トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第89回
株式会社ヨシノ自動車 代表取締役社長 中西俊介
株式会社ヨシノ自動車 代表取締役社長 中西俊介
トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第89回
株式会社ヨシノ自動車 代表取締役社長 中西俊介
株式会社ヨシノ自動車 代表取締役社長 中西俊介
「E論反論オブジェクション!なぜ日本に新型FH “エアロ”は導入されないのか?」
6月、中西社長がスウェーデンのボルボ本社で行われた新車発表会に行ってきました。今回はその現地の写真や映像とともに新型FHである「エアロ」の話題と、全世界で6000台も売れているという電動大型トラックの話題をお送りします。日本では次世代パワートレインへの移行が遅々として進まない中、欧州は具体的かつ積極的に動いています。欧州と日本の肌感覚の違いとともに、「なぜ進まないのか」を考察してみました。
編集・青木雄介
WEB・genre inc.
____今回、中西社長が出席したのは2024年モデルの発表会だったのでしょうか。
中西:2025年モデルです。デリバリーは今年から始まりますが1年先のモデルとして発表するんですよね。
____どこが変わったのか、自分で調べてはみたものの正直、分からなかったんです。
中西:そうですね。変わってないかな(笑)。
____では日本に入らないFH エアロを見に行ったということなんでしょうか。
中西:日本に入らないのは日本が特殊なだけなんですよ。連結全長が長くなってしまうから「導入できない」という理由です。ですから日本に導入される25年モデルのフロントフェイスはまったく変わらないです。そもそもボルボの25年モデルとは「何か」と言ったら FH エアロなんです。今まではエンジン性能やiシフトの性能向上によって燃焼効率を良くして燃費を良くしてきましたが、今回は空力によって空気抵抗を減らして燃費を良くしているんです。
____そうか。空気抵抗を減らすから「エアロ」なんですね。
中西:欧州車は特にそうですが、年次改良では必ず燃費改善をうたってきます。そうやって環境性能の向上を示していかなければいけないということから、24年モデルまで改善を図ってきて、今回はエアロダイナミクスによって燃費を良くするという売りになりました。大きな変更点はフロントフェイスが変わったことと、ミラーレス・カメラが導入された点になります。
____せめてミラーレス・カメラだけでも入らないんでしょうか。
中西:ボルボジャパンとしては導入しない方針だそうです。だから変わらないですよね(笑)。あくまでも日本だけ変わりません。
____ボルボジャパンとしても型式認証を取るために、国交省に働きかけるような活動はしていくのでしょうか。
中西:その方向ではあるみたいです。我々はディーラーである以上、並行輸入で入れてしまって単体で登録することは可能です。別にヘッドそのものは全長オーバーには当たりません。問題は連結した時にセミトレーラーの最大長(16.5メートル)を「ちょっとだけ出ちゃいます」というレベルなんですよ。でも別にそれより短いトレーラーだったら牽けるわけです。
____分かりました。トレーラーヘッドそれ自体は違法ではないけれど、40フィートを牽いた時に全長がオーバーしてしまうということですね。スライドカプラーで前に出すとか出来るはずですし、スカニアだったら入れちゃいそうですけどね。
中西:ボルボジャパンは、型式認証を取るところにこだわりますからね。
____なるほど。
中西:それとまず17.3リッターエンジンで650馬力の FH 16 を導入して欲しいですね。現在、ハイパワーで超重量物運送はスカニアさんの独壇場です。100%のシェアですね。ちなみに僕が乗った本国のテスト車では780馬力というのもありましたよ。やはり16リッターの新しいタイプですね。ボルボのすごいところはディーゼルエンジンもさらなる性能向上を追求しているところです。これまでは750馬力が最高だったと思います。30馬力増えて780馬力になりました。本国ではもう2025年モデルとして販売されてますね。
____エンジンは直6ですね。
中西:そうですね。もうめちゃくちゃトルクがありますよ。こちらのムービーを見て欲しいんですが、積載40トンも積んでるんですよ。でも非常にスムーズに走ります。一応、エンジンの音は聞こえています。でもすごく静かでしたね。これだけ欧州に先に行かれちゃうと「どうするんだろう、日本」というのが正直な気持ちですね。ともかくも一番大きな障害は法律だと思います。
FH16とFH EVの走行シーン。音がとにかく静かだ。
FH16に搭載されるD17エンジン
____現在、スカニアは最高でどれぐらい馬力が出るんでしたっけ。
中西:一緒なんですよね。確か日本に導入されている最大馬力のモデルは650馬力かな。
____今回、中西社長が現地(スウェーデン)で実地に見てきたトラックの電動化について教えてください。
中西:今回のイベントで全世界に発信されたのは EV(バッテリーEV)で、ボルボ FHのシングルヘッドはだいたい300kmぐらい走れるんです。それもカタログ値ではなくて実走行としてそれぐらい走ります。すでに全世界で6000台を販売しているそうです。
