トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第13回
私がボルボトラックを選ぶ理由 ~シリーズ第1回 株式会社大平興業舎編
私がボルボトラックを選ぶ理由 ~シリーズ第1回 株式会社大平興業舎編
トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第13回
私がボルボトラックを選ぶ理由 ~シリーズ第1回 株式会社大平興業舎編
私がボルボトラックを選ぶ理由 ~シリーズ第1回 株式会社大平興業舎編
私がボルボトラックを選ぶ理由 ~シリーズ第1回 株式会社大平興業舎編
現在、ボルボトラックの国内販売数は右肩上がりで伸び続け、セールスは絶好調といえます。さらに2018年は大幅なアップグレードを果たした新型が発売されることもあり、さらなる台数増加が見込まれています。スウェーデン鋼による頑強なシャーシをはじめとした高い安全性のイメージ、低燃費で力のあるエンジン。そして1段上から見下ろすような迫力あるエクステリアとホテルのようなくつろぎが提供される室内空間は、折からのドライバー不足により需要が高まっていることを実感します。そんなボルボ正規代理店の顔をもつヨシノ自動車ですが、今回はユーザー目線でボルボの良いところも悪いところも率直に伺っていきます。実際のところ、「ボルボを入れる理由」はどこにあるのか? こちらはシリーズとして連載する予定です。第1回目は大型精密機械を専門に輸送されている川崎市の株式会社大平興業舎様に伺いました。
写真・薄井一議
デザイン・大島宏之
編集・青木雄介
中西:世の中にあふれるボルボトラックの情報は、良いことばかりになってしまっていますよね。私はこのコーナーでは「リアルな声を届けたい」と考えていまして、今回はあらためてヨシノ自動車のクライアントとして岡崎様に、ユーザー目線で、ボルボトラックに関して良いところも悪いところも語っていただきたい、とお伺いしました。
岡崎:了解しました。まず我々がボルボトラックを入れている理由というのは第1にドライバーの希望を尊重している結果なんです。私が社長になる以前は国産のトラックを、特にどこを手厚くするというわけでもなく、順繰りに使用していました。私になってからはドライバーの希望を最優先にした結果、ボルボになっているんですね。
____ボルボを導入されたきっかけを教えていただけますか。
岡崎:ヨシノさんとお付き合いをさせていただくようになったのは、我々が解散した協力会社の物流部門からトラックを購入してからになりますね。その中にボルボが4台あって、それをそのまま購入したのがきっかけでしたね。
____中古で購入されたのでしょうか?
中西:もともとその物流会社さんが新車で導入されていたんです。その業務を終了されて、大平興業舎さんが引き継いだので、車両もそのまま引き継がれたという形でしたね。
____それは何年前ぐらいでしょうか?
岡崎:10年前ぐらいでしょうか。それまで我々はボルボを導入していなかったんです。正直、ボルボはメジャーではなかった。現場も好意的ではなかったし、「故障が多い」などネガティブなイメージも大きかったんです。我々の協力会社の中には、何社かすでにボルボを導入している会社はありました。今から思えば、ネガティブなイメージは特別なことではなくて国産でも各社、良いところ悪いところは、必ずありますからね。経営者の立場からいうと、正直、故障した時のコストは大きいと感じています。だから極力、故障のないようにお願いしたいですね(笑)。昔と違って(ボルボはオートマだから)運転手の運転が悪いから故障するということはほとんどない。そうなると、どうしても個体の話になりますよね。やはりいまだに車の当たり外れはあるのでしょうか?
