株式会社ヨシノ自動車

トラック業界"鍵人"訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第114回

ヨシノ自動車・営業座談会

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「新型ボルボFH「CMS」という転換点をどう売るか」

── ミラーレスがひらく、新規開拓の現在地

新型ボルボFHが、CMS(カメラ・モニター・システム=ミラーレス)という大きな技術的転換点を迎えました。価格は、決して安くありません。だからこそ「誰に、どう売るか」が問われます。試乗会を終えたばかりのヨシノ自動車の営業陣が一堂に会し、率直に語り合いました。ミラーレスへの不安をどう解くか。競合とどう戦うか。ボルボのイメージはこの5年、10年でどう変わったのか──。営業の最前線から見える、いまのボルボ像が、ここにあります。

編集・青木雄介
WEB・genre inc.

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── 出席者 ──

中西代表(社長) 量子力学やメタバース等、宇宙に関する本を読むことにハマってます。これを読んでると大抵の悩みと課題はどうでもよくなります笑

森川最近はどこに行っても太ったね、と言われて身体のことを気にかけてくれる方が多くなってるので気をつけようと思ってます😅

金野地道に営業活動実施中。ハマっている事は何もハマっていない事にハマっています。

春日営業(入社5年目) 先月レクサスRXを購入しましたが、販売店への輸送中に貨物船が座礁事故を起こし、納車が1ヶ月半程度遅れました。今は納車されてドライブを楽しんでます!

上田営業/元メカニック(2018年入社、今春より営業へ) 今期ボルボ販売5台を目標にしています。ハマっている事はカブトムシ、クワガタの飼育(オオクワガタを幼虫から成虫に育成しました)。

ミラーレス ──使ってみると120点!

―――新型FHの販売会議ということで、中西社長から「新型FHは、正直なところ高い」という話がありました。高いのなら、どういうお客さまに、どう売っていくのか。そこを考える必要がある。今回はCMSというかなり大きな技術が入ってきたので、この機能を、どんなお客さまに、どんなケースで売りたいのか。まずは試乗会の評判から伺えればと思います。

春日:私のところは、新規のお客さまにご来場いただいて、実際に乗っていただきました。やはりミラーレスは初めての方が多いので、「どう見えるのか」「ミラーがない分、不安だ」という声はかなりありました。ただ、このCMSはトレーラーの最後尾までしっかり追ってくれるので、その点は「すごく乗りやすいね」と。不安は大きかったけれど、「これなら全然大丈夫そうだ」という感触でした。

―――なるほど。金野さんはいかがでした。

金野:私も新規のお客さまに来ていただきました。春日と同じで、乗る前は「不安・恐怖・無理」の三恐でしたね。それが、乗ってもらったら「もう、めちゃくちゃ良かった」と。特に左バックのような場面は本当に怖いものですが、直進時はカメラが自動で追従し、バック時は手動に切り替わる。この「バックは手動」というのが絶妙で、トレーラーの運転手さんが見たい位置にすぐ合わせられる。そこを自動にされると、かえってやりにくいんですね。

©ヨシノ自動車

©ヨシノ自動車

―――見たいポイントが、人それぞれ違うのでしょうね。

金野:そうなんです。そこがちゃんと手動で切り替えられる。「なるほどな」と。もう120点だと言っていました。

―――120点ですか(笑)。

金野:さすがに「100点くらいにしておいた方が」と、こちらが言ったくらいで(笑)。

―――それだと、もう買う前提になってしまいますからね(笑)。

金野:そう思うほど、想像以上の評価でした。正直、私自身も乗る前は不安だったんですよ。皆さん一様に「どうなの、無理でしょう」と身構える。それが、乗った瞬間に変わる。

―――ちなみに、以前も似た社外品オプションがありましたよね。5年ほど前に付けていた。あれの評判は、どうだったのでしょう。

中西:あれは、本格的に付けていたわけでもなく、ちょうどコロナ禍の直前・最中で、多くの方に見ていただく機会がなかったんです。展示物としては出していましたが、あくまで止まった状態でのお披露目。しかも当時はミラーを残したうえでのCMS、あくまでも追加でした。

