株式会社Azoop(アズープ) 代表取締役 朴 貴頌様

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第30回

株式会社Azoop(アズープ) 代表取締役 朴 貴頌様

株式会社Azoop(アズープ) 代表取締役 朴 貴頌様

「トラック業界に“選択肢”を!“トラッカーズ”で仕組みを変えて、未来を変えるプラットフォームへ」

2018年1月からサービスを開始した、運送業界向け車両売買プラットフォーム「トラッカーズ」。現在では利用業者は500社を超え、メディアでは「トラックのメルカリ」と呼ばれています。そんなインターネットによる顧客同士を直接つなぐ売買プラットフォームは、いよいよ次の時代のスタンダードになる可能性を秘めています。今回はそんなトラッカーズを運営する朴 貴頌(パク・キソン)様にご登場いただきました。トラッカーズのサービス内容についてはもちろん、なぜこのサービスを始めるに至ったか? どんな意義を見出しているのか?など、起業家の側面に深く触れる対談となりました。また「実際に利用している」という中西社長が受けたトラッカーズの印象や、中古トラック業界がこれから変わらなければいけない環境と経営的な要因についても触れています。売買だけにとどまらない、次世代をになうトラックビジネスとは、いったいどんなビジネスなのでしょうか?

写真・薄井一議
デザイン・大島宏之
編集・青木雄介

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トラッカーズのスタート

____アズープを創業されるに至った経緯を教えてください。

:創業は2017年5月で2年ほど前になります。もともと実家が愛知県で、ヨシノ自動車さんと同じ中古車の販売業をやっています。僕はこの業界に2015年の秋ぐらいから入ってきて、運送会社だったり建設会社さんだったりに「トラックや重機を買って下さい」と営業をかけていました。とある時に、お客様から車の査定のご依頼を頂いて、7社ぐらい同業の方たちが見に来てくれていました。そのうち3、4社はお付き合いのある会社だったのですが、トラックを見てるポイントはそんなに変わらないのに、個別に足を運んでもらうのは、「すごく非効率だな」と感じたんですね。もっと情報のオープン化が進めば、「より効率的な売買ができるのではないだろうか」と考えたんです。

____トラッカーズのビジネスモデルはご家業に入られてから、思いつかれたんですね?

:そうなんです。それまではリクルートという会社に勤めていて、全く違う畑にいました。別に父も「会社を継いでほしい」という感じではありませんでした。ずっと私自身は「二十代で起業をしたい」と考えていまして、じゃあリクルートを辞めて「起業しよう」と考えた時に、父に「東京で会社をやりたい」という話をしました。そうしたら逆に「手伝わない?」と誘われまして、この業界に入ってきました。

業界の非効率さとは

____そこで中古トラック業界の非効率さに気づかれたわけですね。

:中古トラック業界というより中古車業界全体ですね。 その非効率さに衝撃を受けて、「これからどんどん変えていけるんじゃないかな」と可能性を感じました。

____まさに中西社長も他業界を経験されて、会社を継がれています。共感できる部分があるような気がしますが。

中西:僕の場合は、もう少し学生時代から家業を継ぐことを意識していました。僕も28歳からこの業界に入りましたが、そのアナログ感には衝撃を受けましたね。僕のいた業界が精密機器の業態だったから、すべてが「昭和のまま止っている」という印象を受けました。

:中西さん世代で言うと、中西さんが一番新しいことが好きだし、ものの考え方もすごくフラットなんですよね。この業界はやはり狭い業界なので固まったり、価値観が偏っていたりするものですが、僕が「トラックの C to C (消費者同士の取引)をしたい」と言っていた時に唯一、お話をしていて「すぐにそんな時代が来るんじゃないかな」と言ってくれたのが、中西さんだったんです。

