トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第85回
京極運輸商事株式会社 代表取締役社長 坂井文明様、経営企画部営業サポートグループ マネジャー 吉田貴則様
京極運輸商事株式会社 代表取締役社長 坂井文明様、経営企画部営業サポートグループ マネジャー 吉田貴則様
トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第85回
京極運輸商事株式会社 代表取締役社長 坂井文明様、経営企画部営業サポートグループ マネジャー 吉田貴則様
京極運輸商事株式会社 代表取締役社長 坂井文明様、経営企画部営業サポートグループ マネジャー 吉田貴則様
「私がボルボトラックを選ぶ理由 第16回」
ボルボドライバーや導入を決めた企業を招いて、ボルボトラックを語りつくす「私がボルボトラックを選ぶ理由」。第16回目となる今回は、創業130年を超える上場企業、京極運輸商事株式会社 様です。このたび4台のボルボFHを導入され、今後も長期にわたってボルボFHを導入されていく計画とのこと。きっかけは時流に即したトレーラー化と、迅速な社内改革にあるようです。ではいったい、なぜボルボFHが選ばれたのでしょうか?そこには「安全」というボルボのブランドイメージが大きく関わっていました。
編集・青木雄介
WEB・genre inc.
坂井 文明(さかい ふみあき)様
京極運輸商事株式会社 代表取締役社長。1968年生まれ。東京都出身。1990年4月日本石油㈱(現・ENEOS㈱ )入社。2015年4月JXエネルギー㈱(現・ENEOS㈱
)中部支店副支店長、2019年4月JXTGエネルギー㈱(現・ENEOS㈱ )東京支店副支店長、2021年4月ENEOS㈱ 北海道支店副支店長2022年4月京極運輸商事株式会社
社長付。2022年6月京極運輸商事株式会社 代表取締役社長に就任。現在に至る。
吉田 貴則(よしだ たかのり)様
京極運輸商事株式会社 経営企画部営業サポートグループ マネジャー 。1975年生まれ。千葉県出身。1997年4月京葉支店 化学品ドライバーとして入社。2017年4月本社営業部へ職種変更。2019年7月経営企画部
営業サポートグループ マネジャー。現在に至る。
___坂井社長は社長に就任されてどれぐらい経ってらっしゃるのでしょうか。
坂井: 1年半ぐらいですね。
___今回のボルボ導入や、ロゴデザインの変更など会社に変革をもたらしたいということでしょうか。
坂井:そうですね。弊社グループとしては輸送事業を伸ばしていきたい。そこが一番伸び代があると考えています。弊社のトラックはトレーラーではなくて単車と言われる形状がほとんどです。石油の配送は2割程度で8割方は化学品の液体輸送です。化学品の輸送については配送先の工場が狭かったり古い工場だったり、といった理由から単車が中心になっていたんですね。石油ですとハイオク、レギュラー、灯油に軽油と同じローリーで運べます。化学品はそうはいきませんので、積載するにあたって車両を替えなければいけないんです。
___なるほど。
坂井:運ぶ荷物がなければ単車は駐車場に置きっぱなしになってしまいます。結果、非常にたくさんの車両が必要になるのと同時に、駐車場に財産が眠ってしまっているような状態になってしまうんです。これを変革するには「トレーラー化」を進めなければいけない。そう考えた時に色んな課題があって、ドライバーで言えば「単車の方が乗りやすい」とか、「トレーラーはちょっとイヤだな」と難色を示すドライバーもいるんですよ。さらに乗り味の好みなんかもありますよね。そんな時に日野自動車さんの一連のリコール問題があったり、「トレーラーが欲しい」と思ってもなかなかトレーラーが購入できない現実が問題としてありました。
___なるほど。
坂井: そこで「どうすべきか」と考えた時に、ドライバー自身が「トレーラーに乗りたいんだ」と思ってくれるようなトラック。単車に乗っていたけど「トレーラーに乗りたい」と思ってもらえる、「そういうトラックが重要だろうな」と考えたんですね。そんな折に弊社の吉田と「ボルボが良いらしいからちょっと見に行こうよ」と誘ってみたんです。候補としてはスカニアもあったのですが、整備のネットワーク等も考えると「ボルボが一番良いんじゃないか」と。その時に吉田ともう2人、営業部長の中村と安全担当の髙橋という社員がいるんですが、私と4人で観に行ったんですよ。彼ら3人は「社長が買わないように止める」という腹積もりだったらしいんです。