―――「ミラーで見えない部分を、こちらでも補いましょう」くらいの位置づけだったと。

中西:そうです。今回は完全にミラーを外した、本当のミラーレスです。その意味では、初めてカメラが主役に躍り出たわけです。

乗って体験すれば分かる、「国産」との違い

―――まさに。森川さんのお客さまは、どうでした。

森川:私は既存と新規、両方のお客さまに来ていただきました。既存の方は「従来のドアミラーに比べて、首を振る動作がかなり減った」と。以前は左を見るのに首を動かさないと見えなかったのが、目線だけで追える。「かなり乗りやすい」という評価でした。新規の方は、カメラと聞くと国産のバックカメラをイメージされるんですね。でもボルボのカメラは国産より画質が格段にいい。モニターに映したときの見え方がまるで違う。「こんなにはっきり見えるのか」と。

―――なるほど。皆さん、後付けのバックカメラの印象で来られるのですね。

森川:ボルボにお乗りの方は、もともとサイドや後方のカメラ性能の良さをご存じです。ただ、国産の一般的なバックカメラの印象のまま来られると、「見え方が全然違う」と驚かれます。

―――かなり好評だったんですね。では、その場で受注につながった方 ── 挙手をお願いできますか(笑)。

森川:(手を上げる)……嘘です(笑)。

―――嘘はつかなくていいです(笑)。

春日:私のお客さまは、決算の兼ね合いもあってすぐにとはいきませんが、「決算のタイミングで1台入れる」というお話はいただいています。これは本当です(笑)。

―――そちらは、既存のお客さまですか。

春日:新規のお客さまです。ちょうど弊社の営業がテレアポで、新規のお客さまに電話をかけ、ボルボや国産も含めてヨシノ自動車の話をさせていただく機会が増えていて、そこでアポを取ったお客さまです。ちょうど「ボルボを入れようか」と考えていたところだったそうです。

―――おお。引きが強いですね。

春日:上役の方がかなり乗り気で、その方にも試乗いただいて、さらに前向きになっていただきました。

―――素晴らしいですね。営業に配属されたばかりの上田さんは、この新型をどう見ていますか。

上田:やはりミラーですね。私はもともとメカニックで、ミラーのある車しか触ってきていないので、ミラーレスへの不安は正直あります。お客さまも「映らなくなったらどうする」「壊れたらどうする」と気にされる。ただ、展示車に乗せてもらい、夜間モードも体験しましたが、かなり見やすく、安全だと感じました。きちんと説明さえできれば、ミラーレスへの不安は払拭できる。そう思います。

どの業種に売るか ── とりわけ「重トレ」な理由

―――具体的に「この業種に売りたい」というのはありますか。

上田:業種は問いません。トレーラーを使うお客さまなら、すべて対象になります。

―――どこでも狙える、と。

春日:業種というより、リジット(単車)よりトレーラーの方がCMSの性能をより引き出せる、体感できるんです。

―――確かにそうですね。私は、重トレ(重機輸送用トレーラー)のお客さまに最高だと思いました。特に幅広を牽くお客さん。彼らは普段からものすごく神経を使ってミラーを見ています。しかも夜間に走ることが多い。そのとき、夜間の見えにくさは致命的で、現場ではライトで作業員が照らしながらバックさせていたりします。CMSのナイトビューは、重トレの幅広にこそ効くはずだと感じました。他にはどうでしょう?

金野:余談ですが、新型はカーテンを閉めても、左ミラーが見えるようにカーテン自体がカットされているんです。就寝時に外が見える。女性ドライバーが増えていくなかで、これは安心材料になります。

―――おお、そんなことが。夜間の監視にもなると。

金野:女性ドライバーは、外で不審者に遭遇することもあると聞きます。その監視モード的な使い方も、女性には心強い。

「高い」をどう売るか ── 燃費で価格差を埋める

―――確かにそうですね。もちろん男性でも、就寝中に普通に「誰かにいたずらされていないか」と気になる場面はありますから、防犯上いいですね。さて良いところずくめのCMSですが正直に言えば、これは相当に高い。「高いけれど良い」を、ここからどう販売につなげるか。皆さんの考える販売方法を聞かせてください。

