株式会社ヨシノ自動車

株式会社kmftsコーポレ―ション ボルボ・ドライバー 村松・オズワルド 様

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第52回

浅井建材株式会社 代表取締役社長 浅井 剛様

浅井建材株式会社 代表取締役社長 浅井 剛様

「私がボルボトラックを選ぶ理由 第9回」

ボルボドライバーや導入を決めた企業を招いて、ボルボトラックを語りつくす「私がボルボトラックを選ぶ理由」。第9回目となる今回は、生コンなどの建設資材を中心に、中京地区で運送業を営む浅井建材株式会社の浅井剛様にご登場いただきました。浅井建材株式会社は大手プラントの安定した受注を軸に、業務拡張をはかりつつ成長を続けている運送会社です。そんな浅井建材の社長、浅井様が一念発起! 2デフのボルボFHを購入しました。2デフのボルボと3軸のダンプトレーラーの組み合わせは、強烈の一言です。さてどんな経緯で、ファストエレファントは架装のご縁を得たのでしょうか?

編集・青木雄介
WEB・genre inc.

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浅井 剛(あさい つよし)様
1970年生まれ。大阪府藤井寺市出身。2016年に浅井建材株式会社を創業。現在に至る。

自分ひとりで始めた会社

____浅井建材さんの設立は何年前でしょうか。

浅井:僕が一人で始めてから二十数年、経ちます。最初は白ナンバーから始めて、どんどん台数を増やし現在の形になりました。

____もともと長崎のご出身なんですか。

浅井:母親の実家が長崎なんです。出身は大阪で、小学校4年生の時に両親が離婚して、中学1年生の時に愛知に来ました。いちど大阪に一人で帰ったんだけど、そこから友達に誘われて愛知に戻ってきて、運送屋で働きました。でも腰を壊して一度、トラックを降りました。それで工場員として3年ぐらい勤めましたね。でも性格的に、やっぱり外に出たいんですよね。それでまた運送屋に入って、たまたま腰を壊した時に知り合った運送屋さんの社長がいて、「うち来いよ」と言ってくださって、そこで独立させてもらって現在に至る感じです。

中西:独立するきっかけは、どういったことだったんですか。

浅井:先方が「傭車でやってみろ」という感じだったんですね。明日これだけ材料を使うから持ってきてとか直接指示をもらって、ほとんどそこの工場の社員のように働いていましたから。

____その時の荷種はどういったものだったのでしょうか。

浅井:当時は砂利とかですね。残土出しなんかも、ごくたまにありました。今も基本的に生コン工場の仕事が多いですね。その生コン工場に材料を運ぶのが、ダンプトレーラーの仕事です。

ボルボを選んだ意外な理由

____ドライバー経験もある社長は、なぜボルボを入れたいと考えたのでしょうか。

浅井:ストレートに言っていいんでしょうか(笑)。 UD さんとお付き合いがあるのですが、現行のUDだと2デフが無いんですよね。荷主のホッパーにトレーラーをつける際に、傾斜があってシングルだと登れなかったんです。だから2デフでなければいけなかった。UD から「ボルボがある」と勧められたので、ボルボに決めました。

____なるほど。 UD の流れからボルボに行き着いたのですね。架装は最初からヨシノ自動車を考えていたのでしょうか。

浅井:それが、最初は茨城に架装しに行ったんですよ。

中西:茨城の鹿島旭自動車ボデー株式会社さんだったんですね。我々と同じボルボのディーラーをされていらっしゃるんです。

アルフレッド:ここからのストーリーが良いので是非、聞いて欲しいんです(笑)。

____その話とはなんでしょう?

浅井:むかし僕が2台目に乗っていたダンプを、従業員がひっくり返してしまいまして廃車になったんです。仕事は入っているのに、車がないので急きょ探したのですが、ちょうどそれが東日本大震災の時だったので、世の中にダンプが全くなかったんですよ。それでネットで中古車を探していました。それでヨシノ自動車さんがネットで出てきたものですから、川崎の本社に直接、向かいました。

9年ぶりの再会!?

