富士運輸株式会社 執行役員 車両販売部 部長 山川博之様

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第34回

株式会社ビィ・フォアード 代表取締役 山川博功様

株式会社ビィ・フォアード 代表取締役 山川博功様

「グーグルを驚かせろ!年商671億円の先に見ている2020年の成長戦略とは何か」

アフリカ大陸を中心にした越境ECサイトとして、中古車や家電を販売する株式会社ビィ・フォアード。直近では主力の中古車で16万6,745台を世界に輸出販売し、売上高は前年比17.7%増の671億4,514万円と高い成長を維持し続けています。取引実績は200の国と地域におよび、「日本発、海外で戦うECサイト」としてメディアでも非常に注目されている企業です。2014年にはアメリカの検索エンジン・グーグルの副社長が直々に会いに来たというキーマンこそ、今回ご登場いただいた株式会社ビィ・フォアードの代表取締役である山川博功氏です。すでに2冊の著作で詳しく書かれていますが、あえて今回はヨシノ自動車の中古トラックと舞台を同じくするアフリカについて語っていただきました。アフリカで中古車販売を伸ばした理由は何だったのか?海外で活躍する人材に求められることは何か?越境ECサイトの先に見ている新天地とは?「前へ」という言葉を胸に、海外で成長していく新しい企業像と経営者像が見えてくる内容となりました。

写真・薄井一議
デザイン・大島宏之
編集・青木雄介

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経由地なしで直接届ける

中西:山川社長には今年に入ってから何度かお会いする機会を頂いてまして、アフリカを主戦場にしているという意味では同じですが、ヨシノ自動車とはビジネスの内容が全く違っています。 ビジネスの捉え方そのものも山川さんとは全く違っていたので、非常に刺激を受けていました。ですから、改めて今回、対談の機会を頂くこととなりました。

山川:了解しました。よろしくお願いいたします。

____まずはアフリカにおけるビジネスのきっかけについて教えていただけますか。

山川:きっかけは本当に偶然だったんです。たまたまECサイトで、アフリカで中古自動車が売れたんですね。売れ始めると、その後も増える勢いが他とは全然違っていました。

____アフリカで販売台数が伸びた理由は、何だったんでしょうか。

山川:それまでは日本から輸出する中古車は直接、アフリカには入っていないケースがほとんどだったんです。必ず日本からドバイを経由していました。それというのも、ドバイは関税が完全フリーの自由港なので、世界中から車が集まってきます。そこにアフリカのディーラーが買いに来るというのが、アフリカにおける中古車販売の大きな流れでした。当然、コストがかかりますし、間に誰かが入れば入るほど利益率は下がっていきます。かつ2回も輸送しなければいけないので、手間もかかりますよね。ビィ・フォアードの仕組みはオンラインで自動車を購入したら、日本からアフリカの最寄りの港まで直接、届けます。爆発的な人気になったのは、そこが一番大きいと思いますね。

新天地で“前へ”

____もともと山川社長は日本のドリフト車を海外に販売するユニークな手法を取られていましたね。日本の文化もセットで販売する考え方がありました。

山川:そうですね。僕は競争のない場所が好きなんです。とにかく競争がしたくないんです(笑)。たまたま僕にとってブルーオーシャン(手のつけられていない新天地)だったのが、アフリカだったのかもしれません。そこは日本のサービスを含めてなので、他より突き抜けられるビジネスモデルだったかも、とは思いますね。

中西:それが「たまたまだった」というのが示唆的だと思います。ビジネスで成功するのは、狙ってそうするというより、結果的に「きっかけはたまたま」というケースが多いような気がします。それは山川社長が日々、アクティブに行動しているからであって、そういうチャンスも生まれるんだと思います。実践をともなわない、頭で考えたビジネスモデルだけだと成功するのは100人に1人とか、1000人に1人という低い成功率になるのかな、と。それはビィ・フォアードという会社の名前の通りだと思いますね。

