株式会社ヨシノ自動車

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第21回

UDトラックス株式会社 ボルボ・トラックセールス バイスプレジデント 関原 紀男 様

UDトラックス株式会社
ボルボ・トラックセールス
バイスプレジデント
関原 紀男 様

「モデルチェンジ以上の衝撃!? 生まれ変わったボルボ新型FHの全容とは」

この秋、ボルボ・トラックのトラクターであるFHに新型が導入されました。外見は変わらないですが、中身はこれまでとはまったく違うトラックになっていると言えます。既存の440馬力モデルが460馬力へ、ハイエンドモデルの520馬力が540馬力となり、衝突被害軽減ブレーキが標準装備となりました。けれども今回のモデルチェンジの本題はここからです。新型FHは最新のステアリング補助機能であるボルボ・ダイナミック・ステアリングを搭載し、I-シフトのオプションにデュアルクラッチと、超低速ギアであるクローラーギアを導入。さらに国内外全メーカーで初となるアイドリングなしで冷房が使用できるI-パーククールを全車標準装備としました(フルリーフ車を除く)。今回の鍵人訪問記では、第1回でご登場いただいたボルボ・トラックセールスの関原紀男氏を再びお迎えして、衝撃のモデルチェンジの全容をお伝えします。

写真・薄井一議
デザイン・大島宏之
編集・青木雄介

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その衝撃は黒船級!? ボルボ・ダイナミック・ステアリングとは。

____2014年に現行のFHが日本に導入されました。今回は外見が変わらないので、新型へのマイナーチェンジという位置づけでしょうか。

関原:そうですね。外見は変わらず、搭載される機能が大幅に変わりました。安全性や排ガス規制など、日本の法規制に適合しなければいけない部分を改良し、ボルボ・トラックの最新技術を(一部)標準搭載してご提供しよう、というのが我々としての考え方ですね。大きなと変更点として、4つほど柱があります。そのひとつはまずボルボ・ダイナミック・ステアリングです。これは全車標準装備になります。運転をしている時に、轍などの路面の状況を受けてハンドルが取られたりしますよね。その路面から力を相反させることで、ハンドリングの挙動を素直にしています。ドライバーがハンドルを切った分だけ挙動に反映され、ハンドルを切る力も最小限に抑えられます。狙いとしてはドライバーの疲労軽減の意味あいもありますが、例えば今後、高齢化していくドライバーや、女性ドライバーにとってもハンドルの取り回しがしやすくなる利点があります。さらにいえば、経験の浅いドライバーにも運転がし易くなります。ヨーロッパではオプション設定の機能なのですが、日本国内の市場ではあえて標準装備にしました。

____欧州ではオプション設定だったんですね。

関原:実は世界中でドライバー不足が問題になっているのですが、とみに日本のマーケットは急速な高齢化とドライバー不足が同時に起こってしまっていて、非常に追い詰められた状況にあると言えます。ですから車両に高い付加価値を与えることによってボルボの優位性をしめし、一層プレミアムな商品をご提供していく。ボルボは、そのようなポジションを固めていきたいという狙いがあります。今回、非常に大きな目玉となる機能ですね。

新型FHは“乗り手を選ばない”トラックになる

____了解しました。まずはボルボ・ダイナミック・ステアリングについて、中西社長も先日、体験されたということで、その感想からお教え願えますか。

中西:はい。そのハンドリングはもはやトラックではないです。関原さんの話でもありましたが、トラックは轍があればハンドルを取られるので、無意識にそちらに神経を使っているものです。運転中は集中しているので、実は気づかない内に疲労を感じています。その点、ダイナミック・ステアリングがあると、そのストレスがかなり軽減されるはずです。特に長距離ドライバーにとっては、ダイナミック・ステアリングの優位性が際立つと思います。

____なるほど。やはり疲労軽減につながるんですね。それと高齢者や女性ドライバー、未経験なドライバーでも運転しやすいから、“乗り手を選ばないトラック”と言えるかも知れないですね

関原:そうですね。トレーラーの後進は非常に技術的に高いものを求められます。とはいえ、慣れない方でも、たとえ狭い場所での後進であっても、取り回しはしやすく感じられる筈です。

ダイナミック・ステアリングでトレーラーバックが誰でも上手くなる!?