森川:ボルボには、もともと特別感がありました。CMSが付くことで「国産にはない装備」という売り込みができます。いずれ国産も出してくるでしょうが、先陣を切っているので「ボルボは最先端」と言える。加えて燃費です。国産も良くはなりましたが、ボルボはずっと燃費のいい車を作り続けてきました。「見た目だけでなく中身も、日本車より一つ上」と、中身の話までできます。

―――そもそも違いが出せる、と。春日さんは、売り方の面ではどうですか。

春日:この5月に、初めてボルボを1台納めたお客さまがいます。それまで国産の日野やUDを入れてきたお客さまで、価格差がある分、社内を納得させる材料として「燃費を前面に出したい」とおっしゃっていました。資料をお渡しして、社内で採用が進むよう後押ししました。実際、5月に納めた車が2〜3か月経ちますが、26トンのトレーラーを積んでリッターあたり3.4キロ前後、空車なら3.7〜3.8キロは普通に走るとのことでした。

―――空車と積載で、そんなに変わらないんですね。

春日:国産だと、そのお客さまの使用法で2キロ行くか行かないかとのこと。そのお客さまは大分のお客さまですが、山道も走ります。それでも年間で燃料費が200万円ほど安くなる。5年で1,000万円です。

―――燃費で価格差を償却できる、という訳ですね。

春日:「それなら5年ごとにボルボへ入れ替えよう」という話までいただきました。25年モデルを2台、26年モデルも2台オーダーいただいて、「ヘッドは全部ボルボにする」とおっしゃっています。

―――すごいですね。燃費とのセットで価格差を埋める、という戦略ですね。

中西:それが、昔からのいちばんスタンダードな営業手法ではありますね。

フルノーマル指向と、中堅・大手へのシフト

―――「フルノーマルで買うお客さまが増えるのでは」という話もありました。その辺りはどうでしょう。

中西:増えるというより、そういうお客さまをターゲットにしていくのが本筋、という言い方が正しいかもしれません。20数年前は、正直まだ品質が今ほどではなく、そのなかでボルボを選ぶのは「トラックが好き」「かっこいい」「目立つ」といったビジュアル的な動機の方が中心でした。当時は価格差も、今ほどではなかった。そこにうちが2018年から本格的にFE(カスタム)を始めて、カスタム好きのお客さまに口コミやイベントで広がっていきました。

―――まずカスタムありきでしたね。

中西:ディーラーとして新しいマーケットを広げるのは当たり前のことです。いまはドライバー不足・人手不足が深刻で、CMSのような機能は、まさにドライバーファースト。運転中の緊張が緩和され、居住性・燃費を含め、快適性は外車が断トツです。これまで接点の少なかった中堅・大手に入り込むことは、彼らにとっても「ドライバーの確保」という、車両価格以上の付加価値になる。そういう狙いでやっています。

―――それが、実を結びつつある、と。

中西:ええ。ただ、自力でアポを取れるに越したことはありませんが、そこには縁もありました。1年前に強力な人材が中途で入ってきて、彼は前職で6〜7年、テレアポをしっかりやってきた人間なんです。

―――テレアポを、ですか。

中西:ガチャ切りされても、まったく応じないというか、動じない。普通なら3、4件断られただけで「嫌だな」と思うところを、彼は違う。この1年で、数千件もの電話をかけ、年間140〜150件近い、ちゃんとしたアポを取っている。それを受けて、他の営業が説明に行きます。

―――その時点で角度の高いアポになっている、と。

中西:ヨシノ自動車、中古車、国産、ボルボ ── 何かしらに興味があってのアポですから、営業も行きやすい。最初から、ネタがわかっていますから。

2021年モデル以降でボルボのイメージは、どう変わったか

―――素晴らしいですね。さて、皆さんに聞きたいのですが、ボルボのイメージは、どう変わってきましたか。この5年、10年での印象の変化を教えてください。

森川:かなり変わりました。以前はトラブルもあって、良い評価も悪い評価もあり、「2台目、3台目をどうするか」と悩まれることもあった。ドライバーさんの「よく壊れる」という声が会社に伝わることもあった。それがいまは、1台入れると社内で「ボルボは良い」という話になる。以前は「別にいいよ」と言っていた人が、次の代替では「ボルボに乗りたい」と手を挙げる。