____「前へ」という社名の通りですね。この言葉は山川社長の中にあった言葉なんですか?

山川:もともとは明治大学のラグビー部の監督をされていた、北島忠治監督が常におっしゃられていた言葉なんです。その言葉が学生時代から大好きでした。あまり小賢しいことは考えないで、とにかく前にある障害を乗り越える。その考え方が大好きなんです。

____山川社長の経歴を拝見させていただくと、日産のディーラーで営業をされていたんですね。

山川:そうです。セールスマンをしていました。

____当時から、いずれ輸出の会社をされようと考えていたんですか?

山川:いえいえ、ただ日産のセールスマンをしていて「これで一生食べていくつもりはないな」とは思っていました。一流になりたくて、レーシングドライバーを目指した時期もありましたし。だから、いずれ将来は「自分で起業したい」とは思っていましたね。

アフリカ中にビィ・フォアードのグッズが広まった

____ヨシノ自動車はウガンダにビジネスを集中させていますが、ビィ・フォアードはアフリカ全域に浸透しています。そんなアフリカにビィ・フォアードのブランディングだったり、ビジネスを定着させるようなアイデアは、どういったアイデアだったのでしょうか。

山川:まずアフリカで大きく広がったのは、口コミだったんですね。安くて、早くて、日本のサービスを身近に感じられる。かつマーケティング戦略というほど大げさなものではありませんが、輸出する中古車には ビィ・フォアードのステッカーを貼って、買っていただいたお客さんには無償でT シャツを送ったり、リストバンドを送ったりしていました。そういうサービスが当時のアフリカには全くなかったんです。車を届けて、よりお客さんをハッピーにさせるような考え方はなかったんですね。僕が T シャツをいっぱい送るものだから、アフリカ中にビィ・フォアードの T シャツや帽子が広がりました。実際に僕がタンザニアなんかに行くと、「ビィ・フォアードの社長が来てるよ!」と大騒ぎになるような人気でした。

____そうやって草の根的に広がっていたんですね。現地に根づくという意味では、アフリカのサッカーチームのメインスポンサーもされています。

山川:マラウイ共和国の在日大使と仲が良かったんですね。あるとき、「マラウイでビィ・フォアード杯をやってみないかい?」と誘われました。 それを二つ返事で受けて、試合を実際に見に行ったんです。そうしたら僕の宿泊してるホテルに、4チームぐらいのマネージャーがやってきて、「うちのチームを買ってくれ」と言われました(笑)。

____4チームも来たんですね(笑)。

山川:そうなんです。どのチームも経済難でした。そこで交渉したところ、ビィ・フォアードの名前をチーム名に入れてくれる唯一のチームがワンダラーズというチームだったんですね。マラウイでも2番目に古い古豪のチームです。実力もありましたが、強くするために強化費を投入していったら、 気づいたら昨年は、メンバーの8人がナショナルチームの代表選手になっていました(笑)。

スポーツはトップにならないとメディア露出が足りない

____すごいですね。一人勝ち状態だったんですね。

山川:そうです。今年もまだ途中ですが、リーグでは1位です。投資をしなければ、勝利はないですね(笑)。

____中西社長もサッカーチームに投資されていますよね。

中西:弊社がスポンサードしているブライトスターズはリーグ中位ですからね。やっぱり投資の問題なのかな(笑)?

山川:チームはどちらなんですか?

中西:ウガンダのブライトスターズというチームです。元日本代表の本田圭佑選手が実質的オーナーのチームですね。2017年に本田選手がソルティオという会社を通じて、ブライトスターズを買収したというニュースを見ました。どうやらカンパラ(ウガンダの首都)に日本車を販売している会社があるらしいよ、と。そこで「スポンサーを探している」と先方から連絡がきました。メインスポンサーはケニアのLATO MILKさんだったんですが、そこが降りるということだったので弊社に話が回ってきました。

山川:ウガンダの何部リーグですか?

