©ジャパントラックショー2020実行委員会

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第38回

一般社団法人 国際物流総合研究所 会長 南 元一様

一般社団法人 国際物流総合研究所 会長 南 元一様

「開催断念。それでもジャパントラックショー2020が物流業界にもたらしたかった願いとは何か」

こちらの取材は2020年3月25日に行われました。その時点でジャパントラックショー2020は、通常通り開催を予定していました。周知の通り、ジャパントラックショー2020は予定されていた5月28日から30日の開催を断念し、本稿の内容は一部、断念されたイベントについて触れています。現時点(2020年4月15日時点)で、開催延期または中止かについては決定しておりません。(主催者では4月中の判断としています)。その前置きを踏まえて、ジャパントラックショー2020はいかにして始まったか。どんな内容になる予定だったのか。そして、主催者と出展社のひとつであるヨシノ自動車が開催にかける想いはどんな想いだったのか、を紹介できればと考えています。戦後最大の経済危機といわれる新型コロナウイルスの影響が危惧される現在だからこそ、最前線で戦う物流業界やトラック業界は連帯しなければいけない。そう、強く考えさせられる内容となりました。

写真・薄井一議
デザイン・大島宏之
編集・青木雄介

ジャパントラックショー2020の開催断念について
https://truck-show.jp/news/2020/1547/

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ジャパントラックショーの始まり

____まずトラックショーが始まった経緯を教えていただけますか。

:2014年ぐらいに、お付き合いのある物流企業から「トラックショーを復活させて欲しい」という要望がありましたが、それまで我々は、大規模なイベントを行ったことがありませんでした。物流業界と繋がりはあっても、主な出展社となるトラックメーカーや架装、部品・用品、その他トラック関連機器メーカーとのつながりは皆無でした。実際、展示会開催に向けて動いてみると、「こんなに大変なことだとは思ってもみなかった」というのが実感でしたね。不慣れな手際になったと思いますが、トラックユーザーである物流企業様にも多くのご協力をいただきながら、出展社であるメーカー様とのパイプを一つ一つ繋ぐことができ、様々なご協力を頂いた上で、初回開催することができたと思います。 

____そもそもトラックショーのニーズが非常に高かったということなんですね。

:はい。国際物流総合研究所というのは元々、物流企業向けのコンサルティングやセミナーを主軸とした事業展開をしておりますので、実際の現場を知るトラックユーザー側の視点を盛り込んだ新たなトラックショーができるのではないかという想いがありました。今後のトラック業界や物流業界の発展に貢献でき、メーカーユーザー双方の次なるビジネスに直結するような展示会を目指そうと考えました。 それが我々、国際物流総合研究所が実施する「ジャパントラックショー」の意義だと考えています。2016年は26,000人、2018年は展示面積を2倍にし、50,000人を超える物流・運送、荷主企業様がご来場されました。過去2回とも、出展社の皆さまから直接好評とともに激励をいただけたことが、ひとつの成功体験になったのではないかと思います。

トラックショーに業界は何を求めるのか

____トラック業界的にいうと、こういう大規模なイベントには何が求められているんでしょうか。

中西:そもそもそれ以前に行われていた東京トラックショーが、トラック業界のイベント事として唯一それしかなかったんです。特に我々のような販売店や架装屋さんやメーカーが主体となれるようなイベントは、以前の東京トラックショーしかなかった(東京トラックショーとジャパントラックショーは主催団体が異なる)。それこそ東京モーターショー以外でトラックを展示できるイベントは、それしかなかったんです。その当時、我々のお客さんからもトラックのイベントを要望する声があったのは確かです。当社としてもジャパントラックショーの第1回目は出展していないんですよ。そもそも国際物流総合研究所さんとの接点も、なかったんですね。そもそも業界が違っていたのと、本音で言うと……

:「大丈夫かな?」と思われていたんですね(笑)。

中西:そうなんです(笑)。本音で言うと、そうでした。どんな組織なのかが、そもそもよくわからなかったんですね。ただ家が近いので見には行きました。 それで会場は半分のスペースと聞いていたのですが、出展社さんも想像以上に多かったのに驚きました。「おお!これなら出展できるかも」と期待したんですよね。

身内受けだけで終わるトラックショーはいらない

____納得できるお話です。日本でボルボトラックを販売するヨシノ自動車にも、非常に共通したお話だと思うのですが、いかがでしょうか。

中西:そうです。非常に可能性を感じられたんですね。 

____そして迎えた2018年、ヨシノ自動車はカインとアベルという2台のボルボを出展し、 カスタムライン、ファストエレファントも始動しました。

中西そうですね。まず「すごく良かった」というのが率直な感想です。2回目は我々もお付き合いの多いシャシーメーカーさんが多く出展されるということだったので、積極的に出展したい理由の一つだったんですよ。 トラックショーの大事なところは、より多様なトラックに関わるパーツや架装メーカーなどが参加してくれないと、単なる身内受けだけで終わってしまいます。特に日本の国産メーカー4社がしっかり顔を揃えるというのは、すごく大事なことなんです。それと会場は神奈川なので我々の地元ですよね。我々のお客さんも多く来場してくれるはずだし、その点も力を入れたくなる理由ではありました。そして結果、大成功でしたね。