―――なるほど。

森川:1台入れると、次の代替で日野だった人がボルボになったり。国産で架装をしている会社でも、本来ならデコトラ系に行くところを、「会社としてはボルボを入れる。あとは自分で好きにやっていい」となると、デコトラからユーロ系になったり。社内でドライバーが良い評価をしてくれるんです。

―――ドライバーから「ボルボに乗りたい」と、手が挙がるんですね。

森川:「次の代替、ドライバーがボルボに乗りたいと言ってるんだけど、ある?」「ありますよ」で、ポンと決まる。

―――それは、いい話ですね。

森川:「買ってください」ではなく、向こうから「ある?いつ納車できる?」と訊いてもらえるんです。

―――1台入ると、芋づる式に良さが広がっていく。

森川:はい。入れたお客さまで「ボルボは二度と買わない」という方は、最近はいないですね。むしろ増える方です。そしてドライバーが「ボルボに乗ったら国産には戻りたくない」と口を揃える。だから、営業もしやすい車になりました。

―――ドライバー不足の時代ですから、ドライバーが乗りたいと言えば入れざるを得ない。金野さんはどうですか。

金野:そうですね……私も入社してまだ2、3年ですから。

―――嘘をつきなさい(笑)。

金野:年齢がバレますね。23歳で入っていますから(笑)。入社した頃は、コアなお客さまで「ボルボが欲しい」という方が中心でした。アフター拠点も全国に50ほどしかなく、それでも入れてくださる。出来上がりも今ほどではなく、印象は厳しかったんです。それがいまは、180度変わりました。テレアポにしても、昔は飛び込みで「ボルボどうですか」とやっても一蹴された。「ボルボは無理だよ」と。「ボルボの“ボ”が付いただけで身の毛がよだつ」なんて言われたこともあります(笑)。

―――なるほど……。

金野:それくらい、「壊れる」というイメージが広がっていた。特に横浜は増やしたかったのに評判が良くなくて、かなり蹴散らされて、私もしょげました。でもいまはアポも取れる。「ボルボの今の状況を聞きたい」という声が、取れるようになりました。

―――ボルボ営業の草木も生えないツンドラ地帯、横浜・本牧エリアも、変わってきたということですね。

金野:テレアポの範囲は横浜地区もターゲットにしていますが、アポが取れる。以前はそれすらなかった。「無理無理」というイメージが、だいぶ変わってきたと感じます。入社当時と比べても、がらりと変わりました。

―――面白いなぁ。春日さんは、どうです。

春日:私も、入社2、3年目じゃないですか(笑)。

―――え(本気)。ずいぶんルーキーですね(笑)。

春日:冗談です、実際は5年目です(笑)。評判の悪い時代は知りませんが、入った頃は横浜・本牧、大黒あたりで飛び込みをして「ボルボどうですか」と。すると「高い」「壊れる」「部品が来ない」と、いろいろ言われました。

意外なセールスポイント――ボルボなら納期も早い

―――ああああ、20年前くらいの情報のまま、アップデートされていないと。

春日:固いんです、そのイメージは。ただ私が入った頃が21年モデルからで、そこから23、24、25、26と、私は車好きなので「デザインが少し変わる程度かな」と思っていたら、ボルボは26年モデルでCMSになるなど、年毎のアップデートの幅がすごい。それも年を追うごとに良くなっている。看板車として本牧方面のお客さまに1台納めた際も、トラブルがほとんどなく「ボルボいいね」と周りの評判も良く、会社の宣伝にもなったようです。11月に納車したのが5月にはプラス2台、増車・代替でいただき、「次も」という話までいただきました。昔とは違って、ボルボの評判はだいぶ良くなっていると感じます。

