株式会社ヨシノ自動車

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第71回

ヨシノ自動車中古トラック事業部

ヨシノ自動車中古トラック事業部

「新春特別企画”トラックのすべてを話します”2023」

2022年はコロナ禍からだいぶ普通の生活に戻ったことを実感した1年でした。トラック業界といえば戻ってきた物流需要に対して、2月のロシアによるウクライナ侵攻に伴う燃料高や物価高、さらには3月の日野自動車の不正の明るみにともなう新車の供給不足が大きく影響しました。中古トラック市場も高騰し、世間のインフレ以上のインフレとなりました。そんな中古トラック市場の動向と新型ボルボについて話題満載で振り返ります。毎年の恒例企画ですがもちろん、今年もその“すべてを話します”。

編集・青木雄介
WEB・genre inc.

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ヨシノ自動車・中西
ヨシノ自動車社長。昨年はイベントで週末が埋まることが多く、趣味と仕事を兼ねているゴルフをあまり出来なかったのが心残り。

ヨシノ自動車・森川
ユーザー営業。昨年は富士スピードウェイで愛車のレクサスRCF を走らせた。楽しかったけど「俺、遅えな」とショックを受けた。

ヨシノ自動車・一之瀬
ユーザー営業。今年で営業4年目。昨年はトラックフェスに出場するはずだったお客さんがコロナに罹患して出展できなかったのが心残り。

ヨシノ自動車・増田
業販営業。自宅を買い、子どもが1歳2ヶ月で歩き始めた。日々子どもの成長が励みで仕事も頑張る順風満帆な1年だった。

ヨシノ自動車・中林
ユーザー営業。2022年は人生が始まった年。プライベートでは彼女と同棲、犬も飼い始めた。愛車(ノア)も出場したカスタムイベントはすべて優勝。ステップアップで急上昇した1年。

インフレの波が追い風になった1年

____コロナ禍からそれ以前の生活スタイルへの回帰、さらにはロシアによるウクライナ侵攻による世界的な原油高やインフレ、そこに記録的な円安など予測不能な事態が重なった2022年ではありましたが、ヨシノ自動車の業績はどうだったでしょうか。

中西: 会社の評価として業績は一つありますが、 そこに関しては右肩上がりな1年でした。今日まではそうですが、明日からは分かりません。

____中西社長は毎年、悲観的ですね(笑)。

中西: 業績が上向くのは結果の話であって、毎年いつもそう思っています。調子の良い時が一番不安なんです。だから「いつも不景気であって欲しい」とつい思っちゃうんです(笑)。不景気だと必然的に全員、頑張らなければいけませんよね。

____なるほど。では右肩上がりだった理由を教えてください。

中西:結果的にですが、新車の話でいうとヨシノ自動車は先行発注があって、そこは私自身がプレイヤーとしてオーダーなしにメーカーに先行発注をかけています。2020年、2021年とそれを繰り返している。その中で各メーカーさんがいろんな諸問題の中、納期が遅れてきた時に本来、去年入っているはずの車両が遅ればせながら2022年になって入ってきました。世の中は新車不足の中で、遅れてきた納車のおかげで売上の種にはなりました。それが一つです。

____2021年の売り上げを2022年で回収したような形ですね。

中西:中古車でいうと2022年の1月から年末に至るまで、市場相場がずっと上がってきたんですよ。値上がりはじめた時点で300台から400台の在庫を持っていたおかげで、利益率を高く取れる在庫が多かったのが、もう一つの理由です。その後も「高止まりする」と言われながらも積極的に買い続けたおかげで、さらに相場は上がっていきますからインフレの波と同じように取り扱い台数も増えていきました。

____なるほど。インフレの波に比例していくのですね。

中西:そうです。それと我々はボルボの正規ディーラーなので、日野さんの不祥事だったり、後は国産各メーカーの車が出てこないという現状があって、納期がかからず車が出てくる我々は売上を伸ばすことができました。ボルボの本社があるスウェーデン本国は部品供給やサプライヤー問題はそれほどなかったので、オーダーをかければ2、3か月で納車できるコロナ前と変わらない生産体制でした。納期が明確な分、引き合いも多かったと思います。例年の販売台数よりも30%増ぐらいで売上は達成できました。

UDが売れるとボルボも売れる!?

