株式会社ヨシノ自動車

トラック業界"鍵人"訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第111回

ヨシノ自動車 新木更津工場 竣工記念特集

ヨシノ自動車
新木更津工場
竣工記念特集

「人が集まり、新しい価値が生まれる工場」

千葉県木更津市にヨシノ自動車の新拠点が完成しました。単なる整備工場ではなく「脱工場」をコンセプトに掲げ、約8年の歳月をかけて作り上げた24億円規模の複合施設。ボルボのカスタムライン、ファストエレファントの専用架装工場、そして一般整備工場に加え、バーカウンター、フリーアドレスオフィス、アート作品、海を望むバルコニーなどをもったオフィス棟など、整備工場の常識を覆すその空間には、社主である中西俊介の深い思いが宿っています。

編集・青木雄介
WEB・genre inc.

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

創業の想いと、この工場に込めた意味

ーーーこの工場を作ろうと思った原点を教えてください。

中西:ヨシノ自動車は60年以上、トラックの販売と整備を通じて歩んできた会社です。その積み重ねがあるからこそ、次の60年に向けて「何か新しい形を作りたい」という思いが芽生えました。計画を始めたのは今から約8年前です。最初は単純に新しい工場が必要だというところからスタートしましたが、考えを深めるうちに「ただの工場にはしたくない」という確信が生まれていきました。本来、この工場は整備工場として作ったのですが、単なる整備工場としては作っていません。人が集まり、人が繋がり、そして新しい価値を生み出す場になってほしい、そういう思いでこの場所を作りました。

ーーーこの工場には会社の理念である「共走」という言葉が大きく意味を持っていますね。

中西:はい。競い合うだけではなくて、共に譲り合いながら、互いに助け合いながら、新しい未来を業界みんなと共に前に進めていきたい。そういう思いの下で生まれた言葉です。「共走」は60年以上にわたって会社が大切にしてきた考え方を、改めて言葉にしたものです。今の時代、競争だけでは先細りしていく。でも協調できる仲間がいれば、業界全体が前に進める。そう信じています。

ーーーこの木更津新工場はどんな意味を持つのでしょうか。

中西:ただの工場という位置づけではなくて、弊社の新たなアイコンとして見ていただければ、という思いがあります。整備工場として機能することはもちろん大切ですが、ここを訪れた人が何かを感じ、何かを持って帰っていただける場所にしたかった。関係者のみなさんとのコミュニケーションを、これからも大切にしていきたいと思っています。

ーーー稼働に向けた体制について教えてください。

中西:2025年のGW連休明けから本格稼働の予定です。オープニングスタッフは約12名からスタートしますが、本稼働時にはメカニックを中心に総勢約25名体制を見込んでいます。

ーーーあらためて、この工場にどんな未来を描いていますか?

中西:単なる整備工場という位置づけではなくて、ここを起点に新しい何かが生まれてほしいと思っています。業界の人だけじゃなく、まったく違う世界の人たちも来て、会話が生まれ、コラボレーションが生まれる。スタートアップが生まれたっていい。「共に走る社会で共走する」。この言葉の通り、競い合うだけでなく、みんなで助け合いながら業界全体を前に進めていきたい。この場所がそのシンボルになれれば、8年間の苦労もすべて報われると思います。

建築家・家所亮次 様 インタビュー 「工場らしくない工場」をつくるということ

新工場を設計した家所氏の設計哲学を一言で表すなら、「働く人間のための建築」でしょう。機能の制約が多い整備工場という条件の中で、色・素材・余白・アートを駆使し、従来の工場像を根本から塗り替えました。豊かなワークシーンのバリエーション、外部への開放性、不特定多数の来訪が生む偶発的な交流。それらが積み重なることで、この施設は業界の未来を変えるきっかけになりうる、と家所氏は見ています。「工場らしくない工場」は、単なるデザインの話ではなく、働くことと産業の未来への問いかけにも成りえるのです。

家所:竣工を迎えて、素晴らしいものに仕上がったと感じています。当初から掲げていた「工場らしくない工場」というコンセプトも、無事に果たされたと思っています。「脱工場」は、このプロジェクトをずっと導いてきたテーマです。ご覧の通り、従来の工場のイメージとは大きく異なる空間を実現できました。工場の機能を両立させながら、工場ではない機能の付加価値をどんどん上げていく――それが私たちに課された課題でした。

