株式会社ヨシノ自動車

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第99回

株式会社ヨシノ自動車 新事業企画室

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「定額×短期=新常識? ヨシノ自動車が“トラックのサブスク”に挑戦する!」

今月の鍵人訪問記は、ヨシノ自動車の新サービス「トラックのサブスク」に迫ります。車両価格の高騰、人手不足、変わらない運賃――運送業界が直面する三重苦に、新たな選択肢が登場しました。ヨシノ自動車が提供する「トラックのサブスク」は、表向きは定額利用のサブスクリプションを名乗っていますが、実態は柔軟性とコストパフォーマンスに優れた短期リースサービスです。2年後には中古市場で価値が安定する高年式トラックとして買い戻すことで、運送会社にとっては“今を乗り切る”現実的なソリューションになり得ます。運用の工夫次第でコスト削減も可能なこの仕組みは、果たして新しい時代のスタンダードとなるのでしょうか。

編集・青木雄介
WEB・genre inc.

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サブスクとはいうものの

―――今回はヨシノ自動車で始まった新しいサービス「トラックのサブスク」についてお伺いしたいと思います。まず、このサービスを始めたきっかけを中西社長からお願いします。

中西:言葉は「サブスク」(サブスクリプション:定額使い放題サービス)という言葉を使っていますが、ベースはあくまでも短期リースの一環です。商品サービス自体は6~7年前からあるものですね。弊社は主軸が販売なので、リースするより販売する方が営業の評価としても高いし、実績としても認められる風土があります。それによってリース自体が片手間になっていました。そんな中で「短期リース」という言葉が世の中でもだんだんと浸透してきました。他の企業さんも同様のサービスを扱うようになり、時代背景もあって「サブスクリプション」という言葉が社会のトレンドワードになってきました。あらためてトラックを購入からリース利用へと、お客さんのニーズが変わってきたこともあり、再度「短期リース」を手直ししてリリースしよう、というのが今回の狙いです。

―――まず短期リースですが、リース期間中の所有権はリース会社にあって、その間は「自由に使っていい」というものですね。そのトラックはヨシノ自動車が「2年後に買い取ります」と。

松尾:所有権はリース会社なので、運送会社さんは利用権を「2年間持ちます」ということです。形式的には、ヨシノ自動車はいったんリース会社に販売をして、その間は何もしません。「2年後に買い取ります」という約束をします。

―――ということは、ヨシノ自動車の商流としては、まずリース会社にトラックをバンバン売る機会を創るということですね。

松尾:弊社から見ると利益は出ませんが、貸し出すことによって2年後の買い取り権が発生します。運送会社から見れば、所有権を担保されながら安く借りられるということになります。

―――なるほど。では実例で、その金額感を教えてください。

松尾:誰でも販売しやすいようにワンプライスで用意しています。購入前に「メッキが」とか「仕様が」とか、納車にあたっての独自の架装がありますよね。それをやると金額が100万円単位で変わってしまうので、ワンプライスで用意することができなくなってしまうんです。ですから、新車で基本的な仕様の車に対して、2年間の貸し出しリスクもあわせた、例えば大型ウイングなら30万円とワンプライスにしています。それに対して走行距離も想定して計算に入れています。

―――確かに車種によって、おおよその距離は予想できますよね。

松尾:そうです。だいたい2年であれば、距離が想像以上に伸びなければ中古トラックの値段というのはあまり変動がないんです。そういう意味では2年というのが一番、トラックの品質として安定しているかなと思うんですよね。ここはヨシノ自動車の事情ですけれども。

ひんぱんに入れ替えるのは得策ではない!?

―――サブスクリプションと言うと、例えばNetflixやSpotifyのように定額を支払って使い放題、聴き放題というイメージですが、この場合のサブスクは使う車種によって価格の変動はあるものの、自由に入れ替え可能ということですね。お客さんに混乱はありませんか?