中西:1部リーグですね。16チームぐらいのリーグです。 

山川:スポーツはトップにならないと露出がないですからね。弊社でも選手をひとり、マラウイから日本に呼んで YSCC 横浜さんでお世話になっているんです。それがたとえ J 3のチームでも、現地の新聞は大騒ぎになっていました。何かあるたびに「ビィ・フォアード、ビィ・フォアード」という言葉が出てくれるので、広告効果として良かったですね。とはいえ日本では活躍できなくて、やはり「難しいか」とは思いましたけれど。

中西:アフリカの選手のポテンシャルは高いと思うんですが、どうしてもチーム力になると弱くなってしまう。そんな傾向があるみたいですね。 戦術を理解するにしても、やはり教育が必要だという話になってしまうようです。  

やらなきゃ先に進めない環境作りとは

____なるほど。では日本流のおもてなしだったり、サービスの仕方を現地に持ち込むというテーマについてお伺いします。それこそ商習慣の違いだったり、時間を守らないというような難しさはありましたか。

山川:現在、時間が守れないということはないと思いますね。どちらかと言うと西アジアや中東の方が、時間にはルーズかもしれません。アジアのお金持ちのご子息とかは時間を守らないですよ。超のつくルーズです(笑)。アフリカや他の海外で彼らに何かを教えるのに OJT (実務を通じて上司が指導すること)をしたり、自分の言うことを「聞いてもらう」というようなコミュニケーションは絶対、無理だと思っています。具体的にどうするかというと、「やらなきゃいけない状況を作ってあげること」が大事なんです。それぞれで、そのシチュエーションを作ってあげる。もっと具体的にいうと、いちいち仕事の手順の中で、マウスをクリックしないと先に行けないような道筋を作ってあげるんです。そうすると厭でも、次のステップへ進んでいきます。

____なるほど。

山川:弊社ではそれを全部、コンピューターシステムに落とし込みました。あるビジネスの場面でお客さんに連絡をして、「港に車がご用意できてますよ」と言わなければいけないシチュエーションがあるとします。それを怠慢で忘れないために、この作業をすると同時に自動的にお客さんの所にメールが飛ぶようにしています。そういうシステムを作って、やらなきゃいけない環境を作っていきます。それを進めると、自動的にお客様対応を迫られる環境作りをしたんですね。それが一番、分かりやすいかなと思います。指導や教育というのは、根本的に難しいと思ってるんですね。別の意味での日本流もあります。商売の仕組み作りですね。それは世界的に有名な「Kaizen」(現場のボトムアップで問題解決を図る体制づくり。例:トヨタ生産方式)という言葉と相通ずる部分があるかな、と思いますね。

皆で稼いで皆で楽しもう!

____社内を拝見させていただいて非常に多くの外国人の方が働いていて、「多様性に富んだ職場だ」と感じました。

山川:よく訊かれることではあるんですが、日本人との差は一切ありません。もちろん雇用条件も同じですし、 チャンスの割合も均等だと思っています。

____山川社長の著書にもありましたが、非常に社内レクリエーションを大事にされていますよね。

山川:昔の日本の会社みたいなノリが好きなんですよね。皆で稼いだ利益を、皆で楽しむために使うことが良いと思えるんでしょう。「この会社が良い」と思ってもらうためには、「自分の仲間がいることが嬉しいと思える」のが一番だと思うんです。僕自身、遠く感じるような存在にはなりたくないし、そう思っては欲しくないんですよね。

____ヨシノ自動車も社内レクリエーションは非常に盛んですよね。

中西:僕が個人的に好きだというのもありますが、山川社長の著書を読んで「あ。やっぱり間違ってなかったな」と思うんですよね(笑)。ある意味、昭和っぽい。いまどきではないかもしれないけれど、僕自身もいまどきの会社の、仲間として捉えるのではなく、ドライな雇用関係だけで捉える風潮があまり好きでなかったので、「よし。大丈夫だ」と励まされてる部分があります(笑)。

なぜ中国には勝てないのか?

