株式会社ヨシノ自動車

株式会社ヨシノ自動車 中古トラック事業部

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第35回

株式会社ヨシノ自動車 中古トラック事業部

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「新春特別企画“中古トラックのすべてを話します”2020」

この鍵人訪問記も3年目に入りコンテンツ編集に携わってきた者として、つくづく感じることは、ヨシノ自動車は創業60年の中古トラックのプロフェッショナルということです。時代や業界情報に詳しく、市場のニーズを読み取り、売れるトラックを仕入れます。そのほとんどが10万キロを優に超えるトラックばかりですから、売買後のトラブルも少なくありません。ダメなものはダメで、良いものは良い。中古トラックを値づけし販売してきた60年の実績は、顧客に「もち得る情報はすべて話す」という誠実さによって支えられてきたものです。そこで今回はヨシノ自動車の仕入担当、営業担当、Web担当に集まってもらい、中古トラックのすべてを話してもらいました。昨年あった悲喜こもごも、景気の動向、メーカー別の最新情報(噂ふくむ)、お得な買い方など必見の内容となっています。いま売れている中古トラックは何か?逆に人気のないトラックは何か?歓びと哀愁も漂う!? 中古トラック劇場の始まりです!

写真・薄井一議
デザイン・大島宏之
編集・青木雄介

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中古トラックはいつもタマ不足

ヨシノ自動車・本多:仕入のプロフェッショナル。日々、売れ残りのトラックを気にしている優しい中堅リーダー。

____まず仕入の皆さんにお伺いしたいのは、2019年の中古トラックの仕入れ状況はどんな感じだったんでしょうか。

昨年はヨシノ自動車のカラーに合った中古トラックが多く仕入れられたかというと、そうではありませんでした。そうなると、弊社は自分たちで作り出すしかなかったですね。

____作り出すとなると、レンタアップ(ヨシノレンタカーで使用していたトラックを販売する)のトラックを集めるのですか?

それもそうですし、 ボディを載せ替えてしまって売れるトラックに造り変えます。本当は作業に時間がかかるし、あまり効率が良くないのでやりたくはないんですよね。仕入れネタがいつもあれば 問題ないのですが、今年も常にトラックが足りなくて困っていました。あとは売れる中古トラックがないとまとめて新車のトラックをオーダーして、それを中古車市場で販売する他ありませんから。

____中古トラックのタマ数が不足しているのは、何か理由があるのでしょうか。

皆さんがトラックをより長く使われることもありますし、メーカーさんやディーラーさんが極力自社で販売しようとする傾向が強くなっているのも理由です。昔は中古トラック屋が専売で販売していたようなトラックを、自社中古トラックのような形で販売することも原因ですね。

2019年度に人気を集めた中古トラックとは

ヨシノ自動車・森川:営業のプロフェッショナル。ダンプ架装の“森川スペシャル”が業界でも有名な中堅リーダー。

____了解しました。では今度は営業の皆さんに聞いてみたいのですが、2019年度はどんなトラックが人気だったんでしょうか。

人気だったといえばトレーラーかな。自分の中では結構、大型ダンプが売れましたね。固定のお客さん以外にも新規のお客さんも多かったです。

____仕事があるということでしょうね。

はい。ダンプの仕事は多いと思います。むしろドライバーがいないとか、「買えない」と思い込んでいる人がまだまだいるのではないでしょうか。

____「買えない」というのは、どういうことですか?

個人のお客さんですね。「俺には買えない」と思い込んでる方が結構多いので、話を聞いてみると実際は「買えた」というパターンが多かったですね。独立する人も多かったし、自分で会社を立ち上げる方もいらっしゃいました。個人的にはダンプですが、会社は全般的にトレーラーが良かったですね。

____理由は何だったんでしょうか?

一つは新車の架装に納期がかかるから、新車が出てこないんでその分、中古車にニーズが集まりました。他の営業を見ていても、よくトレーラーが売れていた印象がありますね。

ヨシノ自動車・金野:主にボルボの営業担当。ボルボのトップセラーであり、奥さまの評判も良好。

____金野さんはいかがですか?

僕はボルボ中心だったんで、 まずドライバーがいない。そこでドライバーが乗りたいトラックを、ということでボルボの指名買いが多かったですね。それが宣伝効果になってボルボの新車がよく売れました。 一度お辞めになったドライバーさんが、ボルボを入れることによって「戻ってきた」というお話もお伺いできたり。 

____ボルボはボルボで、現在架装待ちみたいな状態になってますよね。

そうなんですよ。そこが問題でなかなかノーマルで乗る人がいなくなったこともあります。受注をいただいてから架装のリクエストをまとめると、どうしても納期がかかってしまいますね。