____ そんなに違うんですね? ドライバーにとっては朗報としか言いようがないのですが。

関原:全然、違います。アクション俳優であるジャン=クロード・ヴァン・ダム氏を起用したプロモーションビデオ見ていただくと分かりますが、2台のトラックとトレーラーの間にヴァン・ダム氏が足をかけて直立しています。2台の車両は分かりづらいですが後進しています。トレーラーは真っすぐ後進すること自体が難しいので、通常のトレーラーならありえない、技術的に高度なスタントをしていることがご理解いただけると思います。トレーラーというのはちょっとでも横に振れれば逆カウンターを切らなければなりません。


Volvo Trucks - The Epic Split feat. Van Damme(ヴァン・ダム氏出演によるダイナミック・ステアリングCM)

____結果、予期せぬ方向に車体が進み、コントロールしにくい。

関原:はい。ボルボ・ダイナミック・ステアリングが付いていれば、まっすぐの状態で後進しさえすれば、そのまままっすぐ後進できるのです。その点、運転のしやすさは格段に上がると考えています。ボルボ・ダイナミック・ステアリングは、誤解されやすいのですが、パワーステアリングなどのブースター系の機能ではありません。確かに以前よりハンドルは軽くなっていますが、大事な点は「ドライバーの意志に車がそのまま従ってくれるシステム」ということなんです。例えばタイヤの下に轍があっても、障害物が存在していても、ドライバーがまっすぐに走りたいと思えばまっすぐ走らせることができる。それが大きな違いですね。この機能はボルボだけの特許で、他社にはその機能は存在しません。

デュアルクラッチ導入とともに標準のシングルクラッチも大幅進化

____了解しました。素晴らしい機能ですね。では次にデュアルクラッチに話を移しましょう。本日、私自身も新型FHを試乗させていただきました。デュアルクラッチではなかったのですが、I-シフトが改良されていて、以前よりシフトスピードが速くなっていました。さらにすごくスムーズになっているのに驚きました。むしろ「これで充分なのではないか」と思うぐらい(笑)、速かったです。デュアルクラッチはさらにそれより速くなってくるわけですね。

関原:はい。 デュアルクラッチを開発したのと同時に、Ⅰ-シフトの演算速度が以前より上がっているので、シングルクラッチであっても、つなぎは速くなっています。積載する重量が大きくなればなるほど、その差は歴然と出てきます。上り坂で重量をフル積載している場合では、加速した時にどうしてもクラッチをつなぐ瞬間に出力のロスが出てしまいます。デュアルクラッチは、それがほとんどなく、スムーズに坂を上がっていくイメージを持っていただきたいですね。サーキットで連結積載した試乗会も来年、行いたいと考えています。

____乗れば分かるということですね。

関原:はい。現在でも同じ重量を積んで国産メーカーの車両と一緒に走ると、上り坂では引き離してしまうらしいのですが、それ以上に速く登っていきます。結果として速さだけではなく、低燃費に寄与します。失速する時間が短くなるわけですから。デュアルクラッチは一部の国産小型トラックで実績がありますが、大型では世界初になります。デュアルクラッチは偶数段と奇数段にコンポーネントを分割し、どちらかを使用している間、他方が次のシフトチェンジに待機しています。F1などのモータースポーツで使用されているテクノロジーを商用車に持ってきました。

____デュアルクラッチは乗用車でも重量があって、高馬力高トルクの乗用車には搭載が難しいと言われています。それが大型トラックの出力に対応するのは、本当にすごいことだと思います。


I-Shift vs. I-Shift Dual Clutch(I-シフト vs I-シフト デュアルクラッチ)