____さて引き続き、アフリカのビジネスの話に戻りたいのですが、商売のライバルという意味で中国の影響が非常に大きいと思います。 多額のODA(政府開発援助)で利権を確保するような 中国といかにして競合していくか。これは中国だけではなく多くの国、企業がアフリカでビジネスをする場合に競合となってくると思うのですが。

山川:ODA で国家ぐるみの事業にしてしまうのもそうですが、彼らが一番得意なのはやっぱり賄賂なんですよね。僕や日本人が一番苦手な部分です。例えば僕が出張に出かけて、アフリカのどこかの国の大臣に会うとします。どこかで「賄賂を期待されるのではないか」と内心考えながら、「俺はそんなもの払わないぞ」という心積りで向かいます。大臣室に入るともう、その壁が金色と赤なんですよね。中国からの贈り物だらけなんです。「あー」と呆気にとられて、話題もそこそこです。向こうからすると中古車の輸入会社、向こうは大臣ですが、僕の商売も知らないし、僕も大臣のこと知らないわけです。「誰?あんた」ってことになるわけです。そういう場面が多くて、「すごく意味不明だな」と思いながらも、その赤と金色の壁を見ながら「そっちでは勝てないな」と思うわけです(笑)。

____それは勝てませんね。やはり日本の製品力ですか?

山川:いや。街に出れば、いかにも中国の建物がいっぱい並んでいます。カンファレンスセンターや公共の場所が、みんな中国の建物なんです。どう考えても同じ土俵で、日本は戦いにくいですね。ご質問のように、「日本の製品で勝つのか」と言ったら「それは違う」と思います。やっぱり製品力で勝てない、賄賂は出せない、営業力で負けてる。 それなら便利さで勝って、つまらない言葉ですが「信頼で勝つしかないな」と思いますね。 例を出すと、中国は中国で安く作った腕時計を大量にアフリカに持っていっています。その品質が悪いのは、彼ら自身もよく知っています。けれどもビィ・フォアードのオンラインサイトに載っている、日本でも売っている中国製の腕時計はレベルが非常に高い。だからビィ・フォアードのオンラインストアで、中国製の腕時計がよく売れる。同じ中国製なんですよ。商売の肝はそこだと思いますね。

すでに日本の大負けは始まっている

____それはビィ・フォアード自身が、商品チェックやその品質を評価しているということですね。

山川:厳密にいうと、ビィ・フォアードのサプライヤーさんたちですね。ビィ・フォアードに取り上げられる製品は「そこまで担保されている」ということです。数だけ作って安く販売して、お客さんのデマンドを気にしないビジネスモデルだと、いつかは飽きられるでしょう。日本のように品質が管理され、監督されたものをきちんと送る。僕らにとっては当たり前のことでも、それが彼らにとっては当たり前ではないんです。もちろん、それだけで「日本は勝てるのか」という話になれば、僕自身も疑問ですね。将来、日本は圧倒的に中国に負けるでしょう。すでに大負けは、始まっていますからね。

中西:だいぶ前からですね。弊社は東アフリカしか知らないけれど、ケニアやタンザニア、そこそこ経済が成長している国はどこも「いまさら日本は」という感じですよね。弊社の支店があるウガンダは、そもそも国力もないし、競争力も他国に比べてないので、大きなマーケットではないにしろ、競争がないから弊社はやれているんです。

____なるほど。

中西:それこそ山川社長がおっしゃった通り、弊社にしかない商品を扱っているわけではないんだけれど、お客さんが展示場に来たら「ようこそ、いらっしゃいませ」から始まり、ジュースやお茶のサービスをする。それは他の会社がやってないことなんですよね。日本では当たり前の事ですが、それがあって初めてリピーターになってくれる。去年からサービスも始めて、オイル交換だったり、アフターメンテナンスも手がけるようになりました。そこで大きな売上の伸びは無いのですが、安定はしていますね。 弊社はウガンダで年商6億ぐらいです。それを30、40億に伸ばすのは無理なんですよ。「15億ぐらいが限界かな」と思っています。現在は日本製の中古トラックを輸出していますが、中国製のトラックも非常に品質が良くなってきています。この先、2、3年するともっと良くなるはずなんです。だったら「日本のサービスで展開する中国系ディーラーになっちゃおうか」という話もしてるんですよね。