____ボルボが引く手あまただったんですね。新型ボルボの市場評価はどうだったでしょうか。

森川:車の評価は高いし、やっぱり日野のトラックが出てこなくて他の3社となると三菱といすゞは納期が遅れていました。お客さん達の間ですでに「UD は壊れない」と言う評判が回っていて、結局のところボルボと UD は一緒なのでその追い風もあって、「同じだったらボルボに乗りたいよね」というお客さんも多かったです。UDの評価の高まりがボルボを売りやすい環境にしてくれましたね。

____なるほど。「UDならいっそボルボがいい」という感じだったんですね。

森川:全国的に車がなくなっても UD は比較的、早めに納期を立てられることもありました。そこでUDを買ってくれているユーザーさんがいて、その人たちが良い評判を言ってくれていたのも大きかったです。UD を入れてないところも「壊れないんだね」って情報が入ってきて、「じゃあボルボはどうなんだろう?」となりました。日野のオンリーユーザーだった会社さんが、ボルボに切り替えていただいたケースもありましたね。

____確かにはためで見ていても、2022年は UD がすごく頑張っていた印象がありますね。

中西:我々は販売できる在庫があるから、売れているのが現実ではないでしょうか。クオンの評価がもともと低すぎるので、それに比べると「壊れないね」となっているだけなんですよ。実際のところは「壊れる」という声もなくはないんです。ただあまりにも過去の評判が悪すぎたので、それと比べると「まだマシ」ということと、それとやっぱり日野もダメ、いすゞもふそうも車がないという国産メーカーが揃って納期遅れをしているので、その中で一番供給がしっかりしていたのはUDだったんです。他のメーカーに比べて買いやすい価格でもありますから。

____UD のアクティブステアリングや自動変速機とかは評判いいんですよね?

中西:もちろん機能としては良いので、まだ出たばかりですが、今後数年でトラブルがなければ一気に評価は上がるんじゃないでしょうか。まだ出て数年ですから「本当の評価は出来ない」と思います。弊社だって去年、一昨年の段階で「もうちょっと発注かけておけば良かったな」って思うところもあるんですよ(笑)。中身がボルボということもあって弊社のエンジニアに聞いても、アクスルもミッションもエンジンも全部ボルボだから「メンテナンスはしやすい」と言っています。

____なるほど。

中西:ただ最初に弊社でUDを入れた時も、半年ぐらいまったく売れなかったんですよ。少しずつそれを業販で売っていって、コロナ禍になってからそもそも国産で売れる未使用車の在庫がなくなっていきました。その中でフライングエレファントとして愛宕自動車とコラボしたクオンが、納め先の運送会社さんでも「すごくいい」と評判になっていきました。とはいえ、まだまだUDのマーケットシェアは小さいので、新規で入って行けるポテンシャルが市場的にはあるんです。UD を販売することはチャンスだと思っています。

危機の最中にあっても根強い人気の日野

____ありがとうございます。では皆さんの2022年に感じられた傾向などを聞いていきましょう。一之瀬さん、お願いします。

一之瀬:今年は日野の車が市場に出なくなったということはあるものの、片方で「やはり日野がいいんだ」というお客さんがすごく多かったことを実感させられました。「日野が出てくるまで待つ」というお客さんも多数いらっしゃったんです。選択肢として「他のメーカーに行く」という選択肢もあるんですけれど、誰も日野が潰れるとは思っていないので「だったら現状の車をメンテナンスしながらまた販売再開されるのを待っている」というお客さんもいらっしゃるんです。やはり「日野ブランドは強いな」というのを実感しました。ある程度の台数を持っていて、車両知識が豊かな会社だったり、好き嫌いはあるかもしれないけれどもトータルで見た時に日野にはしっかりした車作りの考え方があるので、信頼されているお客さんが多いんです。