____ちなみにボルボの中古を売れと言われたら売りたいですか?

勘弁して欲しいです(笑)。 ただ2014年度以降のボルボは非常に信頼性が増しているので、 今後の中古トラック市場では期待できますね。 

トレーラーの人気の秘密は新車の納期がかかりすぎること

____ちなみにトレーラーとセットで販売されるようなケースもありますか?

多いですね。 やはりボルボは力があるのでダンプトレーラーと一緒に販売したり、トラクターとトレーラーをセットで考えていただけるパターンも非常に多いですね。 ただ先ほども言ったように新車のトレーラーは納期がかかる状態なので、中古トレーラーを探してくるパターンも多いです。 トレーラーの仕様を変えるにあたって、「初のセットはボルボで」というお客さんもいらっしゃいました。ボルボで走ることによって、そのトレーラーの宣伝効果も付加したいということだと思います。

____中古トラックの魅力というのは、新車なら納期がかかるところを即納できることも大きいですよね。架装屋さんの状況というのは、ここ数年ずっと厳しい感じですよね。

架装屋さんも厳しいですし、塗装屋さんも厳しいです。 架装屋さんはどうにかやってもらえても、塗装屋さんが2ヶ月待ちなんてこともあります。 

____納期に時間がかかるというのは、ここ最近の顕著な傾向なんでしょうか。

一同:もうずっとです。

震災以降はずっと納期待ちの状態ですね。

ヨシノ自動車・中西:3代目の社長。社業が拡がりすぎて日々忙殺。携帯の待ち受け音はTOTOの「アフリカ」。

____それはなぜでしょう?架装屋さんが減っているんでしょうか?

大きなタイミングは2008年にリーマンショックがあった時に、廃業が相次いでそもそも縮小してるんですよ。シャシーメーカーさんもボディメーカーさんも。シャシーメーカーさんは日本だけじゃなくて海外にもニーズがあるので別なのですが、ボディメーカーさんは ほとんど国内需要だけでやっているので、工場のラインもすごく縮小しちゃってるんですね。その3年後に震災があって、大量のトラックが使えなくなってしまいました。そこで特需が生まれたんです。そこから慢性的にトラック不足が生まれています。それは中古車も新車もなんです。現在では平気で納期待ちが、1年から2年というのが普通になってしまっています。ボディの形態によっては一時的に納期待ちが解消されたりはしますが、 全体で見れば慢性的な納期待ちに陥っちゃっていますね。たとえば震災直後だったらダンプが2年とか、それが落ち着いたと思えばカーゴ型が2年とか、先ほどのトレーラーもそうですし、重機もそうです。

今年はやはり不景気になる!?

____トラックは足りない。架装が追いつかないということであれば、トラック業界はまだまだ景気が良い状態が続きそうな気がしますが、その辺はいかがでしょうか。

楽観視はできないですね。私は今年から一気に不景気になると思っているので、市場規模で言えば絶対に落ち込むと思いますね。

____何がきっかけでそうなると思いますか?

対外的な話なんで不可抗力なんですが、今は米国と中国の仲が悪いですよね。どちらも関税をあげまくっています。それによって世界の金融と流通が止まってしまっているんです。日本は中国にも、アメリカにも恩恵を受けているんですよね。海コンの話を聞いても、有明あたりは荷の量が落ちていると聞いています。前年に比べてそうなんで、来年はさらにそれが落ち込むと思います。産業廃棄物も現在は悪くないですが、これ以上良くなる見込みはありません。古紙やダンボールの値段がどんどん下がってしまっている。その価格を支えてきたのは中国なんですよね。中国が古紙の輸入を止めてしまったのが大きい。昨年まではキロ当たり10円ぐらいだったんですよ。相場観でいえばキロ当たり5円でプラマイゼロ。それが今は2、3円と聞いています。それだと採算割れですよね。

____確かにトラック業界においては厳しい話ですね。

片方で現政権だと、特に首都圏はオリンピックが終わってからも公共事業や民間事業が数年先まで埋まっているような状態なので、そこに関しては安定した需要があると思います。 

____では建設以外は厳しくなっていくのではないか、ということですね。

その可能性が高いと思いますね。

中古トレーラーの販売実績は継続の賜物

ヨシノ自動車・伊東:WEB営業。冷静沈着にして腹が据わっているので「ドライバーに迎えたい」という運送会社は多数アリ!?