超のつくアナログ感覚とは

____一般的な反応はどんな感じだったんですか?

:やはり警戒心が先に立ちますよね。その辺の感覚が全然、違っていましたね。

中西:それこそ15、6年前ぐらいですが、インターネットが世の中の主流を占め始めているにも関わらず、超昭和的な商売の仕方をしていたのが、この業界なんです。それこそ買取業者さんが来て、車両価格を公表しちゃったりすると「何を考えているんだ」と怒られたりしました。弊社も正直な話、そこは公表できたり、できなかったりですけどね。ただその感覚からすると、トラッカーズは「なんだこれは」と警戒されるのも無理はないですよね。

____なるほど。もちろん警戒される部分もありつつ、新しいビジネスの発想において受け入れられる部分も多いと思います。お客さんの反応はいかがですか?

:中古車業界でいうと、輸出系を頑張っているお客様がお付き合いとしては多いですね。毎週火曜日にオンラインオークションをやっているのですが、多いときには30台、40台と販売できています。既存の会場型オークションと較べても、かなり安く仕入れられていると思います。

トラッカーズを利用する主な顧客

____その辺を詳しく教えてもらえますか?

:トラッカーズのマッチングには「フリーマーケット」と「オークション」の2つがあります。フリーマーケットは運送会社が出品して運送会社さんが買ってくれます。これが高粗利率なので、情報をネットで繋ぐことによって仲介手数料が安くなります。もうひとつは、オークション機能です。主に中古車専門の売買をされてらっしゃる方々が買っていきます。これを毎週火曜日に行っていまして、輸出系に強いお客さんが買っていくケースが多いですね。

____輸出系の業者さんということは、日本で役目を果たした低年式のトラックが多いということですね?

:そうですね。日本で役目を終えたトラックが販売されるのが多いですね。

____ヨシノ自動車さんがトラッカーズで利用しているサービスは、どちらが多いんですか?

中西:私たちもトラッカーズのオークションに出品されているトラックを、入札して買うケースが多いですね。 我々はどちらかというと高年式のトラックを探していますが、そこに参加するという意味では立ち位置は輸出業者と一緒ですね。

日本で売るより海外の方が高く売れる!?

____ヨシノさんはウガンダに輸出するヨシノトレーディングもあるから、低年式の中古トラックを買うケースは多くなりそうな気がしますけど。

中西:いや。輸出と言っても国によってまるで違うので、弊社が「アフリカに輸出しています」と言ってもアフリカには何十カ国とあって、それぞれの国で輸出できる法律が違うんです。例えばウガンダですが今度、年式規制が入ってきたので、単純にいうとあまりにも古い車は入れられなくなってるんです。隣のケニヤなんかは、乗用車は5年規制が導入されます。5年落ちの乗用車なんて日本でも充分に販売できますよね。今後、日本の市場相場とアフリカでの市場価値がどう変わっていくのか興味深いですよね。

____なるほど。高年式のトラックでも場合によっては、輸出した方が高く売れる場合もあるんですね?

中西:いっときスリランカやロシアは、日本の相場よりも高くなったんですよ。だから日本から高年式が一気になくなった時があったんですね。向こうの建設ラッシュで。クレーン付きのトラックなんかは、弊社はレンタカーもやっているのですが、レンタルアップで販売して新車で購入した時よりも高く売れたケースもありました。 その時期はロシアへの販売比率が、非常に高くなりましたね。とはいっても、地元のお客さんが困らない範囲内です。そこがやっぱり大事なんですよ。その瞬間の商売で考えると全部、ロシアに売ってしまった方が利益は上がりますが、ロシアに売るより何十万も安くして地元業者さんに販売していました。

中古トラックの輸出は減少傾向にある

:私はロシアの時代は知らないのですが、どんどん規制は変わっていってますよね。もともとミャンマーに車を出していた時代もあったのですが、現在、規制で右ハンドルは入らなくなったり、総輸出量はどんどん減っていく傾向にあります。現地での製造コストもどんどん安くなっていって、これから日本車の中古車の価値は下がっていくだろうと思います。我々もビジネスモデルとしてはやはり運送業界を見ているので、運送業界の要請があればそちらに対応できる余力を常に持っておくことは、気にしていますね。