____ありがとうございます。確かに日野とボルボは比較されるという話は聞きますね。

中西:国産だと唯一、比較されるのが日野ですね。

____ 日野オンリーの会社にあえて「ボルボを使ってみて下さい」とトライアルを勧めるのは「アリだな」という気がします。では増田さん、お願いします。

増田:僕は業販部なのですが、そちらの動向を話すと「とてもバブリーな一年だった」という印象です。数字は自分で作りに行かなくても、勝手に作れてしまうぐらいでした。待っていても売れちゃうんです。中古車市場で販売車両がどんどんなくなっていったので、前半は特に相場が急上昇しました。店頭販売価格よりもオークションが高く売れてしまうような事態になりました。そういう逆転現象が起こったりしたので、片方でオークションに出さなくてもお店で売れてしまうので在庫の確保が大変でした。新車が来ないからみんな中古車を売ることになるので。

____そうなると営業同士で車の取り合いになったりしませんか。

増田:あります。あります。高年式の低走行なんかは商談が立て込んでいましたね。

中西:2022年はそういう一年でしたね。

一之瀬:それこそ入ってくる前に売り手が決まっちゃっているとか、よくありましたね。

日野が出てくると電話が鳴りやまない!

____そういう時、営業はどういう対応をするのでしょうか?

一之瀬:次の車を探すのと、例えばそれが日野だったりすると「値段はどうでもいいからとにかく日野がいい」という具合になるんですよね。それで探しはするんですが、過走行だったり仕様が合わなかったり、断念して結局、他の車になったりするんですが仕方なくという感じです。やはり熱心な日野ファンはすごいですね。日野が出てくると電話が鳴り止まないという状態になるんです。

____驚きました。そんな状態なんですね!

一之瀬:本当に日野が好きなお客さんにとって日野ブランドは絶対的なんだな、と。

____これだけ不正が明るみに出ても「支えよう」というお客さんはいるんですね。

森川:いらっしゃいますね。

____そうだとすると日野の新車が再び販売されたら爆発的に売れそうですよね。

一之瀬:そうなると思います。

中西:もともと評価が高いですからね。シェアも40数年トップですし、必然的にそういうお客さんに支えられているということですよね。

一之瀬:トヨタ関連の仕事をされている方とかは特に、「日野じゃないと仕事ができない」という事情があったりするとおもいます。

森川:我々からしても、日野は売っていて手がかからないんです。例えば同じ年式の日野とふそうを比較しても、ふそうはセンサー不良などが起こりますが日野はほとんどありません。しいて言うなら、マフラーに問題が出てくるとこだけですね。長く使えばなおさら差が出てきて、5年使っても日野は壊れないという評判です。

____なるほど。日野はこれまで培ってきた信頼性が半端ないんですね。

森川:その辺はみんな頭の中にあるんですよ。結局、いすゞがトラクタの生産を止めてクオンに一本化するという噂があります。ギガでヘッドは作らないという。これまで UD の2デフはやめていてボルボに販売を集中していましたが来年から復活しますよね。噂通りならいすゞはもう箱型に特化すると思いますけど、そうなると国産は日野だけになってしまう。あとはダイムラーのエンジンを積んだふそうかボルボだけなんで、ボルボにも追い風になるかも知れませんね。