____気が重くなってきました(笑)。話を変えまして、Web 担当の皆さんには2019年度はネットでどんな中古トラックが売れたのでしょうか。

まんべんなく売れたといえばまんべんなく売れたのですが、やはり2019年はトレーラーがたくさん入ってきて、その影響でトレーラーの問い合わせが多かったですね。集計をとったところ、やはり販売台数もトレーラーが一番多かったです。 

____湘南の車庫を見ても、昨年に比べてトレーラーが増えましたよね。

それに応じて、問い合わせが多くなりましたね。

秋ぐらいにトレーラーの波が来て、特にウイングトレーラーが多くて、1日に5件とか業者さんから問い合わせがある日もありました。ウイングトレーラーは一旦落ち着いたのですが、11月頃から重トレーラーの問い合わせが多くなってきました。 

____ヨシノ自動車でトレーラーが多く売れているというのは、仕入れのお二人が多く買い付けているということですよね?

意図的に多く仕入れています。まず売れると見込んで仕入れていることもありますが、トレーラーを扱っている業者さんが少ないという実態もあります。トレーラーを扱える中古トラック販売店って少数なんですよ。 中古トラックの老舗のお店なんかでもトレーラーの相場が分からなくて、私の方に問い合わせが入ったりもするぐらいです。そこは私がヨシノ自動車の決起大会で「熱く売っていこう」と宣言したところでもあるので、昨年は頑張りました(笑)。

____では本多さんがブルーオーシャンだった中古トレーラーに注力してきた結果、2019年に花開いたような形なんですね。

自分の口では言い難いですが(笑)、そうですね。

本当にそうですね。決してゼロからスタートしたわけではないんですが、地道にやってきた結果が出たんだと思います。

首都圏では中型がどんどん不人気に!?

ヨシノ自動車・茂木:WEB営業。営業のかたわら、社内のクリエイティブを一手に引き受ける美大卒。通称・レディC。

____わかりました。では逆に2019年度、 このトラックは「売れなかったな……」というところを是非、教えてください。

僕の感覚からすると、中型クラスがイマイチでしたね。「大きさの割には積載が取れない」という話が多かったように思います。中型となると中途半端に大きいですよね。「それだと入れない」とか、「中型車は駄目だね」という話をよく聞きましたね。逆に「2 トンの小型にしたい」という話が多かったです。今まで4 トン車を買ってきたのに、積載が取れないし、大きいしで「コンビニにルート配送してるぐらいの大きさの小型に切り替えたい」という話が多かったです。ニーズがそっちに移った感じがありますね。それはお客さんからも言われましたね。

中型が人気ないのは積載が取れないことと、ドライバー不足も大きいと思いますね。昔の中型免許(8トン未満限定)だと8トンは乗れないけど、クレーンもせいぜい4 トンユニックだと積載が2トン半ぐらい。だったら「小型にするわ」というパターンが多かったですね。4 トンウイングも確かに少なかったな。

これって地域的な理由もあると思っているんですよね。森川も金野も地元で売ってるんですよ。だからそういうニーズになっちゃってるんですね。3トン半も4トンも僕がオーダーしているんですが、 全く売れてないわけではないんですよ。売れてるのは、地方なんですよね。地方になると逆に運ぶ場所が遠くなるので、中型じゃないとドライバーさんに負担がかかっちゃうんです。エルフやキャンター、デュトロといった3トン車で長い距離を走らされるのはやっぱり辛いんですよね。

____すごく分かります。

関東や特に神奈川のお客さんなんかは、地元の短い距離でお客さんが多いので小型に人気が集まるような傾向があるんだと思います。大阪の近県や首都圏とは、やはりニーズに差が出てきちゃうんじゃないかな。

予想外の増トン不人気

____やはり準中型免許(7.5トン未満)が普及してきたことで、逆に小型が人気になったということもあるんですかね。

そうですね。現在は準中型免許からスタートができますよね。この上のクラス、本来なら増トントラックが狙い目になるはずだったんですよ。でも、そこは全く駄目だったんです。

そうなんです。増トンが売れてないんですよ。

今年は特に増々トンがまぁ……、外れましたね(笑)。今のカテゴリ分けと小型と、増トン(6トン)、増増トン(8トン)と2つのニーズが生まれるだろうと思ったんですが、小型は生まれましたが上のクラスは生まれませんでしたね。

まず免許を取るのが手間だし、お金もかかるし、時間もかかりますよね。ドライバー不足なのに免許を取りに行かないと4 トン、 8トンは乗れないのでなかなか難しいという感じはありますよね。 