____すごい数ですよね。
中西:大枠としては半分の50%がEUマーケット、残りの45%が北米マーケットだそうです。
____北米マーケットはボンネットがあるのでボディ形状が違っているとして、ともかく大型のEVトラックは「ボルボが一番売っている」んですよね。
中西:そのようですね。つい先日、ダイムラーの eアクトロスが販売されましたよね。
____そうですね。実証実験が開始されて、年内の量産化という発表でした。顔が未来的でしたね。中西社長の肌感覚的には、どうでしたか? トラックに「EV来るぞ」という感じでしたか?
中西:そうですね。今回、eアクトロスの工場見学にも行ったのですが、やはりEVを推していましたね。政府や行政も強くEVを推していますよね。ですからしばらくは、あくまでも短期的なスパンですが、この波は収まらないでしょうね。
____現地でEV用の充電施設等のインフラは整いつつある印象でしたか。
中西:どうなんでしょう。今回、現地のパーキングステーションやトラックステーションを見学に行ったわけではないので分かりません。ただもうすでに欧州で3000台以上が走っている現状を考えると、そのインフラは整いつつあると考えるのが自然ですよね。あくまでも肌感覚ですが、ボルボの本拠地であるイエーテボリの街でも乗用車の2割から3割はEVですね。日本とは比べ物にならないぐらいEVが身近に走っています。テスラもそうだし、ボルボの乗用車もそうでした。ポールスターも走っていましたね。
____同じように日本でもEVは普及していくでしょうか。
中西:乗用車はともかく、大型でEV化するはまず先にインフラを整えないと普及しないですよね。それを考えるとなかなか難しいですね。
____その反面で軽規格の商用EVは佐川急便が開発に参加したり、企業レベルでは大きく注目もされてますよね。
中西:ちょっと話は変わるのですが、先日ロータス トラック ネット(整備組合)でトラックのEV化に関する基調講演がありました。その専門家がおっしゃるには、乗用車から小型クラスまでのベースはEVが主流になっていくだろう。懸案の大型トラックに関しては、本音をいうと「わからない」のだそうです。日本においては特に「わからない」そうです。EUや北米に関してはとりあえず政府の指針もあり、「EVで行こう」となっています。一方で懸念点はいっぱいあるわけです。電力の供給はどうするんだ、とか航続距離を連続1000km以上としていくならば、やはりFCVのような燃料電池車も注目されるわけです。それかエンジンをそのまま使った水素自動車ですよね。
日本のEV開発会社ASFが設計・開発したASF2.0。中国の柳州五菱汽車で製造される軽自動車規格の商用EVだ。「中国車」ではなく国内で設計された「海外生産車」。開発は佐川急便との共同で行われ、佐川急便の宅配ドライバーの声を参考に宅配業務専用車として設計された。
____有名な話ですが、ボルボはその辺の次世代パワートレインを全方位的にやってるんですよね。まさにフルベット状態です。
中西:そうなんです。それと液化天然ガス(LNG)車も開発していますね。現地ではそれも実際に乗ってみました。
____ある意味で、ボルボを見ておけば世界の次世代パワートレインの潮流がわかるということですね。
中西:そうですね。今回、僕は10年ぶりにイエーテボリ(スウェーデン)を訪れたんです。10年前もハイブリッドやEVの研究開発はされていて、「進んでいるんだな」という感覚は当時からありました。今回はそれが完全に実用化されているという印象ですね。現に走っている姿を見て、「やっぱり日本は遅れているな」と痛感しました。下手すると開発それ自体さえ行われていない。もうどれだけ遅れてしまったんだろうな、と。
ボルボFH液化天然ガストレーラー。13リッター LNGエンジンを搭載し、420 hp および 460 hp のバリエーションがある。トルクはディーゼルに匹敵し、タンク容量は標準で長距離輸送に十分としている。
____この10年でさらにその差異が広がっていたんですね。
中西:本当に個人的な印象ですが、10年前は「未来が楽しみだな」と思っていたぐらいだったんですよ。今回は「その技術がすごい」という衝撃もありながら、日本の遅れ具合に恐怖さえ感じてしまったんです(笑)。わくわくじゃなくて不安しかない、スウェーデンでしたね。
