株式会社ヨシノ自動車

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第51回

ヨシノ自動車 整備事業部

ヨシノ自動車 整備事業部

「勇者よ、アレフガルド(新天地)を目指せ!? 特定整備という新たなハードルを迎え撃つ!」

2020年より始まった特定整備。自動ブレーキなどの安全運転支援装置の進化にともなって、出現した新たな整備分野として業界は、その対応に追われています。今回はヨシノ自動車の整備部を通して、特定整備とは何かについて探りました。そして、その将来について意欲的に取り組む現場の姿に迫りました。この変化を起点として、新工場の構想も始まっています。ヨシノ自動車は、この時代の大波をどのように乗り切ろうとしているのでしょうか。

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編集・青木雄介

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ヨシノ自動車・荒川
車検整備のエキスパート。違法改造がないか目を光らせる整備部の制御装置。

ヨシノ自動車・中根
中堅リーダーの整備エンジニア。いつもフロアの仕事環境に心を砕く、優しき整備部のエンジン。

ヨシノ自動車・中西
ヨシノ自動車社長。家系ラーメンのスープが血管に流れる横浜っ子。

ヨシノ自動車・アルフレッド
ファストエレファント店長。「新工場に隠れ家が欲しい」という野望にギラつく35歳。

ヨシノ自動車・野中
中堅リーダーの整備エンジニア。24時間戦う地元(川崎市幸区)生まれの勇者。

特定整備とは何か

____まず初めに整備業界として現在、どんな新技術が課題になっているんでしょうか。

中西:まず特定整備という新しい流れがあります。国土交通省によって指針が示された、今後の自動運転技術も含んだ新しい整備です。今のところは衝突安全機能におけるエーミング作業(障害物の認識)や、取り扱いに関する整備内容になっています。この内容を電子制御装置整備と呼びます。弊社はこの整備事業者認証を、スタート段階で取得しました。今までの一般整備や、指定整備の認証では駄目なんです。2024年までは準備期間として認められていて、それまでに取得すれば大丈夫ですね。まず、その認証を取得しないと、始まらないという。

____特定整備の認証は、取得が大変なんでしょうか。

荒川:市の陸運局が指定する場所で、実技と試験で取得するんですが、ほぼ1日講習を受けるだけです。

中西:荒川が取得したのは、車検検査官の免許なんです。もちろんそれに伴った機械(整備用スキャンツール)も導入しなければなりません。弊社はまだ導入していなくて、これからの話に出てくるでしょうけれども、新工場の立ち上げに伴って導入を考えています。この特定整備に関しては導入しておかないと、そもそも車検ができないんです。

____それは衝突安全ブレーキなどがついているトラックに関して、受けられないということですね。

中西:そうです。もはや新しいトラックに衝突安全ブレーキやレーンキープアシストなどの機能は標準装備ですからね。

専用ツールがないと車検を実施できない

____特定整備の試験は難しかったですか。

荒川:そうでもないです。ただ弊社としては初めてのことだったので、今までの事例がありませんでした。ですから最初は、落ちて当たり前ぐらいのつもりで受けました(笑)。でも授業を聞いて、基本的なことを理解していればちゃんと取れる資格でした。

____特定整備は参入ハードルが高いですよね。エーミングの機械などがない場合は、車検そのものが出来なくなっちゃいますよね。

中西:2024年までの猶予はあるとしても、機械を導入してそこに対応できる整備工場しか残らないので、淘汰されていくとは思いますね。

____現場として、その新技術を実際に作業されている中根さんはどう受けとめていますか。

中根:まだ衝突安全装置が壊れるという事例には遭遇していなくて、整備の実績がありません。とはいえ、この前、初めて外注にお願いをしてガラスを変えるという作業をしました。その車両は衝突安全装置がついていたので、エーミング作業しなければいけなかったんです。そこで外注に発注するにしても書類の書き方自体が初めてで、現場全体で試行錯誤しながら、取り組んでいるというところですね。

____外注は可能なんですね。

荒川:契約さえしていれば外注はできる作業です。 決まった外注先と弊社が契約をして、弊社のスペースを使って作業をしてもらいます。

中西:弊社はガラス交換や板金塗装は協力会社に下請けで出すので その流れと同じですね。

本当に自動ブレーキは信用できるのか?