厳しい規制が外国製トラックの進出を妨げる

____なるほど。

森川:だからこそ来年はボルボの拡販を考えていきたいと思っています。ちなみにクオンの2デフは「結構いい」という噂も聞きます。

____ありがとうございます。一時期、ウワサされていたダイムラーのアクトロスが日本上陸するかも?みたいな話ってどうなったんでしょうね。

中西:ないですね。完全にないですね。

____失礼しました(笑)。

中西:ひところ言われていた噂はパフォーマンスに過ぎませんでした(笑)。

____導入するなら「今でしょう」というタイミングなんですけどね。

中西:いや。日本ではキャビンが大きすぎるんですよね。少なくとも型式認定は取れないと思うので、やるとすればスカニアのように275などの小さいタイヤを履かせて車高落とすほかないですね。そもそも日本規格で作っているわけではないですからね。ボルボはたまたまグローブトロッターでも高さが3.79なんです。ほんと超ギリギリですけどね。ただ本国で主流の XL シリーズは4メートルなので日本には入れられないんですよ。

____なるほど。ヘッドももはやクンロク(ハイキューブコンテナの高さ9.6フィート)に合わせて4.2 メートル規格(法規制は現在4.3メートル)にして欲しいですよね。

中西:はい。総重量もあげてほしいですね。

____確かに。車両総重量(JCW)で50トンは欲しいですよね。

中西:せめてそれぐらいは欲しいですよね。

24年問題が物流のトレーラー化を加速させる

____中西社長は今年の市場見通しをどう予想されていますか。

中西:市場としてはそんなに大きく変わらないと思うんですが、その先の2024年には運送会社のお客さんは法律が変わってしまって、労働環境が大きく変わります。労働時間が決められて上限が決められてしまいますよね。今まで翌日着だった荷物が2日後、3日後に着くような体系を市場が許容するのか、2023年はその準備と足かけになる最後の年になるわけです。

____たしかに。

中西:その中で大手物流会社がどんな動きをしていくのか。例えばフルトレーラーが全長緩和になって、フルトレーラーで連結して大量輸送をしたり、富士運輸さんなんかがやっている中継地点を決めて コンテナ方式で荷物を入れ替えて運送するパターンもあります。関東のドライバーは東京から浜松まで行って帰ってくる。大阪のドライバーは大阪から浜松まで行って帰ってくる。そのぶん一人のドライバーが長距離運転をせずに済むパターンだったり、いろんなことを試している段階ですよね。それともっと離れてくるとフェリー便をどんどん活用するでしょう。ここ数年、フェリー便の需要は多くなるんじゃないかなと思いますね。

____どちらにしろ、トレーラー化の流れですね。

中西:特に大型へのカーゴ指定でもない限りはトレーラー化していくのは必然的です。ここ5、6年でカーゴもそうだし平台もそうだけれど、後3軸が当たり前になっていますよね。これは各物流拠点も含めて、いきなり大きいトレーラーを入れられるよりは今ある大型トラックで最大の積載量を取りたいという兆候です。

____たしかにそうですね。

中西:あと先ほど森川が言っていましたが、いすゞがヘッドを止めるとなると、来年に限っていうと国産メーカーはクオンとスーパーグレートだけになってしまう。日野はエンジンがNGなので、来年いっぱいは出てこないと見ています。そう考えると、ステータスと市場的にもここ数年で着々と力をつけてきたボルボが、脚光をさらに浴びるとみています。そうなるとますますこれまで外国車に目を向けてこなかった物流会社さんがあらためて、ボルボという選択肢をもつようになるのではないかと期待しています。

ボルボは「積めないからNG」は昔の話

____来年はボルボのマイナーチェンジしたモデルが入ってくるかと思いますが、順調に入ってくるのでしょうか。

中西:来年4月以降がデリバリーなのですが、今のところ計画としては順調です。

____いまのところトラクタとリジットのオーダーの比率はどんな感じでしょうか。

森川: やはりトラクタの方が、人気はあります。ただ自分が扱う中でもリジットで、ウイングなんかの案件も増えているので今後は増えてくるかなと期待しています。

____実際のところリジットは積めますか?

森川:国産に比べるとやはり積めません。国産に比べると1トンぐらい積めないですね。

____寸法はどうでしょうか?

森川:国産に比べるとやはり小さいんですけど、例えば冷凍だったらそもそも決まった寸法に準じていればそんなにうるさくないんです。あとは積載が合うかどうかと中長距離のドライバーに関しては、「ボルボに乗りたい」という熱心なご要望があるんですよね。