3年落ちの中古ヘッドが150万円

山川:それは、もういますよね。タンザニア、ケニアあたりだったら日本人で中国系ディーラーをされてらっしゃる方はいらっしゃいます。 

中西:はい。日本人がオーナーの会社だけど、向こうで生き残るためには「それでいいんじゃないか」と思ってるんですよね。 この規模感の売り上げでやるのであれば、商材は日本製であり中国製であり、何でも扱いながら商売をやっていければいいのかなと思いますね。 

山川:なるほど。弊社も今度、中国に中古トラックの検品をしに行きますよ。 

中西:驚かれると思いますよ。実際に中国のトラックは良くなっているんですよ。ウガンダは空港と街をつなぐ高速道路を作っていたので、使い終わった4年落ちぐらいのトラックがいっぱいあったんですね。それが市場に出てきたんですが、言うほど悪くはないんです。 

山川:値段も相当に安いですよね。例えばトレーラーヘッド。びっくりするぐらい安いから、「とにかく見て来い」と現地にスタッフを派遣することにしました(笑)。 

____ちなみに日本円に換算すると、どれくらいなんですか。

山川:日本円にすると150万円ぐらいで、中古のトレーラーヘッドが買えるんじゃないかな。

____絶句してしまいますね……。

山川:ヘッドだけだったら150万、200万円ですよ。日本で同程度の中古のトラクターヘッドを買ったら、安くとも600万円ぐらいはするんじゃないでしょうか。年式も3年落ちぐらいですよ。もうとにかく安くて、びっくりしたんですよね。

____そうなると、もはや越境する意思がないと、ビジネスは成り立ちませんね。

山川:商売は強い人についていかなければ勝てません。僕はビジネスで日本のプライドとか、関係ないと思ってますから。

越境ECサイトはもう旧い!?

____興味深いですね。今後の山川社長のビジョンについてお聞かせください。中古車や中古トラックは重要な商材ではあると思うんですが、今後は越境ECサイトとして、Amazon だったり、楽天だったりのように、商材を多様化させていくのでしょうか。

山川:これは結論になってしまうのですが時計が1日で、1万本も売れたりはしないわけです。たまにグッチが売れたりはしますが、利益として「それが会社のためになっているかな」と考えるわけです。 商材は多様です。 iPhone を売ったり、タブレットを売ったり、スマートフォンを売ったり、ミシンを売ったり、中古でいえば農機具を売ったり、コピー機を売ったり……、とにかく何でも売りますが、圧倒的に「日本製だから、日本で使われていたものだから欲しい」とは世界は思っていないな、と感じているところなんです。ただ色々、売っている中で気づいたのは、弊社が一番と得意としているところ、世界で僕らが優位に立っているのは物流なんですよね。もちろん日本のAmazon や楽天のように 、「EC サイトで新興国の市場を開拓しよう」と考えていた時期もありましたが、それはもう2年前の話で、僕の中では旧いんですよね。現在はオンラインで「物流を広げていこう」と試みている最中です。「オンラインで物流のプラットフォームを作ろう」というのが会社の方向ですね。それは世界にないサービスなんですよね。

____その物流の話というのは B トゥ B (企業間取引)に限った話なんでしょうか。

山川:いえ。 B トゥB もあり、 BトゥC (企業と個人の取引)もあり 、CトゥC(個人間取引) もあります。もっと具体的に言うと、ここにホワイトボードがあるとします。青木さん(質問者)がウガンダにご友人がいらっしゃって、このホワイトボードを運びたいと考えたとします。誰に頼んで、どうやって運ぶのか、お金はいくらかかるのか、皆目、見当がつきませんよね?