____笑えないですね。そこで中西社長にお伺いしたいのですが、次世代パワートレインへの移行は政府が主導すべきだとお考えですか。
中西:そうですね。官民一体とよく言いますが、普及にあたって決めなければいけない充電の規格とかあるわけです。そういったもろもろを開発にあたる1企業に決めさせるのは酷ではないかと思うんですよね。リスクが大きすぎます。欧米諸国や中国も含めてですが、次世代パワートレインに関しては政府がバックアップしているわけです。その姿勢は必要だなと思いますね。日本にも国産トラックメーカーが4メーカーもある中で、今後の開発や運用にあたっては「個別では無理だな」と思うんですよね。
____例えばアメリカではテスラが電気自動車も販売するけれど、同時にスーパーチャージャーという給電インフラをどんどん作っていきましたよね。日本の政府もどこかで大企業が主導してくれるのではないかと期待してるところはあるのかもしれない。テスラの話をすれば、スーパーチャージャーは全米でのメジャー規格となり、米国内メーカーのみならず欧州メーカーまで正式に採用するに至りました。そういった意味では日本は、こと電動化に関してはリスクをかけて主導的な立場を取ろうというメーカーが現れていません。
中西:僕も、だからと言って性急にEV化を進めるべきと考えているわけではありません。国産メーカーにも「早くEVを出してよ」というような安易な考え方をしているわけではありません。その意味で腹落ちしたことは、現在の短期的な流れ方としては大型トラックにもEVは進められていくでしょう。それはコスト面と、かろうじて300km走れるという点ですね。スウェーデンではそうでしたが街中の清掃車やごみ収集車とかは、ほぼ100%EVです。確かに1日200km以内に収まるならEVで十分です。
____そうですね。
中西:都市部で排ガスを出さないというのはイメージも良い。環境面でも排出ガスを出さない分、税制でも優遇されますからね。ただやっぱり長距離というのは、これからソフト面で物流の改革があったとしても、現実的に1000km単位で走れるトラックがどうしても必要ですよね。その点から、水素というのが次世代のエネルギーとして主流になるのではないかなとは思いますね。
____僕も不勉強なのですが、水素に一番力を入れている国産メーカーってどこなんでしょうか。
中西:日野さんじゃないですかね。日野はふそうと提携した時に、ダイムラーとも水素技術の共同開発でも協力していくはずでした。いすゞはUDトラックスを傘下にすることでボルボグループと協働で開発協力していく、と。水素を燃焼させて電力に変えモーターを回すのが燃料電池車で、単純に水素エンジンとして動かすのが水素自動車。どちらにしても日本において実用化されるのは水素の方が可能性は高そうです。
日野プロフィア Z FCV(燃料電池大型トラック)|紹介動画
____確かにそうですね。
中西:あと今回、FH エアロが日本に入ってこない理由として何十年と変わってない車両法という規制があります。GCW(車両総重量)が36トンまでという規制もそうだし、リジットの単車は25トンまで。海外ではGCWが50トン、60トンは当たり前なんですよ。現に2018年のハノーバーの時にも、航続距離300kmぐらい走るEVをボルボが出していたんですよね。ところがバッテリーそのものとバッテリーのマネージメントの進化というのはこの4、5年であまり変わってない。ヘッドの航続距離を補うために、欧州ではすでにトレーラーの下にもリチウム電池を取り付けてトータル1000km走れるトラックが実用化されています。
____そうなんですね。
中西:ただそのトレーラーを日本で走らせようとすると、20トン積載できるはずが2トンしか積載できなかったりするんです。なぜなら欧州で重量はそれほど問題にならないからです。そういう道路事情がまったく違うので、なおさら欧州は手っ取り早く実用性を考えて、強引にでもEVにシフトできるんですよね。仮に今回、このEVのFHを日本に持ってきたとしても第五輪荷重の重量規定に引っかかるので牽けませんね(笑)。
____やっぱりそうか。重いに決まっていますものね。
中西:ホイールベース内に入っている隙間なく入っているものは全部、バッテリーですからね。
____トラックは電気も食いますね。
中西:トルクをどれだけ使えるかということなんで、やっぱり大食らいなんですよね。
