株式会社ヨシノ自動車 中古トラック事業部

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第37回

株式会社トランスウェブ 代表取締役社長 前沢武様

株式会社トランスウェブ 代表取締役社長 前沢武様

「ユーロスタイルで日本の物流に革命を!欧州製トレーラーの魅力とは何か」

真っ白なスカニアのトレーラーといえばトランスウェブ。スーパーGTやスーパーフォーミュラといった、モータースポーツの現場で、そのトレーラーを見かけた事がある読者の方も多いかもしれません。トランスウェブは運送会社として高級輸入車メーカーの新車輸送からPDI(新車点検業務)、イベント車輌、機材のチャーター輸送、エアカーゴ、一般輸送も手がける総合的な運送会社でもあります。興味深いのはトランスウェブが仕事内容にあわせ、欧州から独自でトレーラー(台車)を輸入し、使用している点です。カーテン式トレーラーであるオランダ、ファンエック社製ジェネラルカーゴトレーラーや、イタリア製ロルフォ社製キャリアカーなど、輸送効率を最大限に考慮したトレーラーを輸入しています。もちろん欧州製トラクターと欧州製トレーラーの相性が悪いはずがありません。同じ欧州製トラクターであるボルボトラックを販売する中西社長も、熱望していた今回の対談。そんな欧州製トレーラーの話はもちろん、前沢社長の腕一本の起業家魂や欧州スタイルで輸送品質にこだわりぬく企業姿勢、ユーラシア大陸横断のお話まであらためて欧州製トラックの魅力に触れる内容となりました。

写真・薄井一議
デザイン・大島宏之
編集・青木雄介

取材協力:横路美亀夫様(株式会社日新)http://www.truck-x.com/

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販売に至るまでにはまだ時間が必要

____トランスウェブさんは欧州製トレーラーを輸入していますが、現在、意欲的な販売にはまだ時間が必要とのこと。その点を詳しく教えていただけますか?

前沢:正確にいうと販売はしていますが、どなたにでも意欲的に販売している訳ではありません。例えば欧州では一般的なカーテン式のトレーラーは、日本の運送会社に見せると「これだと水が入るだろう」と口をそろえて言われます。

中西:先入観ですよね。イメージです。

前沢:そうです。イメージが先行しています。本当に興味のあるお客様でないと、販売まで至りません。今のところ、欧州製トレーラーの販売をビジネスとしてではなく、「欲しい」と考えていただける方のために販売したいと考えています。 その理由もありホームページにも販売チャンネルはありません。いずれ浸透していけば別ブランドで、意欲的に販売スタートを検討しています。トランスウェブは運送会社ですから。

____同業のライバル社から買う訳にはいかない、というマインドですね。分かります。

中西:その辺の事情は富士運輸さんと同じですね。それで去年からセノプロという別会社を設立されたんですね。

販売に取り組む趣旨

前沢:富士運輸さんも同じでしょうね。それはよく理解できます。 欧州製トレーラーのメリットは1年以上納期がかかる日本製トレーラーに対し、我が社が輸入している海外メーカーは発注してから6か月後には日本で登録できるスピードが魅力です。それでいて日本の常識に沿ったトレーラーではなくて、ヨーロッパの常識に沿ったトレーラーで「差別化を図ってみたい」と考えていただけるはずなんです。メリットだけを並べて説明し 、販売を急げば急ぐほど、「ビジネスとしては厳しい環境になるのではないか」と思っています。

____なるほど。

前沢:我が社は無いものを一から作っているわけではなくて、海外にあるものを輸入しているだけですから、そのコストに対してマージンを乗せて販売するので人任せといえば人任せです。だからこそ必ず自分たちで一回使ってみて、ドライバーからの声を聞いて「問題ないよ」とか「これは本当に使い勝手が良い」と納得できるか、どうかなんです。そういう製品だったら「人に紹介してもいいね」と前に進むことができます。そういう風に「時間がかかっていく商売なのかな」と思っています。

お互いの価値を高めるビジネスをしたい

____納得できるお話です。日本でボルボトラックを販売するヨシノ自動車にも、非常に共通したお話だと思うのですが、いかがでしょうか。

中西:はい。我々はもともと中古車販売業が主力です。そこにボルボのディーラーを始めて、かれこれ18年なんですが、前沢社長のお話と非常に似ている所があって、決して積極的に売っていきたいとは考えていないんですよね。売らなければ「会社が成り立たない」ということはなかったし、とにかく価格どうこうより、ボルボトラックの商品としての本来の良さを知ってもらいたかった。性能もそうですし、弊社はよりボルボトラックが付加価値の高いトラックだと考えて、販売してきたわけです。 そういうスタンスで販売してきましたし、そこで興味を持って来て頂いたお客様に、初めて販売できるわけです。最終的に価格というのは非常に大事な部分ではありますが、大事なのは最初に価格ありきではない、ということです。

