株式会社ヨシノ自動車

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第62回

有限会社ジェットストローク 代表取締役社長 佐々木 裕一 様

有限会社ジェットストローク 代表取締役社長 佐々木 裕一 様

「“カスタム”マインドは挑戦する精神!? 商品を分身のように海外で展開するために」

いよいよきたる5月12日(木)から14日(土)までパシフィコ横浜で開催されるジャパントラックショー2022。今回もヨシノ自動車およびファストエレファントは出展を計画中です。そんな出展車両で今回お世話になったのがカスタムブランドのジェットストローク様です。ジェットストローク様はカスタムカーの制作はもちろん、塗ってはがせる塗料であるラバーディップを開発し、全国でのフランチャイズ販売のみならず海外へも進出。さらにエアサスのオリジナルブランドなど多角的な経営を手がけてらっしゃいます。今回はジェットストローク・グループの代表取締役社長である佐々木裕一様にご登場いただき、ファクトリーとメーカーの両輪で事業展開をされる思いや狙いについて伺いました。

編集・青木雄介
WEB・genre inc.

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佐々木 裕一(ささき ゆういち)
1980年生まれ。2002年、有限会社ジェットストロークを設立。2013年に、はがせる塗料であるラバーディップを開発。2015年より全国に販売網をきずき、現在の加盟店は100社を越えている。詳細はコチラより。

トラックのユーロスタイルを知る

____中西社長は佐々木さんとどういう経緯で知り合われたのでしょうか。

中西: 横浜でカーショップをやっている共通の知人がいまして、その方を通して知り合いました。

佐々木:当時は僕がドバイに行き始めた頃で、現地の人脈もまったくない頃でした。その方が「中西社長は以前、ドバイでお仕事をされていた時期があったよ」と教えてくださり紹介していただきました。

____なるほど。ドバイつながりなんですね。

中西:そうです。「今度お時間がある時にご紹介したい」と言われて、お会いしたのがきっかけですね。

佐々木:それでヨシノ自動車さんに訪問させて頂いていろいろご教授いただきました。ドバイの国民性についてだったり、アフリカのビジネスの状況だったり。その時に工場にあったすごく派手なトラックが印象的だったんですよね。ご紹介された方からの印象だとものすごく固い会社の印象でしたから(笑)。中西社長と話しているとカスタムは大好きだし、会社の中にカスタムブランドはあるし、かなりアクティブなイメージですよね。その時に「あれ?」と思ったんですよね。扱う車は違うけど考え方は似てるのかな、と。

____その時にご覧になられたトラックのカスタムの印象はいかがだったのでしょうか。

佐々木:もちろん「デカい」という強烈な印象はありましたが、予想以上に「恰好いい」と思いました。これまでのトラックのカスタムのイメージはデコトラで菅原文太的なイメージがありましたけど、「こういうカスタムの方向もあるんだ」って思ったんですよね。よくよく聞くとユーロカスタムのような欧州スタイルのカスタムもあります。そんなことは中西社長と知り合ってから知ったんですよね。もう一社、ユーロスタイルで大きい会社さんがありますよね。

中西:セノプロさんかな。

佐々木:その話でお客さんとも盛り上がったんですよね。カスタムの乗用車に乗っている方は意外とトラックに乗られている方が多いんです。そういうお客さんに訊くと、中西社長の事を知っているんですよね。すごく驚かれたりするんですよ。トラックのカスタムにも「スタイルがある」ことを知れたのは、すごく新鮮でした。

トラックのボディをデザインする難しさ

____今回のボルボのボディ制作のコラボレーションですが、発案は中西社長でしょうか。

中西:そうです。お会いしてから一度、このファクトリーを見学させて頂いて、ボディをワンオフで造れることがわかりました。以前からカスタムカーだけではなくイベントで使う特殊車両のカスタムの話も聞いていたので関心はありました。我々からすれば畑違いの話ですし、そもそもワンオフでボディが作れるなんて思ってもいませんでした。

佐々木: 最初、僕も社長が言う「今度、機会があったらカスタムしてくださいよ」という言葉を軽い感じに受け取っていたんです。そうしたら「デッサンやデザインはいつぐらいに上がってきますか?」と連絡がありました。「リアルにやるんですか!」とびっくりしたんですね(笑)。

____そうなんですね(笑)。CAD で設計図まで書いているというのは佐々木さん達の仕事なんですね。

佐々木:そうです。

中西:我々としてお伝えしたのはコンセプトとイメージだけです。実際にデザインを起こしてくれたのは全部、ジェットストロークさんなんです。

佐々木:何パターンかデザインを出させて頂いて、我々が一番選んで欲しかったデザインが選ばれた時はすごく嬉しかったですね。とはいえ、選ばれたものの一番難しい造形だったんです(笑)。