中西:冷凍車のお客さんも最近ではバラ積み(手積み手降ろし)よりパレット積みに変わってきているから、天井ギリギリまでめいっぱい積ませるような所はなくなってきたんですよ。そういうお客さんは逆にもうトレーラーに行っちゃってます。全長が15 cmほど短くなるぐらいでは、パレットを敷ける枚数は変わらないので問題なくなってきている(サイズが1×1の場合)。だから国産が縦幅9400mm取れるのに対してボルボが9250mmだとしても問題ではない。多少の誤差があっても積むのはパレットだから「問題なし」となるようです。

森川:食肉関係はやはりまだまだバラ積みというところは多いですけどね。それもどんどんジョルダーで積むようなパレットスタイルに変わってきているのを実感します。めいっぱい積まないから高さは平気だし。

____ほんとこれを機会にバラ積みは極力やめていく方向になれば良いですね。運行でのドライバーへの負担が大きいので、リアルにドライバーの担い手がいなくなってしまいます。

森川:それも24年問題でバラ積みに時間をかける会社は、運行に支障をきたしてしまうから自然と解消していくだろうとは思いますね。

4トンアームロールの値段が高騰した理由とは?

____そうですね。24年問題を契機に時代が確実に変わっていく予感がしますね。では引き続き、増田さんお願いします。

増田: 仕入れサイドからすると中古トラック市場の高値傾向は変わらないでしょう。溜まったオーダーは解消されていないし、仮に今から出荷が始まったところですぐにお客様の手元に来るわけでもないですから。

____増田さんは業販だからなおさら分かるかと思うんですが、実際のところ2022年はどれぐらいトラックの値段は上がったんでしょうか。

増田:本当にバブルでしたね。先週より今週、今週より来週という状態でした。

中西:クローズアップして1車種だけ言うと4トンのアームロールは凄かったですね。「ここまで高くなるか」とびっくりしましたね。

____一同うなずく

中西:去年のもともとの価格で言うと600万円前後でした。その後、たしかに最新の安全装置がついたり数十万円程度、価格帯は上がりました。それでも値段相応の価値だったんです。それが増田の言うとおり、あれよあれよという間に上がっていき700万円を超えてしまったんです。

増田:いっとき700万円前後で推移していて、それでしばらく止まっていたんですが最終的には800万円半ばまで上がってきました。

中西:最初、増トンの話をしているのかと思いましたよ(笑)。全体的にアームロールは上がったんですが4トンは飛び抜けていましたね。

増田: かたや4年前というと4トンのアームロールは底値だったんです。売れなくて。500万でも未使用車があったくらいなんですよね。

中西:そうですね。本来の仕入れ価格よりも、市場相場が下回っている時があったんですね。

____急激に値段が上がった要因は何かあるんでしょうか。

中西:そもそもアームロールの市場はウイングやカーゴ系に比べると大きな市場とは言えません。特装メーカーさんはリーマンショックで工場の規模を小さくしてしまいました。それが東日本大震災によってトラックの特装需要が復活しても、生産体制を以前のようには戻さなかったんです。それを引きずって今に至るわけです。さらに需要のトレンドとして4トンダンプ市場が4トンアームロール市場に変わっていきました。大型クラスも深ダンプがアームロールに変わっていったり、アームロールが市場に注目されてきたんでしょう。