___おおっと、 それはなぜでしょうか?
吉田:「高いじゃん」と。社長の坂井は言ってみれば、ジャイアンみたいなキャラなので「言い出したら止まらない」のが分かっていました。だから「絶対阻止しよう」と3人で言っていたんです。それでヨシノ自動車様にお伺いをして、現物のボルボFHを見てご説明を聞いていたら、 社長よりも僕らが欲しくなってしまったんです。
___(一同爆笑)その時のポイントを教えてください。
吉田:僕はもともと20年間トレーラーに乗っていたんですが、国産と比べれば視点も高いし視界も広いし、装備も高級車並み。いや、それ以上かな。何より「ドライバーの意識が向上するのではないか」と思ったんですね。それと京極がボルボを導入することによって、「従業員も増えるのではないか」と期待もしました。その点は社長とも何度も話し合ってきたので、「これはお金だけの問題ではない」と分かっていました。そこからはヨシノ自動車さんとの接点は、私の方に任せていただいてコンタクトを取らせていただきました。
___京極運輸商事さんといえば上場企業の超大手という印象です。個人的には 「ドライバーに困ることはないだろう」と思っていたのですが。
坂井:そうですね。まず我々が抱えている問題としてはドライバーの高齢化が進んでいるということです。採用してもなかなか定着せずに離れていってしまう。結局のところ、昔からやっているベテランしか残らない。このまま 5年、10年が経てば定年退職か自らの意思で現役を退いてしまうでしょう。そうするとドライバーの数は大きく減ってしまうんです。これが弊社の一番の課題なんです。
___なるほど。
坂井:特に今後は若い人や女性ドライバーが主体となって働いてもらえるような、選択の候補に入れてもらえるような会社にしていきたい。これから他にもいろんな施策を打つんですが、その1つの大きなツールとして「ボルボは大きな柱になる」と思っています。
___確かに現在のボルボは、女性ドライバーにとってもっとも運転しやすいトラックのはずです。
中西:そうですね。現在のボルボはボルボ・ダイナミックステアリングという指一本でも コントロールできるというのが売りですからね。 他のトラックメーカーを見ても、あの機能がついているのはボルボ だけです。
___国産の UD についているアクティブステアリングも、ボルボの技術ですからね。 吉田さんは実際にボルボを運転されたりしたのでしょうか。
吉田:僕はもう事務職になっているので運転をしてはいけないのですが(笑)、 乗ってエンジンかけてみて、ハンドルを回してみたり、助手席に乗ってみるようなことを試してみました。 助手席に乗っていても国産には失礼かもしれませんが、国産の助手席よりも乗り心地がいいので、これから4月の人事異動に向けて「僕をドライバーに戻してくれ」と社長に交渉しようと考えています (笑)。
中西:それぐらい良いということなんですね(笑)。
吉田:実際に「ボルボを導入する」という噂が流れた時に「なんで今ボルボなんだ?」と疑問に思うドライバーも多々いたんですよ。物量も下がってきているし、売り上げも下がっている中で「どうしてそんな高いトラックを導入するのか」という声もあったんですが、 実際に納車されてみると声を上げていたはずのドライバーたちもノリノリになってしまったんですよね (笑)。
坂井:人だかりができるもんね。
中西:乗務員の方たちがそういう声を上げるというのも、ある意味、経営者目線でいてくれているので素晴らしいと思います。
吉田:そうなんですよ。坂井社長に変わってから、会社の雰囲気がガラッと変わったので、そこに追いつけないドライバーや社員もいた中で、そういう大きな決断をしました。便乗して反発しているというか、とにかく文句を言いたいドライバーもいる中で、導入してみたら「やっぱり(不満を)言いたかっただけじゃん」と思いましたね。社内でそういう声が上がっていることは、社長とも話はしていたのですが、何のことはないですよ。導入してみれば ルンルンでした(笑)。
