
トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第112回
ジャパントラックショー2026 レポート
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トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第112回
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「貴方はセクシー!? 職人技と最新技術が一触即発なFE出展車両を徹底解剖」
2026年、パシフィコ横浜でジャパントラックショー2026が開催されました。我らがファストエレファントも、今年は3台のカスタムトラックを引っさげて出展しました。今回は初めてKWD、セノプロトラックスとヨシノ自動車という、三社による正式な共同出展というかたちでブースを構え、車両だけでなく電装パーツの展示・販売にも力を入れました。ユーロカスタムをベースにしつつ、海外仕様のパーツ、手仕事感あふれる職人のクオリティ、そしてAIを含む最新の電装システムまで――。今回もディレクターのアルフレッド中渡瀬と社主の中西俊介に、それぞれの車両を解剖してもらいました。
編集・青木雄介
WEB・genre inc.

一台目は、昨年お披露目した「KUNIO」の続編「KUNIO2」です。今回も製作は、長崎の三晃自動車工業。前作「KUNIO」の評判の良さを受けて、今作はワインレッド調の「ニューヨークKUNIOレッド2」を纏った妖艶な一台に仕上がっています。海外調達の極太8インチパイプ、KWDのAIコーナーカメラ、光るパイピングのシートなど練られたヤバさが随所に仕込まれていました。
――― 去年に引き続いてKUNIOくんですね。
アルフレッド:KUNIOくん2でございます。前回同様、KUNIOさんにほぼほぼお任せです。ただ、今回は車両の入荷がカツカツだったんですよ。三月中旬ぐらいにこの車両が入ってきて、速攻でうちのパーツをつけて、そこから三晃さんに任せたので、KUNIOさんにしてはちょっと優しめなカスタムかな、というところではあります。

――― こちらはテーマがあるそうで。
アルフレッド:そうですね。今回は「シティライフ」というコンセプトで、このクルマはニューヨークの摩天楼をイメージしています。だから自由の女神なんです。もっとも、三晃さんがどうしてもといって、筆を入れてきちゃって(笑)。それはそれでいいんです。らしさという意味でね。基本的には、隠れたところを作り込んでいて、外観は品よくまとめています。マジョーラを入れたり、色が微妙にツートンになっていたり、というところですね。

――― たしかに自由の女神が入ってますね。さてカスタムを見て行きましょう。下のリップスポイラー、今まではバーを使うことが多かったですが。
アルフレッド:そうですね。うちはジャンボのバー推しだったんですけど、今回はリップスポイラーで決めよう、みたいな。ちょっとスタイリッシュにしてみました。まず下のリップスポイラーから、ジャンボのバーまで一通り、基本的なところは装備しています。
――― 色はちょっとワインレッドっぽい色ですね。
アルフレッド:これはKUNIOさん独自の色ですね。真似できない「ニューヨークKUNIOレッド2」です。ちょっと夜の世界っぽい妖艶さがあるでしょう(笑)。

――― 確かに。こちらの新しくつけているパーツは?
アルフレッド:今回新しくつけたのは、トララート(TRALERT)のATRAS 320というフォグランプです。Tの字みたいに光るのが面白いですね。上はストランズのFOR9T(フォーナイン)DRAGON DRIVE9ですね。あとは、KWDさんが推しているAI機能付きコーナーカメラを新しくつけています。
――― AI機能付きコーナーカメラ、というのは?
アルフレッド:キャビンの左先端にセンサーがついていて、コーナーアイで、人間がいたり車がいたりすると反応するんです。感知して判定します。

――― すごいですね。それと珍しく2デフ(ダブル)ですね。
アルフレッド:前回はシングルだったんですけど、今回はダブルにしました。ダブルの方が恰好いいかな、と。やっぱり圧倒的な存在感が出ますね。受けが良かったのもありますし、KUNIOさんにはなんかずば抜けた、他の人にはないセンスがあるんですよ。普通のカスタム屋さんって、自分のやりたいようにはやらないんです。でもKUNIOさんに任せると、プラスアルファで自分のやりたい内容も盛り込んでくれて、そのセンスがいい。だから、やっぱりお願いたくなっちゃうんですよね。

――― なるほど。このパイプも、またとんでもなく太いですが。
アルフレッド:これは8インチですね。僕が海外から仕入れたパイプで、日本ではなかなか無理なサイズなんですよ。やっぱり、漢なら太さで、勝負でしょう(笑)。

――― 確かに。パイプは実際に排気系から繋いでいるんですか?
アルフレッド:いや。繋いでる風ですね(笑)。でも、あえてこの部分を見せることによって、錯覚させられてしまうんですよ。「本当に出してるんじゃないか」って。遮熱板もつけたりしてるんで、よりリアルなんです。あ、あとは後ろ泥除けファストエレファントオリジナルでつけているのも注目して欲しいですね。