前沢そうですよね。その商品を所有することによって、お互いの価値を高めるためにビジネスをしたいです。弊社もこのトレーラーを所有することによって、ブランド価値が上がる。そこに共感して買ってくれるお客さんでないと難しい、と思っています。

会社の始まりはモータースポーツと高級外車

____なるほど。分かりました。どちらも販売台数を増やすことより、商品を所有することでの共感を高めていきたいということですね。では、ここに至るまでのトランスウェブさんの歩みを振り返らせてください。初めの頃から航空貨物とモータースポーツを手がけられていたのでしょうか。

前沢:モータースポーツの機材輸送からスタートしました。その後、高級外車輸送を行うようになりました。高級外車輸送はそこに「特化した」と言って良いぐらいだと思います。

____それは何年前ぐらいですか。

前沢:20年前ぐらいですね。 当時絶対数は少なくキャリアカーで運んでいた時代です。もともとモータースポーツから始まった関係で、所有トレーラーは全部、クローズドボディでした。クローズドボディのトレーラーに4台積載するとなると、車高の低い車両しか積めないわけです(笑)。そうなると「それに特化しよう」となりました。当時、他の運送業者は高級外車の運送はリスクが伴うから触りたくなかったのです。

____なるほど。高額商品ゆえに輸送事故は許されないですものね。

前沢:それで弊社は、逆に「じゃあ弊社がやりますよ」と積極的に営業しました。そこでお任せされたところから、トランスウェブの歴史は始まりましたね。

引っ越しのアルバイトからスタート

____確かに、高級外車はどこの陸送屋さんでも運べる車ではないと思うのですが、トランスウェブさんは普段からフォーミュラーカーなどの特殊なスポーツカーを陸送していたから、経験があったということでしょうか。

前沢:それはありますね。私もそうやってドライバーとして運んでいましたから。

____前沢さんはもともとドライバーをされていたんですか。

前沢:はい。もともと並行輸入外車のセールスをやっていました。その販売会社の親会社は運送業を営んでいます。私はその会社でアルバイトからスタートしました。お客様に運送会社の社長様がいらっしゃって、「今度、コンサートやモータースポーツの機材の運搬をするんだよ。一緒にモータースポーツの運搬をやらないか」と誘われました。当時、コンサートツアーの看板をつけて走っているトラックや、モータースポーツの看板を付けているトラックは僕の憧れだったので、決して現職が嫌だったわけではないのですが「それをやってみたい」と一念発起しました。自分のやりたい道が見えたので、けん引免許を取って、その会社に就職して運転手になりました。その2年後にトラックを売却する話があり、独立することにしました。

富里移転をきっかけに航空貨物を請け負う

____起業されたのですね。

前沢:最初はレースのトレーラーしかないわけですから、「何を運べるかな」と考えたら、高級外車ぐらいしかないわけです(笑)。前職にお願いして東京、大阪間の輸送を行ったり、紹介された輸入代理店の仕事を請け負ったり、そこからは営業しましたね。東京・大阪・名古屋の販売店さんはすべて回りました。

____高級車ばかりですね。

前沢:そうです。その輸入販売店さんはみんな繋がりがあって、自分も年齢はまだ20代だったのでオープンな感じでしたね。ただし「値段はこうだぞ」なんて無理を言われつつ、どうにか資金が回るようになりました。そこから一台ずつトラックを増やしていったんですね。