整備機械は、基本的に決まったものを使わなければなりません。そこに制約がある中で、私がこだわったのは「色」と「素材」です。使える素材をきちんと整えることで、洗練された、綺麗な整備工場をつくることができました。私自身は設計において、かなりニュートラルな姿勢でいられたと思っています。整備という特殊な職能には、それに必要な設備があります。でも「働く」ということに関していえば、職種を問わず、いかに快適な環境をつくるかが、一番重要なことだと思っています。

今回、一番手応えを感じているのは、オフィス空間です。ここまで豊かなオフィス空間はなかなかつくれません。いろんなスペースがあって、人間は当然、日々気持ちも、メンタルも、仕事のタスクも違ってきます。どういう場所で、どういうスペースで仕事を迎えられるか。それはすごく大事なことです。そのバリエーションをシーンとしてたくさん用意できたことで、自ずと仕事のパフォーマンスも上がっていくと思っています。

FEのラボ的なエリアについては、その空間をどう建築として表現するかに取り組みました。中央のオフィスエリアに関しては、工場然としていると起きることが決まってきてしまいます。だから、いかに余白を持つか、可能性を持つかということがすごく重要だと考えました。そこにアートが寄与します。アートは余白や可能性の象徴です。外から覗いた時にも中の様子が見えるはずなので、これを工場だと思う人はなかなかいないでしょう。

不特定多数の人が訪れることで、何か新しいケミカルな反応が生まれる。それが業界の未来をつくる、何かきっかけになる可能性があると考えています。業界の垣根を越えた人たちが偶然に交わる場――この施設にはそういう「触媒」としての役割も込めました。積み重なった小さな化学反応が、いつか大きな変化をもたらすと信じています。

お祝いの言葉

UDトラックス株式会社
ボルボ・トラックセールス バイスプレジデント
関原 紀夫 様

最初に完成予定図を見た時から、ここまで驚きが積み重なってきました。そして実際にこうして完成した姿を目にして、改めて驚きを感じています。従来の工場とはまったく違う概念で作られているこの工場を見て、「この先の整備工場の概念自体が大きく変わるのではないか」という期待を持ちました。我々、ボルボ・トラックは、物をただ運ぶだけではなく、ドライバーさんやメカニックの皆さんにおいても、その商品を好きになって永続的に事業を続けられるような、車両を作って提供しています。今回の工場が体現している思想と、私どもの理念は深いところで重なっていると感じています。私どもも、ビジネスを継続していただくために、これから先も車両をきっちり継続的に供給していく責任があると、改めて心に刻んでいます。末永くともに走り続けましょう。

Volvo Trucks International Hub SEA & Japan Managing Director
ボルボ・トラック インターナショナル 日本代表
Johan Larsson(ヨハン・ラーソン)氏

First of all, huge congratulations on this fantastic facility. Good team of machine workers. It must be a great place to work at, not only for the technicians, but for all employees. I would love to work here myself.
Mechanics and employees are of course very important, but most important is our customers. And the customers who own the trucks in this Chiba area certainly have a great future. So thanks a lot for making this great investment and we are looking forward to a great future for all the truck customers in this area.

(対訳)
まず、この素晴らしい施設の完成を心よりお祝い申し上げます。優秀なメカニックチームとともに、ここは技術者だけでなく、すべての従業員にとって素晴らしい職場になるに違いありません。私自身もここで働いてみたいと思うほどです。
もちろん、メカニックや従業員の皆さんも大切ですが、最も重要なのはお客様です。この千葉エリアでトラックをお持ちのお客様には、確かに明るい未来が待っています。このような大きな投資をしていただいたことに心から感謝申し上げます。このエリアのすべてのトラックユーザーの皆様にとって、素晴らしい未来が訪れることを楽しみにしています。

ヨシノ自動車 新木更津工場の全貌に迫る!

オフィス棟 自然・アート・サステナビリティが融合する創造の場

木更津工場の真ん中に位置するオフィス棟は、自然・アート・サステナビリティ・企業アイデンティティを融合させた、これまでにない発想の職場空間になっています。「創造の場」をコンセプトに、多様な人と知恵が集まり新しい価値を生み出す拠点として設計されました。現地ウォークスルーしている気分で各エリアの全容をお届けします。

1.設計コンセプト 壁のないオープンな創造空間

オフィス棟全体を貫くコンセプトは「なるべく壁を作らない、オープンな空間」です。ガラス面を多用した開放的なつくりで、風通しの良いコミュニケーションと偶発的な交流を促します。ステップフロアによる視線・段差の変化が発想の転換を促し、座る場所によって気分が切り替わる設計を実現。多様な人が集い、何気ない会話から新たなアイデアが生まれる「創造のハブ」を目指しています。