松尾:このプロジェクトはローンチしてからしばらく経つのですが、意外にお客様たちに「サブスク」という言葉が浸透していないことに気づきました。その概念がよく伝わっていなくて、現状は単純に「2年の短期リース」ということになっています。

―――業界がサブスクリプションという概念になじみがなかったんですね。

松尾:「大型から小型に変えることができます」という話をしたら、大型ウイングの月額30万円が増トンにそのまま適用されたら「高いじゃないか」という話になります。最初の仕切り値が30万円なので、サブスクリプションを利用する場合、まず大型を借りるしかないんです。そういう意味でいうと、30万円でサブスクリプションになり得るかなというイメージだったりします(笑)。このサービスは価格帯の高い大型トラックが主力のラインナップなので。

―――確かにそうですよね。このサービスの基本的な考え方は、定額のサービスで使用料金は変わってしまうけれど、「トラックの自由な入れ替えは可能ですよ」というサービスですよね。

松尾:まあ、そうなんです。ですが、ひんぱんに入れ替えてしまうと、車両がすぐに用意できない可能性もあって、使い勝手が悪くなります。運送会社にとっても入れ替えの手間が増えてしまうんです。新車で2年間だとしたら、それでも「使っていただけるのではないか」という目算はあります。コスト本体以外はかからないようなサービスなので。

―――そして月額のリース料以外の、車検や保険なんかの金額はまた別ということになっていますね。

松尾:そうですね。そういう意味では、シンプルに「車体本体だけを貸します」ということになりますね。

―――この場合、例えばリースした期間が1ヶ月や2ヶ月というような短期間の場合、1ヶ月分、2ヶ月分の車検費用や保険料を支払わなければいけなくなるのでしょうか。

松尾:リース会社に対しては販売という形なので、必ず2年間は使ってもらうような形になります。我々としては入れ替えていただいて構わないんですが、入れ替える前のトラックのリース料金が残ってしまいます。入れ替え対象になるのは、ほかの所有車両にしてもらえた方がよいと考えています。

―――実際のところ、このサービスの中でひんぱんにトラックを入れ替えてしまうと損になるということでしょうか。

松尾:はい。入れ替えは2年後にしていただく想定です。2年後に所有権を持つかどうか選択できることで、入れ替える新規車両のスムーズな準備もできますし、リース車両を買って古い車両と入れ替えることもできます。

通常の新車より安く購入できるカラクリとは

―――もともとこの短期リースを使われるお客さんというのは、どういうお客さんで、どういった車の種類を利用されているのでしょうか。

松尾:基本的に汎用性の高いトラックで、何か問題が起きた時に即対応ができることがメリットです。1台1台架装して「これ以外には使えない」という仕様のトラックに関しては、このサービスの対象外になっています。そういう意味ではアームロールだったり、ダンプだったり、冷凍車だったり、箱の仕様がある程度は決まっているものに適しています。積載量に対して、めいっぱい荷物を積み込みたいというようなトラックです。

―――なるほど。ほぼほぼボディメーカーの完成車に近い、一般的な仕様のトラックに限られるんですね。

松尾:正直なところ、実際にお客さんと話してみて何がメリットと思ってもらえるかが分かりました。入れ替え可能なサブスクではなくて、金利の点なんですよ。いちおう販売しますよね。仕入れ値で販売されます。ヨシノ自動車として利益はありません。そうすると総額から、弊社の取り分が減るため値段が安くなっているんです。通常の新車を買うより安く買えるため、2年間の金利も安くなります。月々にすると何千円の世界かもしれませんが、このサービスを使う10~30台ある会社からすると月当たりの3,000円が10台で3万円になって、増えれば6万円、9万円支払いが安くなるわけです。年間計算すると、40万円になり、80万円になるという計算になります。まずそのメリットを考えていただけるお客様にとって良いサービスなんですね。

―――なるほど。

松尾:もともとは「安いでしょう」で売り出したかったのですが、それでは買っていただけなかった。買いたいと思っているお客さんの触手が動くのは、「破格に安い」という値付けのところなんですよ。逆に「トラックを運用したい」と考えているお客さんたちはそこに反応していなくて、コストが全体的に安くなったり、金利をどれだけ削減できて他に運用ができるかとか、その運用をいかに安全に行うかという点です。このサービスを30~40台規模で考えていただけるお客さんには合っていると思います。その意味ではこれまでヨシノ自動車がやってきた営業トークとはまったく違うトークになります。つまり自社のトラックを「どう運用できるか」という説明をしなければいけない。その意味では弊社としてまだ攻め方が決まっていないんですよね。

リース途中なのにリースバックで現金化!?