中西:10年前のボルボは確かに個体によって当たり外れがありました。弊社の社内的にも、メカニックが「あの車はダメだな」と頭を悩ませる個体がありました。弊社のボルボに関する整備サービスは他のUD系列のディーラーより、技術と経験値で「関東でナンバーワンである」という自信があります。その彼らが診ていても、「あの個体は」と言葉に詰まってしまうトラックがあったんです。
____4台入ってきた最初のボルボは故障しましたか?
岡崎:最初に導入された4台は大丈夫でした。ただその次に入れたボルボが、いまだに細かい故障が頻発しているみたいですね。それ以降の新しいボルボに関しては、まったく故障は出てないですね。 理由は定期点検で比較的、早い段階でヨシノさんが問題を潰してくれているのではないでしょうか。弊社のドライバーはすごく細いので、マメにヨシノさんに連絡して対応してもらってるはずですね。
中西:現在でも個体差に関してはゼロとは言い切れないんです。昔は100台に10台ぐらいあったものが、現在では100台に2台ぐらいと減ってきている実感はあるのですが、ゼロとは言い切れない。
岡崎:ドライバーもそれは分かっていると思いますね。「じゃあ違うのに乗るか?」と訊くと嫌がりますからね。現在、ボルボに乗れていないドライバーたちも、「ボルボに乗りたい」と言うし、順番で待っているドライバーもいます。で、彼らに聞いてみても「やっぱりボルボに乗りたい」と言いますから(笑)。「故障が多かったらどうするんだ?」と聞いても「それでもいいです」と言いますからね。今はそういうことはないし、我々は韓国のシャーシメーカーと協業しているんですが、向こうでもボルボの悪い話は聞かないですね。
____ボルボは韓国で人気ということですか?
中西:韓国でのボルボの導入は日本よりも早いし、歴史も長いんですよ。マーケットシェア、販売台数も日本とは比べられないぐらい大きいですね。
岡崎:ボルボのものすごく大きな整備工場もあります。弊社のトレーラーは韓国で製造しています。韓国の物流は世界中のトラックメーカーが入っているんですけれども、やはりボルボのシェアが一番大きいんじゃないでしょうか。昔はいすゞやUDなんかの日本車も結構走っていたのですが、今はほとんど見ませんね。ボルボばかりです。だからトレーラーとの相性を考えても、ボルボを選ぶというところは、あるかもしれないですね。
____御社でボルボ以外のメーカーの車両というのは、どういった車両があるでしょうか。
岡崎:新しいところだと、ふそうのスーパーグレートⅤですね。次に入れるのはボルボかな。弊社はボルボ派とふそう派に分かれていますね。
____ボルボ派は年齢層も若いのでしょうか?
岡崎:はい。そうですね。弊社は架装も比較的、自由なんですが、彼らは競争してトラックを架装していますね(笑)。
____その点も伺いたかったのですが、大平興業舎さんの架装はドライバーの自由なんでしょうか?
岡崎:はい。車検さえ通れば大丈夫です(笑)。結局、その方がトラックを大事にしてくれますからね。会社が「ダメだ、ダメだ」ばかりをいってると、トラックは大事にされなくなってしまうんです。
中西:確かに。普段、乗っている乗り手優先で考えるべきですよね。
岡崎:はい。自分で自分が仕事をしやすい環境を作ることによって、結果的にトラックも大事にされるし、事故も起きにくくなる。それは私自身もトラックに乗っていたから、すごくわかります。その意味では運転手の気持ちは少しは分かりますので(笑)。
中西:社長が乗られていたのも、ツーデフのトラクターだったのでしょうか?