シングルで540馬力デュアルクラッチという国内最強モデル

中西:そうなんですよ。今回は外観が変わっていないので、モデルチェンジと聞いても「何が変わったんだろう」と不思議がられるんです。でも今回のモデルチェンジは「乗ればわかる」全く違う車のように感じられるはずなんです。そんな乗れば分かる車を販売する方としても、どうアピールしていくかが課題です。新型FHはマイナーチェンジと言いつつ、モデルチェンジ以上の衝撃がありますよね。

____それと先ほども言いましたが、標準のシングルクラッチ・タイプのものでも、相当に速くなっている。元々、ボルボの I-シフトは速さに定評がありましたが、さらに速くなっています。

関原:トレーラーを牽いてない状態でそう感じられるのでしたら、デュアルクラッチで牽くとさらにその違いを実感されるでしょう。依って、重量物を牽引するだろう540馬力の高馬力モデルにしか設定はありません。ですからシングルトラクターでも540馬力を選べば、デュアルクラッチが選べます。

クローラーギアで高まる、超重量物輸送におけるボルボの存在感

____それは最強のシングルトラクターですね。I-シフトに関連して、今回はオプションで待望のクローラーギアが導入されました。公表値で325 トンを時速0.5kmで弾ける超低速ギアですね。

関原:実際に325 トンを牽く仕事というのは国内需要ではありえないですが、GCW(連結総重量)で100トンを目安にしています。100 トンあれば国内の需要にはほとんど対応できますよね。

____超重量物のトレーラーというのは、セグメントがいわゆるシングルトラクターとは違っていますよね。それは市場としてボルボが超重量系のセグメントを意識しているということですね。

関原:はい。意識しています。

____超重量物のトラクターというと、日本では欧州車のイメージが優先していると思います。やはり市場として、国産メーカーに先駆けて市場を獲りにいけるということでしょうか。

関原:現在、国産トラクターで第五輪軸重が20トン以上の車はないはずです。ボルボでしたら25トンがありますが、販売戦略に関しては許認可のステップを踏まえ、他メーカーがどう動くのかを見つつ、商品導入を決めていきますので、一概に日本市場にないものを入れて行けば良いというものでもありません。ボルボには中型車のラインナップもありますが、日本の飽和している市場で受け入れられるとは思っていません。逆に、未だ取り込める領域というのもまだまだあって、そこにボルボが参入することは考えられます。

____それは楽しみですね。

関原:ラインナップは、現状でも数年先まで見据えています。日本には導入できていないですが、本国で販売しているスペックも沢山あります。例えばヨーロッパで LNG(液化天然ガス)のFH は走っているので、日本のマーケットでその動きが出てくれば参入するかも知れません。商品戦略というのは長期的展望の中で市場環境に合わせて考えているので、まず第1弾としてクローラーギアを入れて、「540馬力あれば充分」と考えられているお客様に対してアピールをしたいですね。


Volvo Trucks - Running footage: I-Shift with crawler gears

ドライバーの長年の要望にこたえたI-パーククール

____ヨシノ自動車としても、クローラーギアはずっと欲しかった商品ですよね。

中西:弊社にも一部に、そういう要望があったことは事実です。そのリクエストを受けつつ、ボルボに商品がなかったのでスカニアをご紹介したような前例もありました。だからこそ、弊社がちゃんと、お客様を取り込める商品がラインナップに加わったのは素晴らしいことですよ。 市場をそこで大きく獲る意図がないとしても、パフォーマンスとして大きいですよね。ボルボだからこその、国産メーカーにはないスペック。そういう商品をヨシノ自動車で取り扱っているということは、非常に重要であると考えます。

____了解しました。では次に新機能としてI-パーク・クールがあります。これはエンジンをかけずに 冷房を使用できる快適機能ですね。これは全車標準装備ですよね?

関原:フルリーフ車には設定がありません。他は全車標準装備ですね。使用時間は時間で管理をするのではなく、バッテリー容量で計算します。通常のバッテリーの状態であれば8時間程度は稼働可能です。この機能は後付の機能としては多いのですが、コンポーネントとして車体に組み込まれているという例は国産でもありません。