2.エントランス・受付

正面玄関を入ると、まず圧倒的な存在感を持つ受付カウンターが出迎えます。兵庫県産・樹齢300年の大木を丸ごと用いた一枚板のカウンターは、彫刻家・向山聖氏の作品。企業の永続性・良縁・進化する力を象徴しています。

入口および2階ガラス面には、アーティスト・アイコン氏によるアート作品「よしま」が展開。壁画は「人の世の起源から現代に至るまでのストーリー」をテーマに描かれており、視点・距離・角度によって異なる表情を見せます。

3.1Fロビー・バーカウンター

1階ロビーには、出羽三山由来・樹齢300年超の大杉を用いた彫刻家・大平龍一氏によるバーカウンターを設置。非日常的な角度の彫刻と圧倒的な存在感が、訪れる人に特別な体験を提供しています。現在は整備工場の受付ロビーとして来客対応の拠点ですが、幅広い活用が目されています。

中西:基本は整備工場のロビーになるんですけど、もし認知度も上がってくれば、食品衛生免許なども取得して、一般の人もくつろげるカフェスペースのような使い方も考えています。バイロンベイさんに常駐してもらって、ヨシノ木更津店みたいな感じにすることも検討しています。ドライバーで休憩したい人も、一般の単なるカフェにコーヒーを飲みに来る人も、近所の人でも気兼ねなく使ってもらえるような空間にしたい。整備工場だから整備する人しか来ない、という概念を壊したかったんです。

4.執務エリア・フリーアドレスラウンジ

【フリーアドレスワークラウンジ】2階の中心を占めるのが、完全フリーアドレスの多目的ワークラウンジです。来客のくつろぎスペース、取引先との打ち合わせ、社内ミーティング、個人作業など多目的に活用できます。大型の曲線デスクは体にフィットするデザインで、長時間の作業にも配慮されています。

【ガラス張りバックオフィス】フロント業務・デスクワーク担当の常駐エリアはガラス張りで、視認性と開放感を確保しています。

5.応接室・会議室

中西:ロッシュボボワというフランスのメーカーブランドのソファ家具を一式入れています。VIPルーム的な使い方も想定しています。カーテンを閉めることができるのでプライベート感も演出できますが、今回のオフィス内の全てのトータルコンセプトが、なるべく壁を作らない、オープンな空間というのを一番大きなコンセプトにしているので、完全に閉鎖的にはならないようにしています。手の届きにくい贅沢なものに触れることが、社員の感性を磨く。それが仕事の質にも繋がると思っています。

【会議室】リモート会議や幹部会議・運営会議など、秘匿性を要する場面に特化した専用会議室も確保しています。通常の打ち合わせはオープンエリアで行い、会議室は本当に必要な場面のみで活用するメリハリある運用を想定しています。

6.ステップフロア・ラウンジ(高さ7.8m)

吹き抜けのステップフロア・ラウンジは、高さ約7.8メートルの開放的な空間。複数の段差に座席を配置し、社員が気軽に集まって会話・アイデア共有を行える「創造のハブ」として位置づけられています。カラフルで存在感のあるロッシュボボワのソファが各所に配置され、天井からの植栽が自然の豊かさを演出。非日常的な発想を促す空間を作り上げています。

7.コンテナハウス(会議・商談スペース)

オフィス棟内には、実際のコンテナを改装した会議・商談スペースを設置。「トラック会社らしさ」を空間デザインに落とし込んだ独創的なアイデアで、企業アイデンティティとデザイン性を両立させました。

8.メカニック向け福利厚生スペース

中西:シャワールームとロッカールームを完備しています。うちの独身の社員が「うちの家よりシャワールーム広い」って言っているくらいです(笑)。メカニックスタッフの休憩所には人工芝を敷いて、横になれるスペースも作りました。エンジニアには冷房が入ったことを素直に好評されています。当たり前のことかもしれませんが、これまでの整備工場では当たり前じゃなかった。「働く場所がかっこいい」「快適だ」と感じてもらうことが、いい仕事につながると思っています。