岡崎:そうです。ふそうも乗ったし、いすゞも乗ったし、UDも乗りましたね。その時代は輸入トラックといえばボルボではなくてどちらかと言うと、メルセデスベンツのアクトロスでした。だから私の運転手時代はボルボには全く興味がなかったですね。ボルボを導入してみて、弊社はだいたい40トンクラスの荷物が多いのですが、その辺の重量クラスになってくるとボルボは本当に強いと感じます。坂に差しかかるとよくわかります。「やっぱり強いよね」と。そこが国産とは違うなと思いますね。
中西:乗られている方は、皆さんそうおっしゃいますね。
____馬力という数字じゃない部分の強さみたいなところですかね。
岡崎:はい。そうですね。それとクルマ自体がものすごく上手にバランスを取ってくれるんですよね。 我々は通行許可書をとる重量申請においても 軸重にはものすごく気を使うのですが、ちゃんとクリアしてくれるし、トラクターそれ自体が重量バランスをすごくしっかりとってくれる。だから走行中の運転もしやすい。そういうのがわかると「やっぱり(スウェーデンは重量物輸送の)先進国だね」って思いますよね。ただ問題なのは、シャーシが若干長い。そこだけちょっと苦労しちゃうかな。日本はどうしても国産仕様の法規になっているから、ボルボは国産に較べて長いですね。これは国土交通省への要望ですけど、この全長緩和は変えてほしい。日本はその点、少し厳しすぎると思いますね。全長緩和は海外ではない法規ですからね。
中西:その法規が見直されることはないのでしょうか。
岡崎:はい。ないと思いますね。もしかしたらもっと厳しくなってしまうかもしれません。さらに言えば重量に対しての厳しさが増してます。だから本当に欲をいわせてもらうと、「ボルボの車体自体ももう少し軽くしてほしいな」という気はしますね。
中西:今年出る新型は500キロ弱、軽くなってるようです。安全性や先進装備がどんどんついてくる代わりに車体は大きくなり、重さは重くなってしまう。その中で軽量化しなければいけないのが、世界的なトレンドなんですよね。
岡崎:そうなんですよね。そこは今後ちょっと心配しているところではあるんです。
____ちなみにボルボの燃費はどうですか?
岡崎:燃費はいいんじゃないですかね。
中西:昔はボルボのメリットとして圧倒的な燃費の良さというものがあったんですが、最近は国産が追いついてきたという感じがします。
____これまで御社でボルボの安全性を感じられたことなどはありますか。
岡崎:弊社の場合は幸いにしてないんですね。まずもって低速走行が多いし、ボルボで事故を起こしたケースがありません。ただ逆に狭い場所が多いので、車に傷がつくのが嫌だなんていうケースはありますよ(笑)。「枝が出てるから通れない」なんてドライバーから連絡が来ることもあります。
中西:それは山の奥深くまで持っていくということですよね。
岡崎:ダムに変圧器を届けるなんていうと、かなりの山奥まで入っていきますからね。それが38トンぐらいかな。
中西:原子力発電から水力発電が増えてきているということなんでしょうね。
岡崎:そうです。変圧器の工場間輸送もあるし、新しい変圧器を納入して古い変圧器を引き取ることもしていますね。
____御社で使用されているトレーラーシャーシも興味深くて、全車エアサス付きでステアリング付き(舵きり)です。
岡崎:はい。弊社で動かしているのは全車種エアサス、舵きり付きですね。
____そのトレーラーシャーシを扱うことも含めて御社のドライバーはすごく専門性が高いので、ドライバーを育てることが難しいと思うのですが、いかがでしょうか。
岡崎:正直な話をしますと、弊社で初めてトレーラーに乗る運転手がほとんどなんですよ。
中西:そうなんですか!
岡崎:はい。弊社で育って、そのまま運転手を続けているケースがほとんどですね。弊社は独り立ちするまでに時間がかかる。他で経験を積んで弊社で働いている人間は、現在一人だけです。 経験者はよほどじゃないと弊社では定着しないんですよ。荷物が特殊なんですよね。
中西:そう考えると、重トレといっても別次元の職務内容なんでしょうね。
岡崎:うーん。他の会社から来ると(荷物が)めんどくさいのだと思います。「気を使って走らせなければいけない」というのが多分、一番嫌なところだと思いますね。
中西:荷物も練習できるような荷物ではないですしね。
岡崎:その辺の感覚が弊社で育てると当たり前になるのですが、外からくると難しいでしょう。だから1から始めた方が、弊社では育てやすいんです。経験者を見て覚えていくでしょ。運転手はすぐ独り立ちしたがるものですが、弊社は自分で「まだ一人発ちできません」と申し出るケースが多いんです。ちょっと特殊でしょう(笑)。
中西:それぐらい慎重で、むしろ臆病なぐらいの方がいいんでしょうね。
岡崎:はい。そういう意味でいうと、弊社で育てた人間に関しては仕事を任せられるし、長く続けてくれる循環があると言えますね。時間はかかるけれど、それでも長く続けてもらえる方がいいですからね。
____ちなみに独り立ちするのにどれくらい時間がかかるものなんでしょうか。
岡崎:早いドライバーで3か月かな。時間がかかるドライバーは半年以上かかりますね。それでやっと走れるという感じなので、一人前として仕事の段取りやルートを覚えたり、仕事をしっかりこなせるようになるのは、2年ぐらいはかかります。そこは長い目で見てるし、募集も未経験者だけなんですよ。
中西:現在でも募集中なのですか。
岡崎:募集中ですよ。人員は足りませんね。今年に入って4人ぐらい面接したけれども、採用したのは一人だけでした。やっぱり大きいトラックに乗ると給料もいいと思ってるんじゃないでしょうか(笑)。
中西:募集を出されていて、まだ集まるのはいい方なのかもしれませんね。カーゴやウイング系の運送会社に行っても、募集を出していても一人も集まらないとか多いみたいです。だから来ればとりあえず採用、下手すると2日3日で辞めちゃうんだけれども「仕方がない」って言ってました。
岡崎:以前はとりあえず採用して試用期間を設けるというのはあったのですが、在職中の運転手には面接の時でも「よく考えてきた方がいい」とは伝えています。みんな憧れを持って門を叩いてはくれるみたいなんですけどね。