―――では中西社長は、このサービスでどうやって攻めたいと考えていますか。

中西:うーん。攻め筋は模索中ですね。従来の、所有トラックの台数を増やすことによって売り上げを求める運送会社なら「2年間だけ使いたい」というケースはちょっと考えにくいんですよね。

松尾:例えばファンドサービスを扱っているような会社の紹介で、このサービスの営業に行ったりもします。「3年ぐらいのトラックの支払いを伸ばしましょう」とか、「ファイナンシャルリース(資産を購入するのに近いリース契約)で組んでいたものを、オペレーティングリース(資産を一時的に使用するためのレンタルに近いリース契約)に変えましょう」と提案します。オペレーティングリースになると金利がかかりません。ファイナンシャルリースで購入したトラックをオペレーションリースに変えて支払いを1年延ばすと、金利がかからずグッと値段が下がるカラクリがあります。途中で現金も出せるし、「サービスとしてはいいな」と考えています。

―――購入したトラックをリースバックすることで現金化できるということですね。

松尾:はい。そういうサービスと合わせて使うと面白いと思うんですよ。例えば弊社の短期リースを2年から3年にします。新車で買えて、新車の金利分も3年になるので安くなります。その後、我々はファンドにこのトラックを売ります。そうなると、もっと安くなるのですが、支払いは8年ぐらいまで伸ばすことが出来ます。伸ばすことで金利は8年分になるのでぐっとお安くなります。大きくトラックを使っている会社だと、「それいいね。じゃあ、うちは全部変える」となる気がするんですよね。それぐらい、ファンドのトラックを運用するというのはお客様の反応がいいんです。そこが営業に行って感じられるところなんですね。

―――ファンドのトラックというのは、所有者がリース会社と一緒でファンドになるということですよね。そのトラックを各運送会社さんが購入しているかのように、自社のトラックとして運用するということですよね。

松尾:そうです。所有はともかく、支払い総額での違いや、いらないトラックを売る時の現金化でメリットがあったり、長期で買ってゆっくり運用した方が安いのではないかと思うんですよね。実際に「安い」とデータでも出ているんですよ。だからこそ、このサービスを売るために営業をかけなければいけないと思っています。

ヨシノ自動車は安定して超高年式車両を在庫にしたい

―――いったん整理したいのですが、ヨシノ自動車のメリットとしては、まず在庫のトラックをリース会社に販売できますね。そして、ある期間が来た時にトラックを買い戻せます。

中西:通常はそういうことです。世の中は5年リースがほとんどですが、中古市場に出てくる最初の高年式というのは、だいたい5年落ちが相場です。短期リースはそれから2~3年という超高年式を、安定的に創出できる仕組みなんです。そこにヨシノ自動車のメリットはあります。

―――実際のところ、実例として2~3年落ちという超高年式トラックが、ヨシノ自動車のトラックプールにあったりはしますか?

中西:個人の方ですが、ボルボを3年で入れ替えているお客さんはいます。国産の4Tクラスの冷凍車を4年で替えたり、1年だけ前倒しにする形で引き取りにするとお互いにリスクがなかったりするんです。弊社としても残債よりも市場価値の方が高い形で引き取りたいし、国産とはいえ3~4年目で消耗品の修理交換なんかのトラブルが出てきます。そういうデータもあるので、そうなる前に「代替えしましょう」とインフォメーションしたい。弊社は本業が中古車販売で、特に高年式には強いので、「それなりの市場価値がある」という査定をすることによって、差額として先方にも現金が入ることになります。ですから、前向きに受け入れていただいている会社さんが何社かありますね。

―――なるほど。市場価値が読みやすいんですね。ちなみにこのサブスクというか短期リースは、もう実績があるんでしょうか。

松尾:明日、3年リースで川崎ブレイブサンダースさんにトラックを購入してもらうことになっています。

―――それはいいですね!

中西:最初は運送事業者さんというよりは、トラックを必要とする本業じゃないお客さんの方が良いのかもしれません。トラックはよく分からないので「お任せします」と言っていただけるようなところですね。諸費用だったり、メンテナンスだったり、トラックを購入するというのはなかなかハードルの高いことです。通常のファイナンスリースというのは車両リースに過ぎないので、オイル交換や車検も全部自分でやらなければいけないですから。

トラックは「よく分からない」お客さんや、車体価格の高騰で買えないお客さんへ

―――確かにそうですね。

中西:どちらかというと、最近は全部コミコミのイメージが強いですけど、サブスクという言葉を使うのであればインクルーシブの方が分かりやすい。トヨタのKiNTOなどもそうですよね。車を入れ替えたら入れ替えたで、プランの変動によってお金は変わります。スポーツカーとファミリーカーでは金額が変わるんですよね。あのサービスの良いところは、全てコミコミなんですよ。自動車税や車検費用も。そこまですべて定額のコミコミに出来るなら、川崎ブレイブサンダースさんのような、本業ではないけどトラックを使いたい事業者さんには受け入れられるかもしれませんね。

