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トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第36回

東京オートサロン2020特集

東京オートサロン2020特集

「トラックショーへの序章!? 東京オートサロンでカスタム勉強会」

3日間でのべ33万人の動員を記録した、今年の東京オートサロン2020。輸入車メーカーの出展も相次ぎ、カスタム好きだけでなく車好き必見の恒例行事の様相を呈していました。とはいえ、そこは日本のカスタム文化の発信源でもある東京オートサロン。ボルボトラックのカスタムラインを手がけるファストエレファントも気にならない訳がありません!そこでファストエレファントのディレクターであるアルフレド中渡瀬と中西俊介が、東京オートサロンを探索してきました。狙いは5月のトラックショーに向けて、さらなる刺激をもらうため。さてふたりは日本のカスタムの中心地で、どんな刺激をもらってきたのでしょうか?

写真・薄井一議
デザイン・大島宏之
編集・青木雄介

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トラックのフォグランプにも使えるバーライトのLED

____さて東京オートサロンの会場にやってきました。めちゃくちゃ混んでますね!今回は今年5月のトラックショーに向けて、東京オートサロンに刺激をもらいにやってきました。頑張りましょう!

おー!

おー!

____まずこの LED ランプから見ていきましょう。ファストエレファントとしては、「これをフォグランプにしたい」ということですね。

アウトドアカスタムだと、流行というよりすでに遅いぐらいですね。丸型のフォグランプはいわゆる作業灯ですが、現在はこういうバーライトの LED が主流なんです。ただ好き嫌いはあります。昔ながらの丸型で大きなフォグランプが好きな人もいれば、 こういう新型の形が好きな人も多いです。

____これをボルボのトラックにつけてる人もいますか?

もういますよ。ファストエレファントのお客さんでも3人ぐらいいらっしゃいます。

____そうなんですね。これって東京オートサロンではアウトドアテイストでしたが、ボルボで言えばフォグランプを LED にしてるっていう飾りですか?

ボルボに関して言えば実用性はなくて、今時の流行という感じなんでしょうね。普通の乗用車もグリルのところに LED を埋め込んだりしますよね。あの感覚だと思います。

正直、実用性はあまりないですよ。下手な付け方をすれば対向車の迷惑になっちゃいますからね。

____この IPF という会社は有名な会社なんですか?

フォグランプでは有名な会社ですね。価格も結構、安いです。日本でフォグランプといえばPIAですよね。IPFはモノは良いし、安いです。トラックショーのトラックもこれをつける方向で行きたいと思っています。

※株式会社WALD(ヴァルド):メルセデスベンツやジムニーなどアルミホイールやエアロを制作するパーツ販売会社。http://www.wald.co.jp/
※IPF株式会社:高崎市の自動車用照明器具メーカー。http://www.ipf.co.jp/products/all_products.html

テールエンドをレーシーに見せたいスタイル!

____そして私にはなぜ惹かれるのか分からないのですが、カマロから出ていたマフラーの4本出し。アルフレドさん、これって普通じゃないですか?

これね、 トラックでやったらカスタムの革命になると思うんですよね。乗用車でマフラーが出ているものはあっても、トラックでマフラーエンドを外出ししてくるパターンってないんですよ。煙突以外は。こういう風に4本出しにしたら新鮮ですよね。

____そうか。確かにないかも。 

トラックのマフラーはデフがあったりするから、出そうと思うと難しいんですよね。

そうなんです。さりげなくチラッと見えてるだけでも、格好良くないですか?

____セノプロさんがマフラーをモリワキで作ってましたよね。あのノリかな? 

あれも良いですよね。マフラーをレーシングメーカーに特注するのはアリだなぁ。

※セノプロ様のカスタムはこちらをご参照ください。https://www.yoshino-motor.co.jp/keyman/32/business.html

インテリアを間接照明で上品に演出したい!