____なるほど。

荒川:実際に作業してみると、エーミング作業に関しても車種によって全部、違うんですね。メーカーごとにターゲットの設定が違うんです。そもそもその設定や動作環境がちゃんと開示されていなかったりするんです。

____いかにもありそうな話ですね(笑)。私見ですが、自動安全ブレーキって本当に効くのだろうかって、疑問なんですよね。そこにもメーカー差があったりしませんか。

中西:各メーカーさんのターゲットの設定や、動作させるロジックの作り方次第なんですよ。ボルボが画像認識でやっている衝突安全ブレーキは、ダミーやダミーじゃないものを見分けるというところまで来てるんですね。例えば大きなダンボールが飛んできて、そこで自動ブレーキが効いてしまったら、後続車両や積載貨物に大きなリスクが生じてしまいます。実際、ボルボの実験映像なんかを見ると、障害物がダンボールではなくて本当の車だったりすると、ちゃんと止まるんです。

____画像認識なのか、レーダーセンサーなのか。どっちなんでしょうね。

中西:両方で認識しているのは間違いないのですが、何をもって障害物とみなすかは、企業秘密なんです。

____荒川さんがおっしゃっている、情報が開示されていないというのはそういうことですね。

アルフレッド:ボルボを実際に運転しているドライバーに聞くと「ちゃんと止まる」と言ってますね。たまに誤認識して、すれ違いざまに止まられたこともあるとは言ってましたけれど(笑)。

中西:日野のデュトロなんかもそうですが、坂道も障害物として認識して止まってしまったり、鉄板が引いてあるところに反応して止まってしまったり、誤動作も多いと聞きます。このプログラムも日進月歩で進歩しているので、今はそんなことはないのかも知れないですけどね。

エーミング作業もボルボと国産では違う

____そんな多種多様な判断基準を持ったトラックを、ヨシノ自動車の整備部は一緒に見なければいけないわけですよね。そもそも障害物の認識方法が違っていると、統一した基準をもちにくい訳で、よりハードルの高い整備だと感じます。

中西:そうなんです。メーカーによって見解が違うので、バンパーを交換した際のエーミングの取り直しも、ボルボはあくまでも車軸を基準にするんです。アクスル(車軸)に対してボデーとキャブが載ってるわけですけど、アクスルの方向性とエーミングの方向性が一致していないとダメなんです。でも国産はバンパーに取り付けられたセンサーだけで判断していたりする。そうなるとアライメントが狂っていると、方向性があいまいになっちゃいますよね。

____なるほど。ヨシノ自動車は「大変だな」と思ってしまうんですよね。ボルボの1ディーラーとしてボルボのエキスパートだけをやっていれば ボルボとだけ向き合っていればいいんですが、実際は日野やふそうや、いすゞ、UDといった国産メーカーにも向き合わなければならない。

荒川:ボルボ専用のテスターは、アライメントそれ自体がすぐ取れるので作業が早いのですが、国産は糸を垂らしてアライメントの修正を行わなければならないので、やはり国産の方は時間がかかってしまいますね。

アルフレッド:国産は、それだけで2~3時間かかっちゃいますよね。

中西:そういった専用機械を今のヨシノ自動車の整備スペースに導入するのは、現状の仕事件数からいっても費用対効果として合わないんですよ。現状は必要ないとしても、これから必要になってくる。今の世の中だと、過積載のために車軸が狂うとかそういうトラックもないですし、コンピューターで校正をかけるだけでも十分なんですよね。今後、アクスル自体が狂っているようなトラックが入ってきた時は、アライメントテスターが必要だし、ずれているとわかった時は、それを直さなければならない。トラックの場合は、そのアライメント修正がすごく大変なんです。バーナーで熱を当てて、叩きなおすような作業をしなければならない。

アルフレッド:ごくたまに大事故を起こされて「どうしても直したい」ということで、作業の必要な場合がありますが、それはすごく特殊な事例なんです。

中西:そもそもボルボも、国産も新車時から3割はアライメントが狂っていると言われています。タイヤの片減りなんかを考えると、修正した方がいいのは間違いないんですけれどね。トラックの場合は、それほど大きな問題にはならなかったから、今後はアライメント修正が必須事項になると大変ですね。

カンガルーバーやミラーレス・カメラは車検を通るのか?