―――本業ではないけど「トラックが1、2台必要なんだよね」というような会社だと、メンテナンスフリーで、コミコミで使えるKiNTOのようなサービスは合っているかもしれませんね。ちょっと話は違うんですけど、川崎フロンターレの機材用のトラックやワゴンなんかはトヨタ(ウエインズ トヨタ神奈川)が協力しているのですが、目立つのでかなり広告効果が高いという話を聞いたことがあります。なんせ、もう20年ぐらい前から提供しているので。

松尾:我々も今回、トラックにはラッピングする予定でいます。

―――良いですね。ちなみに他社のリースプランとの違いを教えてください。

松尾:他社さんのサービスと違うところは、我々が利益を出すのは2年後と明確にしている点です。コストを抑えて販売するから「安く手に入れられる」という点は、ぜひご理解いただきたいんですよね。また、販売する時点で2年後の買い取り金額を出しているので、買い取りたかったらその値段で買い取ることもできます。

―――例えば現在だと、トラックの価格が高騰しすぎていて「買えない」というお客さんもいますよね。そういうお客さんに、このリースはいいかもしれないですよね。

松尾:まさに弊社としてもその点に力を入れているところで、車両価格は上がっています。人件費も上がっています。でも、運賃だけは変わらないという現状があります。リースを使うことによって、「とりあえず使いながら2年の間に運賃が上がるのを待ちませんか」という提案をしています。

中西:それは現在、トレンドの営業手法なんですよ。世の中のすべての価格が上がってインフレになっている中で、運賃を上げられると言っても20%程度です。現在の車体の高騰している相場を考えたら、運賃が倍ぐらいにならないと割に合わないんですよ。

―――加えて燃料費が高騰しています。話は違いますが、「これで運送業をやっていけ」というのはかなり酷ですよね。

松尾:そうですよね。そういうインフレ状況を鑑みつつ、我々が運送会社さんに提供できるサービスは何かということです。中古トラック屋のノウハウとして、2年後に流通させるためのつなぎとなる期間で安く使える方法なんです。我々はこの方法を提供できていて、理にもかなっています。

高騰する2025年のボルボ事情、その月額は?

―――確かに。これ自体でヨシノ自動車は利益が出なくても、後々中古トラックとして超高年式が手に入るから大丈夫ということですよね。車体価格が高額で悩むといえば、目下高騰中なのはボルボですが、ボルボにもこれは適用できないのでしょうか。

中西:実質3年というプランでやっていたことはありますよ。23年モデル以降はちょっと高すぎるのですが、21年モデルであれば、月額のリース費用が20万円を切った価格で展開していました。キャンペーンですが。

―――それは安いですね。

中西:もちろん弊社はまったく利益が出ないんです。その代わり、3年後の市場価値を見すえて、弊社が中古車として扱えれば大丈夫という感覚ですね。ですから、このトラックのサブスクプランと一緒です。これはボルボを入れたくても入れられないお客様向けに、「まずは乗ってもらいたい」という意図をもったキャンペーンでした。実は今回の24年、25年モデルに関しても数件は同様の提案をしているのですが、皆さん「通常のリースで買う」と言うんですね。もちろん弊社としては有難いんですけれど。

―――ただ最近はこういった短期リースがトレンドになりつつある、ということですよね。買取金額を決めておいて、その間はガンガン使うという。

中西:僕も一緒にプレゼンに行く時が年に数件あります。会話の入り口はこれで行って興味持ってもらうのですが、ほとんどは通常のリース販売に落ち着きますね。我々が取引をしている運送会社さんはいわばトラックのプロなので、サービス内容の良し悪しもよく分かっています。我々としては、これまでボルボを拒否してきたお客様にもお試ししてもらって、ハードルを下げたい。トラックの品質は良くなっているので、導入の提案をしたいんです。

―――ヨシノ自動車としても大変ですよね。もっと市場を拡げて使ってもらいたい時に、値段が上がってきちゃっているわけですから。

中西:そうですね。21年モデルだと月額リースが18万円という驚きの低価格もあったのですが、25年モデルだと20万円台後半ぐらいになってきています。ただ片方で、弊社と取引実績のあるお客さんなら30万円を超えなければ受け入れてもらえるだろうという見込みもあります。