____今回デザインされてみてトラックと乗用車で違うところはどんな点だったのでしょうか。

佐々木:今回のデザインは、あえて言えば輸入車のスーパーカーをイメージしたデザインです。そのデザインをトラックに当てはめたらどうだ、と。個人的にそれほどのギャップは無かったんですよね。ただとにかくデカいのと幅の制約と、実用的に当たっちゃいけない場所など現実的には未知数でした。普通車だと、だいたいその辺が分かるんですよ。その辺は僕らも調べながら手探りで進めていきました。全体像が見えてくると「このまま行けそうかな」と思うんですが、ここまで来るのに本当に時間がかかるんです。

____どんな点でしょうか。

佐々木:デッサンは2 D なので3 D で起こすとイメージとは違うところが出てくる。そのギャップをどう埋めていくかで時間がかかってしまいます。モデラーさんやデッサンを書いてくれる人とプロデューサー的な僕とが話し合いながら進めていく作業です。ウレタンを盛るのも、ウィングはもうちょっとセリ上らせようとか、普通の乗用車なら分かる感覚がトラックには通じません。キャビンとの大きさの比較も必要です。展示する時はヘッドだけどコンテナを載せるとこうなるからとか、実車が来るまでは全然イメージがわきませんでした。

____それが実際、来たら…

佐々木:デカい(笑)。横幅いっぱいにしつつ「どう造ろうかな」と。凹凸感の出し方は考えました。

ジェットストロークの多様な業態

____中西社長はその経過をご覧になられていたのでしょうか?

中西:今日、初めて見た感じですね。 世界中、どこ見渡してもここまでやっているボルボトラックはないと思います(笑)。

佐々木:話題になりそうですね。これからどんなシナジー(波及効果)が生まれるか、すごく楽しみなんです。

中西:今回のトラックショー2022ではファストエレファントとジェットストロークさんとのコラボ、そしてファストエレファントと愛宕ボデーさんとのコラボも予定しています。こちらは国産メーカーなんですよ。今回はボルボやファストエレファントだけでなしに、いろんなコラボ体制で参加したいと思っています。

____ボルボ専業ではないんですね。ジェットストロークさんもあえてスタイルを分け隔てなく取り扱うプロショップというイメージなのですが、いかがでしょうか。

佐々木:そうですね。大きく分けるとショップ業とメーカー業の二つになります。ショップ業の方はジェットストロークになります。こちらはカスタムメインですね。最近では国産車と輸入車が半々くらいの割合でしょうか。現状は欧州車が多くなってきていますね。レストアの案件も増えてきました。もうひとつは特殊塗料メーカーとしてのメーカー業です。特殊塗料とエアサスも造っています。

____エアサスもオリジナルで造っているんですね。

佐々木: はい。最近の案件だと「旧いバスのエアサスを50台ぐらい入れ替えてほしい」というオーダーがあったりします。当時のエアサスは質も良くないし、弊社では荷重計算もして専用設計ができるので、専用のオーダーも承ります。

____佐々木さんは理工学部の出身なんでしょうか。

佐々木:いえいえ。僕は22歳でこの会社を始めましたが、その前に短期間で働いていた会社がデザイン会社兼カスタム会社という業態だったんです。色彩コーディネートや造形デザインを手がける会社さんで、ガレージから発展した会社というよりは設計ベースの造形デザインから発展してきた会社でした。その中で僕が一番興味を持ったのはペイントでした。ちょうどストリートの壁の落書きとかが流行っていた時代です。ああいうグラフィティが好きでアメリカに行って覚えてきました。ただそれを職業にするのは難しかったので、だったら車に絵を描いてみよう、と思い立ちました。日本では車に絵を描く文化はそれほど浸透していません。だとしたら「バイクだな」と。最初の頃はハーレーをいっぱい塗りましたね。そこが原点ですね 。

はがせる塗料などのように誕生したか

____アメリカはペイント文化が盛んですものね。

佐々木:そうですね。アメリカに行っていたのは短期ですが、帰国してすぐに会社を作りました。後は造形とペイントを中心に実際にやりながら覚えていきました。最初の10年はメーカー業はやっていなかったんです。最近はメーカー業の仕事が増えてきていまして、こちらは全国に展開しています。さらに世界展開も狙っています。もうひとつジェットコンセプトという、プロダクトをゼロから造るブランドもやっています。今回のボルボトラックの FRP デザインのような仕事を請け負っております。千葉ロッテマリーンズや阪神タイガースさんのリリーフカーのデザインをしていたりします。