____分かりました。では気を取り直して、ボルボのディーラーでありながら国産の整備も手がけるヨシノ自動車らしさというのは、どういうところにあるのでしょうか。

荒川:ボルボも国産も、検査自体はそれほど変わらないんです。最近ではアルフレッドを中心にファストエレファントが架装をやっているので、それが車検や保安基準に抵触しないように監督することが、すごく多くなってきましたね。お客さんやアルフレッドの要望を聞きつつ、踏み出してはいけない線があるので、自分でも調べて、川崎の陸運局に相談に行ったりもしています。自分でもすごく勉強になっていますね。最近だと、ミラーレス・カメラの相談を受けたりとか、かな。頭を悩まされながら、自分も楽しみつつ勉強しています。

____素晴らしい。アルフレッドさんは荒川さんには頭が上がりませんね。

アルフレッド:やはりビジネスですから、ギリギリを攻める事になってきます(笑)。いつもお世話をかけています。

____一同爆笑。

荒川:車検や保安基準を守りながらも、カスタムを楽しめるということでヨシノ自動車を選んでくれるお客さんもいるはずなんですよね。

アルフレッド:お客さんの要望があることによって、我々の勉強にもなるんですね。

荒川:最初はカンガルーバーもつけられない、と思っていました。「つけられる」と分かると、じゃあそこにライトはつけられるかとか、どんどん要望は高くなっていきます。陸運局の人には「これつけて北海道でも走るの?」って言われましたけどね(笑)。

理想の整備士像を追求したい

____中根さんはいかがでしょうか。

中根:僕はボルボに憧れて、ヨシノ自動車に入って12年ぐらい働いているのですが、ボルボと国産の両方をやってきました。色んな車種を触るだけあって、覚えきれないところもたくさんあります。楽しいながらも、常に新しい勉強をしていかなければいけないので、自分自身ここで極めることができたら「相当に強いな」と感じているんです。なんでもできる整備士になりたいと考えています。

____それが理想の整備士像なんですね。

中根:そうですね。「ここに持って来れば必ず直せる」と信頼されるような整備士になるのが一番の目標だし、仕事をしている中でのモチベーションにもなっています。お客さんに信頼される整備士になれれば、と考えています。

____なるほど。今回の企画のテーマの中では、ヨシノ自動車ならではのサービスというものもあってサービスの質を上げることと、片方でスピード感というものも大事なのかなと考えています。その点はいかがでしょうか。

中根:お客さんの要望を聞いて、段取りをして、希望の納期に合わせることは心がけていますね。

アルフレッド:たとえば事務所が、お客さんから仕事を受けますよね。それを現場に伝えるのですが、事務所も忙しい中、「早くやってくれ」とは言いにくい。それが分かるので、最近は特に、できる作業は率先してやってくれます。だからこそヨシノ自動車のお客様満足度は高いと感じています。手間を取らせないような作業であれば迅速に片付けていきます。

____例えばどんなことでしょう。

アルフレッド:例えばエラーチェックです。工場は満載で入っているから、どこにもトラックは入れられないんだけど、緊急性の高い作業は入ってきますよね。だったら部品を交換するような修理はできないけど、その場でエラーチェックは可能だったりします。だからそれをやる。そういうところじゃないですかね。

ドラクエでいえば勇者的な立ち位置

____わかりました。野中さんはその辺のヨシノ自動車らしさというのはどう感じていらっしゃいますか。

野中:僕もヨシノ自動車を選んだのは、ボルボだけではなくて国産メーカーも触れるということで選びました。いすゞや日野といったメーカーの工場に入っちゃうと、そのメーカーのトラックしか触れなくなっちゃうし、常に新しい環境を学んでいける点に魅力を感じました。逆に決められたことをやっているところに比べると、国産に関してはディーラーほど専門的ではないかもしれません。