____なるほど。需要がアームロールやフックロールに変わっていったんですね。

中西:でもメーカーでいうと、生産しているのは新明和さんと極東さんだけです。この2大メーカーさえ4トンアームロールの生産ラインは増やせてないんです。ずっと変わらない。コロナ禍に限らず納期が1年、2年と待たされるような状態で、慢性的な車両不足ではありました。これがもっとメーカー数が多くてまんべんなく造っているようであれば、ここまでオーバーフローはしなかったはずなんですよね。2メーカーだけが同じタイミングで同じ量を作っちゃうから、一瞬だけ市場に出てきて溢れかえって相場が落ちる。だから仕入れ価格より相場が下回ってしまうような車種があったとしても、1年、2年あれば一気に需要は復活するんです。

____なるほど。では2023年も引き続きこの傾向は続くだろうということですね。

増田:続くと思いますね。相変わらずオークション市場にも車がないですから。日野といすゞは車が出てこないし、ふそうも未使用に関しては高値です。ファイターのウイングでも800万円半ばぐらいですからね。

____日野がこの状態なので、市場はいすゞを待望しているのに車が出てこないというのは、大事な勝機を失ってしまっていますね。ということは、その辺はやはり中古トラックで回すということですね。

増田:それしかないと思いますね。あとは仲の良い同業者さんからこっそり分けてもらうとか。逆もしかりで余力がある車だったら、こちらから出してあげたりとか。

____なるほど。やはり業販ゆえにその辺の業者間のコミュニケーションは取られているんですね。

増田:そうですね。

今日から俺は中古ボルボを売るっ!

____ではフレッシュな中林さん、お願いします。

中林:営業2年目です。よろしくお願いします。今まで3年から5年リースでボルボに乗っていたお客さんが、来年のモデルに換えるという時にもともと乗っていたボルボが中古市場に出てきます。けれども市場的には敬遠されがちです。どうしても前のオーナーの癖がついてしまっていたり、故障すると修理に何百万もかかってしまったり、われわれ営業としても「あまり売りたくない」とされてきました。

____なるほど。

中林:この間いただいた電話のお問い合わせで、「ボルボが欲しい。まずは中古でいい」とおっしゃられるお客さんがいらっしゃいました。こちらとしては「中古だと手はかかりますよ」とお伝えしました。それでも最近、周りが乗っているから「ボルボのステータスを自社のドライバーにも味わわせてあげたい」と言うんです。けれども新車で入れちゃうとみんな新車に乗りたくなる。だから例えば中古で1台入れてみて、みんなで乗ってみて、良かったらもう一台、中古を入れてみんな同じ土俵で乗っていく。そうしたいとおっしゃられるんです。

____少しずつ広げていくんですね。

中林:そうです。ドライバーさん的にもボルボが乗れる。中古と言われなければ分からない。ボルボが増えることでドライバーさんも増えてきて、「仕事も頑張ろう」という気持ちになれる。そこでエースのような飛びぬけた人が新車のボルボに乗れる。「そうやっていきたい」とおっしゃるお客さんがいらっしゃいました。そこですごく「なるほどなぁ」と感心したんです。こういう販売の仕方もあるだろう、と。ということは、これまで敬遠されてきた中古のボルボを、そういうトライアルにボルボを導入したいお客さんへ販売していって、そこからさらにボルボを広げてもらえるように「2023年はトライしてみたいな」と思っているんです。「僕がやってみたいな」と思っています。

____素晴らしいですね。

中林:相談を受けたのが東京の会社なので、まずそこから始めて1台入れてもらってドライバーさんの話を聞いてみて広めてもらいつつ、横浜でも広められたらなと思うんですよね。

中古ボルボの信頼性って実際のところどうなの?