____それは面白いですね。

佐々木:選手の肩が絶対に当たってはいけないので、座椅子をあげなければいけなかったり、一方で選手が手を振った時、球場の一番上からもちゃんと見えるかを計算しなければいけません。逆に一番下からもちゃんと見えるか角度計算をしたり、選手の身長も考える、とかすごく気をつかう仕事でした。

____なるほど。そういう専門的な話も佐々木さんなら話が通じやすいのでしょうね。

佐々木:「話が早い」ってよく言われますね(笑)。

____せっかくなので現在、販売中の剥がせる塗料であるラバーディップについてお伺いしたいのですが、元々は輸入品であった商品なんですよね。

佐々木:そうです。最初は輸入品を使用していたのですが、日本の四季に合わなかったので、自分たちで調合してオリジナルを制作しました。

____剥がせる塗料はどういったニーズがあるのでしょうか。

佐々木: カラーチェンジ用なのでキラキラとした派手なイメージですが、実際の需要の7割はプロテクション用です。色を抜いて顔料の透明度を高くしたもので、車の新車の状態で塗っておいて3年から5年で剥がしてしまいます。新車の状態で真空パックにしてしまえるのです。リセールの状態で飛び石がゼロなので、高級車用にその顔料を卸しています。その販売店を代理店展開しています。

____洗車傷や、ちょっとした小キズもつかないんでしょうか。

佐々木:全くつかないですよ。分厚い塗装塗膜ができるので。もちろん思いっきり当たってしまったら、ボディはへこんでしまいますが(笑)。ちょっとの擦りぐらいならまったく問題ないですね。

ドライバー本位でトラック業界を支えていきたい

____こうやってお話を聞かせていただくと、ヨシノ自動車とジェットストロークさんの共通点が見えてきますね。ヨシノ自動車もボルボや国産、新車や中古車といったところに強くはこだわらずに会社として柔軟に取り入れられる素地がありますよね。

中西:我々もその時に自分たちが思う「良い」という商品を出していきたいと思っています。でもベースはあくまでも商用車であり設備材を販売している仕事なんでよね。ただそれだけでは差別化できないし、面白いことをやりながらも本業とうまくその差別化のニーズが「噛み合えばいいな」と思っています。

佐々木:そこでアテンション(注意)を引いといて「ヨシノ自動車ってなんなんだろう?あ、ボルボなんだ。次はボルボに乗り換えたいな」という繋がりになりますよね。

中西:個人的に興味はあっても、それを仕事にするようなスキルが私自身にはないんです。佐々木さんのこのカフェ(撮影場所)という場所もそうですが、自分のスタイルだったり、遊び心を曲げずに事業自体を大きくしていらっしゃる。それで20年もの間、この事業を続けられているというのはすごいことですよね。それは僕自身が経験したことのないフィールドの話なので、色々と最近お願いしている次第なんです。

佐々木: 非常にありがたいです。

中西:設備材であるトラックも、「そっちに持って行った方がいい」と思うんですよね。 我々も10年前から「共走プロジェクト」を始めました。ちょっと堅苦しい表現ですが、運送業というのは社会を支える重要なインフラ事業だと思っているし、ある運送会社に100人の社員がいるとしたら、そのうちの80人はドライバーさんです。労働人口であるドライバーさんをクローズアップして、そのために我々が出来ることをすれば結果は必ず伴ってくる。そこはすごく曖昧な感覚ですが、そうやってやってきた中に仕事道具であるトラックの見せ方としての恰好よさがあるんです。労働時間が長かったり、きつい仕事だったりした時に、彼らを支える相棒として「恰好いいトラックがあればいいな」と思うんです。我々がその労働時間を短くしたり、きつい仕事を楽な仕事にするようなことは出来ないですから。きつくてもやりがいがある。仲間がいる。そういう材料を作っていくことは、我々にも出来るのではないかと思うんです。

押し出せる商材で受け身の姿勢を変える

佐々木:僕がこの塗料を作った時も、いま社長の言ったお話と思いは似ているんです。板金屋さんというのは、どうしても下請けの仕事になってしまう。受注すれば、ディーラーさんや中古車屋さんから「早く直せ。早く持って来い」とせっつかれるわけです。下請けだろうと、日本の板金技術や塗装技術というのは世界基準で見てもすごく高いし、ヨーロッパでは板金屋さん、塗装屋さんというのはクルマのお医者さんみたいな扱いで“カロッツェリア”と呼ばれたりもするんですよね。ところが日本では「板金屋だろ?」というぞんざいな扱いを受けたりもします。それは業界体質にも問題があると思います。例えばいつまでたってもホームページひとつなく集客が出来てないからもらう仕事しかない、とか。