____なるほど。

野中:ただヨシノ自動車は、ドラゴンクエストで言うところの勇者的な立場なんですよ。魔法使いは魔法に特化したスペシャリストだし、武道家は武道に特化したスペシャリストですよね。ヨシノ自動車は何かと言ったら「勇者」なんですよ。ドラクエで勇者が悩むシーンがあるんです。自分には何の取り柄があるんだろう?と。そうしたら勇者が優れているのは、「勇気なんだよ」と答えが出るんです。

____一同爆笑。

中西:この発言はあらゆる意味で、勇気がありましたね(笑)。

アルフレッド:野中さんは24時間対応の男なんですよ(笑)。その話をしてくださいよ。

中西:ヨシノ自動車はボルボのフルディーラーをやっているので、24時間対応してるんですよ。夜中でも朝でもヨシノ自動車の担当エリアで何かトラブルがあれば出張修理をするんですが、一番ダントツでその仕事をしているのが野中なんです。

緊急出動回数、全国2位の整備士

野中:直近で、全国のディーラーの中で出動回数が第2位だったんですよ。その仕事もやりがいがあって、夜中に荷物を運んでいるトラックがいきなりトラブって「すぐ来て欲しい」となりますよね。その場で代車は用意できないから、「なんとか応急でもいいから」と頼まれて、直して走れるようにするんです。そうすると、すごく喜ばれるんですよね。

アルフレッド:野中さんはたまに指名もされるんですよ。出動しすぎていて、何度か同じお客さんになっていて、向こうから「野中さんでお願いします」ときてしまう(笑)。

____それって勇者っぽいですね(笑)。

野中:勇者ですよ。男からしか指名されないって言う(笑)。でも、そこが、自分がすごくやりがいを感じているところですね。UD のディーラーから買ったお客さんとかにも呼ばれるんですけれど、UD がボルボは扱い始めてそんなに経っていないので、ボルボの知識も我々とは差があるんですよね。そうすると「ウチもヨシノから買えばよかった」って言ってもらえたりするんですよね。

____間違いない。感謝される野中さんは勇者ですよ。困っている人のために働く勇気を持っているんですね。行ってみると「アチャー」みたいなこともあるんですか。

野中:御殿場に出張修理に行った時に、行くのに2時間ぐらいかけて行ったのに、修理は5秒で終わったことがあります。

____一同爆笑

野中:往復4時間かけて行ったんですけど、インロックしちゃって開かないと。新型は絶対、インロック解除は無理なんですが、昔の型だと工具を使えば開けることも可能なんです。僕は、その作業が得意なので。

新型は壊れにくくはなったが……

____それはすごい。野中さんはもう何年ぐらい出張整備をされているんですか。

野中:僕になってからは、もう10年近いかな。その前には工場長、アルフレッドさんがやっていて、みんなやるのが嫌だから僕に押し付けてくるんですよ。

____一同爆笑

野中:入社して3年目ぐらいで出張整備を始めたから、最初は直せるか不安だったんですが、今はほぼ眠いだけですね(笑)。でも作業をしていて、コーヒーをもらったりすると嬉しいですよ。中には自分だけ、飲んでる人もいるけど。

____一同爆笑

野中:「なおすのやめようかな」とか思っちゃいますよね。

____出張されるのは週に何回ぐらいあるんでしょうか。

野中:最高で1ヶ月に7回出たことがあります。ない時はゼロの月もあるので、平均すると2、3回というところです。

____やっぱり昔の型に比べて、新型の方が壊れにくくなったような印象ってありますか。

野中:モデルチェンジをした時に、極端に減ったんですよね。ただ現在の型が出て5、6年経っているから「少しずつ増えてきたかな」という印象はあります。

____経年劣化みたいな感じですね。

アルフレッド:伝票を見ていると結局、一個前のやつが多い感じですよね。バージョン2の方。プログラミングの仕様とか、電気系統が多そうな印象ですね。後はバッテリーの故障が多いかな。