____まず確認したいのですが、中古のボルボの売り先に困る状況があるわけですね。

中西:いま中林が言った通り、我々としても積極的にマーケットを作ろうと言う考え方がなかったんですね。結局のところ受け身な態勢で 業販メンバーが業者間の中で売り込んでいくか、インターネットかオークションかそれぐらいしか売り先がなかったのが正直なところです。「一般的に売り込む」という姿勢はなかったですね。だから「面白いな」と思います。

____面白いですね。世の中にはそうやって少しずつ会社にボルボを導入してみたい会社が絶対あるはずですからね。

中林: その会社は過去に修理関係でトラブったことがあって某メーカーがNGで、過去にボルボを入れたことがあるし、現在はスカニアも入っているようです。ある程度、外国製トラックへの免疫はあると言えます。

____まずトラブルへの耐性があるかどうか、そのリスクを理解してもらうのはボルボに限らず、中古トラックを販売するにあたって大事なポイントですよね。ちなみに例えばリース明けの5年落ち、走行距離50万kmの ボルボFH とかトラブルは大丈夫なんでしょうか。

一之瀬:インジェクションだったり、ある程度のところは交換した方がいいでしょうね。

中西:これが壊れないとは言い切れないんです(笑)。5年落ちというと2017年、18年だからちょっと不安があります。ただ2018年モデルは尿素タンクの位置が変更されて、制御系が変わったこともあって、その辺の最初期のモデルがこれから中古トラックで出てくると思うんです。その辺の信頼性が、期待をこめて気になるところですね。2014年から18年までのモデルで買取下取りしている車は全部、弊社でメンテナンスしているにも関わらず、再販するとトラブルが出る傾向はありました。

____その打率は低くないんですね(笑)。それまでまったくトラブルがなかったボルボが、再販売した途端にトラブルを頻発する。その理由は何でしょうか。

中西:我々が販売しているボルボは、ほぼワンオーナーで新車から50万キロまで乗られているお客さんが多いんですね。それが使用環境や運転特性が変わった途端に、その前には絶対に考えられなかったような不具合が出てくるんですよね。

なぜトラックは乗り手が変わるとトラブルを頻発するのか?

____運送会社でもありますよ。同じクルマなのにドライバーが変わった途端、トラブルを頻発させる。それがクラッチだったりすると明らかにドライバーのせいですが、だいたいどこの運送会社もそれは「ありがちなこと」だと分かっているはずです。ほとんどの場合、ドライバーの運転の仕方に問題があると思います。新しく購入されたオーナーが、ガツンとアクセルを踏む運転をし続けたり、クルマに負担をかける運転をしちゃうケースが多いのだと思います。でなければ整備記録がとってあって、今まで一度も壊れなかったボルボがトラブルを頻発させるのはおかしいし、ヨシノ自動車は販売前に部品交換も含めて、きちんと仕事ができる状態に整備して渡している訳ですから。

森川:ボルボのコンピューターは逆に頭が良すぎて、ドライバーに合わせてシフトタイミングを変えますよね。「それもあるのかな」と個人的には思います。5年間、同じオーナーだとなおさらそれがハードにもたらす影響も大きいのかなと。

中西:それだと逆にボルボの信頼性が揺らいじゃいます。I-シフトの売りは5人の違うドライバーがいても「同じ燃費を継続できる」というのがメーカーの売り言葉ですからね。その良さで売っているのに、中古トラックになった途端に「それができなくなる」というのは問題だと思いますね。

森川:ボルボってアクセルをゆっくり踏むと細かくシフトして、ゆっくり上がっていくんですよね。それが1番良いんです。急にアクセルを入れたりすると途端に、2つ3つギアを飛び越えてシフトする。

____その運転が故障の原因としては多そうな気がします。すべてのギアをまんべんなく使うか、同じギアに負荷をかけ続けるか、どちらの運転がシフトにとって優しいかは考えるまでもないですよね。いくら天下のI-シフトでも50万km超えたトラックにそれはすべきじゃないです。

森川:同じことは、国産にも言えることなんですけど。

____中古ボルボを販売するときも「アクセルをゆっくり踏んでゆっくり制動する」ような、優しい運転をしてもらうようアテンションを販売先にしてあげられるといいかもしれませんね。中古トラックは乗り方次第で長く乗り続けられます。国産もボルボもそれは変わらないですよね。とにかく中林さんの中古ボルボの市場を開拓するアイデアはとてもいいアイデアだと思いますね。

中林:車が無いから今だからこそ、いいタイミングのような気もするんです。

中西:確かにそういうタイミングなのかもしれないな。

突然ですが、栃木営業所がヨシノ自動車最大の事業所になるかも!?