中西:今までだとベバスト社製のパーキングクーラーを外付けで使用してきていました。「エンジンをかけずに冷房を使用したい」というリクエストはずっとありましたね。

本当の“ドライバーファースト”を実現するボルボ

____素晴らしいですね。

関原:利点として、一番大きいのは社外品では、室内機と室外機のスペースが必要になりますが、車体にビルトインされているので、エンジンを切ってもエアコンから使用できます。ボルボは、もともとパーキングヒーターは標準でつけていました。これに加えてクーラーがつくので快適にご休憩いただけると思います。夏も冬も、窓を開けず快適な状態でご休憩いただけます。

これもやはりドライバーさんの立場に立った機能だと考えています。北海道のディーラーも今回I-パーククールを標準設定にしたらすごく喜んでいただきました。「北海道でもやはり夏は暑いんだな」と(笑)。我々としては、この機能は非常に大きな訴求点になると考えています。 ドライバーファーストという言葉は、こういう機能を搭載できる開発力こそが本当のドライバーファーストだと考えているんです。これもヨーロッパではオプション設定なのですが、日本ではあえて標準装備にしています。

I-パーククールプロモーションイメージ © UDトラックス株式会社

____なるほど。ボルボが日本市場をどう位置付けているのかが、垣間見える気がします。

関原:ドライバーが満足する。それと同じく安全性が担保される。元々、ボルボ・トラックにはそういう理念がありますので、それを日本の市場で標準化していくところに意味があると思っています。

なぜボルボは衝突被害軽減ブレーキを導入出来なかったのか?

____その安全性でいうと、もともとボルボのトラックには自動ブレーキがあったにもかかわらず、日本市場で導入されていませんでしたよね。今回、あらためて衝突被害軽減ブレーキが搭載されるのも大きなトピックですね。

関原:はい。そうですね。これまでなぜ衝突被害軽減ブレーキが搭載できなかったかというと、自動ブレーキに対する考え方がヨーロッパと日本では違うからなのです。まさにヨーロッパでは自動ブレーキであり、日本では衝突被害軽減ブレーキという言い方になることが問題を言い当てています。 ヨーロッパは衝突しないで、完全に車体を止めてしまいます。被害軽減が目的ではありません。日本の市場ですと思いっきり止めてしまうと、荷物への損害が大きい。ですから、これまでの衝突被害軽減ブレーキというのは、ブレーキをかけつつ緩めながらも最終的な停止はドライバーに任されていました。ボルボ・トラックは、そのレギュレーションでは対応できなかったので、そこに合わせるのに時間がかかったのが理由です。

____なるほど。了解しました。国産も軒並み完全停止まですることになったので、ボルボ・トラックも自動ブレーキを導入することが可能になったんですね。なるほど。ここに来てやはり今回のマイナーチェンジは、モデルチェンジに相当するインパクトがあると言えますね。

関原:はい。冒頭でも話が出ましたが、今回の車は体の中の血液を入れ替えたぐらいのインパクトがあると思います。

新型FHから新たに導入される5つの安全装備(ASV)
 ●AEBS 衝突被害軽減ブレーキ
 ●ACC アダプティブ クルーズコントロール
 ●LDWS レーン キーピング サポート(車線逸脱警報装置)
 ●LCS レーン チェンジ サポート(車線変更支援)
 ●DAS ドライバー アラート サポート(ふらつき注意喚起装置)

