トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第44回
ビッグリグカスタムショップ株式会社CEO・加藤卓司様
ビッグリグカスタムショップ株式会社CEO・加藤卓司様
トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第44回
ビッグリグカスタムショップ株式会社CEO・加藤卓司様
ビッグリグカスタムショップ株式会社CEO・加藤卓司様
「好きを仕事にするのがアメリカンスタイル!? 愛知のコンボイ社長を訪ねました。」
愛知県豊川市にあるトラックカスタムパーツの販売店、ビッグリグカスタムショップ。ファストエレファントもお世話になっているビッグリグカスタムショップさんのトレードマークといえば、付きだしたボンネットが雄々しいアメリカントラックです。社長の加藤卓司さんは大のアメリカントラック好きにして、夢のピータービルトオーナーでもあります。そんな加藤さんと中西、アルフレッドを交えて話すトラックカスタム四方山話。デコトラからアメリカンへ、そして最近のユーロカスタム事情まで話は多岐に渡りました。
写真・薄井一議
デザイン・大島宏之
編集・青木雄介
加藤卓司
1971年生まれ。ビッグリグカスタムショップ株式会社 代表取締役社長。国産パーツからアメリカ、オーストラリア、ヨーロッパのカスタムパーツの輸入販売、卸売業に従事する。
____ビッグリグカスタムショップを始められたきっかけについて教えてください。
加藤:きっかけは1995年にコンボイ(北米のボンネットトラックの愛称)を買ったことです。このピータービルトはもともと377というトラックですが、今は379の顔にしています。
____そこも加藤社長のこだわりなんでしょうか?
加藤:そうです。本当は379を最初に買いたかったんですが、まだ26歳ぐらいだったので予算的に厳しかったんです。
____なるほど。ちなみに「ピータービルトを欲しいな」と思われたきっかけは、やっぱり映画の『コンボイ』だったんですか。
加藤:そうです。中学校1年生の時に見た、あの映画がきっかけです。その前には『トラック野郎シリーズ』も見ていてデコトラも好きでした。このコンボイを買うまでは、デコトラに乗っていました。18歳の時にセドリックを売って(笑)、デコトラを300万円で買いました。完全に趣味ですね。
____18歳で!? ずいぶん思いきりましたね!大型ではないですよね?
加藤:4トンの平ボディです。それはイベントのみのショーカーですね。コンボイは「将来、絶対に乗るぞ」と同級生にも言いふらしていました。そこで半分いじめられそうになりながらも、その意志を貫きました(笑)。25歳の時にアメリカに4回足を運んで、新車を決めてきました。
____新車にこだわられていたんですか?
加藤:中古はその当時、何台か持っている方々がいらっしゃったんですよね。5台ぐらいあったのかな。並行輸入で持っている方がいました。でもそれだとナンバーが取得できないんですよ。やっぱりナンバーのつく車が欲しかったんです。それで「新車が良い」って考えたんですね。
____ナンバーが欲しいということは、「自由に乗れる車が欲しい」と考えられたんですね。
加藤:そうです。ナンバーがあればいつでも乗れますからね。毎回、仮ナンバーを借りに行くのに役所に向かうのも気が進みませんでした。現在はさらに厳しくなっていて、同じ車で何回も仮ナンバーを借りようとすると貸してくれないらしいんです。
____なるほど。では、なぜコンボイが仕事につながったんでしょうか?
加藤:このコンボイを買った時に、輸入のことをすごく勉強したんです。この車を買った時に友人達が「煙突マフラーを売ってくれ」とか「燃料タンクを売って欲しい」とか言いだして、それで現地に問い合わせをして輸入してあげていたんです。そうしていたら先輩に「それ商売にしたほうがいいよ」って言われたんですよね。だったら、せっかくなら「やってみようか」ということになりました。
____加藤さんがピータービルトを買われた当時は、具体的にどんなお仕事をされていたんですか?
加藤:私の兄が人材派遣の会社をやっていたので、そこで会社員として働いていました。
中西:関連した仕事ではなかったんですね。
加藤:全然、関連していませんでした(笑)。私は大手企業の機械のメンテナンスをやっていました。やりがいはありましたよ。直せば相手の従業員さんに感謝されます。でも今の仕事と比べると、やっぱり自分の好きなことを仕事にできるって良いんですよね。
