株式会社ヨシノ自動車

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第90回

株式会社尾林ファクトリー 尾林正俊様

株式会社尾林ファクトリー 尾林正俊様

「日本音圧協会公認ボルボの誕生だ!トラックライフを格上げする感動空間を創ろう」

今月の鍵人訪問記は、ファストエレファントでオーディオ周りをお願いしている尾林ファクトリーの尾林正俊様です。ボルボカスタムでも意外に知られていないのがオーディオ周りのアップグレード。こだわりたいのは音響か音圧か、いずれにしてもアップグレードするとキャビンの中は一変します。そんなトラックライフを1段高みにあげてくれるオーディオカスタム。その流行は30年前にさかのぼります。すでに歴史あるカーオーディオカスタムの世界へようこそ。

編集・青木雄介
WEB・genre inc.

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尾林正俊(おばやし まさとし)様
株式会社尾林ファクトリー 代表取締役社長。1960年生まれ。18歳〜23歳までチューニングショップで修行するも「こんにちは」とか「いらっしゃいませ」が言えなかったので、26歳の時に屋台のラーメン屋で修行して独立する。良い経験になった!実家が修理屋だったが改造車ばかり弄ってて怒られ、30歳の時に独立して尾林ファクトリーを設立した。

すごいスピーカー屋さんがいる

___まず最初にボルボ FHに高品質なオーディオを搭載しようと思いついたのはどういった経緯だったんでしょうか。

アルフレッド:最近のファストエレファントは内装にも手をかけるのが主流です。室内を充実させるにあたって良いオーディオにしたいと考えました。尾林さんが最初につけたのはベージュのトラックでしたっけ?

尾林:そうだね。

アルフレッド:そのトラックはウィリーだったんです。あのトラックが初めて内装に非常にお金をかけたトラックになりました。それでまずお客さんの評判を確かめました。その後に造ったサンダーでも内装に力を入れて、尾林ファクトリーさんにスピーカーを換えてもらいました。あそこまで内装をやっていて音響がしょぼかったら嫌だったんです。「音響もちゃんとやりたい」というのがあったから。そういった経緯ですね。

___もともと尾林さんはお知り合いだったんですか。

アルフレッド:それまでは知らなかったんですが、ハンドルをカスタムしてくれているハーツさんが紹介してくれたんです(第74回参照)。「すごいスピーカー屋さんがいるよ」と。僕もオーディオ界は全然知らないので調べてみたところ、全国レベルで有名なオーディオファクトリーだったんです。

ボルボの音は「十分だった」が

___その辺を尾林社長に伺っていきたいんですが、最初、トラックの音響と聞いてどうでしたか。

尾林:それまでやったことなかったからね。しかもトラックは24Vじゃない。どうなるのか想像もつかなかったね。

___そうですね。24V をデコデコ(DC/DC。電圧変換器)かなんかで12Vに変換しているんですか。

尾林:純正のスピーカーから信号をもらって、ウーハーはデコデコから電源をもらってつないでいるような感じかな。

___そもそも FH の純正のスピーカーって聴いてみてどうでした。

尾林:良かったよ。「十分いいじゃない」って思っちゃったね(笑)。

中西:正直なところを言うと、ボルボは普通に音がいいんですよね。国産と比べたら全然良いですね。

___国産のスピーカーはラジオのニーズが高いからか、ちょっと音がペラペラなんですよね。

尾林:だからボルボの音をさらに良くするのって結構、難しいなって思ったね。あんまりプロセッサを入れたり、余計なことはできないから、スピーカーの音質をメインに持ってこようと思った。それなりのシステムを提案してみて、それで決まったね。

___その時に入れたスピーカーはどこのメーカーだったんですか。

尾林:CDTオーディオというところだね。

アルフレッド:こちらからお願いした線は「高すぎず安すぎず」という線でしたね(笑)。

尾林:そうだったね(笑)。

重低音の響きで感動する

___絶妙な線を狙っていったんですね。つまりもっと良くしようと思ったら、上はまだまだあるわけですね。

尾林:もちろんまだまだあるけど、オーディオの世界って100万円のセットをつけたから100万円の音がするかと言ったら、そういうことはないのよ。こだわればこだわるほどお金がかかる自己満足の世界だからね。お医者さんの手術費用が「200万」って言われたら200万円なのと一緒なんだ。それ相応の価値があって、分からない人には分からない。

___こだわりの世界の深い沼ですね。それで初めて聴いてみた時、アルフレッドさんはどう思われましたか。

アルフレッド:やっぱり全然違っていて、良かったですね。

___アルフレッドさんといえばレゲトンですが、その辺の低音のサウンドシステムはどうだったんでしょうか。

アルフレッド:尾林さんには申し訳ないですけど、車が大きいから作業スペースが必要なんですよね。僕もギリギリになってオーダーしたから、引き取りの際にまだ作業が続いていたんです。ちょうどそのときにビビリ音をなくす作業やっていて、このウーハーを「ここに置いたら」とか試行錯誤していたんです。