___そして今回はボルボのみならず、ロゴを変えたりデザイン的なところでも 社内を変革していくツールとしていらっしゃいますよね 。ちょっとびっくりしたのですが 、このビッグプロジェクトを手掛けたのが デザイン部でも最も若手の増山さんでした。
吉田: ゆめちん(ニックネーム)ですね。
坂井: ロゴも早速、手帳などでも使わせてもらっています。
吉田: 手帳だけでも 4パターンぐらい デザインを提案していただいてます。今年の手帳はゆめちんロゴですね。
___すでにニックネームで呼んでらっしゃるところで、円滑なコミュニケーションが図られているんだな、と驚きました(笑)。
中西:本当に今回は私も含めて喜んでいるのは、営業担当の春日と、デザインに関わった 増山の2人は一番の若手という点なんです。あの二人がこういう大きなプロジェクトを動かす、というのは我々の会社の雰囲気も変えてくれました。弊社からすると今回の京極さんのプロジェクトは6台口と大きいので、我々にもあまりないことなんです。もともとお付き合いいただいているお客さんも個人のドライバーさんが主なので、1台1台という案件が多いんですよね。
坂井: 今回は全部で20台オーダーさせていただいていますからね。
吉田:23年モデル 、24年モデルと合わせて20台ですね。
___24年モデルと言うと、値段がちょっと上がってしまった最新モデルですね。
坂井:そうです。値上がりは仕方ありません。同じく国産モデルも値段が上がっていますからね。我々は年間12台程度、トラクタを買っていますから、それを少し加速していって ボルボにシフトしていきたいんです。
___その導入が結構「一気に行くぞ 」という感じなんですね。
坂井:じわじわだとなかなか進まないですよね。このコーヒーによく例えるんですが、洗う時に水を少し入れるだけだとまだ濁ってますよね。透明な水にするためには、たっぷり水を入れなければいけない。早く透明な水にしたいのであれば、たくさん入れなければいけない。そういう話を吉田としていました。車両も同じで、早く入れていかないと全体がボルボにならないだろうと。
吉田:運送会社は今のところ、どこも同じような問題を抱えているわけです。指をくわえて見ていたら「同業他社との差はつかないよ」というところで、低迷している今だからこそ何かモーションを起こしたい。目立つこともそうだし、「乗りたい」と考えてくれるドライバーが増えれば、5年後10年後に新しいドライバーが入っていてくれさえすれば会社は持ちます。もし僕が他の会社にいて同業他社が、「ボルボをどんどん入れていくよ」となれば「そっちに行きたいな」と思ってしまいますよ。隣の芝は青く見えるじゃないですけど、その青い方になっていたいんです。
___なるほど。先ほど坂井社長がおっしゃっていたトレーラー化を進めていくお話ですが、これはやはり2024年問題に関連したお話なのでしょうか。
坂井:もちろんその関連もありますが、それは副次的な話です。主たる目的は車両という財産が駐車場に眠っているこの状態から、とにかく脱却したいんです。例えばエンジンがついた単車が4台あるのと、トラクタが1台あって トレーラーシャーシが4台ある状態を較べると、トレーラーが高くたって 単車4台に比べれば相当に安いんですよ。
吉田:単車のタンクローリーを2台造るとして、1台 2500万ですから5000万円かかってしまいます。タンクシャシー(トレーラー)だけであれば1000万もあれば造れるんです。 ここにシャーシを2本造って、ボルボのトラクタを買ったとしても安く上がりますよね。 維持費などの経費もより安くあがります。
坂井: 実際トラクタ1台に対して、 シャーシが2本、3本と増えればさらに投資額は少なくて済みます。
___車検とかも含めて安くなっていくわけですね。
吉田:はい。保険から何からすべて維持費はトレーラー化が進めば減っていきます。