____ヤードを千葉県富里市にもたれたのも、輸入されてくるのが成田だったからでしょうか。

前沢:いえ。最初は東関東道千葉北インターのあたりで始めました。国道16号そばです。だんだん規模が大きくになっていくに従って、郊外へと離れていきましたね(笑)。

スカニアをメイン車両にするブランディング効果とは

____なるほど。了解しました。スカニアを導入する前は他メーカーを入れていたという話を聞いているのですが。 

前沢:一番、最初に新車を購入したのは、ふそうです。トラクターヘッドを最初に買った時はボルボでした。当時は東京自動車興業から買いました。 もともと、どうしても外車のトレーラーが乗りたかったです。ボルボのトラクターヘッドを買った時に日野から、「実は弊社でスカニアというトラックを売ることになったんだ」と聞いたんですね。 それで試乗させてもらった時に、「こっちの方がよりヨーロッパらしい」と感じました。当時のスカニアというのは無骨なイメージのデザインだったですよね。音もシュンシュン響いていて、ターボタービンの音がすごく良かったです。それでスカニアを1台、買いました。結局、ボルボは2台買ったのかな。そこからずっとスカニアを買っていますけど、決してボルボが嫌いなわけではないんですよ(笑)。

____今やトランスウェブさんといえばスカニアだし、社屋にスカニアジャパンが隣接しているし、トランスウェブさんはスカニアとの密な関係が伝わってきます。

前沢:はい。とてもいい関係でいます。

中西:スカニアをメインとしたことで、会社のブランディングをしていくという意味で、どういった効果があったのでしょうか。

前沢:大きな効果がありました。日本だけでなく世界に弊社を知っていただく事が出来たことですね。しかし仕事の内容は独特なので、1台の車両を作るにしても綿密な打ち合わせと仕様の検討を行っていきますがどうしても真似されてしまいます。そのボディ屋さんにかけあって、「トランスウェブと同じ車を作れ」というようなことをされてしまうのでしょうね。

真似されるジレンマからトレーラーを輸入した

____日本の後追い文化ですね。

前沢:だから仕事は自社で完結させるようにして、情報を外に出さないようにしようと。

中西:分かります。

前沢:また同じ車が作られてしまうたびに「日本での製作はもういいかな・・・」と。海外であれば、真似されることもないだろうと。

中西:さすがに買えないですからね(笑)。

前沢:そこから現在のトランスウェブの方針が決定しました。真似するなら、真似しろ。だけど真似される頃には「さらにその先にいってやる」と考えています。

____その意味でいうとヨーロッパのカスタム事情だったり、スカニアのトレンド状況なんかを前沢社長も気にされていたりしますか。

前沢:そうですね。大体、月一ぐらいで欧州に行ってます。

中西:そうなんですね。すごいですね。月一で行かれているんですか。

前沢:行くと打ち合わせの為、何件か回る感じになるので1週間から10日ぐらい向こうに行くことになってしまいます。それにお客さんが「どうしてもトラックを見たい」となれば、一緒についていくこともあったりします。そうなると大体、月一ぐらいですね。後は毎年、夏にヨーロッパでカスタムトラックの祭典があるので、それは7、8年前ぐらいから毎年、訪問しています。 

中西:あれ僕も行ってみたいんですよ。

前沢:それじゃあ一緒に行きましょうよ。是非。

中西:本当ですか。是非ご一緒できれば。それとフランスでやってるトラックの祭典ですね。

前沢:そっちはル・マンですね。スウェーデンのノルディックトロフィーもありますよ。それは8月末です。

中西:ちょうど僕、8月にスウェーデンに行く予定なんです。

現地で観る欧州製トレーラーの格好良さ

前沢:確か8月の20日前後だったと思います。 ノルディックトロフィーは、さすがにお膝元という感じでスカニアとボルボが中心になってトラックの展示を行っています。トラックに関しての自分の考えは、結局、乗るのはドライバーだということ。ドライバーのモチベーションを高めていかないと、ドライバーの雇用にも繋がらないのです。

____トランスウェブさんではカスタムもされるんですね。

前沢:はい。北海道営業所はブルバーをつけています。それは北海道営業所限定です(笑)。差別化することにより営業所スタッフも身が引き締まるという部分がありますね。スカニアに乗るプライドをもたせることで、輸送品質そのものを高めていきたい事と、ドライバーの確保は連動させて考えています。では何故、外国製のトレーラーを導入しているのか、というと欧州製のトレーラーヘッドを使用している以上、トレーラーも欧州製が良いと思っているからです。中西社長も分かると思うんですが、現地で見るボルボのヘッドと欧州製トレーラーの組み合わせの美しさって格別ですよね。

中西:そうですね。惚れぼれしますよね。

____やはり連結機器の整合性だったり、欧州ならではの組み合わせの良さもあるのでしょうか。

前沢:私の感覚から言うと、欧州製トレーラーの方がスペックが上回っていると思います。 まず声を大にしていえる事は亜鉛メッキで錆びません。フレームをドブ漬けで、フレームの内側までコーティングしていますから。さらに大量生産している為、納期も早いし、コストパフォーマンスも日本に比べれば安いですよね。運べる範囲が広くて、ナイロン地の耐久性とスポーティで品質に優れた感じですね。繋げてみても、やはり向こうの方がスタイリッシュです。 