野中:バッテリーの故障は多いですね。ボルボは純正のバッテリーを使用してるんですが、 そこが弱い。国産に比べるとバッテリー故障が多いですね。

なぜ新工場が必要なのか

____了解しました。では今後の話に行きたいのですが、ヨシノ自動車の整備部は今後、拠点数を増やしていくイメージなんでしょうか。

中西:そうですね。工場の新規建設は計画しています。工場の場所が決まった時点で、すぐ着工します。「その工場をどうするか」なのですが、ある程度の大きさを持った工場にする予定です。現状の工場の3倍から、5倍のキャパを持った場所を想定しています。その中で、今までやっている車検整備から、ボルボの架装もそうですし、重整備、一般整備などオールマイティに扱えるキャパを増やすことと、ボデーの修理をできるスペースが欲しいんです。これだけ多くのボデーメーカーさんと付き合いがあり、販売実績もある中で、現状ではアフターサービスは一切やっていないんですよ。ボデーメーカーさんの指定サービス工場には一社もなっていないですから。

____なるほど。

中西:クレーンを売れば、年次点検が必要になります。冷凍機も同じです。全ては他の指定工場に依頼しているんです。今後はそこも自分たちでできるようにしたい。やはりスペースがないからできないんですね。そこがずっとネックでした。車検でさえ、キャパの問題でお断りする時もあるんです。車両が待機できるスペースがあるだけで、稼働率120%で回せるポテンシャルは全然あるんですよ。

狭いスペースのマネージメントを広い敷地で活用したい

____そうなんですね。

中西:1ヶ月で100台ぐらいやってる時があったのですが、それを見て同業者が皆、びっくりしていました。「どうやったら、そんなことができるんだ」って。だから狭い場所でやりくりしてきた、有効なスペース活用を新工場でもできる自信があるんです。弊社の社員にはそれが当たり前になっているけれど、他では考えられないことを現場でやっているんです。とはいえ、これも限界で、トラックの仕事は現物を持ってきて、やる作業なのでトラックを置けるスペースが決まっちゃうと、必然的に売り上げも決まってしまうんです。だからこそスペースを広げるということが、一番重要なことなんです。

____確かに、そうですね。

中西:トラックの整備工場という、それなりの敷地面積が必要な場所を首都圏で見つけるのはなかなか難しいことだったんですが、候補はいくつかあるので最終的な場所を決めて進めていきたいと考えています。先ほど野中がいっていましたが、アフターのサービス実績を信頼されて、販売につながるということもすごく多い。そこが同業他社との差別化における弊社のアドバンテージだと考えているので、そこにもう少し注力していきたいんです。そうすると、整備も販売も相乗効果として、もっと大きな結果に繋がるような気がする。だからこそ、今後のヨシノ自動車にとって工場の新設は不可欠です。

新工場新体制で促される成長とは

____それに合わせて、採用も増やしていくイメージでしょうか。

中西:そうですね。今年の新卒採用も今後10年は規模を変えないということであれば、整備士を4人も採用しません。将来像を考えて、今から多少、負荷がかかっても「作っていきたいな」と考えているんですね。そもそもいきなり工場を新設したからといって、人員は来ないんですよね。中途採用も必要、経験者も必要、でも下から育てていくことも両方やらないと事業を大きくしていくのは難しいでしょう。

____ファストエレファント的にも新工場は熱望でしょうか。

アルフレッド:新しい工場は熱望ですね。でもプレッシャーもあります。現状の仕事量だと絶対に持て余しちゃうと思うんです。ファストエレファントのエンジニアは3人で動いているんですが、2レーン、3レーン渡されたところで、そこで売り上げを上げるためには新しいことを始める他ないんですよね。どうやったら「新しい仕事が増やせるかな」という感じですね。