____それならいっそ「大型を乗ってもらった方が良い」ということなんでしょうね。

そうですね。あとは物流がこの5年で変わったんですよね。弊社の厚木営業所の付近にも物流倉庫がいっぱいできてきて、首都圏は高速道路も網羅されていて、インフラがしっかりしているので長距離は大型、中短距離は小型というような物流の区分けがはっきりしてきたんですよ。大手さんなんかも京阪地区3拠点あったものが、1箇所に集約しちゃったりとか、そこまでは大型どころかもっと積載が取れるフルトレーラーや、3軸のセミトレーラーを使うようになっているんです。その意味では中間車型の「中型は厳しい」と言えるのかもしれないです。それは我々も、最近になって分かったことなんですよね(笑)。

____それもあって今年の不人気車は増トンだったんですね。Web でもやはりそんな感じだったんですか?

確かに Web でもやはり「増トンは残ってるな」という感じでしたね。 

中型車に関して言うとWebは全国に向けて販売しているので、集計を出しても4トンウイングがトレーラーの次に売れてるんですね。やはり地方だと需要があるんです。 

この中古トラックがなぜ売れない!?

____ちなみに中古トラックが売れ残っているとされるのは、だいたいどれぐらいのタイミングからでしょうか。

入庫してから4ヶ月目に入ったぐらいから価格調整が入りますね。そこから2ヶ月ぐらいが弊社で持っておける、ぎりぎりです。車種にもよりますが、6ヶ月目に入るぐらいで「損切りしよう」ということになってしまいます。それは必ず毎月ありますよ。

仕入れる方としても、半年経つと「やばい」という感覚になってきますね。

____3ヶ月目ぐらいから黄色信号が灯り……

半年経ったら赤信号ですね(笑)。

____仕入れ担当者としては、そこはドキドキなのではないでしょうか?

売れる車とセットで考えているので、そこは仕方がないんですよ。そこで仕入れをビビってしまっていると、売れる車も買えなくなっちゃうんですよね。 

____なるほど。商売の妙ですね。

それはそうなんだけど、自分が仕入れたトラックがずっとフリーだったりすると「なぜこの車は売れないんだろう」って気になってきちゃうよね(笑)。 1回も商談が入らないで、3ヶ月ぐらいフリーだったりすると「なんでだろう」って(笑)。

一同:笑

未使用車の高床の日野なんかも、ほんとそんな感じですよね。別に不人気でも不得意な車種でもないのに、なぜ商談が入らないんだと。

弊社は過去の商談履歴が残っているので、システムでそれを見れば、価格だったり仕様だったり、だいたい原因が分かるものなんです。そういう分かりやすい理由があったりするものなんですが、1回もなかったりすると判断の仕様がない。

____面白いですね。そういう謎に売れないトラックというのがあるんですね。

あります。毎月ありますね。

そのトラックをあきらめて、業者さんに出した途端に一瞬で売れたりもするんです。そこは難しいんですね。

それが地方に売ってすぐ売れるんだったら、まだ分かるんですが、同じ神奈川県内の業者さんに流したりすると、「あれ売れたから早く書類ちょうだい」なんて言われたりするんです(笑)。弊社と目と鼻の先にある会社で「それウチにずっとあったのに……」って。

2019年、良くも悪くも思い出に残った中古トラック

____タイミングやコネクションの違いだったりするのでしょうか。面白いです。では皆さんの2019年、良くも悪くも思い出に残る1台とはどんな1台だったんでしょうか。

僕の場合はダンプをノーマルから仕上げるパターンが多いんですが、納車するまでものすごく悩まされた案件がありました。それが無事に納車されたとき、やっと美味しいお酒が飲めたのが思い出ですかね。ダンプのお客さんが飾るというのは半分、趣味なんですよ。「見に来て欲しい」と頼むと、「見に行けないから任せる」と言われます。それで全部、メールと電話で先方の希望通りにトラックをつくるんですが、ものすごく大変なんですよ。それで実際に見せると「ここが違う」となっちゃう。それが一番手がかかったし、思い入れも深いですかね。納車した時に「ありがとう」と言ってもらえたので良かったですけど。 

僕はトラックショーに出した、プロフィアのセルフローダーが思い出深いですね。あれも作るのにえらい時間がかかったんで、仕入れてから、かかった時間で言えば、いつ社長から「はい。もうここまで」と言われるか気が気じゃなかったんです(笑)。元々はセルフでもなくて1台のキャブシャーシ(キャビンとフレームのみの車体)から、 「ああしよう、こうしよう」とイチから作ったんですね。 せっかくショーに出すトラックなので「豪華仕様にしよう」と考えていました。 サイドバンパーもこだわっていて、一見そんなに違わない既製品もあるのですが、あのサイドバンパーは触ったら傷がついてしまうのではないかというぐらい、磨きこんでいるんです。 そこにこだわりまくったことで、全体の架装の金額がものすごく跳ね上がってしまいました。そこは賭けだったんですが、トラックショーでもみんなサイドバンパーを見てくれていたんです。「あのバンパーすごいね」とすごく評判になりました。結局、5年落ちですが、ベーシックな新車より高いかもぐらいの金額になったんですね。でもネットに出した瞬間に売れちゃいましたね。

自分は絶対、あれ売れないと思ってたもん。「あの価格じゃ、自分は売れない」って本当に思ったんだよね。 もちろん車はいいんだけど、その金額はお客さんには言えないっていうぐらい高く感じてたのね。 でもすぐ売れたもんね。 

トラックショーに出品する効果とは!?