____ビジネスとしてワールドワイドでありつつも、ローカルである運送業界を大事にする姿勢があるんですね。

:我々は現在、車の調達と売却が仕事ですが、クラウド車両管理サービスの準備をしていて、運送業者さんの運転者台帳だったり車両の原価計算をより簡略化したり、そういうソフトのお手伝いも始まっていて、運送業界それ自体を深く掘っていく仕事をできればと考えています。

経営者が顧客をどう考えられるか

____まさにここからが本題です。ヨシノ自動車さんもトラッカーズさんも実業としての販売活動はあるとしても、その先にお客さんのニーズを掘り出していくような提案営業を目指しているわけです。その今後について、ぜひ教えてください。

中西:その質問の答えからいくと「各経営者の考え方によるのかな」と思うんです。さっきのロシアの話のように、ビジネスの効率性だけを考えれば、レンタルアップの車両はすべてロシアに売った方が利益は上がります。 片方で中古車の市場に限らず、不動産、海外旅行……、なんでもそうですよね。お盆のシーズンは飛行機も高いし、ホテルも高い。 ああいう需要に対して供給が跳ね上がるような商売はしたくないというのもあります。それは土台があるからこそいえる理想型だとは思うのですが、ロシアが高騰している時だって、普段、整備や買い替えでお世話になっている地元の土建屋さんや運送屋さんに本来の価値通りの商品を提供したい。私は経営者として、それをしていかないと、その先は「絶対にないな」と感じていたんですね。

ビジネスは「どれだけ同じ価値観の人と繋がれるか」

____なるほど。百年企業として続いていくためには、目先の利益だけでは継続できないんですね。

中西:片方で、我々がお客さんをおもって安く販売した中古トラックを、ロシアに流されるということもありました。 それはそれで構わないけれど、弊社としては今後のお付き合いは「ご遠慮願います」という感じになりますよね。要は損得だけで考えるのであれば、「長いお付き合いはできないだろうな」と考えるんです。どれだけ同じ価値を持った人と、多くつながっていけるかというのがすごく大事だと思うんですよね。

:僕もいま中西社長がおっしゃったように、「会社というのは経営者の色が出るんだな」と感じています。 販売だけでいうと、一期一会なんですよね。弊社は今のところ売買しかやっていないので売買における接点で、いかに利益を出せるかが、すごく大切になってきます。ただ我々が会社の幅を広げようと考えているのも、「長くお付き合いできる会社を増やす」ことを考えてのことなので、そこで経営者の色は今後、出てくるのではないかなと考えています。

事業継承について悩む運送業界

____売買以外での今後の会社経営について、もう少し詳しく教えていただけますか。

:僕としては仕事をするからにはもっと人の役に立ちたい。そのために「何をしていったらいいんだろう?」と考えていた時に、いま運送業界では事業継承が始まっていて、30代から40代の社長さんがどんどん生まれてきています。そこで悩まれている社長さんが、すごく多かったんですね。有り体に言うと、「今の体制で引き継がれてもどうすればいいんだ」というような悩みですね。我々としては、「その悩みの解決のためにお手伝いをできることが、すごく多いんじゃないかな」と気づかされたんです。

____経営者が憂慮して、次の世代に引き継げないんですね。

:我々としても、例えば仕事のニーズに合わせた車両のマッチングであったり、売買以外でのお客様のためになる仕事が増える方が良い。その方が我々もやりがいを感じられるし、お客様にとってもハッピーになってもらえることです。そっちに「どんどん舵を寄せて行きたいな」というのが、現在の僕の考え方ですね。いまだに運送会社の仕事のマッチングは電話と FAX だけだったりしますよね。そこにインターネットを介在させて、効率化を図ることは可能だと考えています。だからこそ、やっぱり既存のお客さんと長く付き合っていく信頼関係を築くこと。そこが大事ですよね。ヨシノ自動車さんは整備もされているから、その信頼関係はなおさら必要だと思います。