____さて次はインテリアの間接照明について。これは排熱口に照明をつけているけど、アルフレドさんはインテリアに導入したいんですね。輸入車から始まってインテリアの間接照明って乗用車ではもうすっかりお馴染みになったけど、それをトラックに入れたいんですね。

そうですね。現状だと点のベルトになっちゃってるんで、このLEDのラインをトラックにも入れたいんですよね。でもなかなか売ってないんですよね。

____それは意外ですね。売ってないんだ。このダウンライトで組んだらボルボの内装もセクシーになりますね。  

はい。それとこの車のダウンライトの使い方って、すごくおしゃれじゃないですか。すごくセンスがいるんですよ、ダウンライトの使い方って。 僕は、ボルボはやはり上品なイメージを大事にしたいので、このダウンライトを上品に使いたいんですよね。 

____その辺は「スカニアとは違うぞ」というわけですね。 

・・・・。

・・・・。

※写真は本文とは関係ありません。

____そうはいってないか(笑)。そっちが V8なら、こっちは直列6気筒エンジンだぞと。「シルキーシックスだぞ(笑)」というわけですね。

まあ、そもそもが違うんですよね。演出が違うんだもん。スカニアとボルボは。

____世界観が違うわけですね。

はい。世界観が違いますね。

スカニアってノーマルの状態で仕上がっているんですよね。耳(サイドエアロ)はついてるし、サイドバンパーもついてるし、仕上がって日本に入ってくる。それは良くも悪くもあって、カスタムの選択肢を狭めている気がするんですよね。逆にボルボはまっさらな状態で入ってくるので、カスタムの楽しみがいっぱいあるんですよ。 ノーマルでもボルボはすごく上品なんですよ。

※一連のカスタムはSKIPPER。東京都町田市のカスタム&アフターパーツ販売店。http://www.skipper.co.jp/

テールランプをもっと演出したい!

____なるほどね。照明つながりでいくと、このレヴィーアのポジションランプ。スモールランプを付けると一回だけ演出点灯します。

エンジンをかけた時に一回だけラウンドが点滅して、作動するんですよね。もちろん法律上ずっと作動するわけにはいかないんですけど、ショーカーとしてはずっと点滅していて欲しいですね。 最初の一回のためにウインカーに演出をさせるのは、逆にコストが心配になりますね。

乗用車だと、たとえ一回でもウインカーにそういう演出が加えられるのはニーズとして大きい気がするよ。 

____小糸の歌舞伎テールは、どんな動き方をするんでしょうか。

あれは、いわゆる流れる方向指示器という感じですね。

ボルボのポジションランプも、そういう光り方ができるように改造したら、面白いかもしれないですね。最初だけで十分だから。 後付の改造は難しくて、最初からそういう意図を持って作らないといけない。でもこの会社は、もしかしたら作れるのかもしれませんね。

レヴィーア:株式会社エルシーのカスタムパーツブランド。https://revier.co.jp/

音楽を楽しむためのインテリアを創りたい!

____このかつて流行ったバニングの定番、スピーカーシステムですけど、アルフレドさんが見るからに嬉しそうです(笑)。

希望する人がいたら、インテリアをがっちりスピーカーで組み上げるようなことをしてみたいんですよ。

____外に向けて音を作るのじゃなくて、室内で聴くためにスピーカーを組むんですね。ニーズはありそうだけど。

そうです。そうです。

____トラックでひたすら音楽を聴いているドライバーも多い訳で、絶対にニーズはあると思います。音量に注意ですけどね(笑)。

伝説になる!? トラックのレストモッド

____さてここでまた思いっきり方向性が違いますが、水野ワークス! 気合いの入った展示でしたね。 オーバーフェンダー付けて旧車ならではの厚みのある塗装、オリジナルっぽい塗料でしたね。

いいですよね。昔の旧いトラックを引っ張り出して レストアして改造するのはアリだと思います。面白いです。レストモッドするのもありだと思います。

____本来のレストモッドだと、ボディをサビだらけにして中身を最新の快適装備にしますよね。でも日本はそこまで改造文化が熟成してないですよね。 ボディを新品風にレストアして中身も新型車と同等の性能を持たせるとかじゃないと、受け入れられなさそうです。「すごい」とは思われても、「欲しい」とは思われないかもしれない。

現在はトラックの場合、どうしても排ガスの規制があるから、旧いトラックをそのままレストアして乗るというのは需要がないかもしれませんね。ただカスタムを発信する方としては、そちらもやりたいんですよ。旧い車だってこれだけ復刻できますよ、と。ショップの実力を示すためにも、トライしたいカテゴリーではありますよね。

