも太くして、ライトにはスモークを入れています。
ーーたしかに、見た目がガラッと変わって恰好よくなってますね。自社ブランドのブラックエレファントの評判はどうですか?
アルフレッド:完全にボルボ専用なので数は出ませんが、検討してくださるお客さんは多いですし、評判もいいですね。
環境対応型トレーラーの開発とともに、未来の物流インフラをどう支えるか――。中西は、販売・施工・アフターを一貫して担いながら、ボルボ代理店としての責任も自覚しています。環境展出展の舞台裏から、その意義を語ってもらいました。


ーーそもそも、今回の環境展に出ることになったきっかけは何だったのでしょうか?
中西:弊社と山口さんでずっと電動トレーラーの開発をやってきたんですけど、もともとタニ工業さんとも接点がありました。それで話が盛り上がって、「一緒に環境展に出てみようか」という流れになりました。
ーーなるほど。じゃあ今回は三社で出展しているんですね。
中西:そうです。タニ工業さんは環境展に毎年出展しているので、そこに合流させてもらった形ですね。それで弊社がこの電動トレーラーとトラクタの施工や販売、あとアフターメンテナンスもやります。山口さんはトレーラーの開発・供給元という関係です。
ーーヨシノ自動車としては、今後もこういった電動トレーラーの販売・整備は続けていくのでしょうか?
中西:そうですね。ボルボのトラクタとの相性もいいですし、今後もお客様に提案していける商品だと思っています。販売だけでなく、整備面やカスタムも一貫して提供できるのが弊社の強みですから。


ーー今回の環境展、トラックショーと比べて雰囲気が違いますよね?
中西:そうですね。これまではトラック関係者向けのイベントが多かったんですが、環境展は来場者の業種も幅広くて、スーツ姿のビジネスマンの方も多いですね。普段接点がないような業界の方とも話せるのは、すごく新鮮で面白いです。
ーーちょっと真面目な展示会という印象もありますが、ヨシノのブースはかなり目立っていますよ(笑)。
中西:ありがとうございます(笑)。展示内容もですが、見た目もわかりやすく目立つように意識してつくりましたからね。注目されているようでありがたいです。
ーーー今回他のブースもひととおり見ておもったのですが、今後のトラックビジネスでも省エネルギーで環境に負荷の低い機材を使用しているということは大きなメリットであり、ビジネスになりえるということでした。
中西:そうですね。話は変わりますが、先日大阪でボルボ本社の人たちがプレゼンする場に参加しました。「環境」というキーワードでトラックを考えると、どうしても矛盾する部分が出てきます。でもトラックは社会インフラとして必要不可欠な存在ですよね。その中で、できるだけ環境に配慮したソリューションを出していくのが、「ボルボの使命だ」という話をしていました。僕たちも代理店として、「しっかり応えていきたいな」と思いましたね。
ーーつまり、環境への配慮とインフラとしての役割を両立していこうということですね。
中西:そうです。弊社としても、燃費が良くて環境にも優しいボルボトラックをしっかり届けていくことが、今後ますます重要になってくると考えています。
ーー今回の環境展への出展が、その一歩というわけですね。
中西:はい。エンジンをかけなくてもPTOを動かせる電動システムは、燃料消費を抑えられるし、騒音も出ない。そういう小さな改善の積み重ねが、これからの物流に求められることだと思います。