経営者が抱える理想と現実の難しさ

中西:弊社の場合は土台があって、いろんな事業を平行している中で僕が入社しました。地元のお客さんを大事にする気風は僕の親もそうですし、会社の社風がそうだったんですよね。ただそれが目に見えた形になってはいなかったので「共走」というCSR活動(http://www.kyousou.com/)も始めました。これは新しい思想でもなんでもなくて、元々あった事業の傾向を形にしてみたんですよね。 弊社も営業部という形はあるけれど、実態はコンサルティング込みの販売活動なんです。その会社の事業形態に合わせて、新車をお勧めする時もあれば、レンタルをお勧めする時もある。新規の仕事がそんなに長く続く仕事でないのであれば、無理に新車を買わずに「中古車のリースで間に合わせましょう」とか顧客第一で提案します。その中で感謝されて、営業利益がついてくる。そういう感じですね。ただ難しいところもあるんです。会社運営だけでいえば、月次で売上利益がしっかり上がっていないと、従業員に給料を支払うのも困難になってきてしまいます。ここからは経営者側の話になってしまうんですが、常にその難しさには直面していますね。

:その難しさは凄くわかります。 我々のビジネスでいうと仕入れ部隊と販売部隊は分かれているのですが、それぞれ月次の目標と四半期、年間と3つの目標に追われています。月次の目標は達成しても達成しなくても、それほど評価には直結しません。ただ3ヶ月サイクルで商売をする四半期をすごく重要視しています。そこでボーナスが上がったり、成績が報酬に反映されます。みんな数字に追われているので、月末になるとピリピリしていますし、特に新人は最初のうちは全く数字が上がらないので、そこのところは葛藤がありますね。僕も見ていて数字が上がらないと焦ってきますし。そういうところは胆力が問われると言うか(笑)、経営者だけが分かる難しさがありますね。

人材の集まる場所でビジネスをスタートさせる

____ありがとうございます。理想と現実の間で、難しさや苦しみに直面するのは経営者ならではの感覚ですね。さて朴さんは、なぜ最初にアズープの仕事を東京で始めようと考えたのでしょうか。本社のある愛知県弥富市ではなかったのでしょうか。

:まず人材が東京にいることと、もともと僕が大学から東京にいて、一緒にやりたいメンバーもみんなこっちにいたからなんです。基本的にその拠点を変える発想がなかったんです。一時期、日光オート(お父様の会社)の本社をこちらにして、「名古屋は展示場として置いておこうか」と考えてたんですが、もともと父の代からの経営陣もいて、名古屋にまつわる想いなども聞いているうちに、「分社した方がお互い良い」という結論に至りました。良きライバルとして、良きパートナーとしてやっていこう、と。いちおう僕も日光オートに籍は置いているのですが、99%はアズープの仕事です。

社長が現役のうちに事業継承

____なるほど。先に人材ありきの話だったんですね。

:日光オートの東京支店をどう作っていくかを考えた時に、0から立ち上げた方が早いと思い、アズープを立ち上げたんです。 まず私が「20代で起業をしたい」という思いがあったのと、父が社長として「現役でまだまだ仕事をしたい」という意思がありましたから。 中西社長は何歳の時に会社を引き継がれたんですか?

中西:僕が33歳になる時ですね。

:その時、お父様はおいくつだったんですか?

中西:58歳の時ですね。

:大分、お若い段階でのご決断だったんですね。それはすごいですね。

中西:親の発想だったのですが、僕も異業種から来て4年で社長に就任しました。実家がやっているのは知っていたけれど、トラックのトの字も知らない状態で入社しました。そもそもその時点で商品も良く分かってないし、会長としても「俺が元気なうちに事業継承しよう」と考えたんじゃないですかね。僕の感覚でいうと、名刺の肩書きが変わっただけなんですよね。最初の一年半ぐらいはやっていたことといえば、日々トラックを買うことをひたすらやっていただけです。社長就任から2年目、3年目でレンタカーや整備といった他の事業を引き継いでいきました。整備にいたっては、最初は何も分からなかったんです。そもそも私は会社に入る時も、「現場だけはやらない」と宣言して入社したんですよ(笑)。