____ビッグリグカスタムショップの仕事を始めたところというのは、やはりコンボイのパーツが多かったんですか?
加藤:コンボイのパーツもそうですが、一番はアルミパーツの磨き剤が売れていました。これが大ヒットしたんです。
____へぇー。
加藤:当時、日本にあったのはブルーマジックとピカールしかありませんでした。弊社が始めたのはパープルメタルポリッシュから始めて、その後にホワイトダイヤモンドメタルポリッシュを販売しました。全国でも販売するようになって宇佐美鉱油でも販売してもらいました。
アルフレッド:ホワイトダイヤモンドメタルポリッシュはかなり有名ですよね。
____SNSを見ても、ドライバーは磨き材にこだわっていますからね。
加藤:本当にそうです。熱心なドライバーは発売されるものは必ず試してくれるんですよね。そういうところは皆さん、お金をケチりません(笑)。
____なぜ日本のドライバーはそんなに磨きにこだわるんでしょうか。
加藤:アメリカだとプロの磨き屋がいるんですよ。
中西:YouTube で見たんですが、向こうの人って基本的に自分で洗車はしないんですよね。 大手だったら会社に洗車場があるし、トラックステーションみたいなところに洗車場があって洗ってくれる人がいるんです。
加藤:そこで「ホイールも磨いておいてくれ」と言えば、1本1000円ぐらいで磨いてくれるんですよ。その間にお風呂に入ったり、仮眠したりしながら時間を過ごすんです。日本だと他人に洗ってもらうことを良しとしないですよね。やっぱり自分で洗いたいんです。
____たまにスタンドで窓を洗ってくれるサービスのあるようなところでも、ドライバーが断っているシーンもよく見ます。
加藤:他人に洗わせると、日本だとクレームが出ちゃうかもしれない(笑)。やはりこまかいんですよね。ポリッシュも、ラベルがちょっと剥がれていたりすると「これじゃ困るんだよね」とすぐ言われちゃうんです。それを輸入元のアメリカの会社に言うと「そんなこと言わないで。中身が入っていればいいじゃない」って言われちゃうんですよね(笑)。
____一同爆笑
加藤:あんまりアメリカに言い過ぎると「もう売らない」って言われちゃいます(笑)。それをいちいち聞いているとクレーム対応で「仕事にならない」ということなんでしょうね。
____話は変わりますが、もともと中西社長とアルフレッドさんはトラックショーで加藤社長と知り合われたのでしょうか。
中西:もともとはヨシノ自動車じゃなくて、ただの中西だと思います(笑)。それこそ東京ビッグサイトの頃から知っていますから、7、8年前から存じ上げていますね。
____ビッグリグカスタムさんも、やはり今年のトラックショーの中止は大きかったのでしょうか?
加藤:ええ。やはり仕入れていた商品がありますからね。カレンダーとか在庫がいっぱい残っています。それを是非、トラックショーに買い取って欲しいんですが(笑)。
アルフレッド:ファストエレファントのECサイトで売りませんか(笑)?
中西:ボルボのパーツより売れちゃうかもしれないですね(笑)。
アルフレッド:むかし問い合わせで「ヨーロッパのトラック雑誌を売ってくれないか」という問い合わせがありました。それをビッグリグカスタムさんに相談しようと思っていたんですよね。
加藤:そうそう。これまでも何回かその問い合わせはありましたね。
____そういった場合、仕入先を探されるのでしょうか?
加藤:もちろんです。やれることなら何でもやります(笑)。ただこの頃はコロナの影響で旅客機が飛んでないんですよね。航空便の荷物がすごく高くなっています。それが今は大変ですね。この間、マフラーを2パレット送ってもらったら送料だけで35万円もかかってしまいました。コンテナだったら40フィートで35万円です。
____確かに高いですね。ちなみに加藤さんも海外に買い付けに行かれたりするんですか?
加藤:たまに行きますよ。アメリカにもトラックショーがあるんですよね。それも辺鄙なところでやっているんですよ。本当を言えば、この9月末に行く予定だったのかな。1200台ぐらい集まるショーです。でもそれはデコトラのイベントと一緒で、ただトラックが集まるだけですね。それはモーターショーとは違うんです。逆にモーターショーは3月ですね。ケンタッキーで行われる全米1のトラックショーです。
____加藤社長はとことんアメリカントラックがお好きなんですね(笑)。
アルフレッド:だって25歳でアメリカントラックを買っちゃうんですからね。普通の25歳はそんな大それたこと考えないですよ(笑)。そんなお金もないし。
中西:そうですよね。フェラーリ買うより、ハードルが高い(笑)。
加藤:そうなんですけど、当時はすごい円高ドル安だったんです。だから当時で1600万円ぐらいだったかな。それで前のトラックショーに出るときに改造したのが1500万ぐらいですね。
一同:うわー。
加藤:アメリカだとホイールベースも45万円ぐらいで延ばしてくれたりするんです。全部、一回、ガスバーナーで切っちゃうんです。プロペラシャフトなんかもちゃんと付きますよ。