坂井:駐車場に停まっている時間が長いということは、つまり走行距離が短くなります。弊社には車齢10年を超えた古い車がたくさんあるんです。なんせ走行距離が伸びないので、長い間乗り続けてしまう。これをトレーラーにすると頭のトラクタは動き続けますから、走行距離が増えて定期的に車を入れ替えることができます。そういう意味では戦力を新しく保つことができるんです。そのためにはトレーラー化の実行が不可欠なんです。
___確かにそうですね。
吉田:現在、弊社では車両の数がドライバーの数より1.5倍ぐらい多い。常にその1/4が駐車場に停まっています。その日は一日動かないですね。
中西:なかなか他にはない京極さんならではの特殊な事情ですね。
___特殊な点について詳しく教えてください。
吉田: 一つのタンクに対して一製品しか 積めないことですね。
坂井:その製品を積まない限り、その車は動かないということになってしまうんです。燃料油ですと中身を変えながら使うことができるのですが、化学品はそうはいきません。
___なるほど。特殊ですね。他の運送事業者さんでいえばシャーシにしろ箱にしろウイングにしろ、使いまわせることが前提です。
吉田: ですから、仮にドライバー1人に対してボルボをあてがったとしても、現在の状態よりはコストが下がっていく計算になっています。
坂井:ただ私として言いたいのは、確かにトレーラー化はボルボじゃなくても国産でもできます。では、なぜボルボを選んだか。吉田くんや中村くんは「いいものだから」と言いましたが、トータルの価格としては国産よりボルボの方が高い。ヨシノ自動車さんに面倒を見てもらって安くはなりましたが、それでも数百万円かは高いのです。当然のことながら、これが何十台となれば何千万、億単位の違いになってきてしまいます。
___たしかに。
坂井:この差に関しては 吉田くんや中村くんに「どう説明したらいいでしょうか」と尋ねられたのですが、私は何百万円、何千万円の違いで「ドライバーの命が助かるならこんなに安いものはない」と宣言したんです。
吉田:そうですね。ヨシノ自動車さんにお伺いして、森川所長にスウェーデンのボルボの工場で作っているところを見せてもらった時に、トラックを崖から落としたり、鉄球をぶつけたり、繰り返し安全テストを行っているシーンを見させてもらいました。仮に大惨事になるような事故が京極運輸で起こった時に、それでドライバーさんが亡くなったり、障害を負うようなことになったりするぐらいの大事故が起こった時に、ボルボなら亡くなることもなく、入院で済んだり、または普通の生活に戻れる可能性がより高まります。本当に社長からその説明を聞いた時は泣きましたね。
___私も思わず、うるっときました(笑)。そうなんですよね。 最近のボルボは品質や機能がともに向上し続けているのでなかなかその点が注目されないのですが、そこが実は一番大事で「ボルボらしさ」とも言えますよね。なんせ乗用車のボルボブランドとともに安全を何よりも大事にする会社ですし、激甚な事故があっても「ボルボだから助かった」という話は世界中で挙げればきりがないですからね。
中西:ボルボは「安全」、「環境」、「品質」をステートメントにしています。中でも「安全」が最優先されていますからね。
坂井:その3つのステートメントの「安全」は、まさに当社の企業理念でもある「安全」「誠実」「正確」の中の最優先項目なんです。
___なるほど。確かに危険物を運搬される京極運輸商事さんですから「安全」は必須のステートメントですよね。
吉田:また弊社は長距離運行が多いので、事故を未然に防ぐためにも長距離を走る時の安定性で、少しでもドライバーの疲労を軽減してあげたい。車中泊する時でも国産でエンジンをかけてガラガラいわせながら休むよりは、エンジンを切った状態で休ませて(アイ・パーク空調機能)、居住性の向上により少しでもドライバーの疲労軽減に役立たせてあげたい。そのために「買いたいんだ」と社長から聞いた時に、「あ、ただのわがままではないんだな」と思ったんですよね(笑)。