____2回目は来場客数も大幅に増えましたね。

中西普通のお客さんがいっぱい来てくれたのが良かったし、土曜を入れてくれたことによってみなとみらいは家族連れが多いので、 普段、トラックに触れる機会がないような人たちが多く来て頂けたのが良かったですね。特に我々のブースは非常に目立っていたので、我々のカスタムしたボルボに子どもたちがいっぱい並んでくれていたのは、その場で「トラックが何台売れた」という話より何十倍も嬉しかったんです。

子どもも楽しめるトラックショーとは

____それは主催された南様にも伺いましょう。2018年の反響はいかがだったでしょうか。

:非常に好評を得ました。どのブースへ行っても「良かった」と喜んでいただけました。それは自信になりましたね。

____どの点が一番良かったと感じられていますか。

:やはり来場者が5万人を超えてくれたというところですね(最終入場者数は51,744人)。我々としても出展を決めていただいた以上は、どれだけ人を呼べるかが大事になってくるので、一番気になっていた点でした。来場者が来なければ次に繋がらなくなってしまいますよね。集客には特に力を入れたんですよね。 

©ジャパントラックショー2020実行委員会

____それはやはり事前に宣伝をされたということですか。

:宣伝はしましたね。この規模で、こんなに宣伝するのかというぐらい広告を打ちました。土曜日開催するのは我々としても力の入れどころで、電車の中吊りなど一般的なB to B(ビジネスマン同士のコミュニケーション)の展示会ではやらないような媒体でも宣伝を行いました。土曜日は本当にご家族連れが多くいらっしゃいました。スタンプラリーだったり、お土産を出したり、来て喜んでいただけることを一番に考えました。

実売に繋がる展示イベントとして

____2018年では、より来場者の満足度を高める施策を積極的に行ったということですね。

:そうですね。来場した一般のお客様からは「このイベントが無料なのが信じられない」という感想を多く頂きました。会場は広いし、スタンプラリーで走り回ることもできる。お子さんが多く参加して頂けると、会場も賑やかになります。一方でビジネス向けには、トラック業界の関係者にいかに足を運んでもらうかもまた大事でした。そこも一般向け以上に広告を打ちましたし、集客には骨を折りました。

____具体的に教えていただけますでしょうか。

:国際物流総合研究所が主宰する、「ジャパントラックショーサポーターズ」と言う物流事業者のネットワークがありまして、2018年当時で200社程度、加盟していただいておりました。「みんなでトラックショーを盛り上げよう、トラック業界を盛り上げよう」と全国各地でスピンオフイベントを開催し、展示会自体の周知度を上げる取り組みをしてきました。その後、サポーターズ企業の皆さまからさらに別の事業者様へ、展示会の招待券やパンフレットを配布して来場のお声がけいただいたことが、非常に大きかったですね。その他、業界紙の広告展開や、物流企業向けの会報誌に招待券のダイレクトメールを行うなど、そうやって B to Bの部分での集客にも、力を入れました。その成果の一つは、出展社の皆さまからは、「実際に実売につながった」という声を多くいただけたことです。 経営者や購買決定権を持っていらっしゃる方が多く来場されていたので、「内容の濃い名刺が集められた」という感想をいただけたのが嬉しかったですね。

____確かにトラックショーで始まる新たなコミュニケーションだったり、コネクションは大きいという話を聞いているのですが、中西社長はどんな印象をお持ちでしょうか。

中西:我々も商談の機会を多くいただきましたし、ジャパントラックショーをきっかけにセノプロさんと知り合ったり、新たなコネクション作りに活用しました。今回はセノプロさんとコラボする予定なんです。 あくまでも隣のブースでという形なんですが、レイアウトを同じくして一緒に見せるということを考えています。

:前回のトラックショーでも、セノプロさんとヨシノ自動車さんは人気が集まりました。集客力は抜群でしたね。

高品質の輸送がかなえる未来とは

____それでは2020年のトラックショーのイメージについてお伺いしていきたいと思います。「高品質輸送の その先へ」 。このタイトルについて改めて教えていただけますでしょうか。

:今の物流環境は EC が発達してきていて、多様化しています。 お客様のニーズも細かくなってきていますよね。ドライバー不足の問題もありながら、それでもサービスレベルは引き上げていかなければいけない。物流企業としてはドライバー採用を増やしつつ、運賃をさらに適正化していきたいという思いがありますが、それらは高い品質のサービスや物流を提供していれば、自ずとついてくるものだと信じています。ドライバー自身も「あの会社は格好いいサービスをしているから応募しよう」とか、荷主にとっても「あの会社はしっかりとした運送を心がけているから運賃の引き上げを承認してもいいだろう」とか、“高品質”が一つ一つの課題解決につながっていくものだと思うんです。