アルフレッド:それはあんまり良くないと思いますけどね(笑)。補強はちゃんとするんでしょうけど。
加藤:そもそもシャーシが二重になっているんですよ。アメリカは買ってからみんなシャーシを伸ばすんですよ。長いのが格好いいからですね。
____アルフレッドさんもアメリカントラックが大好きですよね?
アルフレッド:大好きなんですよ。これまでも何回もアメリカに行っているんですが、見るたびに目が釘付けになっています。
加藤:そうですよね。アメリカに行くとトラックばっかり見るようになりますね(笑)。アメリカ人の改造はちょっと桁が違うんですよね。飾っているトラックというのはだいたい6000万円ぐらいかかっているのが普通なんです。
アルフレッド:そんなに!それだけ運転手の仕事が儲かるということですよね。
加藤:いや、運転手の給料は日本とそんなに変わらないと思いますよ。本物のトラック運転手じゃなくて、愛好家の人たちなんですよね。
中西:そこがアメリカっぽいですよね。裾野が広いところは。
加藤:僕のアメリカ人の友達とかも、屋根を切ってローダウンして扁平タイヤを履いたりしています。向こうにはそういう変わったタイヤもあるんですよ。僕のトラックでもルーフを半分ぐらいに切るのが、格好良いらしいんですよね。知り合いの社長は、僕より背が小さいのに運転してるんですよね。「前が見えるのか?」と心配していました(笑)。足は短くとも、コンボイのシフトはノンシンクロだからクラッチを踏まなくて済むんですよね。
アルフレッド:この人の右手は「いつ止まるんだ」っていうぐらい、せわしなくシフトレバーを動かしていますもんね。
加藤:18段ギアだとそうなっちゃいますね。シフトレバーが3本とかありますから。
____加藤さんのコンボイにはシフトは何本あるんですか?
加藤:2本です。元々1本だけだったのを改造して2本にしてます。格好だけです。やりたかったんですよね(笑)。
____加藤さんはコンボイでドライブに出かけられたりもするんですか?
加藤:もちろんです。イベントなんかにも乗っていきます。乗る時だと、年に5000キロぐらい乗っていますよ。
____コンボイをきっかけに始まったビッグリグカスタムですが、その後はどのように仕事が広がっていったのか教えていただけますか。
加藤:お客さんのリクエストに応えていったことが、大きいですね。今でもそうなんですよ。 YouTube で見た「このパーツが欲しい」というようなリクエストを受ければ、アメリカやヨーロッパの知り合いに頼んで、そのパーツを特定します。そうなると、そのツテで輸入するしかないんですけどね。
アルフレッド:ボルボの部品はどうして販売することになったんですか。
加藤:ボルボはね。やはりアサヒ物流さんという会社から始まっていますね。ボルボを45台ぐらい持ってらっしゃいました。現在はスカニアが多くなってきたようですね。それで最近はスカニアの部品を多く購入されています。トラックを飾ることはないですが、グッズがお好きなんですよね。ミニカーを買って、来社したお客さんにお土産としてプレゼントしたりしてるんですよね。
アルフレッド:ちなみにファストエレファントがビッグリグカスタムさんと仕事をすることになったきっかけは、キーマンが存在するんです。我々もそのキーマンの方を通して紹介してもらってパーツを仕入れるようになりました。ファストエレファントとして始まったのも、その方のトラックを手がけてからで、そこが突破口になったような感じなんです。出会いが更に出会いを生んだような感じですね。
