株式会社ヨシノ自動車

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第88回

株式会社リトラス 代表取締役社長 津田 猛様、専務取締役 巽 真次様

株式会社リトラス 代表取締役社長 津田 猛様、専務取締役 巽 真次様

「憧れのV8モデルが現役選手! 業界トップの我が道を行く“トラックの魅せ方”とは」

先月に引き続き、ジャパントラックショー2024の会場からお届けします。今月は会場でひときわ注目を集めていたV8エンジン搭載の日野プロフィア(テラヴィ)トラクタと、やはりV8のふそうスーパーグレート冷凍バンを展示していた株式会社リトラス様です。昔ながらのトラック好きなら感涙モノの2台が即戦力として復活。株式会社リトラス様は自社工場による中古トラックのリニューアル販売に大きな特徴があります。買い付けたトラックのパーツをリサイクルし、エンジンやミッションをリビルトし、市場に還元しつつ販売していきます。この2台のV8エンジン搭載車は、そんな株式会社リトラス様の事業内容を集約した2台と言えるでしょう。

編集・青木雄介
WEB・genre inc.

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津田 猛(つだ たけし)様
株式会社リトラス 代表取締役社長。1972年生まれ。1993年4月三菱ふそうトラックバス㈱の整備士として入社、1996年10月にリトラスの前身のツダグループ入社、2013年9月にリトラスが設立され副社長を経て、2017年4月代表取締役社長に就任。現在に至る。

巽 真次(たつみ しんじ)様
株式会社リトラス 専務取締役。1964年生まれ。1986年電子機器メーカーで営業マンとして入社、転職後、電子機器メーカーの経営にも携わり2012年リトラスの前身のツダグループに入社、2016年9月より現職、現在に至る。

24レーンある顧客のための架装設備

____リトラスさんのエンジンともいえる架装工場について教えてください。

:弊社は上物の架装を自社工場でやっていまして、この5月1日に東日本工場ということで群馬の佐渡郡玉村町に工場をオープンしました。現時点では福井の工場とあわせて全部で24レーンを有しています。そちらで架装と塗装を行っています。たとえば新車を造る場合は完成車を買うのではなくて、シャーシだけを買ってきて上物を弊社で造ります。

____なるほど。中古トラックはどうでしょう。

:中古トラックは買い付けた上物の修理修繕を行いつつ、二次架装も行います。お客様から「フックをつけて欲しい」と言った要望に対応したり、基本的に買っていただいたトラックを架装するために工場があります。そこが弊社の強みと言えるでしょう。現在、在庫でだいたい1300台ほどあります。

常に在庫車両は1300台以上

____それは架装待ちの車両ということでしょうか。

:いえ。販売車両が1300台です。

中西:弊社の在庫がだいたい300台ですから、その4倍以上ということになります。

:いやいや。数を持っていればいいというわけではなくて、利益をあげないと意味がありません。中古トラックは相場があるのでいつでも高く売れるかと言うとそうではなくて、タイミングもありますし、仕入れの失敗なんかもあるんです。マイナス売りするトラックも結構な数あるんですよ。中古トラック業界の皆さんそうですが、仕入れ値から2~3割の損切りしなければいけないトラックだってあります。

____買ってみたものの「全然売れないじゃん…」みたいなトラックがあるわけですね。

:よくあります。間違えて事故車を仕入れてしまうこともあります。それと例えばヨシノ自動車さんのお客さんにニーズがあるクルマでも、それを弊社で持っていて販売しようとしても、売れるかと言ったら売れなかったりするんです。

____津田社長にお伺いしたいのですが、ここに展示されているトラックはすべて中古トラックを自社架装された形でしょうか。

津田:そうですね。ここに展示しているトラックは、すべてもともとは中古トラックになりますね。

2002年式のプロフィアテラヴィ“V8”エンジン搭載モデル。顔となるウイングマークを付け替え、重厚な舟型バンパーにナマズの3連マーカーで魅せる。エンジンはF21Cで走行距離は529,100km。日野のV8エンジンシリーズであるF型は1994年に登場し、390馬力の排気量は20,781cc。V8エンジン好きには垂涎のリフォームであり、現役としても走れる。

人気のV8モデルで架装力をアピール

____個人的にはこのテラヴィに惹かれました。

:こちらの車両はミッションからエンジンまで全部降ろしています。いちど裸にしてシャーシから組み直してパーツを載せ替え直しています。

____このテラビィのエンジンは、他所から違うエンジンを持ってきた載せ替えではないんですね。

:このエンジンはそのままでも大丈夫でした。パーツ部門で出展しているふそうのトラクタのV8は8M21というエンジンなんですが、ミッションもエンジンもおろしてオーバーホールしました。