新型スカニアでユーラシア大陸を横断してみよう

____ちなみに欧州製のトレーラーというのは、国はどこになるんでしょうか。

前沢:オランダは2社、ヴァンエック社(モータースポーツ、エアカーゴ、ジェネラルカーゴ)、ブロシュイス社(海上貨物)、ドイツは3社、ケスボーラー社( ジェネラルカーボ, 海上貨物) 、イーラー社(マーケティング車両)、シュローダー社(飲料輸送)、イタリアはロルフォ社(キャリアカー)ですね。2016年の夏、パリで新型スカニアの世界プレミアの時、ヘッド2台をスカニアジャパンの社長とオーダーの約束を交わしました。 S シリーズというグレードですが、その時に「自分がこの車を日本まで乗っていくのでオランダ工場で納車してほしい」と言ったのです。それに合わせて、トレーラーの台車も作ってオランダから、日本まで走って帰ってきました。

____前沢社長がご自分で運転されたんですか?

前沢:私はオランダからロシアのモスクワまで運転しました(笑)。

中西:あれはすごかったですよね。


※ユーラシア大陸横断の様子はこちらから
https://www.transweb.co.jp/news/2000/

____スカニアジャパンのプロモーションではなかったんですね。

前沢:協力はいただきましたが、弊社の独自企画です。ドイツで、欧州、ロシアで通用する仮ナンバーを申請し、オランダからウラジオストックまでずっと走ってきました。

____それは本当にすごいですね。ちゃんと道があるんですね。

前沢:あります。スカニア本社の社長にも「やめときなさい。絶対に道がないから」って言われました(笑)。でも「絶対あるはずだ」と・・・。それで事前にレンタカーで試走をしてみました。弊社の常務に協力を頼んで、私はモスクワからイルクーツクというバイカル湖のあるところまで5000km。常務はウラジオストックからイルクーツクまで4000km、お互いそれぞれ一週間で走ろうと決めました。大体、日あたり800から900キロぐらい走っていましたね。朝8時にホテルを出て、夜10時ぐらいまで走り続けました。

____つくづく羨ましいです。それって高速道路のような道があるんですか。

前沢:高速道路(自動車専用道路)はありませんが、ほぼ高速道路です(笑)。とにかく何もないし、とにかくまっすぐです。 一度走ってみて、本格的に計画を練って実行しました。

トラックを輸入している以上、いちどはトラックで陸送してみたかった

____それを社長が思いつかれたのは、走行テストをしたかったのでしょうか。それとも会社のプロモーションとしてやりたい、と考えられたのでしょうか。

前沢:日本で長い距離を走ると言っても、長くて北海道から九州までですよね。ユーラシア大陸を横断するのは「人生の中でめったに経験できる事ではない」と思いました。弊社としても、ヨーロッパからトラックを入れている以上、一度は陸路でトラックを輸入してみたかった。船じゃなくて、陸路でも可能なのか。「やってみたい」というドライバーの声もあがっていたので、「我こそは」というドライバーを社内で募ったんです。

____浪漫がありますね。御社のドライバーが羨ましいです(笑)。

前沢:それで EU からモスクワまで、モスクワからイルクーツクまで、イルクーツクからウラジオストックまで、ウラジオストックから日本と、全体の行程を4つに分けました。それで希望するドライバーと一緒に行きました。自分が「なぜそれをやりたいのか」と考えたのかというと、ひとつは経験という意味がありましたが、何か問題があれば、そこで何かをしなければいけませんよね。そこでどうやって、その危機的状況を切り抜けるのかをドライバーに教育させたかったのです。だからこそ、ある程度の管理職にはやってもらいました。自分はモスクワで運転を替わったのですが。あとは「なんとかしろよ」と。「俺は帰るからな」と。皆、エー!?っと、なってましたね(笑)。

中西:その無茶ぶり、面白いですね。

ロシアの道で感じる、運転手同士のねぎらいと敬意

____ヨシノ自動車でも、どうでしょうか?

中西:あはははは。良いですね。スーパージョブ・トレーニングですね。

前沢:私はもう経験をしたので、次回どうせやるなら他の運送屋さんと行ってみたいなと考えています。ラリーみたいにいろんな運送屋さんと、ヨーロッパから走ってきたいな、と。今日のキャンプ地はここ、みたいな感じですね。 ひたすら何もない地平線を走り続けるというのは、すごく良い体験ですよ。