____なるほど。

浅井:そのときに対応してくれたのが、アルくん(アルフレッド)だったんです。その後に千葉に行く予定だったから、中古トラックが厚木にあると聞いて見送りました。名古屋からだと逆方面になっちゃいますから。それで今回のボルボを作るために鹿島旭さんに行って、打ち合わせをしてからヨシノ自動車さんに来ました。来るまでは当時、ダンプを探していた時に立ち寄ったヨシノ自動車とは、違う会社だと思っていたんです。「なんか見覚えがあるな」と思いながら(笑)。対応でアル君が出てきたから「やっぱり会ったことがある」と言いました(笑)。なんとなく覚えていたんですね。

アルフレッド:その話を聞いた時に対応した覚えはあるな、とは思ったんです。ああ、あの時の方でしたかと(笑)。

____お互い覚えていた、ということは印象が強かったんですね。

浅井:僕は「でかいやっちゃなー」という印象でしたからね(笑)。

アルフレッド:川崎に来て「中古車のヤードは厚木ですよ」と案内する人は、年に一人か二人ぐらいなんですよ(笑)。それで逆に僕も覚えていたんですね。

浅井:中古車を見に来た時は、本当にそれだけで終わったもんね。

ボルボの架装を通じて、拡がるビジネス

____9年ぶりくらいの再会になったわけですね。ヨシノ自動車で架装しようと考えたのはなぜだったんでしょうか。

浅井:最初 、UD の営業マンは僕をヨシノ自動車に連れて行きたくなかったんです(笑)。行ったら、絶対に火がつくと分かっていたんでしょうね。だから一緒に鹿島旭に行く時も「その後に、絶対にヨシノ自動車に行くぞ」と念を押していたんです。

____一同爆笑

浅井:行ったら案の定でしたね。

アルフレッド:その時に UD の営業の方も一緒にいらっしゃったんですが、以前、弊社からパーツを購入されていた方でした。何かとご縁のあるお客さんなんです。

中西: 鹿島旭自動車さんというのは一般整備と、特装系の架装がメインの会社なんです。弊社と同じぐらいのタイミングで17、8年前からボルボのディーラーをされているんですね。

____ということは、鹿島旭さんでやる架装はファストエレファントでやる架装とは全く違うわけですね。

浅井:関係なかったんですが、私に火がついちゃったもので、帰るに帰れずビジネスホテルを取りました(笑)。

____その時に火がついたのは、「恰好いいトラックを作りたい」という気持ちですね。

浅井:そうです。こっちの方でも馴じみの架装屋さんはあるんだけれど、特装系の架装も必要だったので、今回は関東で全部、仕上げようと決めました。

アルフレッド: それ以前は、鹿島旭さんと深いお付き合いがあったわけではないんですよ。架装を何度かお願いしたことはありますが、先方の社長さんとお会いすることもなかったし、浅井さんの件も鹿島旭さんと仕事がかぶるのは避けたかったんです。ですからそこは住み分けをして、我々は飾り系の架装をするようにしました。ただ今回、浅井建材さんのボルボをきっかけにして、鹿島旭さんとのつながりが強くなりました。ありがたい限りなんですよ。

中西:もちろん我々、社長同士はお互いをよく知っているんですよ。ただそれは同じディーラーをやっている仲間としてですが、浅井建材さんのボルボがきっかけになって、弊社の社員がひとり一か月ほど、鹿島旭さんに研修に行っていたり、現場同士の行き来が頻繁になってきているんですね。

アルフレッド:本当にこちらからも、お仕事をお願いしていたりするので、きっかけを作っていただいた浅井建材さんには感謝しかないんですよ。

カスタムを考え出すと止まらない!?

____なるほど。企業同士のビジネスのきっかけにもなっているんですね。

中西:先日の弊社の鍵人訪問記の対談の中にもある通り、弊社工場はキャパ的に狭いのでベースの部分を鹿島旭さんにお願いして、デザインや細かい架装はこちらでやる。そういう非常に良い協力体制を築かせて頂いています。

____興味深いストーリーですね。さて浅井社長はどういったカスタムがお好きなんでしょうか。

浅井: デコトラも好きだけど実際、そこまでしたことはないんです。

アルフレッド:その辺の社長のこだわりは今回、作った車にすごく出ているんですよ。

____おお。

浅井:ボルボはやっぱりユーロ系ですよね。国産は国産のカスタムをしたい。とはいえデコトラみたいなところまでは行きたくないし、仕事で使えなくなっちゃいますからね。ちょっと遊ぶぐらいのつもりで始めるんですが、実際に始めると火がついてしまうんですね。バンパーひとつでも相当に悩みました。どうしてもつけられなかったけど、あのバンパーは最後まで悩んだんです。