それをするにはもう1チーム必要ですね。本当に仕事で使ってもらえるために新型のエンジンを乗せるとなると、本当に難しい作業になってきます。 

____これも格好いいですね!タコ足剥き出しの6連スロットル“見せたい”スタイル(笑)。

これは最高です。これぐらいシンプルなカスタム車が一番、乗ってて楽しいんですよね。雨の日と夜は走れないですけど(笑)。

____日本の侘び寂びじゃないですけど、これで乗れたら究極のシンプルですよね。

※有限会社水野ワークス:旧車専門のカーチューナー&プロダクター。http://www.ipf.co.jp/products/all_products.html

気になるラッピングの可能性

____次はラッピングですが、ラッピングに加えて色々加工してましたね。

ラッピング加工した上に、ステッカーを貼ってダイヤモンド型のビーズを取り付けてますね。 昔、ギャルが携帯にデコレートしていたのと一緒ですね(笑)。 使い方としては昔からあるけど、そんなに女子っぽくなかったのが好感もてました。 

スワロフスキーを付けるとか、クリスタルやビーズは昔から個人的に、あんまり興味がないんですよね……。

____分かります(笑)。デコラティブにしていく方向性に関しては是非はあるとして、塗らずに手軽にカスタムができるラッピングってどうでしょう?

ラッピングの技術もそうだし、フィルムのクオリティもそうだし、貼りや加工の技術も良くなったんでしょうけど、本当に貼ってるようには見えないですよね。これは分からせるようにマットにしたり、ミラーにしていると思うんですけど、クオリティは高い。現在、弊社で手配したことはないんですが、お客さんで施行されているのは見たことがあります。弊社としてもどこかで実績を作っていきたいですね。  

トラックだって使ってみたいカーボンパーツ!

____はい。次はこのフルカーボンのポルシェ911。誰もがよもやフルカーボンとは信じられなかったという(笑)。インフュージョンカーボン成形で制作したとのこと。ドライカーボンとウェットカーボンの中間で、強度も高いようです。

これが出来るのは、それだけフルカーボンのコストが下がったってことなんでしょうね。 

____カーボンは地のカーボン素材に対して、上からラッカーを重ね塗りしていくような作業なんですよね。

まぁ、ボルボのフルカーボンは難しいでしょうね。やるとしたら部分的にカーボンにする感じじゃないですかね。

カーボンってレースで見ると、ぶつけたところはバリバリに割れちゃってますもんね。 トラックで使うには厳しいかな。現場は衝突の安全性能の基準が上がっているんで、やっぱりフルは難しいかな。

ボンネットがカーボンとか、そういう感じですかね。 プラスチックで作られているところはカーボンにするのも面白いかも知れないですね。 

※4LAWS:空冷ポルシェをサーキット仕様にカスタムする専門ショップ。https://4laws.jp/

ローライダーのピンプスタイルはお約束!

____はい。次はピンクのキャデラック。まさに5月のトラックショーの出展車両のイメージに通じますね。

はい。深みがあって綺麗なピンク色でしたね。 まさにメヒコマフィアが乗るような感じですね(笑)。 

____そうですね。ローライダーに通ずるピンプスタイル。ちょっと楽しみですね。

※ピンプスタイル:ローライダーの派手なギャングスタースタイル。ピンプは着飾ったポン引きをさす。

グラインダータトゥーを筆頭にトレンドの地金カスタム

____カスタムの最後はグラインダータトゥーですね。個人的にはめちゃくちゃグラインダータトゥーが好きになったんですが、皆さんはいかがでしたか? 本当に新しいカーカスタムの流れだと思う。 

グラインダータトゥー以外にも、ボディに傷をつけることで成立するアートがあるんです。僕はそっちにすごく興味があるんですよ。ボディの地肌そのものに模様を描いて、叩いたり彫ったりするんですね。その上から塗装する。グラインダータトゥーと同じ原理なんですけどね。

※写真は本文とは関係ありません。

____それは表面がボコボコになっちゃう感じですか。

はい。ボコボコですよ。めちゃくちゃ値段は高いんですが、めちゃくちゃ綺麗なんです。もともと平らなボディに職人が叩いたりしながら、成形をしていくんです。

____なるほど。工期もかかりそうですね。

かかりますね。 

____グラインダータトゥーは、新しいファイヤーパターンになるような気がします。

そうですね。フロントよりサイドの方が文様としては効果的な気がします。

ドライバーのライフスタイルをデザインしたい!