____今後、ボルボに期待したいところはどうでしょうか?
岡崎:現在のボルボに不満はありません。馬力も520で弊社は充分だし、ぜいたくを言えば現在のラインナップにクローラーがあったらいいですね。ボルボのクローラーはいいですよね。
____それとお伺いしたかったのですが、スーパーグレートⅤとボルボの FH を比較したときやはりスーパーグレートの方が価格的に魅力ですよね? それでもドライバーさんが選んだ方を会社としても選ぶということですか。
岡崎:そうですね。ドライバーが選ぶからという理由の他にも、メーカーを増やすとメンテナンスが面倒になってしまう面もあります。昔はいろんなメーカーを使用しながら、どこがいいか試行錯誤していました。その時は会社が決めて買ってました。その時代は値段で勝負でしたね。今はその点にこだわりはないですね。
____これだけボルボが揃ってくると、会社のイメージも「大平興業舎≒ボルボ」というイメージになってきますよね。
岡崎:私はその辺のこだわりは全くありません。ただ最近、周囲にそういう風に言われることも多くなってきました。ドライバーが勝手に宣伝してるのかもしれませんね(笑)。
中西:運転手さん同士の情報交換は早いですよ(笑)。
____ここまでしっかり手をかけられたボルボというのもそうないので目立ちますよね。
中西:最近は SNS が流行なので、弊社と全く取引のないドライバーさんでも弊社をフォローしていただいているケースが多いんです。現在、600名ほどいらっしゃるのですが、函館でボルボに乗られている方が、弊社で掲載しているお客さんのボルボの情報を理解していらっしゃったりする。そういう意味では大平興業舎さんのボルボは全国的に知られているはずですね。
岡崎:そうかもしれませんね。我々は実際、北から南まで日本全国どこでも走っているので、ご存知のドライバーさんも多いかもしれませんね。 弊社のドライバーは弊社内でもそうですし、外部のドライバーの交流というのも多いんです。仲がいいんですよね。
____どこの積み場は狭いとか、そういうドライバーにしかわからない情報というのはすごく重要ですからね。
岡崎:そうなんです。そういう意味で、弊社でコミュニケーション不足による事故は今までないですね。現場も、走行中もありません。その辺はドライバー同士のコミュニケーションがしっかりしているから、会社は助けられていると感謝していますよ。
・ドライバーに1番人気
・坂での登攀能力
・エアサスと車両バランスの良さ
・リーディングカンパニーとしての海外での実績
・未然に故障を回避する定期メンテナンス
・修理代は高い
・海外仕様の全長と車重
・ラインナップにクローラーが欲しい
岡崎孝行(おかざき たかゆき)
1952年5月27日生、1975年専修大学商学部卒業、1984年株式会社大平興業舎入社、
2016年4月取締役社長に就任、現在に至る。
未経験者大歓迎。ドライバーは随時募集中。株式会社大平興業舎様の連絡先はこちらより!
http://www.taihei-kougyosha.co.jp/