____運転手冥利に尽きますね。羨ましいです。絶対それは良い経験ですね。

前沢:ロシアの運転手というのは、知らない人でもドライバー同士で手を挙げて挨拶するんですよ。あれは同じ運転手として、ねぎらいと敬意が込められているんです。「お疲れさん」って感じですよね。そういう同じ道を行く者の温かさ、と言うかな。トラックが故障して道端に停まっていれば、「お前どうしたんだ」と気にかけて停まってくれるし。

____道の上の助け合いですね。

前沢:そうです。日本では20年前ぐらいに無くなってしまった感覚なのかな。私も以前、ドライバー時代に無線をやっていました。無線の仲間というのはすごく大事でした。東名を走っていても、道路状況を教えてくれたり、すごく助かる事ばかりでした。当時の無線の仲間が弊社で働いてくれたりもするし。「帰り荷がない」と言えば、「ウチの配車係に言っとくから」と帰り荷を用意してくれたりしていました。それで本当に荷物がもらえていましたからね。そういう男の世界だったんですよね。現在はコンプライアンスの問題だったりで、ちょっと難しいでしょうけどね。昔は旅行感覚で友人を横に乗せて九州まで行ったり、そういうことが全然、まかり通っていた時代ですからね。現在は僕も立場上、そんなことは容認出来ないですけどね(笑)。

欧州製トレーラーの可能性とは

____前沢社長の胆力やコミュニケーション能力の高さは、運転手のときに培われていたんですね。

前沢:僕はこの通り、いろんな人と仲良くやるのが得意です。だからこそ仕事も「これ前沢君のところで入れているトレーラーなのね。じゃあうちも一本入れようかな」というような、お付き合いで進めていきたいのです。これが私の販売ポリシーです。それで良ければ是非、興味があれば声をかけてみてください。

____まずはトランスウェブさんで実車を見てみることですね。さて改めて中西社長、ボルボトラックから見た欧州製トレーラーの可能性について教えてください。

中西:はい。これまでも「ヨーロッパにはトレーラーの種類がいっぱいあるな」と考えていました。それを日本に入れるというアイデアは思いつかなかったし、そこに必要性があるとも考えられなかったので、今日は本当に勉強になりました。ここ数年でスカニアを代表する運送屋さんということで、トランスウェブさんを知っていて、実はトレーラーも欧州製だと聞いて、すごくびっくりしたんですね。ボルボには欧州のトレーラーが合うに決まってますよ。僕も IAA に一昨年、初めて行ったんですね。 そこで行って現地の事情を初めて知れました。ケルサーとかパーツの繋がりでばかり見ていましたけど。

拡がっていく輸入トレーラーのバリエーション

____ここ最近の日本のトレーラー事情だと、まずボディ屋さんで発注してからの納期がかかります。欧州製のトレーラーについては、先ほどの前沢さんの話じゃないですが「実は良いんじゃないか」という噂が、まことしやかに語られているような状況だと思うんですよね。現状、トランスウェブさんで輸入されているトレーラーは、どういったものがあるんでしょうか。 