仮に売れなかったら、トラックショーに出して「宣伝になったよ」とでも言うしかないじゃないですか。その理由をいろいろ考えていたんですが(笑)、ほんと売れちゃいましたね。

やっぱりショーはすごいんだね。

それで言ったら僕も同じトラックショーに出したボルボが思い出深いですね。赤いツーデフの。 今回の新型になって、僕にとっても初めてのツーデフだったんですよね。後ろのトレーラーもすごく特殊で、伸縮できるタイプで、弊社のアルフレッドも中国まで行って調整をしたりして、実際は陸運局に行くまで不安で仕方がなかったんです。本当に登録できるのだろうか、と。 無事ナンバーがついた時はすごく嬉しかったですね。 弊社のファストエレファントのこともお客さんが「僕が宣伝するから」と言ってくださり 、最後に「ありがとう」と言ってもらえて嬉しかったですね。

____なるほど。やはりトラックショーは華なんですね。増田さんはどうですか?

だいぶ個人的なんですが、3軸のリフトアクスル付きの海コンシャーシを仕入れたんですね。スクラップの箱が載っているタイプで九州の入札会に出ていました。他にもそのトラックに強い業者さんがチェックしていたらしいのですが、トレーラーというのは重量緩和の知識が必要で売れるかの見極めが難しいんですね。僕も本多さんに訊きながら、「この車、価値ありますかね」って恐る恐る入れました。さらに兄弟(同型車種)がいて結局、3本取れたんですね。関東に持って帰ってみたら、ネットで争奪戦になりました。 それでしっかり利益が出たのはすごく嬉しかったですね。

ヨシノ自動車・増田:仕入担当3年目。すっかり貫録が出てきた若手のホープ。

____良い話ですね。

他社さんは「それで本当にトン数が取れるのか」とか「分からないから」といって諦めた車だったんです。それを僕が相談しながら仕入れて。お客さんのところに納まったというのがすごく嬉しかったですね。

仕様がひとつ違うだけで価格が暴落する……

____なるほど。その専門知識があるかないかで商品になるか、どうかが決まるんですね。仕入れの醍醐味ですね。社長は何かありますか? 

僕は失敗だったらありますね(笑)。キャリアカーのセットがあって元々、同業者さんから仕入れて、ちょっとお付き合いで仕入れたトラックがありました。 結構、似たような形式だったんで似たような金額設定にしていたんですが、 想定していたより相場が暴落していたんですね。 例えば800万が100万下がって700万だったらまだ分かるんですよ。 それは200万が50万ぐらいにしかなってなかったんですね(笑)。それは本当に痛かったな。 キャリアカーには問題がないです。その仕様が問題だったんですね。年式で仕様が微妙に変わっていて、それによってニーズがまったくありませんでした。それは、ほんと泣きそうになりました(笑)。 

2020年に売れる中古トラックは何か

____貴重な失敗談を有難うございます(笑)。では2020年、ヨシノ自動車はこんな中古トラックを売りたいというのを是非、お聞かせください。

自分は、ダンプが来年もいっぱい売れると思っています。 うん。売れる感じはするかな。まだまだ納期もかかってますからね。 自分としては売れてる感じがするけれど、会社的にはそうではないかもしれないけど。

他の業者さんと話していても、ダンプ入れると「また森川さんでしょ」って言われるんですよね(笑)。

ダンプはお客さんの紹介で、販売ができちゃうんです。でも産業廃棄物系は結構難しそうだな。チップ車があれば売れるけど、なかなか仕入れられないもんね。

____納期がかかるってことですか?

いや。メーカーも ボディメーカーも、我々に出すより 自分たちで直接売りたいんですよね。だからなかなか出てこない。

今年からの流れで行けば来年もトレーラー、海コンシャーシ、産業廃棄物用のエコロジーボックスとか。 総じて、荷物が単車じゃ積みきれないらしいんですね。チップトレーラーやトレーラーウイング、この辺は来年も継続して売れそうな気がしますね。