____トルクこそが、電気が一番得意とするところなんですけどね。
中西:そこです。今回、EVトラックを実際に運転してきたのですが、本当にトルクはすごいですね。動画も撮ってきました。後ろは20トンぐらい積んでますよ。モーターの駆動音らしき音は疑似音として出ていますね。直線で90キロぐらい出してみたんですが、本当にあっという間に到達しました。EVの特徴ですね。2トンのEキャンターを購入されたお客さんの話なんですが、やはり「ドライバーが疲れない」と言っているそうです。トルクがあるという話もそうだし、エンジンの振動がない。僕も運転してる時に、それを感じてすごく感動したんですよ。本当に振動がまったくないんですよ。すごく快適だったんですよね。
____そこ重要ですね。振動がないトラックなんて本当に想像つかないんです。
中西:大型トラックで乗るとEVも初めて乗る感覚でした。アクセルを踏むと、ものすごいトルクを感じるんですよ。背中をググッと押してくるのに、まったく振動がないんです。後は距離だけの問題で、ドライバー目線で言ったら航続可能距離が伸びるのであれば「絶対EVが一番いいな」と思いましたね。まぁ、個人的な感想ですけど。
BYD ドルフィン 、航続距離400キロ以上のポテンシャルをもちながら実売300万円(補助金活用)を切る主力EV。
https://byd.co.jp/e-life/cars/dolphin/
____了解しました。ちょっと話をEVの話に戻すと、中西社長自身はEVについて個人的にどんな印象を持ってますか。
中西:EVに対しては前から好印象があるんですが、マンション住まいなので駐車場が立体駐車場なんです。そうなると自宅の給電設備は整えられないですよね。ただそれだけの理由で買ってないだけですね。本当は「乗りたい」と前から思ってます。6年前ぐらいにテスラを買うか迷いました。今回、感化されたわけではないですが、現在の弊社の社用車はプリウスです。それと近場を回るのにスズキの車を持っているんですが、これらを「全部EVにしようかな」と考えています。敷地内に充電ステーションを作って。業務で走ると言ってもせいぜい200キロ以内ですから。
____ご興味のあるEVはもうあるんですか。
中西:いま日産ぐらいしかないんですよね。それかBYDもいいと思っていますね。日本でのイメージはまだまだらしいですが気になりません。
____インターネットには偏見が渦巻いていますからね。中国のBYDにしろ、韓国のヒョンデにしろ、EVは現在の日本には真似できない品質とコスパですからね。
中西:そう思います。いつまでも過去と偏見にとらわれているから、どんどん置いてかれるんですよ。ヨーロッパでもBYDは普通に走っているし、キーアやヒョンデも走っています。見た目もいいですよね。
____ちなみに日本のインターネットでBYDやヒョンデを好意的に書くと、ものすごくバッシングされてしまうようです。バッテリーが燃えるだろうとか(笑)。良いものを良いと認められないのはすごく悪い傾向だと思いますね。
中西:基本的にそうですよ。日本は新しいものを取り入れようとする点に、前向きさが欠けていると思うんです。挑戦しても先に失敗するリスクを過度に心配してしまう。今回は我々のディーラー界の中でも、ミラーレス・カメラについて意見が交わされました。僕は「これ見やすいじゃん。超いいね」としか思わなかったんですよ。これなら夜でも霧でも雨でも視界は保たれる。「ガラコつけ忘れちゃった」なんてことはないんですよ(笑)。そういう心配が一切なくなるんです。
FHのミラーレス・カメラの視認性
____そうですね。
中西:ところが、「このカメラ壊れたらどうするの?」という意見が出るんです。そんなの確率の問題ですよ。壊れたら止まればいいんですよ。どこかにミラーをぶつけました。粉々に割れました。それはどうしてましたか?それと変わりませんよね。どこかでミラーをぶつけてしまう確率と、カメラが壊れる確率を比較すれば、断然カメラが壊れる確率の方が少ないわけです。壊れた時に冷静に対処すれば、何のリスクもないわけです。僕はそう思うんですが、やっぱりそういう発想で導入が見送られちゃいますよね。
____レクサスでも一度ESでミラーレス・カメラを導入しましたけど、やめちゃいましたね。
中西:日本人のそういうところはちょっと根が深いですよね(笑)。