____たしかに。

佐々木:じゃあ、彼らにどんな武器を与えたらこの業界が好転していくのだろう、と考えた時に、もともと我々は直受100%の会社だったのもあり、自分たちの強みをもって自主自立して自分たちで仕事を取れるようにしたいと考えました。そのためには、「プッシュ式の商材がないと駄目だ」と。事故を待っていても仕事は来ないんですよ。それであれば事故が起こる前に、車が傷つく前に予防するようなプロダクトがないと駄目ですよね。プロテクションという意味では事故は関係なしに、新車の状態を保つことができる。商材としてもディーラーさんに「お願いします」ではなく、「ウチでやれますよ」というスタンスで行けるわけです。

____その通りだと思います。

佐々木:これを Amazon などのネットで販売することもできたのですが、それはやめて訪問して理念共有と技術共有をした上で「膝を突き合わせたところにしか売らない」と決めました。エリア制をしいてグループにもしました。現在、加盟店は60~70店舗で、月一回のミーティングをしながら、「業界体質をどうやって変えていくか」を常に考えています。それを内々だけで話していても仕様がないからショーに出ることにしました。そこに職人さんを呼んでもらって、一般のお客さんの賞賛の声を聞いてもらう。その言葉を誇りにして欲しいんですよね。それで現場に帰っていってほしい。下請けの下請けで日の目を浴びないのではなく、「もっと外に出てアピールしようよ」というのがあの商材を作った時の理念でした。今でこそ「やっと」ですけれど。

トラックと人生が結びついていくリアル

____ありがとうございます。同じように、トラック業界のプレゼンスをもっと高くしていきたい、というのはヨシノ自動車も同じ考え方ですもんね。

中西:そうですね。

佐々木:ボルボの中に入るとトラックのイメージが変わりますよね。あのお洒落なキャビンが自分のスペースになると考えるとわくわくしますよね。居住環境としては最高じゃないですか。サウンドシステムをつけて、お気に入りのシートカバーをつけて。普段、我々がやっているカスタムとものすごく通じるんですよ。アタッチメント式のオーディオシステムを付けたりとか。ボルボの標準で付いてくるオーディオシステムもすごく良いものなんですよね。もう1ランク上に行きたいと思えば専用のウーハーシステムをつけるのも良いでしょう。弊社のナンバー2とも話していたんですが、自然と夢が広がっちゃうんですよ。

中西: アメリカのトラックドライバーというのは東海岸と西海岸を往復しながら、そこで長距離のボーナスを貰ったような時に、タトゥーを入れるようにピンストライプを入れるという話を聞きました。今回はボンネットに入れよう。走って稼いで、その一部を次はサイドに入れよう、と。デコトラもそうですよね。稼ぎで少しずつトラックに飾っていって、トラックを完成させていく。ああいうのは「すごく良い」と思うんですよね。

____トラックとそのドライバーの人生が重なりますもんね。

中西:そういうところにファストエレファントの恰好よさが結びついてくると良いですね。恰好よさだけではなくて、女性らしさを求めるのであれば可愛いスタイルでももちろんいいと思うし。

パーツブランドとしての海外進出、場の創出

____さて最後の質問なのですが、両者は今後どういった方向性に向かうのでしょうか教えてください。

中西:これまでも何度か言ってきたことですが、ファストエレファントは最終的に日本初のボルボトラックのカスタムパーツブランドになります。イギリスのケルサーやドイツのライトフィリックスに並ぶ、日本の FE として作り上げていきたいです。とはいえ我々はボルボトラック以外の売り上げが売り上げの大きな部分を占めているので、ボルボに関していうとデザインも含めて、自分たちの思う恰好良さだけを追求できています。その点ではブランディングと足元固めをしていく段階ですね。この4年、5年でFE をやってきてだいぶ認知度は広がってきました。

____確かにそうですね。

中西:北海道から九州まで車両本体は我々では販売できませんが、「カスタムは FE でやってほしい」というご要望を多くいただくようになってきました。我々のキャパがいよいよ小さくなってきたので、工場を含めて大きくしていく予定です。人材の問題はあるのですがジェットストロークさんだったり他社さんやペインターさんだったり、場所を提供して設備はこちらですべて用意して仕事がしやすい環境を作れればと思っています。実際の制作の場ではあるんですが、とにかく実験の場にしていきたいんです。普段は各々別の仕事をしているけれども、どんどんコラボレーションができればいいと思っているんです。私はもともとエンジニアをやっていましたが、当時の言葉で言えば要素研究ですね。どんな商材に使われるか分からないけれど、ひたすら何になるか分からないものを研究したい。そういう場を工場として作りたいですね。