乗れば分かる新型FHの違い

____さて、ヨシノ自動車はこの新型FH をどのように販売していくのでしょうか。

中西:今回はメーカーが主催する試乗会だけではなくて、ヨシノ自動車がオリジナルで開催するイベントをどんどん企画して、お客さんに体感していただきたいと考えています。今回は顔が変わっていない分、実際に乗っていただかないと始まらないんですよね。その機会をどれだけ多く作れるか、というのが鍵と考えています。変わったことは、言葉では知っていても、体験してみないことには始まらないトラクターだと思っています。試乗してさえいただければ、必ず受注につながるポテンシャルを持っていると考えていますね。

____2014年に出た現行モデルのお客さんなんかは、その違いもよくわかるし、タイミングとしても買い替えていただけそうな気がしますね。

中西:買い替えの時期であればそうかもしれませんが現在、ヨシノ自動車では顧客のお客様がお客様を紹介していただくケースが増えています。それでご購入いただける新規のお客様が非常に増えています。また顧客のお客さんも高確率で、リピーターになっていただけています。また「ボルボに乗りたい」と考えていただけるんですね。次もボルボ、仕事が増えたから増車もボルボ。そういう傾向にはなってきているので、ステータスが定着してきている実感があります。だからこそ「乗っていただく機会」を増やすことで、確実に販売を増やせる自信はありますね。

好調ボルボを支えるアフターサービス

関原:いま中西社長がおっしゃったことは、すごく的を得ていて、今回の新型FH はとにかく「乗っていただくのが一番」です。国産からボルボはもちろん、ボルボからボルボでも違いは分かっていただけるはずです。あと社長の言葉にありますように、ビジネスで使われる車で、紹介するというのは紹介する側も相当に勇気が必要になってきます。それはヨシノ自動車だけではなくて、他のディーラーでも紹介新規が多いとよく聞く言葉なのです。サービスも含めて、お客様にご支持を頂いているのだなと感じられて「嬉しいな」と感じましたね。

____ボルボが日本で定着している証拠ですね。

関原:日本全国でのネットワークの充実も含めて、定着しているのだと思いますね。

中西:我々自身もそれは感じます。弊社でボルボの正規代理店を始めて、もう18年になりますが、最初はそれこそ登録初日に壊れたりしていました。そこから考えると現在では同じ車とは思えないぐらいの信頼性があります。そもそも性能という点では、ずっと国産メーカーを上回っていましたからね。不満の多かったアフターサービスという意味でも、ここ最近でディーラーのネットワーク網など、環境が整ってきた印象があります。だからこそ紹介されるまでの商品になったのだと思います。

ボルボはなぜ低燃費をPRできないのか!?

____新型FHはデュアルクラッチのみならず、標準搭載のシングルクラッチもアップデートされたおかげで、確実に低燃費に貢献すると思います。これは私が取材をしていての実感値なのですが、確実に国産の他メーカーに比べてボルボは燃費がいいですよね。例えば20トン積んで高速道路をオートクルーズ状態で走ると、1リッターあたり6kmぐらい走れるという話も聞きます。これだけの低燃費性能を、なぜちゃんとアピールしないのか、ちょっと不思議なところではあるんですよね。

関原:燃費ばかりは積載量やドライバーの走り方によって、違いが出てきてしまいます。かつて実燃費の試験をやって、他の国産メーカーより2割ぐらい燃費が良いという結果もありました。現在は国産メーカーも燃費が良くなって、それほどの差はなくなってきているというのが、一般的な認識だと思います。ただ今までに燃費を悪く言われたことは、本当に一回もありません。どこへ行っても必ず良く言っていただけるポイントではあります。燃費というのは誰にでもお約束できる数値ではないのですが、おっしゃる通り、今回の I-シフトは劇的な進化を果たしているので、どれだけの数値が出せるのか検証してみたいです。

____絶対に良い数字が出ると思いますね(笑)。

サービスパッケージを一新し、購入しやすくなったボルボ

関原:現在の運送事業では、良いドライバーを確保しなければ生き残れないドライバー不足の現状がありますよね。ドライバーを確保して引きとめる。そのためのツールとして新型のボルボFH は「必ずお役に立てる」という自信があります。ドライバーが離れてしまって、再び募集をかけて採用するなどのコストを考えると たとえボルボが国産より初期投資がかかるとしても導入するメリットはあると思います。職場環境をより良くするという意味で ボルボFHが魅力ある職場環境にしてくれるはずです。