僕はどうしてもメインがボルボになっちゃうんですけど、やはり運転手さんがなかなかいない中、運転手さんに乗ってもらいたいと思ってもらえるボルボが売れる、という傾向は続くかなと思っています。そんなボルボの関連で言うと問い合わせで多いのが重機トレーラーです。それで8輪や16輪が一緒に売れることもあります。全般的に「2020年もトレーラーが売れるんじゃないかな」と思いますね。そこにボルボがセットに出来れば良いですね。 それと僕は2 トン、 3 トン車のお客さんが多いので、「そっちは売りやすいかな」と思っています。やはり全体的に納期がかかっているので、 お客さんも電話一本で「欲しいからすぐ持ってきて」というようなケースが多いですね。 

私たちは大きいトラックを売ると、「売れた」という気がするので来年も大きいトラックを売れると嬉しいです。

今年売れたトレーラーに関しては、売れた先で「ヨシノ自動車はいっぱいトレーラーあるじゃん」ということになって、後からまとめて何台か買っていただいたりもしています。だからリピーターのお客さんも「これから増えるのかな」と期待しています。 

箱モノにはエアサスが無いと売れない!?

____なるほど。やはりトレーラーは売っている所があんまりないんですね。

専門店があんまりないんですね。その中で在庫が多く掲載されているから、ここ1、2年でヨシノ自動車にそういうイメージがついたのかもしれませんね。業者さんにもお客さんにも。

ヨシノはやっぱり箱物が多いので冷凍車やウイング車、その仕様を抑えていることにこだわりたいです。エアサスだったり、まんべんなく用意しておけば引き続き、ちゃんと売れていくのかなと思っています。 それがリーフサスだったりすると、現在求められている仕様ではなかったりするので、売るのに苦労しそうだなと思います。 だからマストな仕様を用意しておけばちゃんと売れるような気がするんですね。冷凍車や、ウイング車はやっぱりエアサスが必需品ですね。

本当にウイングはエアサス指定が多いから、全般的にエアサスは大事な仕様ですね。 

現在は荷主さんの指定が結構、うるさいんですよね。 

機械系でさえエアサス指定というところが多くなってきています。 精密機器でも医療系なんかだと冷蔵機が付いてないとダメ、温度指定に応えられないとダメ、さらにエアサスじゃないとダメ。やっぱり全体的に荷主さんの方向がそっちなんですよね。

プロが教えるメーカー別“ここだけのハナシ”

____ちなみに冷凍車の仕様でトレンドはありますか?

菱重かサーモキングのどっちを選ぶというと、昔から菱重が人気です。現在はサーモキングがだいぶ良くなってきてるので使ってもらうとトラブルはなかったりします。それには裏技があってベルトを日本製に変えると良いらしいんですね。向こうから来た冷凍機のベルトをそのまま使っていると大体、切れちゃうらしいんですよ。

____この話、面白いですね。ではメーカー別の「中古トラックのプロが教える、ここだけの話」をしましょうか(笑)。皆さんが中古トラックの売買で気になる噂や、トレンドを是非、教えてください。

自分は去年 、UD は一台も売っていないので3メーカーに絞られちゃいますね。 2019年のことだけで言えば、この3メーカーはほとんど差がなかった気がするんです。ふそうのスーパーグレートも新型になってから「オートマのトラブルがほぼない」と聞いてるし、カーゴ型もダンプもトラブルの話は聞かないですよ。ちょっと前までは UD の次は、ふそうが故障が多かったんですけどね。 

その前が「壊れすぎた」っていうのはありますよね。 日野、ふそうが人気メーカーだったのに そこで差がついちゃった感じはしますよね。オートマだけじゃなくてエンジンも結構、トラブルが多かったんですよね。

ダンプでオートマと言ったら日野は人気がありません。いすゞのオートマも本当に人気ないし、じゃあ「ふそう?」ってなると、ふそうが売れちゃうんですよね。今はやっぱり女性のドライバーも増えているので「オートマがいい」となったら、無条件にふそうになっちゃうんですよね。実際に壊れてないし、オートマだから楽だし。 

やっぱりミッションとエンジンのマッチングがいいんじゃないでしょうかね。 

両方ともダイムラーだしね。 

結局、日野もオートマのミッションは海外製なので。

逆に日野も新型になっていいのかな、と思いきや、9リッターエンジンの方は壊れると聞くし、13 リッターだと積載が取れないので評判はいまひとつ。でも日野は見た目が良いから売れちゃう。 元々、壊れないイメージがあって自分の中でも日野がナンバーワンブランドなんだけれど、最近ではそういう話も聞くんですよね。と言いながら、「新しい9 リッターは良い」という人の話もあるんですよ(笑)。この辺の話は人によって違うし、あくまでも噂ですからね。 