可能性に満ちたトラックカスタム

____ありがとうございます。佐々木さんはいかがでしょうか。

佐々木: 我々はカスタムショップもそうですが、メーカー業にも力を入れていきたいんです。塗料もそうですがパーツのデザインであるとか設計だったりができるので、例えば中西社長が頭に描いているものがあるとしたら我々に振っていただければ「それは FRP の成形でいきましょう」とか「金型を作りましょう」とか落とし込んで行けると思うんです。普通車のカスタムパーツってもうすでに飽和状態なんですね。ホイールなんて何千種類とあるんですよ。

____確かにそうですね。

佐々木:荷重の問題もあるでしょうけれど、トラックにそこまでの種類はないはずです。日本のメーカーがやっているような従来のカスタムパーツとは違った、ファストエレファントとしての新しいパーツ展開などができれば「非常に面白そうだな」と思いますね。我々としてもお力添えできるのではないかと思います。今回のFRP パーツのように巨大なパーツを何十セットも作るといった事は難しいかもしれませんが、気の利いたマーカーだったり小物だったりをデザインするのは現実的です。

中西:実際にライトフィックスやケルサーはランプからですからね。そこからフロントリップのスポイラーだったりバーだったりへと発展していきました

佐々木:やはりトラックという商材がすごく面白く感じます。ボルボトラックであれば日本だけではなく世界で展開できますし。

中西:そうなんですよ。そのためのファストエレファントだったりするんですよね。将来像はそこに行きたいんです。我々にどれほどの営業力があったとしても関東の南エリアでしか車両の販売はできません。でも車両は地元のディーラーさんで買ってください。二次架装屋として我々がいます。そういう立ち位置を目指したいです。

積み重ね、続けていきたい海外展開

____確かにそうですね。

中西:パーツになればそのテリトリーなどは全くありませんし、日本でのボルボのシェアはたった6%程度なんです。やはりまだまだ国産4大メーカーが強いんです。ビジネス展開で考えればシェア率だったり、台数だったりは非常に重要です。それを見込めるマーケットを考えるとやはり世界展開を考えなければいけないわけです。ボルボは世界で二番目に多く売られているトラックですからね。大型トラックだけで35万台が販売されているんです。片方で国産4メーカーの販売しているトラックは4メーカー合わせても10万台ぐらいなんです。

佐々木:それは間違いなく、海外に行くしかないですね。

____小糸さんで作ってる歌舞伎テール的な和物ですかね。やっぱり。

中西:(笑)。我々はアジア発信のパーツメーカーとして発信してみたいですよね。

佐々木: 面白そうですね。日本のマーケットだけを見ていてもどのジャンルもそうですが、今後人口は間違いなく減っていきます。僕らが生きている間だけはどうにか食いつなげるとしても次世代のことを考えると、次の20年後30年後、自分たちの子供の世代がこの業界に憧れを抱けるのか、ということを考えてしまいます。そのためにはどうすべきなのか、ということを考えないといけない。日本のモノづくりを世界に出す。その逆もあるかもしれないけれど、我々はそこに時間をかけています。カスタムそれ自体は世界から受け入れるというわけにはいかない。車両持ってくるのは大変ですからね。ただパーツは海を越えて行けますから。

____面白いですね。お二人とも、将来のことを考えて現状に甘んじずに海外展開を図ろうとしている。非常に考え方が近いですよね。

佐々木:経営者が見るところは目先の1年、2年ではないんですよ。我々がしているドバイの仕事も、すぐ利益が出せるなんて考えていません。これが5年後、続けていればどんな形になるかな、10年後なら花が咲くかなというぼんやりとした見通しです。塗料も有機溶剤なので危険物扱いですからね。海を越えるだけで大変なんです。法規制もあって障害は大きいですけれど乗り越えていければ、僕たちの分身のように商材が世界で活躍してくれるのではないでしょうか。

佐々木 裕一(ささき ゆういち)
1980年生まれ。2002年、有限会社ジェットストロークを設立。2013年に、はがせる塗料であるラバーディップを開発。2015年より全国に販売網をきずき、現在の加盟店は100社を越えている。詳細はコチラより。

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