アルフレッド:カンガルーバンパーですね。でも今ので、十分です(笑)。ライトフィックスのバーやレーザーのライトをつけた時点で、ファストエレファントとしては最新のカスタムでしたからね。レーザーのフォグランプも高いんだけど、ものすごく迫力がある。あれもなかなか高くて付けられないんですよ。そもそも最初はお客さんがどこまでのカスタムをしたいのか測りかねるじゃないですか。でも浅井さんは、値段は関係なしに「こっちの方がかっこいい」と、どんどん決めていくんですよね(笑)。

浅井:「これもありますよ」「あれもありますよ」と後出しでどんどん出してくるからね(笑)。その中から厳選するのは、すごく大変でした。

アルフレッド:レーザーは値段はともかくとして、恰好よさにこだわるなら一番です。フロントがそうなってくると、後ろも決めなければいけないとなりますよね。踊り場も弊社デザイナーのレディC、オリジナルデザインのステッカーを貼ったりしています。今回、レディCは八面六臂の大活躍でした。

デモカーのノアに一目ぼれした

____社長からみて、レディC のデザインはどうだったでしょうか。

浅井:気に入りましたよ。いろいろお願いさせてもらったし。

____やっぱりアルフレッドさんが出してくるアイデアが面白かったのでしょうか。

浅井:うん。面白かったです。色々ありすぎて、どれが一番良かったは言えないけどね。

アルフレッド:あの時の社長は、テンションあがりっぱなしだったんですよ。作っている間も見に来ていただいたり、熱意がすごかったんですよ。

浅井:そもそも試乗させてもらったノアに、一目惚れしちゃったんですよ。それで(取り付けられていた)レーザーは絶対に外せないと思ってしまいました。値段を聞いてびっくりして「会社で怒られちゃうなぁ」と思いながらも、取り付けを決めました(笑)。普通のフォグならみんな付けているじゃないですか。国産にだってついている。だからレーザーだけは絶対に譲らないと決めたんですよね。

____中京地区でレーザーをつけてるボルボは、1台だけでしょうね(笑)。そもそも名古屋でボルボトラックは、走っているのでしょうか。

浅井:だいぶ増えましたよ。

中西:多分、2デフが増えたはずです。ボルボのディーラーカンファレンスでも、UDチャンネルの販売実績が最近、上がっていると聞いています。最初はクオンの2デフがなくなったところで、ボルボの2デフを勧めるという販売方針だったんですが、それで足元を固めてきているのだと思います。名古屋や近畿は、そこからシングルも販売するようになっていった。中部地区は、まだシングルヘッドはそれほど販売されていないはずなんですけどね。

____なるほど。浅井社長としては、ボルボに変えることでの不安はありませんでしたか。

浅井:ありましたよ。最初は「何でボルボを持ってきたんだ」という感じでした。その時はクオンか日野かなって、感じだったんですよね。見積もり見て(高額なので)「えっ!?」とおもいましたよね。正直に言うと。

ボルボが無いなら、クオンも悪くない?

____でも心が変わったんですね。

浅井:はい。実際に車を見せてもらって変わりました。中がものすごく広いじゃないですか。試乗はさせてもらえませんでしたが、ディーラーの体制もしっかりしていると聞いたし、「ボルボで行ってみようか」という話になりました。やっぱり最近ではシングルのボルボが雑誌にも、多く掲載されていますよね。そういうのも見ていたので「やっぱり良いな」と。一台買ってみるのも面白いよね、と。これを機会に「シングルでもボルボを買いたい」と思ったのですが、モデルが切り替わるタイミングらしく買えなかったんです。その代わり、クオンになりました。

中西:新型が来年に発売されるので現行は、すでにオーダーストップになっているところもあるんです。クオンもシフトはボルボだから良いんですよ。ボルボと比較すると激安なんですよね。だからこそ、最近は新車のクオンをカスタムして、ヨシノ自動車仕様で販売していたりもします。

____ファストエレファントでは、国産もカスタムしていく流れがありそうですね。

アルフレッド:いや今は、それは無理かな。激忙しいんですよ(笑)。

中西:自社セールス分の架装だけじゃなくて、今回の浅井さんのようなカスタム依頼が多かったりもするから当面は難しいでしょうね。

アルフレッド:日野とかの他の国産でも「やってほしい」という依頼はあるんですよ。UDは逆にやりやすいんです。ベースがボルボですから。比較的、ボルボのパーツがつけやすかったりもするんですね。

中西:この半年で分かったことなんですが、現行のクオンは弊社が持っているボルボのテスターや専用の機械がそのまま使えちゃうんです。だからメンテナンスも含めて、フルで弊社で出来ちゃうんですね。

ボルボのフェンダーの擦れにご用心!?