津田:これが第1弾ですが再来年のトラックショーでは、さらに架装してどんどん進化させていきたいと考えています。

____これをベースに現代風の架装をしていくという意味でしょうか。

津田:いや、よりデコトラにしていきます。次回は三菱と日野の両方を「ドーンと見せたいな」と思っています。

:こういった旧いトラックを展示するのは今回が初めてなんですよ。これまでは未使用車的な車ばかりを展示してきました。社長から提案で、旧車で特徴のあるプロフィア・テラビィと三菱の冷凍車を造りました。

____この時代の日野はV10もありますよね。

津田:ありますけど、やはりV8が人気なんですよね。

____そうなんですね。

中西:エンジンがF型だから、日野のV8エンジンを象徴するモデルですね。

すべて手造りによるワンオフモデル

____ちなみにバンパーなどは自社架装のワンオフですか。

津田:そうです。全部、手造りですよ。

:弊社は基本的に市販系のパーツをつけないんですよ。せいぜいライトぐらいかな。

津田:あとは全部手造りです。

____ちなみにこのテラヴィを欲しがる方も多いと思うんですが、いくらぐらいで販売する予定でいるんですか。

津田:これは非売品なんです。このテラヴィに関しては次のショーにも出そうと考えているので、2年後にさらに変わったところを見せたいなと思っています。

____では今後も販売を考えていないということでしょうか。

津田:お客さんの要望があれば考えていきます(笑)。まず、すごく架装が大変だということがありますよね。

:昔の車ですから車の絶対数が限られてしまっていますよね。

津田:良いベース車を探すところから始まるので本当に大変なんですよ。

____「これ欲しい」というドライバーはめちゃくちゃ多いと思うんですけどね。

:本当に多いと思いますよ。実際に「これいくらするの?」ってお客さんから朝からずっと訊かれっぱなしなんですよ(笑)。

クルマだけでなくパーツもリサイクルし、流通させる

____このテラビィは販売しないで今後も進化していくとして、個人的に、このラインはどんどん積極的に販売して行った方がいいんじゃないかと思うんです。ヨシノさんには旧車のトラックをリニューアルして販売して欲しいと、ずっとお願いしているのですが「大変だからやりたくない」と(笑)。

中西:リトラスさんは長年架装とかボディだって1から全部造れるんですよ。その生産能力はもはやボディメーカーの域なんですよね。

津田:我々も販売が主体ですが、お客さんのニーズや使いやすいボディを追求しているうちに「こっちにも力を入れている」ということですね。ちょうど我々はリサイクルパーツも販売していますので、いろんなパーツをリサイクルしてSDGsではありませんが、使えるものはどんどん使っていきたいと考えているんです。

____実際に世の中ではデコトラを降りる方も多いですよね。降りた後のデコトラやパーツはどこへ行ってしまうんだろうかと、悲しくなってしまうんです。そんな時、リトラスさんが買い取ってくれたりしたら「とても良いだろうな」と。またこの間、ビヨンセがプロモーションで来日した時にデコトラに乗車している写真が、世界的な話題になりました。デコトラは日本のカルチャーとして今後も世界的な注目は集められると思うんですよね。

中西:あれはすごいと思いましたね。ビヨンセの喜んでいる反応なんかを見ていると、アメリカだと趣味車として売れそうですよね。

津田:うんうん。売れそうです。

中西: 60年代のカマロを買うぐらいの感覚で、向こうならデコトラが販売できそうな気がします(笑)。

ビヨンセとデコトラ(美加丸)X「Cowboy Carter Update」より

____アメリカ人は派手なイルミネーションリレーとか大好きなんですよね。ラスベガスのビルボードみたいな。

個体数の少なさに加えて、職人の少なさが“デコトラ”を希少にする

:とはいえ、本当に年々、造りにくくなっているんですよね。デコトラは。もう個体数が減ってきてしまっているので、架装できる業者がいなくなってきている。このドア1枚をメッキするだけでも、このサイズをドブ漬けできる設備がないとできないんですよ。

津田:ドアにしたってもう新品はありません。ですからメッキをかけると分かるんですが、微妙に凹凸が出てしまう。本当にいいベースになるドアを探すのも大変でした。

:これオリジナルのドアじゃないんですよ。何台か買ってきた中で、一番良かったドアをチョイスして、それをドブ漬けして取り付けているんです。普通に色だけ吹いてれば分からないんですが、メッキにすると微妙な凹凸が分かるんですよね。でもね、お客さんにそれを言ったら「それが良いんだ」っておっしゃっていましたよ。逆にそういった凹凸の味わいが出るぐらいの方が良いんだ、と。味がある、と。

津田:こういう車が好きだから、好みもマニアックになるんですね(笑)。

2004年式ふそうスーパーグレート冷凍バン。V8エンジン(8M21)搭載モデルで左シュノーケルが特徴(直6モデルは右シュノーケル)。定番のバスマーク行灯や硬派な舟型バンパー、鳴らせる煙突マフラーで飾りつけている。ウロコステンレスが特徴の造りボディはトランテックス製で、ボディ下部にまでウロコステンレスが張り巡らされている。