____荒川さんはいかがですか。

荒川:もう少し大きなスペースでやりたい作業もやれるから、今後は手を伸ばしたいし、設備上できなかった部分が解消されることに期待しています。今後、数年でトラックは大きく電子化に向かって行くので、設備を整えていただくのに合わせて、自分の技術も磨いていきたいですね。今後、特定整備が始まることは分かっていることなので、自分が後輩たちに教えていけるような人材になりたいと考えています。

____やはり現場でもスペースのマネージメントは大変なんですね。

荒川:弊社はトレーラーが入ってくることもあるので、さすがに大変ですよね。その取り仕切りは中根くんがやってくれているのですが、少しでも早くスペースを空けて有効活用できるようにやっているんですよね。

中根:はい。このキャパでトレーラーが入ってくるのは大変です。時間帯をずらして被らないようにしたり、そこは頑張ってやっていますね。今後は新しい人も入って、その人達を僕らと同じレベルまで持っていかなければいけないし、僕らよりもっとできる人になってほしいな、とも感じているんです。それをやるにあたって、まずは仕事の楽しさだったり、自分で学びたいという気持ちを育んでもらったりしたい。そうでなければ、やはり成長は遅くなってしまうと思うんですよね。

____成長を重視しているんですね。

中根:楽しくやってもらうためには、言い方だったり態度だったりも教えて行かなければいけないと思うんです。いま僕は教える立場で、なるべくみんなで作業ができるように心がけています。整備の仕事はすぐ出来る仕事ではなくて、何年もかけて培っていくもので、そこから技術がついてくる仕事なのでやりがいがあります。この先、整備士を何年もやってもらうために、頑張って教えていきたいですね。

____中根さんがフロア長として今後、新工場に期待することはどういうことでしょうか。

中根:新しい工場になると人員は現状でも足りないと思うし、先ほど社長がおっしゃっていましたが、中途採用も必要だというのは間違いないです。そういった経験者が入ってきて、どうなるのか未知数ですが、競い合って高めあっていけるような環境が作れたらいいですね。

100%の内製化をしたい訳ではない

____分かりました。野中さんはいかがですか。

野中:新工場ができれば、現状、外注に出しているガラス交換やタイヤや塗装とかも全部、自前でできるようになる。それはすごく良いですよね。楽しみですよね。

中西:それはすごく感じるんですよね。彼らの仕事は場所を選ばず、素手でやれるような仕事ではないので、ちゃんとした環境を与えるということは会社の責任だと思っています。

____環境が変われば、また企業の将来像は変わってくるということですよね。

中西:先ほど言った外注を内製化することによって、ある程度、利益率は上がるでしょう。ただそこに注力するのは、経営的にはリスキーだとも思っています。そこはバランスを取っていきたい。それと大規模で、全てを賄える工場設備をつくるということは、お客さんに対する PR にもなるんですよね。基本的に全て内製化できていて、オールインワンでヨシノ自動車で完結できるようになりたい。ただ、そのキャパを100%、賄うのはリスクがあります。市場はこれからどうなるか分からない所があるので、3割から4割を「自分たちで賄えるものにしたいな」と考えています。それ以外は、これまで通り、協力企業さんにお願いをしていく。これまで通り、協力を得ながらお客さんのために仕事を回していく。この先、新工場で体制が変わったとしても、その協力体制は変えたくないんですよね。バランスよくやりたい。自分たちが全てを取り込みたいわけでは、全くないんです。

左より

ヨシノ自動車・アルフレッド
ファストエレファント店長。「新工場に隠れ家が欲しい」という野望にギラつく35歳。

ヨシノ自動車・野中
中堅リーダーの整備エンジニア。24時間戦う地元(川崎市幸区)生まれの勇者。

ヨシノ自動車・中西
ヨシノ自動車社長。家系ラーメンのスープが血管に流れる横浜っ子。

ヨシノ自動車・中根
中堅リーダーの整備エンジニア。いつもフロアの仕事環境に心を砕く、優しき整備部のエンジン。

ヨシノ自動車・荒川
車検整備のエキスパート。違法改造がないか目を光らせる整備部の制御装置。

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