その前の9リッターエンジンのイメージもあるんじゃないですかね。トラブルは多いし、馬力もないし、「良いところがない」って言われてました。

じゃあ、いすゞは売れないかと言うと全然、そんなことはなくて、燃費が良いらしいんですよね。どうやら国産では一番、燃費が良いみたいです。マニュアルでも全然、良いみたいですよ。  

____そういえば、ヨシノ自動車はいすゞのスムーサーGx率(オートマ)が高くないですか?

皆さんは嫌うようですが、僕はそんなに嫌いじゃないですから(笑)。  

だから自分の中だと3社横並びなんですよね。1社(UD)は別として、その1社も含まれて3社になるじゃないですか(笑)。 いすゞだって全てが良いかと言ったらそうでもなくて、致命的なトラブルの話もよく聞きます。 

プロはいすゞのUD合併をこう見る

____おかしいな。日野のオートマって評判悪いんですか?

いや、新型は悪くないと思いますよ。 

____海外製のオートマって、きっとZF社製ですよね。

そのはずですね。ZFは名門だし、シェアも高いんですけどね。いすゞが一時期 ZF 製のミッションを搭載していた時、やっぱり故障が多かったんですよね。  

____面白いですね。実際に中古トラックを見に行くと、そのトラックを仕入れた理由も分かるし、懸念点はすべて話してくれるのがヨシノ自動車の良いところですね。この話題が面白いんで予定にはありませんでしたが、皆さんはボルボといすゞの 提携、いすゞの UD 合併はどう思われますか?

元々 、UD は25 トンから下はいすゞですもんね。 

コンドルは中身がフォワードですもんね。 あとキャンターの一部を使っていたりとか。

____UD の25トンは残るんですかね?

そこは残すと思います。あくまでも個人的な見解ですけどね。自動車業界の歴史で M & A はいくらでもあるけれど、ブランドそれ自体が無くなるのはほぼないんですよね。 GM がどんどん世界のブランド買っていた時にもほとんどブランドは残しました。イギリスの自動車メーカーだって単独資本は一社もないけれど、ブランドはほぼ全部残ってるじゃないですか。 そう考えても UD は少なくとも5年は残ると思います。クオンと新興国向けのクエスターは、東南アジアでもシェアがありますし、トラックとしても悪いものではないので。

____自分のような部外者が傍目から見ると、いすゞがボルボに UD を押し付けられちゃったのかな、なんて見えちゃうんですけどね。

実際、そうだと思います(笑)。その代わり、「技術を教えてあげるぞ」ということなんだと思います。対等的業務提携とは言っているものの、同じ国なんだから UD と協力し合いなさい、と。その代わり先進技術は「ちゃんと教えるから」ということなんだと思います。世界の技術を共有しましょう、と。

____そうなるとすると、今までヨシノ自動車はボルボをUDトラックスから買っていた訳ですが、いすゞから買うことになるのでしょうか。

基本的に変わらないです。UDトラックスのボルボ事業部が車両を提供してくれます。資本関係は変わっているけど、実務は変わっていません。

ヨシノ自動車が教える“中古トラックの上手な買い方”

____それではこちらを最後の質問とさせていただきます。それぞれが教えるトラックのお得な買い方を 教えてください。

それは簡単ですね。僕から買えばいいんです。

____おっと!それは「安く売りますから」ということですか?

安く売るというより、僕はトータルの収支を考えるので1台売ろうとして、高く売りつけてしまったら次はお客さんが買ってくれないですよね。そういう場合は、こちらからわざと値下げ交渉をしたりもするんです。その先に繋がることを、期待してるんですね。取引が長ければそれも取り戻せます。この仕事はこっちだけいい思いをしたら続かないというのが、当たり前のことですから。

そうですね。欲しい車をインターネットで探さずに、前もって営業に教えておいてくれるといいんじゃないですかね。ヨシノ自動車でも良い状態の車で「お買い得かな」と思える車はネットに載る前に売れてしまうんです。ちょっとでも「安いかな」とか、状態が良ければ、ネットに載せる写真を撮る前に営業たちが販売できちゃうんです。 「自分のお客さんにはこの車がいいな」と思ったら先にそのニーズのあるお客さんに話しちゃって、受注しちゃうのは結構あることなんですね。 一番のお買い得といえば、やっぱり僕から買えばいいんですよ(笑)。 