社長と会長の、経営の二人三脚へ

:外から聞くと、一番嫌われそうなパターンですね(笑)。

中西:そうです。絶対に嫌われるパターンだと思います(笑)。みんなつなぎを着て現場に出て、数年経ってから営業職をやる、というのが多分、普通じゃないでしょうか。ですから僕自身、まるで整備のことは分からないできたので、社長になってはじめて2、3年目ぐらいから整備の会議にも出席するようになったんです。それまでは本当にノータッチでした。 だから完全に事業継承をするには、5年ぐらいかかっていると思います。

:ヨシノ自動車さんは事業の母体が大きいですからね。

中西:ただ、それが実は事業継承としては、一番良かったような気がしているんです。運送会社さんと話をしていても、「うちの息子はまだ30歳だから」というような話がでます。そのたびに「だからこそ交代すべきです」というようなアドバイスをしていたりもします(笑)。代表取締役の社長と会長という形の2人体制に早く移行した方が良い。頼りなく見えても、立ち位置が変わって、名刺が変わっただけ環境が変わります。周りが社長と言い出すことで本人も変わっていきます。特に金融機関は見る目も変わってくるから「来期の計画を教えてください」という話にもなりますよね。当然、経営企画書なんて書いたこともないので、「やばい」となります(笑)。

事業継承にみえる親心

:新しい経験が、どんどん増えていきますよね(笑)。

中西:そういう事が重なればマネージメント・スクールに通って、経営を学んで3カ年計画、5カ年計画といった先を見通した計画を立てるようになります。ポジションが変わると、そういった意味でやらざるを得ないことが出てくるから、それがプレッシャーとなって変わっていく。僕もそれを自分で経験して、「そうだった」と思い至るんですよね。僕自身は「起業したい」というような気持ちは無かった事もあります。それが11年間やってきて変わるわけですから、事業継承で悩んでいる社長さんは早く2人体制に移行したほうが良いと思いますね。

____朴さんのお父様は、おいくつですか?

:今年で63歳になります。本当は65歳で引退するという話だったんですが、僕が「アズープを始める」という話になってからは「70歳まではやる」と言ってますね。

中西:勝手な想像なんですが、アズープという会社は設立から2年、3年と経っても、まだ若い会社です。それを見守りたいのと同時に立ち上げた頃よりは、今後の成長性が見えている時期だと思うんです。その成長をお父様も期待しているところがあって、あと7年後のアズープの姿を楽しみにしていらっしゃるのではないでしょうか。勝手な想像ですけどね(笑)。だからこそ、そこまでは「自分がやる」という覚悟をお持ちでらっしゃるのではないでしょうか。

誰が社長をやっても体制を維持できる組織づくり

:そうかもしれないです。中西社長は、息子さんに現在の会社を継がせたいと考えていますか?

中西:これは難しい話ですね(笑)。私は、彼に頼るようなやり方や考え方で会社を存続させるのは良くないと考えているんです。会社を存続させるために、それは良くない。親心としては、彼にそれだけの器と能力があるのであれば「継がせたい」とは思っています。 ただ彼頼りの組織にだけはしたくないんです。もう、だいぶ前からそう考えていますね。弊社では僕よりも年齢が上で社歴も上というメンバーも多いですが、名前だけ部長や名前だけ役員じゃなくて、本当に部長や役員としての仕事をしてもらっています。そのマネージメントをしっかりすることを、ここ数年はやっています。理由は、例えば僕に何かあったり、会社を辞めたくなった時でも、誰かが社長をやって継続できる。ちゃんと誰かが引き継げるような体制づくりをしていきたいんです。それはずっと思っていますね。