9.サステナブル家具とアート

オフィス棟の家具は、サステナビリティへの強いこだわりのもと「未来創作所」に一括調達を依頼。素材・製法ともにSDGs方針に合致した選定がなされています。

中西:実はプラスチックや海洋の廃材を使用しているんですよ。デスクもテーブルも、全てSDGsということで、リサイクル材を用いた材料で全部作っています。家具類は未来創作所さんで全部調達しました。丸テーブルは古着をアップサイクルした素材、四角テーブルは海洋プラスチックを使った天板、会議室テーブルは端材を圧着・再仕上げした再生素材。高級感がありながら環境に配慮している――そういうものに囲まれて働くことで、社員の意識も変わっていくと思っています。

主な家具・素材の一覧:
・受付カウンター:樹齢300年の大木一枚板(向山聖氏作)
・バーカウンター:出羽三山産 樹齢300年超大杉の彫刻(大平龍一氏作)
・丸テーブル:古着アップサイクル素材「ファネコ」を使用
・四角テーブル:海洋プラスチック(青・緑要素)の天板
・会議室テーブル:ツキ板端材をクラッシュ・圧着・再仕上げした再生素材
・応接ソファ:ロッシュボボワ(仏)製。カラフルで存在感あるデザイン

10.バルコニー・屋外テラス

中西:普通に公園っぽく思ってもらえるようなスペースを用意しました。お客さんでも、うちの社員でも使えるようにしています。今後は全部、ツタで覆い被さるようになる予定で、数年経てばここにもちゃんとしっかり芝も生えて、集まって座って休憩できるスペースになります。植木から中の植木まで全部、叢(くさむら)さんという会社にお願いしました。南北2つの広いバルコニーからは、木更津の海が一望できます。来てくれたお客さん同士が自然と話しはじめる――そういう偶発的な出会いを作る場所にもなればいいと思っています。


ファストエレファントLabo棟 次世代型製造拠点

木更津工場のFE・架装工場は、シャーリング・ベンダー・アイアンワーカーなど最新加工設備の充実と、ゴールドをテーマにした空間デザインが融合した次世代型製造拠点です。ワンオフ製品の完全内製化を実現し、納期・品質・コストの競争力を大幅に高めます。快適な作業環境への投資は従業員満足度の向上にもつながり、地域製造業における新たなモデルケースとなることが期待されます。

1.工場コンセプト シルバーとゴールドで描く2つの世界

本施設で特に目を引くのが、部門ごとに色分けされた壁面デザインです。隣接する整備工場との区別を明確にし、各エリアの役割を視覚的に表現しています。

整備エリア(シルバー):維持管理・保全が主業務。落ち着いたアルミ調のシルバーで、安定感と信頼感を表現。

FE・カスタムエリア(ゴールド):製造・創造性の高い作業空間。ゴールドのグラデーションでクリエイティブな性格を表現。

このデザイン方針は機能性と視覚的な分かりやすさを両立させた独創的なアプローチです。グラデーションも意図的に取り入れ、部門の特性を空間全体で表現しています。

2.主要設備の紹介

①シャーリングマシン:最大3m・厚さ6mmの鋼材切断に対応する板材専用切断機。架装製作における基幹設備の一つです。長尺材料の精密な切断が可能で、様々なワンオフ製品の素材加工を担います。

②ベンダー(プレスブレーキ):最大3m・厚さ6mmの鋼材を折り曲げ加工できるベンダーを導入。90度曲げから角パイプ・アングルの成形まで対応し、架装の形状形成を担う重要設備です。

③アイアンワーカー:アングル材などの加工に特化した複合加工機。穴あけ・切断・ノッチングなどを一台でこなし、架装製作の多様な工程をカバーします。

④細加工エリア(中央左奥):コーナーシャー・グラインダー・ボール盤を集約した精密加工ゾーン。部品の微調整や仕上げ作業を効率的に行える専用エリアです。

⑤2トン天井クレーン:2トン対応の天井クレーンを設置し、重量物の搬送・設置作業を安全かつ効率的にサポート。床面スペースを圧迫せず、工場内の動線確保にも貢献します。