____ちなみに50万 km 走った日野と50万 km 走ったボルボでは、どちらが高いでしょうか。

中西:断然、日野の方が高いですね。

森川:日野のエンジンは問題ないですけどマフラーが駄目になっちゃうんですよね。プロシフトも信頼性が上がっているのに、マフラーだけが40万 km ぐらいから怪しくなってきます。交換すると100万円ぐらいかかってしまいます。

中西: 今回、不正が問題になったところですよね。

森川: それは「壊れるよね」っていう感じです。

____E 13 C はいいエンジンなんですけどね。

森川:でも燃費は悪いんですよ。国内4メーカー+ボルボで比べると日野がダントツで燃費が悪いんです。

____そもそもが19年前デビューのエンジンですからね。昔の大排気量エンジンと一緒で情緒や気持ち良さがあるエンジンだからこそ、燃費は悪いのかも知れない。提携している米国カインズのエンジンを積むかもという話もありますよね。でもカインズのエンジンが載ったとたんに日野の神話は崩れる気がします。

中西: その線はどうやらなさそうです。日野は自社エンジンで2024年に完全復活というのが、今のところ規定路線のようですね。

____なるほど。了解しました。最後に中西社長から、2023年のヨシノ自動車のトピックを教えてください。

中西:木更津工場は引き続き、オープンに向けて動いて行きます。来年のこの場で必ず面白い話ができると思うし、そうなるようにやっていきます。目下動いている案件だと、栃木営業所がヨシノ自動車最大の事業所になる可能性があります。

____なんと、それは大きなニュースですね。

中西:在庫トラックの大半を向こうに持って行こうと思っています。来年中にすべてが完成するかどうかは分かりませんが、まずは2000坪ぐらい借りてる土地を1月から2月ぐらいにかけて本格稼働させたい。業販をメインにした中古車を出していく、新車の架装や簡単な修理ができるぐらいの工場設備を持って、リフォームできるような設備を整えていきたいです。そこは宅地地域なので建屋がしっかり立てられるんです。最初はオークション用途のカープールとして考えていたんですが、さらに7000坪の土地を購入しようか目下、検討中です。

____小山のオークション会場の近くでしょうか。

増田:歩いて数分ぐらいのところですね。

中西:そこでレンタカーもやる予定ですし、修理もできるようになる。指定工場はどうするか考えますが、最低でも認定までは取ろうと思っています。実質的に一番規模の大きい拠点ができることになるでしょう。

ヨシノ自動車・中西
ヨシノ自動車社長。昨年はイベントで週末が埋まることが多く、趣味と仕事を兼ねているゴルフをあまり出来なかったのが心残り。

ヨシノ自動車・森川
ユーザー営業。昨年は富士スピードウェイで愛車のレクサスRCF を走らせた。楽しかったけど「俺、遅えな」とショックを受けた。

ヨシノ自動車・一之瀬
ユーザー営業。今年で営業4年目。昨年はトラックフェスに出場するはずだったお客さんがコロナに罹患して出展できなかったのが心残り。

ヨシノ自動車・増田
業販営業。自宅を買い、子どもが1歳2ヶ月で歩き始めた。日々子どもの成長が励みで仕事も頑張る順風満帆な1年だった。

ヨシノ自動車・中林
ユーザー営業。2022年は人生が始まった年。プライベートでは彼女と同棲、犬も飼い始めた。愛車(ノア)も出場したカスタムイベントはすべて優勝。ステップアップで急上昇した1年。

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