加藤:ありがとうございます(笑)。
____なるほど。もともとボルボは日本でカスタムの文化はあったのでしょうか?
加藤:いや、 やはりそのキーマンがきっかけではないでしょうか。その方がネットで見て「これがいいな、あれがいいな」とリクエストしてくれたんですよね。グリルの大きなバーもカンガルーバーも日本で1番最初に始めたのが、その方です。「この形じゃダメだ。この形にしてくれ」と向こうにリクエストして造っているんですよ。北海道出身の方ですが、ボルボのカスタムパーツも北海道が一番に売れているんですよね。
中西:そうですね。北海道が一番売れているし、もともとノーマルばっかりだったはずなんですよね。お客さんもノーマルで乗っていたんですよ。ここ最近どんどん増えていますよね。
アルフレッド:みんなが我先に「上へ、上へ」と高みを目指すような感じでしょうかね。
____なるほど。加藤社長はデコトラの時代からトラックのカスタムを見ているわけですが、流行はどう変わっていったのでしょうか。
加藤:そうですね。現在はデコトラ系の飾りが出来なくなりつつあるので、ヨーロッパやアメリカの飾りをするというのが主流なんですよね。
____元々がデコトラの感性なんですね。
加藤:そういうデコトラの血が流れている人は40代後半から上の年代ですよね。60歳から上になっちゃうと、デコトラが完全に映画の世界になってきちゃいます。現在、50歳ぐらいの社長がいるような会社はやっぱり飾るのが好きだし、勢いがすごいですね。自分は乗らなくても自社の車は全部飾るという具合です。
____自分の所の看板が入っていると嬉しいんでしょうね。
加藤:そうなんですよ。自分は乗らなくてもね。
____今度、ファストエレファントでも自社でボルボのカスタムパーツを製作するということですが、加藤社長からも一言いただけますでしょうか。
加藤:ヨシノさんのような業界で知られた老舗が、パーツを出すのは非常に良いことだと思いますよ。パーツはナットとかを作るということでしょうか?
アルフレッド:打倒ケルサーみたいなことを考えています(笑)。バンパーのようなパイプものも独自で造って、日本から発信していきたいと考えているんです。
加藤:なるほど。弊社はカスタムパーツを早くから扱っていますが、自分たちで流れを作るようなことはしたことがないんです。「これ良いからつけて」みたいなことは言わないんですよ。どちらかと言うと「つけたいからある?」って言われるまで待っているタイプなんですよね(笑)。それでやらせてもらってきています。
____なるほど。
加藤:こういう仕事というのは卸しが多いですよね。お店があって部品があってこそ、卸しがある。これを飛び越えて販売するということはあまりしたくなかったんです。部品商に売るというのが我々、卸しのスタイルなんですよね。ただ社長世代が変わってくると、安ければいいだろうという考えになりがちです。速さと安さを求められているんですね。昔の義理とかは関係なく、なるべく「安く仕入れよう」というのがこの時代だと思います。
____時代とともに変わってきたんですね。
加藤:運送屋さん自体もそうですよね。自分たちでボディ屋を始めるとか、修理屋を始めるとか。自分たちの車を直すついでに、他の運送屋さんの整備もする。それにつれて僕らの商売の仕方も変わりました。昔は「ケースで送ってくれ」という感じだったんですが、今は「5個送ってくれ」とか、在庫を持たず必要な分だけしか買われません。まさにトヨタ方式みたいな感じですね。
____加藤社長は「もっとアメリカのトラックのカスタムカルチャーを日本に入れたい」というお気持ちはありますか。
加藤:あるんですけど、お客さん達がデコトラとユーロとアメリカンの違いをあまり分かっていないのが歯がゆいですね(笑)。まぁ、法の規制もあるしアメリカンなカスタムを薦めても分かってくれない場合は多いですよね。なるべくそっちの方向も盛り上げたいんですけどね。だから4 トン車で、自分でアメリカンなカスタムをしようと思っているんです。それは本当のところ、今回のトラックショーに出したかったんですよ。出せなくなっちゃったから、今はのんびり造っています(笑)。
アルフレッド:登録はもうしたんですか?