____EVリスクでも一緒ですよね。-30℃になるとEVは始動しなくなるとか、バッテリーの性能が落ちるとか。仮に始動しないケースがあるとしても、-30℃になる場所や状況が日本に一体どれだけあるのかって話なんです。
中西:スウェーデンなんかEVのシェア率が40%ぐらいです。ほぼ半分ですよね。日本の北海道なんかより激寒ですよ。
厳寒のスウェーデンを疾走するボルボのEV、EX30
____そういうしっかり寒さ対策ができている国に、学べばいいだけの話なんですけどね。かつては先進の日本だったはずなのに、「貧すれば鈍する」のが国情かも知れません。
中西:エンジン車でも冷えすぎて、かからない車なんて冬場にいっぱいありますよね。一般の話だけではなくて政府も行政も一緒だと思います。今でこそボルボFHは21年モデルからユーロミラーになりましたけど、それ以前はよくわからない日本仕様のミラーでした。陸運局に確認するとユーロミラーはOKなんですよ。
____たしかに。
中西:運転手さんによっては前方の下の方が見えにくいという声もあるから、そこはオラコのカメラでカバーする。弊社はそれを早い段階からやっていたんですよね。陸運支局も道交法上のOKを出しているんです。ただボルボジャパンは認めない。よくわからないですよね。トヨタの問題と一緒ですよ。
____確かに。より厳しい基準だろうと、国交省の基準にのっとってないんだからダメだよって話ですよね。ともかくもヨシノ自動車としては「どんどんEVシフトしていきたいぞ」という感じなんですね。
中西:商売上も、数年前からレンタカーにEキャンターを検討したんだけれど、あまりにも航続距離が少なすぎて見合わせました。当時で実質7~80キロしか走らないんですよ。川崎から厚木への往復もできません。ちょっと「それはきついかな」と導入を見合わせたんですけど、現在では航続距離150キロとかに上がってきたので、今回という今回は入れるつもりです。
____なるほど。
中西:それには2つ要素があって、1つはニーズとして行政の仕事だったり、国絡みの仕事だったりは「EVにしなさい」と義務づけられている案件が出てきているらしいんですよ。それはお客さんからまた聞きした状態なので、ちゃんと市場調査しないといけないですが、そこを理由にして「ちょっと入れてみたいな」と思っています。もう1つはイメージですね。
eキャンター。ワイドボディのLサイズで最大航続距離は324kmとのこと
____うん。イメージは大きいと思います。アパレル会社から輸送をEVトラックに代えられないか、相談されたことがあります。それも6年前ですからね。それと中西社長だったら合理性ですよね。音は静かで、ランニングコストも経済的です。本体は高いですけどね(笑)。
中西:そうですね。実際に直接的に排ガスを出さないし、運転していても乗りやすい。その辺に関しては良いとこずくめです。それをお客さんに体感していただく。まず頭で考えるより乗ってみることですよ。そういった意味では、レンタカーは試しやすいですよね。「買ってください」はきつくても「1日使ってみてください」とは言えますよね。
____普及ってそういう地道なところですよね。
中西:そうすると世間だったり、周りのEVに対する目だったり、偏見の部分をどんどん払拭できますよね。
____そうなんですよ。自分も仕事でEVを3台連続とか乗っちゃうと、もう自分の旧車に乗りたくなくなるときがあります。好きで乗っているにしろ、排ガスは臭いし、振動がひどいから(笑)。
中西:そこなんですよ。トラックがここまでスムーズになるというのは、想像だにしないことなんですよ。その体験をひとりでも多くのお客さんに体験してみて欲しい。ともかく今はeキャンターを3台導入検討中です。
____なるほど。これだけ乗用車はハイブリッドが売れてるのに、日野のプロフィアHVはイマイチですもんね。冷凍車には最高ですけど。
中西:そうですね。ちなみにeキャンターはショートボディよりはロングボディの方がバッテリーが積めるので、ロングにしたいと思っています。それだと航続距離100km以上走れるらしいんですね。厚木に充電ステーションを作って、レンタカーとしても使えるしデモ車としても使えそうですよね。
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