____確かに。

:トラック一つとっても、小さな部品から始まり、多くの人による高い技術の結集です。ハード・ソフト両面において、さまざまな“高品質”の上に物流が成り立っています。この先どんどんIT化が進んでいく中においても、経済を下支えする物流はなくてはならない存在なので、現在のポジションから絶えず、その先へ向かわなければいけないんです。一歩、その先へ向かいたいという気持ち。そこに確固とした物流業界とトラック業界の未来があるのだと思います。そのメッセージをこめて、ポスターのビジュアルも未来に向かっていくようなイメージのビジュアルにしました。

よりパワーアップしたセミナー

©ジャパントラックショー2020実行委員会

____このポスターのイメージは物流の未来を感じますね。

:今回のセミナーのラインナップも、テーマをさらに深掘りした内容になっていると思います。自動運転に関しては、国交省における自動運転技術の専門家の方に講演をお願いしていますし、物流業界のパネラーの方々も、知らない人はいない著名な方々が揃っていると思います。

____前回も、どのセミナーも満員でしたよね。あれには驚かされました。皆さんが真剣に話に聞き入っていて、その熱量に非常に感心させられたんですよね。今年のラインナップも非常に興味深いです。テーマに関しても、「いかに高品質な輸送に繋げられるか」が主題になっているんですね。

:そうですね。それがハードの面だったり、ソフトの面だったり両方の視点でラインナップさせていただいた次第です。

中西:個人的にもこの自動運転に関して、今後を左右する国交省さんがどこまで踏み込んだ話をしてくれるかが興味深いです。

©ジャパントラックショー2020実行委員会

是が非でも開催したい。だが影響は悪化の一途をたどる

____さて現在(2020年3月25日時点)の新型コロナウイルスによる大規模な影響を踏まえて、イベント開催の可否についてお伺いしたいのですが、現状は予定通り、5月27~30日で開催が予定されています。現在の状況を教えていただけますでしょうか。

:現時点では、我々としては開催するつもりでいます。ただ前回よりもスケジュール上、遅れている部分が出てき始めています。とにかく、感染予防対策もやるべきことはやっていくつもりです。我々としては是非、開催したいと考えています。 

____待ち望むファンとしても是非、開催して欲しいわけですが。

:仮に開催できたとしても対策は万全に、安全には最大限に気を遣って実施すべきと思っています。想定できることは全て行なっていきます。また、同時に開催を止めた時にどういう影響があって、次回の2022年に繋げていくかを真剣に考えなければいけない状況です。今回開催を待ち望んでいただいていた方々には、引き続き応援をいただければ幸いです。「とにかく継続していかなければいけない」というのが、我々の責務だと感じていますから。

中西:そこだと思います。ジャパントラックショーを未来にわたって開催していくために、継続させなければいけない。そのために「何をすべきか」ということだと思います。我々も出展社として準備していますし、努力してきましたから、是が非でも開催して欲しいです。とはいえ、ジャパントラックショーを感染が拡大する要因にすることは出来ないし、感染が懸念される状況で実施することで、物流業界やトラック業界のイメージを損なうことはあってはならないですよね。

最前線で戦う物流業界、トラック業界のために

____分かります。開催の是非は別として、物流は新型コロナウイルスの中にあっても、止まることが許されない、最前線で戦わなければいけない場所だと思います。そんな時期だからこそ、同じ物流業者、またはトラックを生業とする人たちが集まって、交流できるような場所というのは心から必要だと感じています。この時期だからこそ、連帯の場所にして欲しいです。トラック業界に関わる者として、心の底から開催できるようお祈りしています。 

:有難うございます。昨日、大手宅配業者の社長さんと話をしていたのですが、やはり現状、ものすごく忙しいとおっしゃっていましたね。とにかく「車と人が足りない」と。

____このご時世ですから、ネット販売が主流になりますからね。

中西:物流は荷種によって景気の波はあっても、常に残るんですよ。本当に強いと思います。 

:東日本大震災があった時も、まず求められたのは物流の確保でした。やはり人間の生死に関わるところですから、物流は重要ですよね。 課題はやはり人材の確保です。もはやドライバーの総数は決まっているんですよ。新しく人材は入ってくるものの足りないので、各社で現場のドライバーを獲りあっているような状況なんですよね。 そんな時にやはりトラックショーで、最先端で誰もが運転してみたいと感じられるようなトラックが集まることによって、ドライバーの需要を喚起したいという思いがあります。そこで主催として「貢献できれば」という気持ちは常に持っているんです。ささやかな思いですけども。 

南 元一(Minami Motoichi)様:
1971年3月立教大学社会学部卒業、同年4月ジャパン・ライン(現・株式会社商船三井)入社、1977年1月大洋製鋼株式会社入社、1979年同社取締役就任、1995年同社代表取締役就任、2002年同社代表取締役退任、日鉄鋼板株式会社最高顧問就任、2005年退任 2012年日本インシュアランスグループ株式会社 代表取締役就任、2015年一般社団法人 国際物流総合研究所 代表理事会長 就任

ジャパントラックショー2020の最新情報はこちらでどうぞ

< 対談一覧に戻る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加