____新型FHは一度乗ると離れられなくなる魅力があると思います。

関原:ありがとうございます。今回は商品のみならず、新しくサービスパッケージも刷新しました。これまでは3年だったメンテナンス保証期間を3年と5年の選択が出来るようになりました。より大きな安心をもたらし、購入しやすくもなりました。今までは現金で、前払いでお支払いをお願いしていたのですが、それを3年もしくは5年の分割払いやリースが組めるようになりました。3年で保証は終わりますが、5年のメンテナンスプログラムはついてくる。これもリースで組めるようになります。リース会社の選択肢が広がるので、ディーラーとしても販売しやすくなるだろうと思います。経営者の方にとっても、車両購入費の平準化ができるので選択肢が広がります。

ボルボの思い描く未来のトラックとは!?

____購入に際してもより選択肢が広がり、顧客のロイヤリティも高まりそうですね。では話を変えまして、ボルボの考える自動運転の未来はどんなものなのか教えてください。

中西:今回のハノーバー国際商用車ショーは、現行のFHの25周年モデルが飾ってありました。最初はコンセプトカーが、どこにあるかわからなかったんですよ。そのトラックはキャブがないので全く目立たなかったんですね(笑)。

関原:そのトラックの名前はVERAですね。自律走行の電動トラックです。私自身、「ボルボがすごいな」と思うのは、彼らが描く商用車の未来とは、普通の人が思い描くような形ではないところにあります。常識的な考え方とは全く違うアプローチで将来を想像しているのが、非常にユニークだと思うんです。ですからVERAを最初に見たとき、「とてもボルボらしいな」と思いました。

____具体的に教えていただけますか?

関原:要は一般的に電動化した大型トラックというのは、どうしても既存のトラックのイメージがつきまといます。それを基に、どのようにレイアウトを変えて、どこにバッテリーを積もうかと考えますよね。VERAの場合はゼロからスタートして、この形になってるわけです。これは非常にボルボらしい発想だと思います。例えば先ほどのダイナミック・ステアリングにしてもそうです。I-パーククールにしてもそうですが、そもそも窮屈なエンジンルームに後付可能な装置を組み込んで搭載してしまうところが、ボルボらしさですよね。

コンセプトトラック・VERA(ヴェラ) © UDトラックス株式会社

____たとえ技術的に困難だとしても取り組むのですね。

関原:はい。ダイナミック・ステアリングにしても、 例えばスポーツカーのように、低速時はハンドルが軽くて高速時はハンドルが重くするような、ステアリングの取り回しの良さを目的にしているわけではありません。ドライバーの意思にそって、どこまでも正確な挙動で走らせようという、本質が目的になります。そして、それを商品化してしまう。そこが非常にボルボらしいところだと思っています。

革新的な技術を生み出すボルボのDNA

____いきなり核心を突いてくるような感じですね。結果、ボルボという会社がイノベーターたる由縁かも知れませんね。シートベルトや自動ブレーキを実用化した話は出すまでもないとは思いますが。

中西:私も本当に、その通りだと思います。隊列走行だったり、無人運転だったりという、本来そこにあるべきはずのプロセスを飛び越えていますよね。「ドライバー不足?」。それであればドライバーがいなくてもいいトラックを作ってしまおう。考え方はそういうコアを第一に考えていますよね。