加藤:登録は来月ぐらいかな?今のところフェンダーと燃料タンクと煙突マフラーはつけました。それが終わったら2次架装ですね。それで配達に行きますよ。近所にもアメリカンにどっぷり浸かっている人がいるにはいるんですけど、数が少ないんです。ユーロ調だとセノプロさんが大きく手がけているから、セノプロさんも弊社からパーツを買っていますよね。現在はセノプロさんのようにシンプルなカスタムが人気です。何年か前はタンクローリーを引っ張っているアメリカントラックが何台かあったんですけどね。オーストラリア仕様でしたね。
中西:覚えています!ボンネット型なんですけど、ベッドとかはないしサイズも小さく感じられるんですよね。
アルフレッド:関東でもごくわずかにしか走ってないですよ。めちゃくちゃ壊れると聞きました。
中西:多分、シェルのローリーを引っ張っていた上野輸送さんとかですかね。
加藤:それは毎日使っていたら壊れます(笑)。全部いなくなっちゃいましたね。ちなみにボルボとスカニアはどちらが壊れるんでしょうか。
中西:現在の新しいスカニアは壊れないと聞きますよ。ボルボと同じぐらいの品質は維持していると思います。関東だとトランスウェブさんが60台ぐらい持っていますよね。もともとボルボのお客さんでスカニアに買い替えられたお客さんの話なんかを聞いていると、新型は故障もなく順調と聞いています。やっぱり良くなったんでしょうね。
アルフレッド:ボルボもスカニアも、その車によりけりだと僕は思いますけどね。
加藤:それとボルボが良いという人は、やっぱりボルボなんですよね。
中西:ルックスが違うから好みが分かれますよね。
アルフレッド:僕のお客さんだと「やっぱりボルボにすれば良かった」というスカニアのお客さんもいますよ。
____それはなぜでしょう。
アルフレッド:その人はたまたま壊れてしまったけど、「部品がなかなか来なかった」って言ってましたね。
中西:実用性を考えちゃうと、スカニアはまだそういうところに心配がありますよね。ボルボは我々、正規代理店やUDの代理店もあるので全都道府県を網羅していますが、スカニアの場合はパーツの問題もあるでしょうし、メーカーのフォロー体制がボルボほどではないということですよね。止まっちゃって、サービスディーラーまで200キロ先となるとなかなか厳しい。
加藤:スカニアの心配は、やっぱりメンテナンスと値段ですもんね。ちょっと高いんですよね。
中西:確かに高いんですけど、ボルボでいうとサイドディフレクターなんかが、セットで付いてくるので、コンプリートを買うと考えると値段は同じくらいだと思います。実態は言うほど「変わらない」と僕は思うんです。
____さて、皆さんは全般的にこれからのトラックカスタムはどんな未来があると思いますか。デコトラは、飾ると走れなくなっちゃうのが厳しいのでしょうか。
加藤:最近の国産トラックはバンパーにヘッドライトが内蔵されていたり、飾れないトラックになっちゃっているんですよね。センサーもいっぱいついているし テールも飾れなくなっちゃいました。それでもやる人はやりますけど、大変ですよね。
____かつてはオートバックスでも、ハンドルカバーやマーカーレンズは売ってましたよね。
中西:そのオートバックスもなくなっていく時代ですからね。
加藤:これからどうなっていくんでしょうね。
中西:弊社は全国規模でもないし、認知度知名度で考えてもまだまだですから、「伸び代はあるな」と将来を楽しみにしています。それはあくまでもヨシノ自動車の話であって、業界全体で考えればトラックの保有台数は減っていくでしょうし、全体的に縮小傾向は否めないですよね。実際にボルボは増えてきていますし、我々の新車で販売する9割以上はカスタム込みなんですよね。ノーマルは全体の5パーセントもないと思います。それだけだんだんと認知が広まってきたことはあるので、その差はまだあるかなと思いますけどね。
加藤:それはありますよね。実際に欧州車が増えている実感はあります。逆に国産離れが始まったともいえますからね。
中西:その辺が良くも悪くもなんですが、ひとつはボルボの品質が飛躍的に向上したということ。片方で排ガス規制が、どんどん厳しくなっていますよね。それで「国産がどうしても壊れる」という印象が最近、出てきているんですよ。本当に全メーカー、壊れる印象があるんです。
加藤:確かに、メーカーによって弱点は必ずあるんですよね。
中西:ここは意見が分かれるところだと思いますが、個人的に現在、一番良いのはスーパーグレートではないかと思っているんです。それは中身がダイムラーだからということもあります。国産は10万台を4メーカーで分け合っていますよね。それが世界的に見るとボルボだと1社だけで35万台も販売してるんですよね。そして1位のダイムラーは50万台ぐらいですよね。
加藤:向こうに行ってもそんなにベンツが走っている感じはしないんですけどね。飾っているのは断然にスカニアなんですけどね。V8があるのがやっぱり大きいんでしょうね。
____アジアはこれから中国製トラックがどんどん入ってきそうな感じがしますけどね。やはり値段が圧倒的に安いですよ。
中西:そうなんですよ。アフリカでもそうですし、安かろう悪かろうは昔の話で、現在では品質も良いと聞いています。これからだんだんとシェアを広げていくのは間違いないと思います。 2、3年前に抱いていた中国へのイメージというのはすぐに払拭した方がいいですよ。本当に良くなってくるから。
< 対談一覧に戻る