___一同笑
吉田:社長は最初に説明がないんですよ。説明下手なんですよね。「これ恰好よくない?」から始まっちゃうから誤解を招きやすいんです(笑)。ただ社長の思いを聞いて「あ。これは間違いないな」と思いましたね。ドライバーたちにも「ね。良かったでしょ」って、僕の方からも言えます。買うと決めるまでの1ヶ月は、いろんな方面から矢が刺さりましたから(笑)。
___いちど乗ってしまうと「国産に戻りたい」というドライバーはまずいないでしょうから、誰に「乗ってもらうのか」というのが頭を悩ませるところですね。
吉田:はい。乗っているドライバーにも同じミスをしたら「もう二度と乗せないからな」と言えますね(笑)。みんな真剣になりますよね。
___社内のドライバー同士の向上と言うか、高め合いは必要と考えてらっしゃるのですね。
吉田:そうですね。ドライバーとしての安全運転は当たり前ですが、バックする時の技術だったり、こういう快適なトラックを導入してくれた会社、仕事をくれる荷主様、同業他社も含め「見られている」という意識が高まってくれて、運転はもちろん現場作業や、勤務態度にもすべてに「プラスになるのではないか」と期待しています。やはりボルボは目立ちますからね。その先頭に立ってくれているのが、本日の撮影に参加してくれたドライバーたちです。こういう場にどんどん参加してもらって、社会に発信してもらって良い宣伝効果になれば、と考えています。
___了解しました。今後トレーラー化を進めるとなれば、ドライバーのスキル向上が必要になってくると思います。単車から乗り替えるのはもちろんですが、経験者を雇い入れるということに関しても、何かしらの評価基準というのはあるのでしょうか。
坂井:マニュアルはあるものの、その点は考え直さなければいけないところです。やはり 現場で実地のトレーニングが基本になっているので、積込・積卸しの作業で特殊な技術はあるものの、ドライビングテクニックに関しては当社でなくともドライビングスクール等でも向上できると考えています。そういう専門機関を上手く使っていければと考えています。 本当のところを言えば、大型自動車の教習所などと提携するのもいいとは思うのですが、あるのでしょうかね。
中西:今までもそういったプログラムというのは行われたことはあるのですか。
吉田:ないんですよ。配属された部署で教育をすると、社内規程などある一定のルールにはのっとっています。今後考えているのは机上の教育はひとまとめにしたい。運転のルールに関しても、一番大きな部署で基本的なことは教えたい。積卸し作業は部署ごとの工場で違っているので、その担当部署で行いたい。その作業だけを担当部署でやれば、同じ部署が1~10までずっと教育するよりは、現場の負担も軽減できるのではないか、と考えています。
坂井:教習所のようなものは是非、知見がおありなようでしたら教えていただきたいな、と考えているんです。
中西:僕の中高の後輩が教習所を経営しているんですよ。親の代から全国で何十校とやっていて、マジオネットさんという新宿本社の会社なんです。そこは運送事業者さん向けの運転者講習やトレーラーのトレーニングのような教習もやっているんです。安全はもちろんですが燃費に効くような運転の仕方だったり、実績も作っているようなのでご紹介できればと思いますね。
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吉田:それは是非にお願いしたいですね。けん引免許も全員が持っているわけではありません。以前はけん引免許と危険物取扱資格を必須で募集していたのですが、なかなか若い方達が集まらない。そもそも車に興味がない時代です。コロナで暇だったから「大型免許を取ってみました」みたいな方はいるんですが、けん引免許までは持っていない。トレーラーを必須にしてしまうと募集枠が狭まってしまうんですよね。だから「持ってなくてもいいよ」と、入ってから会社で取らせてあげようという規程に変えています。これからトレーラー化を進めるには免許を持っている人を増やさなければいけないですから、免許を取りつつ実地の運転でも活用できる技術が身につけばいいですよね。