―――上田さんは、こうした話を聞いていてどうですか。もともとはエンジニアとして入社されたんですよね。

上田:はい、2018年に入社して、7年半ほどメカニックをやって、4月から営業になりました。すでにボルボを1台、売らせていただいています。

―――もう、ですか。すごい。

上田:ボルボのトラックに触れられるというのが、乗用車より魅力だったんです。入社した頃は「高いのに壊れる」と言われる時代で、私はドライバーさんとよく喋る方だったので、「高いくせに壊れやがって」とよく言われました。メカニックですから「すみません、そうですよね、壊れますよね」と(笑)。それが、顔つきの変わった21年モデルから、本当に故障が減りました。24時間サービスの夜間対応にもよく行っていましたが、21年モデル以降の車を対応したのは、本当に1台くらいしかないんです。

―――21年モデルというと、何が変わったんでしたっけ。

中西:ライトが、いまのライトになったタイミングです。

―――ああ、分かりやすい。この顔になってから、違うんですね。古参のファンから言わせると、「十分良かったのに、まだ良くなるのか」と(笑)。

上田:先日も静岡のお客さまに納車しましたが、周りの評判がかなりいい。森川さんのお客さまと仲が良いそうで、ボルボを入れている方から「ボルボいいよ」と勧められて。トレーラーは初めての会社で、ずっと日野の単車を入れていたのが、ボルボ一択で決めてくださった。ボルボだと納期も早い。日野だと1年ほどかかるところ、私は1か月ほどで納車できました。そこも魅力だと。

競合はどこか ── 日野、ふそう、UD、スカニア

―――日野プロフィアは、いま現行の9リッターだけでしたか。

中西:13リッターも復活していて、いまオーダーは受け付けています。販売も納車もされています。

―――その辺りのライバルの話も伺いたいですね。価格差の話でもいいですし、スカニアも避けては通れない。「やっぱりスカニアにする」という声もあれば、「E13C(13リッター)も出たし、まだ国産かな」というお客さまも一方でいるはずですね。皆さんの肌感覚は、どうです。

森川:いろいろな車種を使っている会社は「日野は壊れないよね」と言います。ただ「燃費はダントツで悪い」とも。そこで「ボルボは燃費がいい」と売り込んできたのですが、最近はふそうの新型が、けっこう燃費がいいんです。

―――あの排気量アップしたダイムラーの新型エンジンですね。

森川:ミッションもかなり良くなって、ボルボに近いシフトのタイミングで、乗り心地がいいという声も出てる。どちらかというと、日野よりふそうがライバルになりつつあります。

―――ふそうが強いと。

森川:前の顔は初期から壊れることもありましたが、納車して1年乗っているお客さまでも、いまのところノントラブルで燃費も良く、乗り心地もいいとなれば……。

―――好き嫌いが分かれるのは、あの顔くらい、と(笑)。

森川:まあ、そうですね(笑)。車自体の評価は高い。私も納車時に乗りましたが、以前のミッションの切り替えの感じが「ボルボと全然違うな」と思っていたら、いまはまったく気にならない。

中西:ふそうの新型は、スムーズだよね。

森川:逆に日野はまだプロシフトで、そこの差はある。クオンはボルボのエンジン・ミッションですが、メインは11リッターの方なので差がある。しかもクオンは、よく壊れる。

―――壊れるんですか。

森川:ボルボはインジェクターがまず壊れない。でもクオンはなぜか壊れる。1本、2本ダメになるのが3年以内に1、2回ある。1本20万円ほどしますから、これが効く。

―――20万もするんですか。

森川:「同じエンジンなのに、ボルボは壊れないのに」と言われます。だから私のなかでは、ライバルはふそうです。

―――スカニアはどうでしょう。

森川:スカニアは、もう好き嫌いの世界という感じがします。ボルボのいいとこ取りをしている面もあり、使いやすさはスカニアが上かもしれない。コクピットのようにパネルがこちらを向いた造りが好きな人は、「ボルボどうですか」と言っても「いや、スカニアがいい」となる。ただ、アフターの面では、こちらに優位性がある。