____ヨシノさんは部長クラス、役員クラスのマネージメント・スクールのような講座も積極的にされてらっしゃいますね。

:そうなんですね。僕が知っている中古トラック業界の中でも、そういう意識を持った経営者というのは少ないですね。基本的に個人商店が大きくなったようなところが多くて、そういうところが「会社としてすごいな」と思っているんです。僕がヨシノ自動車さんで一番びっくりしたのは「採用をちゃんとしている」ということです。僕はリクルートで、もともと採用系の仕事をお手伝いしてきたので分かるのですが、採用をちゃんとしている会社というのは基本的にうまくいっている会社なんですよ。特に新卒ですね。だから初めてオフィスを訪問させていただいた時は、びっくりしたんですよ。良い意味でトラック屋さんぽくないオフィスで、「すごくいいな」と思ったんですよね。

中西:ありがとうございます。

選択肢の多い未来を作りたい

____さてそろそろ最後の質問とさせていただきたいのですが、アズープという会社もヨシノ自動車も、それぞれ利益を追求する企業としては当然ですが、社会との関わり合いを考えた時に「どんな会社でありたいか」を、経営者として教えていただけますでしょうか。

:この業界も徐々に変わっていく可能性がありますよね。

中西:変わっていくと思いますよ。肌でも変わってきている感覚はあります。ただまだまだ変化量は「少ないな」と思います。例えば僕のような2世、3世の経営者で親の会社を引き継いで、経営者として「企業をどうしていきたいか」とか、「この業界をどうしていきたいか」と考えている人は、まだまだ少ない。同世代でも大体、半分ぐらいだと思うんです。逆にいえば少なくとも、半分はその思いと実行する力があると思いますね。あとの半分は、意識はあるかも知れないけれど行動に見えない。親の世代の事業を継承して「守っていければ良い」と考えている人たちが、「もう半分ぐらいだろう」と思うんです。この先は、そこの意識で差が出てくるんじゃないかなと感じています。

:アズープがどこを目指しているかというと、「仕組みを変えて世の中の選択肢と可能性を広げていく」ということです。それが会社のビジョンでもあります。それは僕自身が在日韓国人ということもあって、やりたいことに対してやれないことが多かったからなんです。例えば僕はずっとアイスホッケーをやっていました。それが国体に国籍問題で出れなかったり、高校も朝鮮学校に通っていて、大学の受験資格が得られなかったんですね。 だからダブルスクールに通う形で、通信制で大学の受験資格を取ったり、やりたいことにたどり着くまでの時間が「すごくもったいないな」と考えてばかりでした。だから誰にとっても「選択肢がある世の中にしたいな」という気持ちが、根幹としてあるんですね。

社名に秘められた「全ての人の可能性を無限にする」という理念

____選択肢を与えられる会社ですか。

:はい。そういった選択肢を与えられる会社を作っていきたいという気持ちがあります。たまたま父の会社に入って運送会社の実態だったり、中古トラックの流通の仕組みだったりを目の当たりにすることによって、「選択肢として狭いな」と感じざるを得なかった。それを新しい選択肢として、我々はお客様に提供する。これがマジョリティになるか、マイノリティになるかは分からないですが、それを選べる状況になり得ることが、お客様にとって「ひとつの幸せになるんじゃないかな」と考えているんです。だからトラック以外でもユーザーさんに対して、新しい価値を提供していくということをずっと続けていけるような会社をやっていきたいんです。

____それは業界を問わずということですね。

:そうです。アズープという会社の社名が「分かりにくい」とよく言われるのですが、トラッカーズはサービス名なんですよね。投資家の人たちには「トラッカーズという名前にした方が良い」と言われたのですが、それは出来ませんでした。僕はアズープという名前に「全ての人の可能性を無限にする」という想いを込めているので、それは絶対に譲れなかったんです。変えたくなかったんですね。 だから物流以外でもどんどん広げていこうと。社会で選択肢をより広げられるような会社づくりをしていきたいと考えているんです。

朴 貴頌(Park Kwisong)様:
2010年3月 慶應義塾大学総合政策学部 卒業、同年4月 株式会社リクルート(現・株式会社リクルートホールディングス)入社、2015年9月 株式会社日光オート入社、2016年4月 株式会社日光オート専務取締役就任、2017年5月 株式会社Azoop設立、代表取締役社長就任。現在に至る。
https://azoop.co.jp/

トラッカーズとは
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