――― 良いですね。内装はどうなっていますか。
アルフレッド:雅の、光るシートをつけています。これはちゃんと見てもらいたいですね。パイピングが光るんですけど、これがセクシーなんですよ。ニューヨークシティですから(笑)。

――― なるほど。この塗装、すごい仕上がりですね。漆を塗ったような質感です。
アルフレッド:そうですね。歴代いろんなコラボをしながらカスタムしてきましたけど、やっぱり三晃自動車工業さんの塗装のクオリティはダントツだなと思います。今回は塗装と煙突、あと踊り場のところが三晃さん、他は全部うちでやりました。
――― テロッとした、ツルッとした質感ですね。
アルフレッド:そうなんです。これも実は、今このLEDの白い照明だと分かりにくいんですけど、太陽の光に当たると結構真っ赤、本当に鮮やかなワインレッドみたいになるんですよ。逆に正面から光が当たらない角度だと、結構黒く見える。

――― 何層にも塗っているんですか。
アルフレッド:下地を黒で塗ってあるんですよ。その上からこのワインレッドを重ねている。だから、すごく深みのある色が出るんです。

二台目は、運送会社アオキミツル商事さんに納める一台。当初は自社デモカーとして自由に製作する予定でしたが、タイミングが合い、ファストエレファント初の「クライアント付きデモカー」として生まれ変わりました。アオキさんから長らくご愛顧いただいている、お馴染みのフレームス(ファイヤーパターン)を、ピンストライパーのKEN THE FLATTOP氏が描き、塗装は岡山熔接が担当しました。

――― ABEL4はアオキミツル商事さんのスペシャル仕様ですね。
アルフレッド:そうですね。今回、最初はうちも好き勝手にもう一台、デモカーを作ろうとしていたんですよ。ただ、アオキミツル商事さんにボルボを買っていただくことになって、それで「トラックショー仕様で造っていただけるなら一緒にやりますか」と。もちろんフレームスを描いてもらって、出すことになりました。うちとしては、初めてのお客さん(クライアント)付きのデモカーです。

――― 最初から買い手が決まっているデモカー、ということですね。
アルフレッド:そうです。青木さんもずっとこのフレームスで来ています。フレームスはやっぱり会社のカラーですよね。今回もすごくいい色だと思います。


――― ピンストライプを描いたのは、ケンさんですか。
アルフレッド:KEN THE FLATTOPのケンさんです。ベースはもう全部出展前に描いてもらいました。エアブラシと筆で。会場では追加で、50周年記念仕様のロゴを入れてもらっているところです。

――― リアやサイドバンパーも独特な造形ですね。
アルフレッド:サイドバンパーやリアまわりはワンオフですよ。岡山熔接さんに造ってもらいました。塗装も岡山熔接さんです。この辺は、すごく恰好よく仕上がっていると思います。足回りはフルエアサスでベタベタに落としています。

――― 真ん中のセンターバーもすごく太く見えますが。
アルフレッド:いつもと一緒ですよ。お馴染みのジャンボです。ただ、塗装で少し膨張して見えるのもあるかもしれませんね。基本はエアロ押しと、FH16の縦溝のグリル。フルエアサスでズドッと落としたところに美学がある、という感じです。

三台目は、今回の共同出展パートナーである輸入パーツメーカーKWDの電装パーツをふんだんに盛り込んだ一台。一見すると「なぜこんなについているのか」と思うほどの電装機器が、てんこ盛りでまとめ上げられ、話題のAI技術まで搭載。車だけでなく「商品」としての電装パーツを提案する、KWDとの共同出展の象徴的な一台といえます。

――― このKWDさんとの車は、出来上がりとしてはどうですか。
アルフレッド:やっぱりKWDさんが、いろんな電装パーツのメーカーのインポーターをやっているので、そこのパーツをふんだんに組み込んでみました。一般的な基準から見ると、「なんでこんなについてるの?」っていうくらいなんですけど(笑)。
――― でも、バランスよくまとまっていますよね。
アルフレッド:そうですね。最終的にはバランスよく収まっていると思います。AIだったり電装系の進化が、やっぱりすごいんですよ。今回の車には、そんな最新の電装システムを実装しています。

――― このパーツ構成は、他では見ないですよね。
アルフレッド:仕入れ先がKWDさんで、うちがジャンボとストランズのパーツを全部盛り込んでいます。こんなパーツを使っている人、いないじゃないですか。これ、新作なんですよ。フォグランプとかも全部新作を使っています。
KWDのボルボをプロデュースしたのは、同社で安全・運転支援システムの開発と販売を担う宇山航平氏です。電装パーツのインポーターとしてだけでなく、グループで運送会社を営む立場から見たトラックの未来について、語っていただきました。