____はい。見当もつきません。

山川:それを「弊社のサイトでできるようにしたい」というのが狙いですね。なぜ出来るかというと、弊社は車のサイズに見合った大きさや重量の商品を海外に輸出できているからなんです。航空貨物であるエア便を使って、書類を届けるような会社さんとの取引も多い。そうなると、物流を持っている人が勝ちなんですよね。当然、コストにも影響しますし、慣れているし、取引国も200カ国に渡りますから、販売を通じて得られた経験値もあります。それを繋ぐのが、弊社のプラットフォームだと考えています。それが「オンラインでできればいいな」と考えているんですね。

最大の強みは「物流」だった

____今までなかったのが不思議なぐらいですね。

山川:これはアメリカにもないサービスなんですよ。日本の海運業者さんやエア便の会社さん、日本の陸送業者さんもいらっしゃいますが、意外とそれらは繋がっていないんです。だから思いもつかないし、分からない。日本のような先進国で育っていると、海外から物品を輸入した経験のある人は少ないですよね。輸出したことも、もちろんない人が圧倒的多数です。それが先進国同士だけではなく、新興国にも運べる。それこそ日通さんなんかはアメリカだったり、フランスだったり、イギリスだったり、先進国には拠点を持っているから運べています。なぜなら先進国同士では、転勤の需要がありますからね。でもこのホワイトボードを、ウガンダに運べる業者はいないんですよね。

____ちょっと考えられないですね。

山川:例えば日通さんで、このホワイトボードを送るためにコンテナを1台用意してウガンダに送るとなると、とんでもない金額になるわけです。弊社が送るとすれば、原価は数千円です。なぜなら車を輸出するコンテナに混載できるからです。ただ日数は2ヶ月かかりますけどね。もちろん、もっとお金を払えばエア便で運ぶことも可能です。それをお客さんがオンラインで選ぶことができ、クレジット決済してくれさえすれば、弊社はオンラインで取引業者さんに指示するだけです。そういうビジネスモデルを作りたいんですよね。

____そのプロジェクトは、どれくらい進行しているんでしょうか。

山川:現状、弊社内のみで共有しているフェーズ 1です。サービスとして、お客様には提供していません。今のところ、現場が特定しているお客様だけにこのサービスは実施しています。

ビジネスにならない不動産サイトとは!?

____なるほど。現場は B トゥ B だけど今後はオンライン上で B トゥC であり CトゥC も実現していくということですね。これは書いても大丈夫でしょうか?

山川:大丈夫です。書いたところで、我々と同じサービスはどこにもできませんから。アメリカでさえこんなサービスはありません。あと最近の面白い試みとしては、不動産サイトを考えています。

____おお。それはまた異業種ですね。

山川:現在はビィ・フォアードのブランドを使って、ザンビア、タンザニア、ナイジェリアと3つの国で展開しています。ナイジェリアはまだ始めて間もないのですが、タンザニアやザンビアにおいては、不動産サイトを検索するとビィ・フォアードが一番先頭にきますね。僕が飲みの席でよく言うのは、「自分は SUUMO を3つ持ってるぞ」ということ(笑)。土地建物の売り買い、賃貸をするんだったら ビィ・フォアード・ドット・リアルエステートです。

____それはまた、なぜ不動産業を始めようと考えられたのですか。

山川:正直に言うと、まだこれはビジネスにはなっていないんです。現状、オンラインサイトを無償で解放して、ブランディングしているだけです。現状では弊社の名前が広まり、集客してくれればそれで充分と考えているんですね。

____仲介手数料は取らないんですか。

山川:とりません。掲載手数料もとりません。仲介した人はそのまま不動産屋に任せているだけですね。弊社はサイトとして、その場所を提供しているだけです。面白いですよ。本当にありとあらゆる人が見に来ます。それまでアフリカにそういう文化が無かったので、情報源はぜんぶ人づてで、ブローカーだったんですね。