―――金野さんはどうです。スカニアには負けたくない、とか。

金野:いや、負けるときは負けます。わかるんですよ、本当に。私もアフターメンテを売りにしていますが、今後スカニアもアフターは良くなってくる。そこをがむしゃらにやっても……というところはあって、結局は「ミラーレスで、商用車として日本初」という点、そして安全性で売っていくしかない。価格差はモデルによって出てしまうので、「ボルボだからあちらより安い」とは言えない。難しいところですが、あとは人間力と営業力でカバーするしかありません。

木更津新工場 ──未来が楽しみな創造空間

―――まさしく。最終的には営業の力ですよね。アフターをしっかり保証できるというのは、安心材料になる。今回のテーマの一つでもある木更津工場ができて、キャパが増えました、受け入れがしやすくなった。その辺りはどうですか。

中西:機材はまだこれからですが、人材の問題もあり、いまは認証工場で、指定工場にはまだなっていません。指定を取るには実績を積み、合格率97%ほどが求められる。いまは全部を持ち込みでやっている。一から積み上げている段階です。

―――そこは、今後ですかね。

金野:とはいえ、既存の拠点と同等のことはできる。お客さまの間ではもう評判が広まっていて、「今後が楽しみだね」と、向こうから言ってくださるんですよ。

―――「ちょっと木更津に行きたいな」と。

金野:そうです。架装もできて整備もできる。特に架装ですね。私のお客さまも、たまにふらっと来ます(笑)。

―――おもわず寄ってみたくなるって良いですね! 木更津新工場は室内空間も含めて、ヨシノ自動車の大きな下支えになりますね。さて、カスタムの話に戻ります。車両価格がこれだけ高いと、カスタムにかけられる予算も限られてくる。カスタムがやや厳しくなるのでは、と思うのですが、その辺りはどうですか。

金野:実際、2021年にこの顔になって、23、24、25、26と、価格の上がるスピードが速いんですよ。

―――価格が、ですね。

金野:同じ顔のまま、実態として750万円ほど上がっている。スウェーデンの開発が止まらない、という事情もあります。

―――止めるわけにも、いきませんよね……。

金野:そのなかで「カスタムをやりたいけれど、金額が……」というのは、特にカスタム志向のお客さまで増えています。

―――「これだと、ちょっとね」という訳ですね。

金野:「その分は月賦で(上乗せ)」という感じにもなってきています。

古参の顧客は躊躇し、ご新規は納得する

―――つまり架装費も、少しずつシュリンクしていく。新車と同時に架装を売る形が縮んでいくのは、致し方ないところかと。

中西:既存のお客さまは10年以上の取引先が多く、ベースをご存じなんです。車両のノーマル価格が1,500万円ほどだった時代を知っている方からすると、いまや26モデルは2,300〜2,500万円。1,000万円近く上がっている。本業の収益が上がって採算が取れると思っても、「ここまで上がるのか」と躊躇される。だからこそ、昨年から新規顧客を獲得しているところとの反応の違いが出てきている。特に中堅・大手にターゲットを絞ってテレアポをしていると、外車を入れてこなかった会社でも「その価格はするよね」と、高いけれど許容していただける反応が多い。そこは意外で、驚きます。

―――そうなんですか。

中西:「絶対に高いと言われるだろうな」と身構えて出すと、案外そうでもない。本来の案件が営業から減っていくのでは、という懸念は一部あるのですが、片方で、新規の案件が増えている。北海道から九州まで認知されるようになり、地方の新規のお客さまで「そういうふうにやりたい」という声が増えている。一方で既存・地元のお客さまは、価格の問題でカスタムに回せる予算が ── やりたいけれど、というところです。

―――「やりたいけれど、これだけかかるとね」と。

中西:昔を知っているぶん、なおさらです。「以前は500でできたのに」と。実際は架装費も上がっている。人件費も塗料も材料も上がっているんです。運賃の上昇に比例してそこまで上がっていればいいのですが、車両価格だけがぐんと浮いてしまう。

―――運賃の値上がり幅に、まだボルボの上がり方が追いついていない。

中西:場所によっては追いついていない。ただ、ひと頃に比べればずいぶん良くなりました。とにかくお金はあっても、ドライバーが集まらない。だから待遇を上げるしかない、という状況もあります。