冷凍バンはふそうのV8で造りボディ

____見た目も大事なんですが、やっぱり昔のエンジンに乗りたいんですよね。エンジンの振動もいいし、音も体感してみたいです。

:冷凍車のV8は YouTube に音が乗っかっていますよ。

中西:僕もクルマが会場に入ってくる時に音を聞いていたんですけど良いんですよね。今だったら、すぐ怒られるんだろうな……。

____津田社長にお伺いしたいのですが、こういった復刻版のトラックはリトラスさんの架装技術をお客さんにアピールしたいという狙いなのでしょうか。

津田:そうですね。例えばヨシノ自動車さんだとボルボトラックがアピールに使えますよね。我々は使えないので、国産でかつ他社ができないことに挑戦したいと考えているんです。旧い車をパーツ、整備、架装と一丸になって現役車に造り上げるコンセプトですね。

____ちなみに普段からデコトラのお客さんなんかも多いんですか。

津田:いや、それはないです。我々は一見さんの架装は基本的にお断りしています。買っていただいたお客さんが、「どうしても」ということであればやりますが、それ以外のお客さんは基本的にお断りさせていただいているような状況です。

____こういった復刻トラックが初めてというのも意外な完成度です。

津田:そうですね。どうやってもヨシノさんの派手さには勝てないので(笑)、弊社、独自のできることで対抗しなければいけないんです。

____いやいや。何をおっしゃいますか(笑)。激シブです。

中西:激シブですよね。

____この冷凍車の造りボディはどこのメーカーでしょうか。

津田:トランテックスさんです。今回はトランテックスさんの応援部隊も会場にいらっしゃっていますよ。

なぜ中古トラック業界は仲が良いのか

____こうやって見ると確かにトランテックスさんですね。いい出来栄えですね。トランテックスさんは日野の完成車のイメージが強いですけど、造りボディの仕上げもいいんですよね。では、ここらでリトラスさんの今後の展望などをお聞きしたいのですが。

津田:それはやはりヨシノ自動車さんに追いつけるようにやっていくだけですよね。

____シェアは逆じゃないですか(笑)。

津田:専務はどうですか。

:お客様のニーズに沿った車両を準備し、「直ぐに使っていただける」をコンセプトに今後も取り組んで行きます。

津田:我々は社会貢献を念頭にやっていますから。

____分かりました。では中西社長からリトラスさんの印象についてお伺いしましょう。

中西:そうですね。僕からすると同業者の中の、ピラミッドのトップにいる存在ですね。色んなアプローチをみせる中古車業界の人たちがいる中で、親同士も接点があって仲が良くて昔からよく知っている存在です。

____先代からの間柄なんですね。

中西:そうなんですよ。弊社の会長とリトラスさんの先代の社長は年齢も一緒なんです。その中ではトップだし、業態もすごく多様ですよね。ですから、「このままずっとトップを走り続けるんだろうな」と思っています。我々と路線は違っていますが、中古トラックを扱うという意味では大きくは違いませんからね。

____中西社長は常々おっしゃっていますが、トラック業界は「持ちつ持たれつ」ということですね。

津田:そうですね。我々は本当に仲が良いんです。ヨシノ自動車さんに買ってもらったトラックが売れてなかったりすると、すごく気になるんですよ(笑)。その時に「儲かった」と思っていただかないといけない。「売れたよ」と聞くと安心できますしね。中古トラック業界は全般的に仲が良いんです。

一品一様だからこそ協力できる

中西:僕が参加しているトラックサミットの全般に言えることだけれど、それぞれ得意なマーケットをしっかりやっているからこそ仲良くやれるという気がします。

:基本的に中古トラックがメインなんで、一品一様なんです。そこに競争の原理ってありそうでないんですよ。

____なるほど。

:中古トラックで同じトラックって、ありそうでないんですよ。新車の完成車はまったく同じですけど、中古トラックは基本的にそれがないんです。

中西:そうですね。そこが面白いところですね。

津田:だから他の業界にないような繋がりができてくるんですよね。

:我々がヨシノ自動車さんから車を仕入れて販売することもあれば、その逆もあります。その意味で言うと変わった業界ですよね。片方で売れなければ、片方が買うことで常に車の入れ替えもあります。

中西:これだけネットも普及してるわけだし、もっとフラットになっていくのかと思えばそうでもないんですよね。餅は餅家なのか、リトラスさんから買っている横浜のお客さんもいるし。

津田:そうそう。その逆もあるし。

中西:そう考えると不思議ですよね。

:ヨシノさんに欲しい車があるから、それを仕入れて「ウチに売ってくれ」というパターンもあるんですよ。もちろんその逆もあります。お互い持っているお客さんがいるのでそこには競争が働かないんですよね。

徹底した品質管理で信頼できるトラックを供給する。株式会社リトラス

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