前沢:今はキャリアカーと飲料を専門に運ぶトレーラーだったり、カーテン式のトレーラーだったりを輸入して使用していますね。

____カーテン式は一般貨物ですか。

前沢:そうです。一般貨物ですね。あとは航空貨物用(床にエアのローラーがついてるタイプ)のトレーラーです。

____そうなんですね。

前沢:今度入れようと思っているのは、カーテン式の一般トレーラーです。三段重ねて輸入します。バラして三輌重ねて、日本到着後に組み立てるんです。

中西:それが出来れば、だいぶ輸送コストは抑えられますね。

前沢:はい。キャリアカーも基本的に二つ重ねて輸送します。フレームはすべてボルトで付けられているものですから。

____それを海上コンテナに入れて持ってくるんでしょうか。

前沢:いいえ、RO-RO船(主に自動車運搬船を指す。旅客を載せない貨物船)で輸送します。 

____その辺の輸入のノウハウを、しっかりトランスウェブさんはお持ちだから出来ることですね。

中西:本当にそう思います。

____それこそ一番、シンプルなコンテナの骨シャーシは入れられるつもりはないんですか?

前沢:入れますよ。5月に9本ほど日本に到着します。

____素晴らしい。骨シャーシはものすごくニーズがあると思いますよ。

中西:今、国内で新車で買うと、ものすごく納期がかかってますからね。

前沢:今度、一本届いたらデモでお貸し出ししますよ。

中西:ぜひぜひ。あの見せて頂いたカーテン式のトレーラーもニーズがあると思っています。 現物を見ないとお客様は納得しないですから。 見て納得してもらいたいですね。

実際に運用されている独Schröder(シュローダー)社製トレーラー。1,100mm×1,100mmのパレット32枚を積載可能にしている(一般的な大型トラック(13トン)ではこのパレットが16枚積載可能なので2台分の積載能力)。車軸前と観音口に設けられた2段積みスペースが大きく貢献してる。また軽量なため、最大積載量は26,400kgが可能だ。

____ちなみに前沢社長にとって、ボルボにはどんな印象があるんでしょうか?元々は2台、導入されてトランスウェブで使用されていた経緯もありますよね。

前沢:そこは同じ海外組という印象ですね。新型も格好良いと思うし、ボルボも大好きですよ。同じ海外という意味では、イベコが日本に入ってくる可能性がありましたよね(ストラリスNP400のこと。日本初のLNGトラックとして注目を集めた)。弊社はイタリア系スポーツカーメーカーとの取引もあるので、非常に興味がありました。

中西:代理店や PR の仕方も、まだ先が読めていない感じでしたね。

やはり海外のトラックが好き

前沢:毎年、弊社の運転手をスウェーデンに連れていきます。スカニアの本社工場とオランダ工場間、距離にして1300 km を運んでいる運送屋があります。その運送屋と弊社は仲が良く、いつも同乗体験をさせてもらっています。

中西:なるほど。

前沢:スカニアの子会社でもあり、研究機関でもあります。当然スカニアがメインですが、ボルボもあるし、エムエーエヌ(MAN)、メルセデスもあります。そこで他のメーカーの燃費、耐久性を比較できるんですね。そこに毎年ドライバーを3人に連れて行って、体験させる企画を会社としてやっているんですね。

____それであれば欧州のトラックの最新事情が理解できますね。それにしても前沢さんは、海外のトラックが好きなんですね(笑)。

前沢:そうです。好きなんです。 だから私は今日、中西社長とお話しするのがすごく楽しみだったんですよ。

中西:ありがとうございます。私も非常に楽しみにしてきました。

今後につながる両者の可能性とは

____そこはスカニアもボルボも、スウェーデンつながりですからね。素晴らしい出会いだと思います。 

前沢:中西社長と僕はそんなに世代的にも違わないですしね。 

中西:はい。今回、驚いたのはトランスウェブさんは運送会社として、あらゆる点でスタイリッシュな会社だということ。まずそこから違っていました。 従業員の皆さんが着てらっしゃるのも、会社のユニフォームですよね。日本でスカニアを中心に展開されている運送会社のイメージとして、間違いないですよね。我々は今年の5月にあるジャパントラックショーのイメージに取り組んでいまして、2年前はボルボをどうデザインするかだけ、を考えていました。だから今回はもう少し踏み込んで、ドライバーのライフスタイルや着こなしまで、ちゃんとデザインして提案してみたい、と考えているんです。

前沢:そこはすごく大事ですね。トラックは格好良いけれど ドライバーの身なりが悪いとイメージは良くないですからね。

中西:日本らしいカスタムがあっても良い。でももうひとつ欧州の価値観に沿った、欧州らしいカスタムを「日本で展開したい」って考えているんですよね。そういう土壌を作っていきたいと考えているんです。 

____最近、ヨシノ自動車のボルボはカスタム受注が非常に増えていると聞きます。

中西:そうなんですよね。 だからこそ、あまり販売台数 を上げてボルボそれ自体の希少性を下げたくないんですね。

前沢:ヨシノ自動車さんも、海外からパーツ輸入をできる独自のルートをお持ちなんですよね。それは素晴らしい事と思っています。 ヨシノ自動車が車体やパーツだとすれば、我々はトレーラーを協力できると良いですね。

取材協力:横路美亀夫様(株式会社日新)http://www.truck-x.com/

前沢武(まえさわ たけし)様:
1971年生まれ。1992年アートコーポレーション株式会社に入社。1999年某運送会社に転職後、2001年株式会社トランスウェブを設立
https://www.transweb.co.jp/

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