中西:そうなんですね。確かに車もブローカー頼りでした。

きっかけは現地を知っている社員のアイデア

____始められたきっかけというのは社長が、思いつかれた感じですか。

山川:きっかけは JICA で現地に行った経験のある社員が、自分のアパートを探すのにブローカーに頼んでいたという話を聞いたからです。そのブローカーに「こんなお家があるよ」と見せてもらうたびに2ドルとか、3ドルを払わなければならなかったということなんですね。それって現地の感覚だと、非常に高いですよね。「おかしくない?」という疑問が発端としてあったようです。それを聞いて「じゃあ、全部タダで乗せてしまえ」と考えました(笑)。ものすごく楽しいですよ。プール付きの300平方メートルぐらいの家などが掲載されています。要は、我々の世代だと大学生ぐらいの頃に車が欲しくてカーセンサーを見ていたわけじゃないですか。「こんな車に乗って女の子とデートしたいな」とか見てましたよね。セリカXXが19万円。「ちょっと高いなぁ」とか(笑)。そんなのが楽しかったじゃないですか。それが、僕にとっての不動産サイトですね。

____考えてみると、当時のカーセンサーも100円とかでただ同然でした。これは現在の3カ国以外にも広げていきたいと考えていらっしゃるんですか?

山川:そうですね。サイトを作るだけですから元手もそんなにかかりません。これが本業ではないですからね(笑)。でも面白いですよ。本当にお遊びですね。

トラック専業。でもニッチな場所を目指す

____山川社長のこのノリは素晴らしいですね。中西社長はトラック専業と思い決めている所があるので、このコントラストは興味深いです。

中西:いや。そう決めている訳ではないんです(笑)。そこまで「頭が働いていない」ということもあるし、前提として親の会社を引き継いだという責任もあります。それと、もともと僕自身はエンジニアであり、半導体の設計なんかをしていたので、トラックの世界が本当に新鮮だったんですよね。中古トラックの販売という、その仕事の内容が新天地でした。漠然と、トラックは日本の物流を支えているものだと思っていました。当時もそうですが、いまだに国内の物流事情は90%がトラックなわけです。これだけ環境問題が騒がれても、やはりトラックの需要は落ちないし、トラックという商材自体が「今後も不変だな」とは思っているんですよね。ドローンなどに取って代わられる部分もあるだろうけれど、規模は小さくなるだろうけれど、トラックはなくならない。そのトラックで携われる物流モデルだったり、関われるビジネスモデルに敏感であり、「トラック業界で関わり続けられればいいな」と考えてるんですね。ただ、それだけなんですよね。

山川:それで利益が出し続けられるのですから、それがいいんですよ。その中でヨシノ自動車は競争に勝ち続けているわけじゃないですか。さっきも言ったように、僕はどんどん人がいないところや入りづらいところに入っていくんです。それしかないんですよ。

中西:とはいっても、山川社長に共感している部分はすごく大きいんですよ。トラックというのは汎用性が高いのでそれこそ物流業界から、建設業界から、多種多様な業種にトラックは使われているので、未開拓の隙間を狙っているのは確かなんです。ベースとして、創業は運送会社から始まってることもあり、物流そのものだったわけです。だからこそ物流に特化した車種をメインではやっているのですが、中古トラックはほぼ売り上げの半分、残りの半分はボルボトラックのディーラーと整備、レンタカーに保険といった特殊な事業です。ボルボに関連したトレーラー、精密機械の輸送、こういったものは関東では弊社しかやっていないと思うんです。反響は大きくはないですが、競合他社が存在しない。あって一軒とか、そんなものなんですよね。そういう隙間をいくつもやっているのが現状の会社の実態なんです。むしろマーケットがニッチすぎて、悩んでしまうぐらいなんですよね(笑)。

____そうですね。中西社長は狭い国内市場に息苦しさを感じて、海外に目を向けたところもありますよね。「このままじゃどうなんだろう?」と考えてアフリカに目を向けた。

中西:とはいえ、将来的に社業を大きくできるような何かを僕は見つけられていないので、片方で新しいニッチを探すのもすごく好きなわけです。でも最近は、だんだんそのネタが少なくなってきちゃったかな。