金野:そこがボルボ導入のいちばんの肝で、以前から言い続けてきたことが、ここに来て効いてきた。大手さんとも話ができるようになり、「無理」と言われていた時代から、いまは「話を聞く」「ボルボを入れてみようか」に変わってきました。

中西:ボルボ自体の品質が上がり、性能でプレゼンもできるようになった。一方で大手さんも、給料が高くても福利厚生が良くても、人が集まりきらない。両者がちょうどクロスしているのが、いまですね。

―――まさにボルボの魅力が解き放たれる時だと。

金野:ボルボを入れること自体が、会社の宣伝にもなりますから。

「会社の宣伝」になるボルボ ── 採用とSNS

―――その宣伝効果は、どうですか。これまでもたびたび、ボルボ導入は宣伝の意味が大きいという話は出ましたね。

春日:あるお客さまは、いまやボルボを20台入れて全部稼働しています。採用面接の応募電話が、以前よりだいぶ増えた、とのこと。うちのチャンネルでYouTubeの納車動画を撮らせていただき、「ドライバー募集中」と告知したら、それを見て入社された方もいらっしゃるようです。納車時に撮影に行くと、「あ、動画に出ていた人だ」と、逆に知られていました(笑)。

―――アルフレッドさんのイメージが、だいぶ一人歩きしてきましたね。

春日:そのお客さまがTikTokやInstagramを始めた理由も、ボルボを前面に出して採用につなげるため。普通の求人広告で「ドライバー募集」とやるのとは、宣伝の仕方が全然違うんです。

―――リアルに内情が見えますからね。信頼できます。

春日:ボルボをだいぶ押し出していただいて、テレビ番組にもボルボで出ていただいたり。

―――テレビ番組ですか?

春日:千葉のテレビで、トラックドライバーをフォーカスしたドキュメンタリーです。

―――自衛隊出身の方の回ですよね。見ました、たしかに良かった。たしかにボルボを前面に出していただいてました。ボルボトラックが、会社の「顔」として機能し始めているのが実感できますね。

中古ボルボは新しい相場感に変貌した

―――カスタムの話にも関わりますが、中古ボルボを買っていただくサイクルは、どうですか。

中西:いまは、特に2021年モデル以降が本当にいい。ちょうど5年が経ち、今年は最初の21年モデルのリースアップ車が出てくる年です。リースアップして弊社に入れば、わりとすぐ案件が出てくると思います。この数年は前の18モデルも品質的に良く、「今のボルボは壊れない」という口コミがお客さま側にも広がっている。新車がどんどん高くなるなかで、「ボルボに乗りたいけれど、現実的にはいい中古があれば」というニーズがすごく増えている。それで良ければ、次は新車を、という流れにもなる。

―――まず一度、試してみたいと。栃木(ヤード)に行ってもあまり在庫がない気がするのですが、中古が売れているんですね。

中西:あれば、ほぼすぐ買い手がつきますね。

―――その前は故障の話が付きまとっていたのに。

中西:いい車はいいけれど、ダメな車はとことんダメで、差が激しかった。でもいまは、普通の中古車業者さんまで、ボルボ・スカニアを在庫でストックしようとするくらいです。

―――そんな風潮があるんですか。

中西:ええ、5〜6年落ちくらいなら「問い合わせがあって売れる」というマーケットができあがった。これまで在庫はリスクで、保険をかけながらの商売でしたが、いまは程度が良く走行が少なければ、自分で抱えて自分で売る。その旨味がわかってきた、というところです。

―――だいぶ、話が変わってきましたね。本当に変わりました。コロナ前(2018年頃)に中古ボルボを売るために、わいわい頭を悩ませていた営業会議とは、まるで違います(笑)。