――― こちらは、ファストエレファントさんの2台とはまた趣の違う一台ですね。どんな狙いで仕上げたのでしょう。


宇山:弊社は、ヨシノさんからVOLVOを一台購入させてもらって、自分たちが代理店として扱っているメーカーのロゴを散りばめた一台に仕上げました。ジャンボ、ストランズ、OZ、ビヨンドアイ、モボーン……カメラ系のメーカーも入っています。車両込みで、総工費は3千2、3百万ほどですね。ただ、うちは運送会社もやっているので、あまりイケイケでやりすぎると現場で使えなくなってしまう。だから、カスタムを落としても気にせず使えるような、シックな色合いでまとめました。見た目のインパクトより、実用性を優先しています。

――― 特に注目してほしいのは、どのあたりですか。
宇山:一番見てほしいのは、中に組んだ3Dサラウンドビューのシステムです。最近の乗用車には、サラウンドカメラが当たり前のようについていますよね。あの感覚に慣れた人がトラックに乗ったとき、違和感なく使えるUI(ユーザーインタビリティ)を作ろうと思ったんです。グラフィックは自分たちで起こして、タッチパネルの操作画面を、一緒に出展している韓国メーカーと共同で開発しました。テスラのように、画面をタッチして直感的に周囲の危険を把握できる。これはたぶん、日本初なんですよ。トラックメーカー各社にも話はしていますが、正式採用は2032年頃の見込み。それなら、もう先に入れてしまえと(笑)。自社の車両で、先行してトライアルしているわけです。

――― すごいですね。ほかにも、いろいろな機能が入っているそうですね。
宇山:AIで人を検知する技術そのものは、メーカーが様々なOEMと共に実績を積んできたものなんです。それをトラック用に展開しているのが、いまの取り組みですね。ほかにも、国産車にも後付けできるミラーレスカメラ(これは新型のVOLVOに採用されております)や、居眠り検知のシステムも開発しています。居眠り検知はバイブレーションユニットと組み合わせていて、運転手が目を閉じると、本人にだけ分かるように振動で知らせる。大きなアラート音だと、かえってバスの車内などでは乗客を驚かせてしまいますから。実はこれ、通勤電車でもトライアルしているんですよ。

――― お話を伺っていると、見た目以上に中身が本命なのが分かります。
宇山:弊社は、こういうピカピカ系の電飾で派手なカスタム製品も手がけますけど、本当の売りは、こうした安全系のシステムなんです。運送会社として実際に現場を持っているからこそ、本当に必要とされる技術が分かる。そこが、KWDの強みだと思っています。


3台を世に送り出したファストエレファントを率いる中西俊介に、今回の出展全体を総括してもらいました。

――― 今回、初めて三社共同出展というかたちにされましたね。手応えはいかがですか。
中西:そうですね。今までも隣同士で出展する、ということはあったんですが、今回は本当に正式に、うちとKWDさんとセノプロさんの三社で共同出展というブースにしました。100社以上が参加している中で目立つには、やっぱり見てもらえるブース作りが一番大事です。今回はKWDさんの電装パーツ系をちゃんと展示して、車だけじゃない商品も販売しています。認知度や知名度はある程度取れてきたので、ここからさらに深掘りして、実際にビジネスパートナーとしてつないでいきたい、ということですね。

――― 今回、ABEL4のようなクライアントありきの車両を、そのまま出展されたのも珍しい試みですね。
中西:そうなんです。「ワイルドライフ」のコンセプト枠なんですけどね(笑)。ただ今回は240万かけて造ったクライアントありきの仕事を、求められた仕様そのままで展示する。それをやってみたかったかな。

――― 実際に購入されて使用されるためのデモカーですよね。コンセプトも、最初の構想からは変わってきているとか。
中西:良くも悪くも、最初のコンセプトからずれてくるんですよ(笑)。シティライフはニューヨークの摩天楼から始まったんですけど、三晃自動車さんの自由の女神の絵ももともとは無かった。でも、「とても良い方向にぶれた」と思っています。スタイルは大事ながらも、隠れたところを作り込む。結果的に良かったなと思いますよ。

――― 今回の3台は、いずれもワンアンドオンリーですね。AIの導入など、技術的にも一段進んだ印象を受けました。
中西:今回はKWDさんとの共同出展で、電装系とAIをきちんと見せられたのが大きいですね。職人の手仕事と、世界中から集まってくる電装・AIの技術。その両方を一台の上で握手させられた。毎回少しずつステップアップしていますが、今回はそこを特に意識しました。あとはちゃんと、実売につなげていかないといけませんけどね(笑)。