____了解しました。ヨシノ自動車風カスタムのクオンが増えることに期待しましょう。では改めて浅井社長が思う、ボルボの良いところを教えてください。

浅井:まず目線が高くて気持ちが良いですよね。それと車内の広さが気持ち良いです。形もすごく好きだし、逆に悪いところが見当たらないんですよね。ハンドルの取り回しもめちゃくちゃ軽くて良いですね。問題があるとすると、タイヤにフェンダー(ホイールカバー)が当たっちゃうことがあったんだけど、これは積み場が特殊だから、ボルボが悪いわけじゃないんです。

アルフレッド:そもそもボルボのフェンダーは弱いんですよ。タイヤについているフェンダーは少しでも触れると、ものの数回で溶けちゃうんですよ。本当にたった数回で穴が開いてしまうんです。

____それは知らなかった。あれは使い込まれたベテランだけに起きる現象だと思っていました(笑)。

アルフレッド:違うんですよ。フェンダーとタイヤの間にクリアランスがないから、どうしても当たってしまうんです。でもそのクリアランスが無いのが恰好いいから仕方がないんですよね(笑)。よく聞くのは海コンなんかで繋いで、エアサスが上がりきってない状態で走り出してしまう。それで当たってしまって、溶けてしまうんですね。

ボルボのパワーは必要にして十分

____浅井建材さんのボルボは毎回、どれぐらいの重さの積荷を牽いてるんですか。

浅井:24トンぐらいですかね。 結局、ホイールベースも短くしなきゃならないんです。長くすれば取り回しは楽なんだろうけど、降ろし場が狭いですから仕方ないんです。

中西:トレーラーダンプの特徴ですよね。長くも作れるんだけど、都市部の狭さを考えるとどうしてもホイールベースを短くしなければいけない。

____なるほど。ボルボの馬力的にはどうですか。

浅井:全然、大丈夫です。パワーはありますね。540馬力かな。やっぱりトルクはありますよね。僕は乗らせてもらえないんです(笑)。ほんと最初のうちだけですよ。乗ったの。あとはドライバーに「乗らなくていいですから」と言われてしまいました。たまには「乗りたいな」と思うんですけどね(笑)。

アルフレッド:後ろのトレーラーがダンプですからね。引っ張るのが、あれだけいかついとすごい迫力ですよ。

浅井:いやいや。うちはおとなしく作りましたよ。

アルフレッド:統一感はあるんですけど決して、おとなしくはないです(笑)。特に夜は。

浅井:トレーラーには中西さんから紹介を受けた、ビッグリグカスタムの加藤さんに勧めてもらったライトをつけているんです。自分でも付けようとしていたらしく、「浅井さんのところで先にやる?」みたいな(笑)。じゃあ、付けてみようかなと思って付けたら、ものすごい明るいですね。

次期型ボルボではふたたび煙突が流行るかも!?

____ヨシノ自動車とビッグリグカスタムの、ある意味でコラボレートな車両なんですね。今後はボルボを増やしていきたいと思われますか。

浅井:そのつもりだったけど、クオンになっちゃいましたからね。ボルボの車内の広さは独特ですよね。ウォークスルーになっていて、あのベッドだったら休憩もしっかり取れるしね。あの感覚が好きです。

____やはりコロナの影響とかはありますか。

浅井:うちはほとんどコロナの影響は受けていません。知り合いから一般貨物も話もあったので、このボルボを作っている時にクオンも1台、作ったんですね。もうビッグリグの社長に「このマーカーをお願い」と頼んだりしています。ボルボのトレーラーの方も豊川の方で作ったものだから、ビッグリグの加藤さんも見に来てくれたんです。ビッグリグは良いですよ。パーツもすぐ送ってくれるし。

アルフレッド:ビッグリグさんは在庫を持っていますからね。

浅井:煙突マフラーをめちゃくちゃ勧められました(笑)。

アルフレッド:また最近、煙突マフラーが流行りだしているんですよ。2デフだと長いから似合うんですよね。ボルボのシングルは尿素タンクがついてるから、その関係で煙突マフラーがつけられないんです。だから次の新型は、また煙突にしたい人が増えるかもしれませんね。

____ちなみに社長はスカニアに興味はありましたか。

浅井:ありましたよ。でも浮気はしないです(笑)。

浅井 剛(あさい つよし)様
1970年生まれ。大阪府藤井寺市出身。2016年に浅井建材株式会社を創業。現在に至る。

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