____確かに、そうですね。ただVERAはあくまでもコンセプトカーで、実際に走行するものではないんですよね?

関原:いえ。走行可能な車両を実際に走らせています。ボルボの研究施設の道路でテスト走行を行っています。肝となる、バッテリーの重量や蓄電能力の進化が進めば、実用化はそう遠い将来ではないと思っています。VERAはシンガポールでのアジアのマーケット会議で一般に先行して公開されました。そこでVERAのプロモーションビデオが流れた時、満場の拍手に包まれました。「我々はこんな素晴らしい会社に働いているんだな」と私自身が実感しました。そういう感動は、ディーラーの方々とも共有していきたいのです。現在、ボルボ・トラックが適正価格で販売されていることも、ボルボの信頼性であったり革新性だったりがお客様に評価されているからだとも思います。それはボルボのブランドであり、ヨシノ自動車のブランドでもあると思うのです。

ボルボのエモーショナルなプロモーションについて

中西:そうですね。ディーラーにとってボルボというのはカタログひとつをとっても、プロモーションビデオをひとつとっても、トラックを直接的にPRする手法が少ないんですね。私が15年前にこの会社に入った時、手に取ったボルボのカタログはいわゆる商品カタログではなくて、写真集のような体でした。 そこに、いわゆるトラックの説明的な説明はほとんどなかったんです(笑)。

関原:それは現在でもそうですよね。

中西:「ボルボをドライブすることとは」といった具合に、ボルボを所有するイメージをエモーショナルに想起させ、心に訴えかけてくるようなプロモーション手法でした。それが「人生の中で最上の空間をもたらします」と自信に充ち溢れて書いてあるんですよね。その点がいわゆる国産メーカーとは決定的に違いますし、そこがボルボというブランドなのだと常々感じているところでもあります。1ディーラーとしてその販売手法を考えた時に、「このプロモーションは優位性があるな」とも感じているんです。

____なるほど。

ディーラーとしてボルボから学ぶこと。そのコミュニティについて

中西:並行して、我々自身がボルボ・ブランドから学ぶべきところも多いんです。それはこの18年間、ボルボ・ブランドとお付き合いをさせていただいて変わらず感じているところですね。これは現実的な話になりますが、ヨシノ自動車でお客様との交流会のようなアウトドア・イベントをやった時に、半分ぐらいはボルボ・トラックのオーナーの方々がいらっしゃっていただける。弊社のボルボ・トラックを買っていただいてるお客様たちがそうなのかもしれませんが、我々としてはボルボ・トラックという一つの商品を通じて、お客様とコミュニティを形成できるのは非常に大きなメリットだと感じているんです。そんなお客様との接点、密な関係度合いがやはりボルボならではのコミュニティではないだろうかと思うんです。もちろん良いことも、悪いこともあるんです。ただ何かしらお客様達はボルボ・トラックに惹きつけられていて、そうせずにはいられなくなる求心力を持つトラックなのだと思います。

____商材としてのボルボというのは面白い視点ですね。

中西:荷種によっては、ボルボ・トラックにしかできないこともあります。どうしてもボルボに乗りたいから会社を始めたお客様がいて、そのお客様が大口の顧客を獲得してどんどん会社を大きくされていくのも、すごく嬉しいことだったりします。ボルボ・トラックを購入されるお客様というのは決して受け身ではないんですね。何事にもすごく真剣に取り組んでいらっしゃっていて、市場としては小さいけれど、すごく愛されているコアなユーザーの方々がいらっしゃる。それがだんだん市場環境が変わってきて、大手さんにも少しずつ導入の動きがあります。そう考えるとこの先は成長しかないと感じています。広がる余地しかない。ディーラーとして、また経営者としてはその面白さもありますね。

関原紀男(せきはらのりお)
1967年5月1日生まれ。青山学院大学卒。2006年に日本ボルボ㈱へボルボ・トラック・ジャパン(以下VTJ)のフリートセールスマネージャーとして入社、2010年に日本ボルボ(株)とUDトラックス㈱が合併し、2013年にVTJのダイレクターに就任。2015年にはUDトラックス国内車両営業本部のプロモーション&セールスのダイレクターに就任した後、現在は、ボルボ・トラックセールスのバイスプレジデントとして、ボルボ・トラックの国内マーケット責任者を務める。

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