ボルボブルーは「かなり優秀」という件

―――なるほど。

中西:それも踏まえて、現状はボルボブルーをつけた3年間で31~2万円ぐらいで収まるという設定にしています。弊社の内情からいっても、どう見てもお客さんに対してメリットがあるな、というくらいの内容になっているとは思いますね。メーカー保証をつけて、ボルボブルーもついてるわけですから。ボルボブルーはメンテナンスパックですが、他のプランと違うのは、1回ごとに都度都度やっていくと高額になりがちな整備費用を、最初から3年とか5年でパッケージにすることによって、レバレート単価を一気に落とせるんです。その意味でスーパーお得なんですよ(笑)。ディーラーさんとしては、台数があっても単価が取れないから、あまり入庫されると困ってしまうという欠点はあるものの、その分はお客さんのメリットに還元されます。

―――いまいちどボルボブルーの優秀さを見直すべきなんですね。

中西:はい。最近では国産も当たり前のようにメンテパックに入っているのですが、ボルボブルーは国産のパッケージに比べても安いんです。例えば同じグループのクオンの3年間のメンテパックと比べてみても、なぜかボルボのメンテパックであるボルボブルーの方が安いんですよ。

松尾:今のところ通常のメンテナンスパックは決して高くないので、月々の支払を考えると「借りるのではなく、それなら買うわ」というケースが多いですね。それが導入台数のもっと大きいお客さん、さらに100台単位とかになってくると、下取り費用や金利といった資産価値を1台1台管理して考えていくのが面倒になってくるんです。それよりも一括して安定して運用できる方が正しいよね、という方向に行くみたいです。そうなった時に短期リースは俎上にあがってくるのではないですかね。

―――なぜなら、やっぱり金利がお得だからという考え方ですよね。

松尾:そうです。台数が増えればまったく金額が変わってくるからです。そして何台もトラックを持っている会社さんだと、入れ替わりが激しいですよね。架装で納期がかかるケースであれば、「新車待ちの2年間でこれをやりませんか」という提案もできます。いつもの運用の中のひとつとしてプランを組み入れておけます。

ホントのところ、どれだけファンドを理解しているだろう?

―――なるほど。金利だったりトラックの運用だったり、最近流行のトラックファンド的なニュアンスが非常に強くなっていますね。実情としてどの程度、トラックファンドというのはトラック業界に浸透してきているのでしょうか。

中西:どうでしょうね……。よくCMでもお馴じみのファンドさんだと、今季の売り上げ800億とか1000億というレベルで話をしていますね。この4~5年での倍々ゲームで売上高が増えているんですよ。その上がり方は凄まじいですね。

松尾:現在、彼らの投資対象は新車ではなくてリースバックがメインになっているので、既存の営業車がどんどん食われているイメージでしょうか。

中西:対象車種を買い上げてくれるリースバックは現金が入りますね。特に経営自体がギリギリのお客さんには魅力的です。本業の運賃を上げきれないとか、ドライバーさんが集まらないとか、足元の課題をリースバックしたお金で対策するべきで、そのための手段と認識すべきです。しっかり対策されていれば、返済していくだけなので問題ないのですが、実情としては延命のための輸血みたいなものになりかねない。つまり、命取りにもなりかねませんね。

―――リースバックした後のランニングコストはどんな感じなんでしょうか。

中西:車体を売ってからのレンタル料は安いですよ。安いから誰もが飛びついちゃうんです。

松尾:それで手元に現金が入りますよね。切羽詰まった経営環境にとっては、すごいことですよ。

中西:まぁ、リースバックはもともとどこのリース会社もやっているものです。弊社としてもそのトラックの査定評価を担当したりもしました。ファンドの問題は、我々からするとありえない査定金額の高さなんですよ。たとえば弊社で800万円とつけた常識的な査定を、彼らなら平気で1000万円と査定してきます。その金額で買い取ったとしても、どこにも転売できないような高価格です。

松尾:そこにはファンドというカラクリが存在しています。弊社は運送会社さんとともに生きてきたので、同じことをするわけにはいかないんですよ。とはいえ世の中のシステムとして、車両運用コストを安くできる仕組みが存在しているのは間違いない。トラックを売っている我々が、その仕組みに目くじらを立てても仕方がないわけです。むしろ、その世の中の動きに我々もついていかなければいけないわけです。そういった経緯から生まれているサービスではありますよね。

―――なるほど。その意識はヨシノ自動車らしいと思います。

松尾:お客様自身の意識を変えるために、トラックの使い方をコンサルティングしなければいけない時代になってきていると思っています。その中で我々のメリットを考えると、サービスでは利益を出さずに、超高年式の中古トラックを仕入れることにフォーカスする。そういうイメージをあわせもったサービスと言えると思います。

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