___そうなんですよね。トレーラーばかりは実地でないと、免許のための技術だけでは通用しません。
坂井:添乗教育というのは積卸し作業だけじゃなくて、ドライビング技術の教育も含められます。今後は、そこまでやっていくと残業扱いになってしまうんです。2024年問題で、そこは確実に問題視されるところなんです。つまりどの会社さんも、添乗教育をやっている余裕がなくなっちゃうんですよ。なるべくそういう残業は少なくしていきたい積込・積卸の教育は当然やるんだけれども、ドライビングは専門のところでもっと時間をかけてやってもらいたい。その点を分業しないとどうしても、残業問題に引っかかってきてしまう。残業が多い理由を紐解いていくと、だいたい添乗教育にあたるんですよ。
___そうなんですね。確かに車庫に帰ってきてバックやホーム付けの練習なんかを見てあげたりすれば、残業にあたります。思い当たる節がありますね。
吉田:教育期間は通常は一人で行ける仕事も、教育者と二人で行うので残業一人分じゃなくて 二人分なんですよ。
坂井:さらに今年の4月からは上限規制が入りますからね。添乗教育の結果「運べません」となりかねません。
中西: 本当にそういう事案はこれから増えそうですね。
___なるほど。ともかくも、現在はそういったプロのドライバーのためのドライビングスクールのような施設があるんですね。驚きました。
中西:一番身近な後輩にいるんですよ(笑)。そこはもともと教習所経営以外にも、「他の付加価値を」と考えて別会社で、そういうプログラムを考え出しました。
坂井:本当に1キロぐらい、悪路も含めてバックで進まなければいけないぐらいのプログラムがあればいいんですけどね。
吉田:僕たちの時代はありましたよ。基本的に「見て覚えろ」の世界なんですよね。出来ないと「何で出来ないんだ」と先輩に怒られちゃうわけですが、今それやっちゃうとドライバーがやめちゃうんですよね。今日この場に来ているドライバーも数人は私が教えました。現役と言うか運転手時代ですね。今は教える方も気を使う時代なんです。「いいよ。いいよ。ぶつけなければいいよ」ぐらいじゃないとやめちゃいます(笑)。
___たしかにそうですね。ちなみに御社で女性ドライバーは何名ぐらい在籍していらっしゃるんですか。
坂井: 6名いるんですが1名は近々やめちゃうんです。石油も化学も両方いますね。
吉田:これから各支店部署もきれいに建て替えたり、大きくしたりしていく計画の中で女性枠を増やしたいと考えています。パウダールームを作ろうとか、現在もトイレなどどんどんきれいにリフォームしていっています。女性に対して「もっと優しい環境を作りたい」と考えています。女性のドライバーさんが入るということは、やはり女性の管理者も増やさなければならない。 どんどん女性ドライバーを増やしていきたいですね。
坂井:人事部マネジャーはこの度、女性従業員初の管理職にしました。物流会社も変わっていきますよ。
吉田:弊社はトラックの中に室内カメラをつけているのですが、女性ドライバーを我々男性管理職が監視するわけにもいかないですよね。そういうプライベートスペースを管理したり、指導するのも女性であるべきですよね。
中西:この業界もついに変わってくるんですよ。
坂井:この先はもう性別も問いません。 「無回答で構いません」となるでしょうね。
___確実に変化していますね。ではこちらが最後の質問となります。先ほど京極運輸商事さんでは運送事業にどんどん力を注いでいくということでしたが、やはり他事業はちょっと先細りしているイメージなのでしょうか。
坂井:そうですね。手は打ちますが、伸ばすというよりもなんとか現状維持をしたいという方向です。人材も限られているので、輸送の方にどんどん人員をシフトしていくことになりますね。
吉田:他にも現在、持っている資産をできるだけ効率的に使えるように、倉庫だからと言って倉庫使用だけに限るわけでもなく、そのスペースを資産と捉えて、どう最大限に活かせるか、というのは常に考えています。
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