山川:あはははは。大丈夫です。ビジネスの新しい方向性はいくらでも出てきますよ。

突破力をもった人材が求められる

____さてこれを最後の質問としたいのですが、山川さんが求める人材像について教えてください。 ぜひビィ・フォワードが求めている人材像を教えて欲しいです。

山川:はい。はっきりいってこんなに祭日が多い上に「労働時間を短くしろ」、「有給は5日取りなさい」とか、どんどんこの時代の働き手たちは限られた時間の中で、仕事をしなければいけなくなってきていますよね。 弊社は数十カ国でエージェントと提携して、ビィ・フォアードの仕事をして頂いています。日本で作業をさせるのはコストが合わないからです。その人達に「Kaizen」を見つけてあげて、指導監督する人達だけを日本に置くようにしています。だからそれが出来る、クリエイティブな人材しか日本にはいないんです。

____実務的な作業はアウトソーシングして外国で、ということですね。

山川:はい。採用も、無理をして未経験な日本人を採ることはありません。それだったら外国から呼んできます。同じ年齢でも国によってはレベルが違いますよ。ここに来るということは競争に打ち勝ってきている人材ですからね。

____例えば韓国だと厳しい兵役を耐えて、生き残ってきているわけですからね。確かにそのプレッシャーや競争を戦った経験値は、どうにも「日本の25歳(韓国で兵役を終えた大卒の一般的な年齢)とは違うな」と思わされます。

山川:本当にそうです。彼らはたとえどんなにお酒を飲んでもきっちりしてますよ。

中西:韓国は優秀な人材が多いですよね。受験も日本より厳しいし、そこを勝ち残って韓国の大企業に勤められる人材は、半分いるかいないかぐらいなんです。是非、もっと日本に来て欲しいんですけどね。最近は国同士の仲が良くないから、人材の交流はないみたいですけど。 

山川:彼らは本当に能力が高いのに、それに見合った仕事をしていない場合が多いんですよね。

中西:弊社の就職のコンサルティングをやってくれている方が在日韓国人の方で、その方の人脈なのですが、「在日朝鮮人だったり本国にいる韓国人だったり、優秀な人材の働く場所がない」と言うんですね。向こうに優秀な人材がいるんだけれど日本の名の知れている企業を受けると、「こんなご時世だから」と断られる。見てもいないのに、それだけで採用を見送られるような事例があるらしいんです。ちなみに弊社にも、その伝手で来月からひとり在日朝鮮人が入社するんですよ。

山川:そうですか。英語を喋れる人が多いし、良い人材が多いと思いますね。一緒に新大久保に飲みに行くと、ものすごく楽しいです(笑)。 弊社も10人ぐらい韓国籍社員が在籍しています。ともかくも、より競争力があって、厳しい仕事環境でも残っていけるような人が、求められて会社に残ることができる人材なんです。そこに至らない人は弾かれてしまいますね。どんどん外国人に仕事が取られていくと思います。ビィ・フォアードのように日本の文化や、日本語にこだわらなければの話ですけどね。 

____昨今の日本の就職活動は空前の売り手市場と言われてましたが、甘んじて中身が伴っていないと「生き残れないぞ」という話ですね。そしてビィ・フォアードは突破力をもった人材を求めているんですね。

山川:その通りです。突破力。良い言葉ですね。

山川博弘(やまかわ ひろのり)様
1971年生まれ。1993年明治大学文学部卒業。同年、東京日産自動車販売株式会社に入社。1997年、株式会社カーワイズ入社。1999年有限会社ワイズ山川を設立。2004年、株式会社ビィ・フォアードを設立。主な著書に『グーグルを驚愕させた日本人の知らないニッポン企業』(講談社+α新書)、『アフリカで超人気の日本企業』(東洋経済新報社)がある。

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