____素晴らしい。熱い戦いが感じられます。そういう営業さん達に知り合うのはどこがいいんですかね?

例えばネットで問い合わせをしていただいて、値段だけ聞いて「じゃあ、いいや」だと続かないから、「こういう車が出たら教えて下さい」と事前に情報を聞かせてもらえるだけで十分なんですよね。

____むしろそこで見つけてくるぐらいの機動力が、ヨシノ自動車にあるということですね。

はい。自分は、問い合わせがあったときは連絡先を教えてもらって、要望の車についての話なんかをさせていただくんですよ。 そこから繋がって販売するというのは、非常に多いパターンですね。本当にお買い得で、欲しい車があればお名前と電話番号を教えてください(笑)。 

自分でやることで値段はより安くなる

____わかりました。さてネットで買う時にお買い得な買い方って何かありますか。

そこは森川さんと一緒でネットを見て問い合わせを頂いた時に、「こんな車が出たら教えて」と言っていただければ我々がネットに載せる前に販売することができます。 一番先に商談を入れてから、公開前にお客さんと話せるメリットはありますよね。 

____なるほど。 伊東さんはどうですか?

ネットなので不思議なのですが私が販売したこともないはずなのに、会ったこともないのにチョコが送られてきたりとか、そういうのはあります(笑)。 「俺だよわかる?」 と電話があったり(笑)。

そのお客さんは、私もよく知ってるお客さんなので「社長に言いますよ」と伝えてください(笑)。

____ということは、お菓子をあげれば話も弾みますよということですね。

そうですね。電話口の応対だけになっちゃいますけど(笑)。 

____では増田さん教えてください。増田さんの考える中古トラックのお得な買い方をぜひ。

そうですね。すごくつまらない答えになっちゃうかもしれませんが、お客さんが自分でできることを自分でやられたら、その分だけ価格は安くなります。 DIY じゃないですが、不具合なんかもこちらでメンテナンスして販売すれば、それだけ価格に反映してしまいます。大体どこの運送屋さんもいつもお願いしている工場はあると思うので、そっちでやってもらう。ヨシノ自動車でメンテナンスすればすぐ乗れますけど、納車も自分で取りに行けば、その分の費用は浮くし、そういうところで細かくコストを削減するのも手だと思いますよ。 

リースを上手に使って、健全な経営環境を

____なるほど。一度買ってしまうと任せっきりになってしまって、そこに費用が載っていることに気づかないということですね。すごく合理的で良い、お得な買い方だと思いますね。では最後に社長、お願いします。

そうですね。私が思うにお客さんは、まだまだトラックを所有する意識が大きいと思います。特に我々がお付き合いしているお客様は中小のお客様が多いので、資産がないからトラックを資産と考えたいのは分かるんです。でも本業で収益をしっかり取れるような環境にするためには、購入よりは、使用する期間だけ払うという考え方にしたほうが良いと思っているんですね。それが一番、リスクがないんです。 本当に純然とした、中古車をリースで組むとなると保証外になってしまうのですが、新古車だったり、レンタアップの車を購入する場合は保証を組むことも可能なんですよ。

____確かに保証が組めると安心ですよね。

ボルボもそうですが、その保証を組んだ期間は、定額で乗れるわけです。 そういう買い方をしたほうが、実はお得なんですよ。あれってヨシノ自動車的には全く儲かってないですからね。簡単に言うと、最初にリースを組んでいる間は、弊社は儲かりません。その間はお客さんが儲けてください。試用期間が3年でも5年でも、終わった時にその車はご返却いただきます。 そこから先が、我々が本業とする中古トラック売買のネタになるトラックなので、我々と長くお付き合いいただけるはずなんですよね。

____もちろんそれは、それぞれの経営環境に応じて判断した方がいいということですよね。

そうです。バランスからいっても、全てをリースにした方がいいと言っているわけではなくて、せめて半分はリースの方が経営からいっても財務改善には大きく寄与するはずです。無駄な資産を持たない、ということはすごく重要なんです。 

____経営者的な視点のお得術ですね。片方で現有している車両を、リースにして使用しながら現金化する方法もありますものね。

積極的に展開されている金融機関さんは多いですよね。会社は何か新しいことを始めるにあたって、資源が必要な場合も多いので、それを有効活用するためにリースバックするのはすごく有効だと思いますね。何か挑戦するための資源としてのリースバックは非常に大事だと思います。これは同じ経営者としての目線なのですが、すごく良いことだと思います。金融商品というのは経営環境によってプラスにもなるし、マイナスもなるんです。ここが弊社の強みでもあるんですが、お客様の環境に応じた提案はすごく自信のあるところなんです。 

2020年もヨシノ自動車の中古トラックを宜しくお願い致します!

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