____では次に行きましょう。これも皆さん注目のカーライフ雑貨店、ゴードンミラーです。アルフレドさんも個人的に買ってましたね(笑)。カーライフからイメージを得たアパレルや雑貨を販売しています。

こういうショップはすごく必要ですよね。もっともっと必要だと思います。

____値段もお手頃でしたね。 ゴードンミラーは、なんとオートバックスのオリジナルブランドでした。私も初めて知りました。 ハイエースでオリジナルの車も作っていましたね。

面白かったですね。そういえばスーパーオートバックスはかつて、アメリカのダイナー風の雰囲気でしたよね。

____そうでしたね。アメリカの道路標識やアートなんかも販売していてライフスタイル寄りでした。

ムーンアイズほどコアな感覚はないけれど、その流れなんだと思います。

※ムーンアイズ:ホットロッドを中心にした自動車パーツのメーカーブランド。日本では横浜・本牧のカフェとショップを併設したアンテナショップがよく知られている。http://www.mooneyes.co.jp/

____個人的にも欲しくなるぐらい、気が利いてましたね。

そういう意味で言うと ファストエレファントでもこういうライフスタイル寄りのことがしたいんですよね。トラックドライバーのライフスタイルを、より上質にしていく感じですね。現在はボルボトラックのカスタムですが、 もっとドライバーのセンスだったり、哲学を表現できるような小物やアパレルを作ってみたいんです。 

____会社によっては指定の上下の作業服みたいな、30年前から全く変わらない服を着てますからね。あれは良くないです。

ユニクロなんかにも、いま法人部門があってユニフォームも手がけているんですよね。 ワークマンも PV 商品が人気で、普通に一般の顧客が商品を買っていますよね。 昔ほどみんなブランドにこだわらず、機能性の高いものを安く着こなしている印象があります。本当にユニフォーム一つで、お金をかけずに会社のブランディングやイメージを良くする方法ってある気がするんです。

____最近だと作業着の生地で、しっかりスーツとして使える仕事着が流行っていて、丸洗いも OKだし、油汚れしそうな作業にも使える。どことなく漂うヘビーデューティー感もいいんですよね。

※ゴードンミラー:「心躍るガレージライフ」をテーマにオリジナルカーを制作し、アパレルや小物も提供するオートバックスのライフスタイルブランド。https://www.gordonmillerpro.com/

トラックカスタムから見た東京オートサロン2020

____はい。では東京オートサロンのご感想をお願いします。

カスタムの方向性とは別に残念だったことから言うと、メーカーさんが進出しすぎてカスタムカーが主役じゃなくなっているような気がしたことです。 元々、オートサロンって塗装屋だけで代々やってきた職人系のカスタマーだったり、レーシングサスペンションしか作ってないようなレースショップがあったりしましたよね。大規模になったのは良いのですが、元々あったカスタムの祭典という良さが大分、損なわれている気がしますね。やっぱり小さいブースが無数にあってそれが見きれないのが、オートサロンのような気がするんですよね。 

____分かります。今回、カスタムで見た潮流としてはどうでしたか。

その意味では、盗む気満々で来たんですが、期待はずれでした……。本当言えば、我々としても職人さんにここで出会って、名刺交換して実際に仕事をお願いするような事をしたかったんです。 

____その意味で言うと、本当に小規模な技術を持った職人さんは出店しづらくなっちゃったのかもしれませんね。

ずっと出店してるようなカスタム屋さんが出てたのは良い事だと思いますが、明らかに出店者数だけで言うと昔より少ないですよね。 

____もしかしたらカスタムというカテゴリーは、車離れと相まって縮小傾向にあって、単純に車のイベントとしてのプライオリティが高まってるだけなのかもしれませんね。個人的にはカスタムのレベルは上がっていると思うんです。昔は「発表するだけで嬉しい」というような学祭のノリがあったと思うんですが、カスタムも車も「高い車じゃなければいけなくなった」みたいなところはありますよね。

その意味ではオートサロンのレベル自体は上がったんでしょうね。やっぱりメーカー系は全て「東京モーターショーに行ってくれよ」っていうことなんですよ(笑)。例えばアストンマーティンをここで観るなら、そのアストンマーティンを「ここまで改造しました」というお店ばかりが出るべきなんですよね。

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