中西:あの頃は、売った車が5年後に戻ってくると、二束三文でしたから(笑)。

森川:逆に、「今こそ出してくれないかな」と思うくらいです。

―――壊れないから、そのまま乗り続けてしまうパターンが多いんですね。

森川:「5年経ったから出そうか」と思っても、「指名が来ているから」「別のドライバーが乗りたいから」と、もう少し乗る、となる。

金野:新車の入れ替え時にはなっても、1年経てば「まだいける、まだいける」と(笑)。

―――あははは。いいかげん「新車に入れ替えてくれないかな」と思ってしまいますよね(笑)。

金野:全体で見れば、いいことです。品質が良くなり、長く乗る方が環境的にもいい。ただ、販売の営業マンとしては、新車も中古も売りたいので……(笑)。

―――流動してくれないと、と。そこは営業的に、やはりありますよね。

リース・ファイナンスの工夫

―――値段の高さに付随して、リースや分割の提案で工夫していることがあれば、ぜひ。

金野:やはり高残価にすることですね。

森川:残価を高く設定して月々を抑える、リース期間を5年から6年にする、といった調整です。

金野:これまでは通常5年でしたが、車両価格が上がったこともあって、6年、7年という話も出てきた。お客さまが月々いくら払えるか、それが払い切れなければ意味がない。「どう買えるか」をこちらから提案します。残価を残して月々を抑える、ローンを延ばす、といった形です。

―――それに伴って、ボルボブルー(メンテナンスパック)を延長する、といった話はどうでしょう。

金野:いまは模索中です。議題にはあがっていますが。

―――延ばすと、車両費が上がってしまいますしね。

森川:逆に、国産はメンテ代が高いところは高い。オイル交換だけでも専用オイルで高く、初回の車検で全部交換すると、これまでの請求の倍近く来ることもあるようです。メンテパックに入ると、もっと高くなる。一方ボルボブルーは、高くなったといっても5年で20〜30万円の差。車の見積もりとリースを出して「高いな」と言われたら、「メンテは5年でこの金額です」と示すと、「それは安いね」と、差がぐっと縮まる。国産はいまアフターで収益を取っているのではないか、と。UDも車検を全部やると高いし、メンテパックは5年で300〜400万円くらいするはずです。

金野:パックもフルカバーにするか、グレードによりますが。

森川:それと比べれば、ボルボのメンテパックはまず安い。数字の見せ方も工夫しますが、うまくやって6年でできれば、理想ですね。

―――車両が長く使われるなら、長くメンテもできる、と言えるといいのですが、その分、高くなるのが難しいところですね。

森川:入ってきたときの中古の価値も、5年と6年では距離が変わって、また違ってきます。

―――そうですね。ボルボ以外でも中古の買取価格は、ぐんと上がってきていますよね。

金野:以前と比べれば全然上がりました。たとえば3年周期で買い替える会社なら、3年落ち・30万キロ前後のボルボには、かなりの高値が付きます。そうして残価を上げていけば、月々はだいぶ縮まっていきます。

―――やはり残価設定次第で、月々の支払いが変わってくる。

金野:そうなんです。あとはリース会社とタッグを組む必要がある。協力し合いながら、というところです。

中西:ファイナンスは、どうしてもリース会社さん・金融機関さんを利用しないと、我々が保証を提案しても、お金の出どころがOKにならなければ成立しない仕組みですから。

―――なるほど。現金一括で「ポン」と買うお客さまは、どうでしょうか。

金野:それでも銀行の借り入れがほとんどですね。

中西:運転資金ではなく設備財として、リースより銀行融資の方が金利は安いです。数千万〜数億単位の枠を持てる企業なら、我々にはキャッシュ一括になる。ただ、それはなかなか中堅・大手の企業規模でないと難しい。ある大手さんでは、これまでリースだったのを銀行借り入れに切り替え、支払いを全部キャッシュにしています。

―――そこに、まだ金利差がある。財務のしっかりしたお客さまは、銀行で一括を用意して買う、と。会議もたけなわですね。上田さん、最後に一言お願いいたします。

上田:目標は、数百台を持つ大手さんにまず導入していただき、良さをわかってもらって、増車につなげることです。昔は「目立つから」「かっこいいから」「周りが乗っていないから」という動機がメインでしたが、いまは周りにもボルボが増え、「うちも入れようか」という会社が増えています。まずは大手企業に1台でも入れていただけるよう、営業活動をしていきたいと思っています。

―――ありがとうございました。皆さん、お疲れさまでした。

☆新型FH試乗記事はコチラのハローニュートラックでどうぞ。

新型ボルボFH(2026年モデル)試乗レポート

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