3.製造能力 ワンオフ製品の内製化

各設備の組み合わせにより、これまで外注していた様々な製品を工場内で一貫製造できる体制が整いました。

・踊り場のステンレス加工
・工具箱の製造
・トラック側面用アングル部品の内製化
・各種架装部品のワンオフ製作

中西:踊り場のステンレス加工や工具箱などを製造します。すべてここでワンオフで対応できるようになります。

納期・品質・コストのすべてで競争力を高める体制が実現します。

4.レイアウトと保管計画

2階に部品庫を設置し、大・中・小サイズで部品を分類保管。必要部品を作業エリアへ下ろす動線も確保されており、現場の作業効率を大幅に向上させます。

5.作業環境・インフラへのこだわり

「快適で誇りを持って働ける職場」を目指したインフラ整備が随所に光ります。

・冷暖房完備:エンジニアから特に高評価。夏冬問わず安定した作業環境を実現
・2重シャッター:防音・断熱・セキュリティを強化
・コンクリート打設:耐荷重・衛生面に優れた床面
・エアタイル屋根(福岡発祥):断熱性・通気性に優れた屋根材を採用
・天井クレーン・通風など細部にわたる工夫

特にトイレは見どころです。各室で仕上げを変えるなど施主のこだわりを随所に反映しています。

6.ラボスペース(実験室)

工場に隣接する形でラボスペース(実験室)を設置。現在は稼働前の準備段階ですが、マトリックス製品を実際に試用し、使用感や有効性を検証する専用スペースとして活用予定です。製品開発・改良サイクルの迅速化に貢献することが期待されます。

整備工場 最新設備で動線・安全・デザインを一体化

整備車検を行う整備工場も最新設備で充実しました。車検・整備業務の効率化と作業環境の快適性を同時に追求しています。設計段階から動線・安全・デザインを一体的に検討し、働くメカニックのモチベーション向上にも配慮しています。暑さ・寒さ・雨・風などの外的要因に左右されにくい安定した作業環境を実現するとともに、敷地の余裕を活かした100%の作業スペース活用を達成しています。

1.ゾーニングとレイアウト

工場内は用途に応じて明確にゾーニングされています。

・車検専用エリア(1列):車検ラインシステムを配置し、検査フローを標準化
・中央整備レーン(2列):四柱リフトによる同時多台数整備に対応
・奥エリア:フロアリフト(2分割対応)を設置し、柔軟な整備メニューに対応

付帯設備の配置も機能的に設計されています。

・入口左手:廃油スペース・油脂庫を集約し、安全・衛生面を強化
・トイレを併設、隣接する2階部品庫へのアクセスも確保
・下層工場とシンメトリーな構造で、運用性と将来的な拡張性を確保

2.主要設備の紹介

①車検ラインシステム(安全自動車「ラインマスター」):車検ラインのシステム化により、安全性と処理効率を向上。検査フローの標準化を実現し、検査品質の均一化に貢献します。

②ツインパワーリフト:上昇・下降時に床面とフラットになる構造を採用。車両受け入れ動作をスムーズ化するとともに、工場内の視認性・開放感を高め、圧迫感を軽減します。

③四柱リフト(特注仕様):ボルボ等の大型車種にも対応すべく、2台同時作業を想定した四柱リフトを採用。アタッチメントは特注で交換可能な構成となっており、多様な車種・整備内容に柔軟に対応できます。

④2分割フロアリフト:車両前後で別作業を同時実施できる2分割構造。前後プレートを一括または片側ごとに下降できるため、作業内容に応じた運用が可能です。2台並べての同時作業スペースも確保されています。

⑤自立式リール架台:配線やホースの取り回しを最適化する自立式架台を導入。作業効率と省力化を両立し、動線の安全性向上にも貢献します。

⑥天井クレーン:上部設置により重量物の搬送を安全・効率的にサポート。床面スペースの有効活用にも寄与します。

3.ユーティリティ・インフラ設備

電源・バッテリー対応:上部配線のケーブルにより、一般電源およびバッテリーの充電・ブーストに対応。各作業位置への電源供給を確保しています。

エア系統:複数ラインのエア系統を配備(バルブあり)。用途に応じて異なるホース径を使い分けられる構成です。

オイル管理システム:オイルパンは独立した位置に設置し、タンクからの配管・給油ガンで供給。ドレンはプラグ経由で実施するレイアウトとなっており、オイル管理の効率化と安全性を両立します。

4.デザイン・ブランディング戦略

本工場の大きな特徴の一つが、機器デザインへのこだわりです。通常は緑色が標準の整備機器を、特注のオレンジカラーに変更。工場全体のアクセントカラーとしてブランドイメージを強化し、視覚的な一体感を演出しています。

「働く場所がかっこいい」という体験価値は、メカニックのモチベーション向上と生産性改善に直結します。スタイリッシュな空間設計と最新設備の組み合わせが、人材定着・採用力の向上にも寄与することが期待されます。

< 対談一覧に戻る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加