尾林:あのときは、もうその場所しかなかったんだよね。どうしても箱の周りが鳴いちゃうから。

アルフレッド:そうです。そういう作業をやっていて、最後にビビリ音がなくなった時の感動は言い尽くせませんよ。もうドンスカドンスカ響いてくるわけです(笑)。

乗れば分かる音の良さ

___なるほど。ウーハーは結局どこに置いたのでしょうか。

アルフレッド:運転席の後ろにベッドを開けると収納があるんですよ。

___収納を1つ潰してウーハー箱にしたんでしょうか?

アルフレッド:いや。潰れるほどではないんです。

尾林:箱の天板に下から取り付けたんだよね。

___なるほど。

アルフレッド:僕が低音を試したい時は必ずエミネムの「Without Me」をかけるんです。

___スピーカーには過酷な音楽を試したんですね(笑)。

尾林:それでは納得がいかなかったから2台目は、助手席の後ろのパネルにつけたんだよ。

中西:ああ!そうだそうだ。サンダーはそうでしたね。

尾林:それはだいぶ良かったよね。もちろん取りつける鉄板にも防振材をいっぱい貼ってさ。

___中西社長も、その音は聴かれたんですよね。どうでしたか。

中西:実は最初のウィリーでは激しい音楽を聴いてなかったのもあって、「十分良い音だな」と感じていましたね。その後のサンダーは「すごく良かった」という印象があります。実際に僕自身が北海道に乗って行ったりしていたので、そのときはウィリーだったんだけど4、5時間ずっと音楽を聴きながら走ってましたからね。その体験はすごく良かった。

___そういった試行錯誤があって最新はさらに音周りがアップデートしている、ということですね。

アルフレッド:そういうことですね。

中西:「そうだったんだ」と今日、思いました。完成した音しか聴いてないですから、その苦労までは分からなかったです(笑)。

仕事に「魂」をこめる

___実際に音質が良いと仕事に対する気分も上がりますよね。私もトラック運転手の時は純正のスピーカーにサブウーファーをつけて楽しんでいました。やっぱり音が良いと気分が上がりますよ。

アルフレッド:AM ラジオだけを聞いてるんだったら純正で十分なんですよ。でも中西社長みたいに、音楽が好きだったらその空間はこだわりたくなるんですよ。

中西:それは絶対だね。音楽は絶対必要ですよ。今までも自分の車にも少なからず何かしら音は手を加えてきましたね。最近はメーカーオプションが良いから、まぁ十分といえば十分になっちゃうんですよね。

___そこなんです。実際どのメーカーも純正はBOSEで組んでたり、音が良いんですよ。この辺の話を取材前に尾林さんに訊いたところ、「やっぱり俺が組めば全然違うよ」ということなんですよね。その辺の違いは何なんでしょうか。

尾林:魂だね。

一同:魂!

___気合の入れ方が違うんですね。

尾林:そうだね。音の場を作るにあたって、大事なのは「カーオーディオの感動を味わってもらいたい」んだよね。本当にそれだけだよ。いまどきは純正でも良い音だから、さらに良くしなければいけないプレッシャーがあって、「(オーナーが)どういう趣向なのかな?」とか考えながら作業しているから、最終的には魂の問題になるんだよ(笑)。

___そこで一番難しいことだったり、ハードルって何でしょうか。

尾林:最初からゼロの状態で組み立てられるとやりやすいんだけど、純正を使って、ここから信号をもらって、ここをこうしなきゃなんないとか制約が入ってくると逆に難しいよね。やってる方としては。

まっさらで組む方が音は良くなる

___まっさらで作る方法が作りやすいんですね。

尾林:そうだね。その方が圧倒的に音は作りやすいね。何もかも自分でコントロールできるから。ボルボのように純正をベースにスピーカーだけを変えるとなると、選択肢が限られてきちゃう。やり方が限られるんだ。

___ということは、ボルボも純正を全部取っ払って、イチから音を組み立てるとなれば「それはそれで出来る」ということなんですね。

尾林:うん。出来る。

___「もっとすごいのが出来るぞ」ってことなんですね。

尾林:そうだね(笑)。

___ちなみにそれをやるとすると、どれぐらいお金はかかりそうですか。

尾林:やっぱり2~300万円はいっちゃうだろうね。純正の信号をもらってプロセッサーに入れてプロセッサーから各アンプへ繋いで、プロセッサーを心臓にすることでスピーカーの役割を決められるからね。その組み合わせを自由自在に考えることができるんだ。

___今なら尾林さんはボルボを何度もバラしているから、内部の構造は分かってる。そうなると話は早そうですね。

尾林:そうだね。

カーチューンとオーディオチューン

___尾林さんと尾林ファクトリーは、最初からカーオーディオのカスタムショップだったんですか?

尾林:元々はレース系のチューニングショップだったの。そこからオーディオが好きだからオーディオ絡みのカスタムショップを作ったんだよね。オーディオが尖ってきて、オーディオ屋みたいになっちゃったけどね(笑)。

___もともとはチューンドのカリカリのレーシングカーを作ってたんですね。

尾林:そうだね。

___実際のところ、カーチューンとオーディオはどっちが面白いですか。

尾林:どっちかな……。俺の中ではどっちも1つのものだからね。

___確かに。カーチューンもオーディオも研ぎ澄まして極めていく行程が似てますよね。

尾林:うんうん。

___さっきデモカーでフュージョンっぽいジャズをかけていましたが、ああいった音楽がお好きなんですか。

尾林:そうだね。オーディオのテストには良いからね。

中西:フュージョンは一個一個の音がクリアで、高い音も低い音もまんべんなく入ってきますもんね。

___オーディオ雑誌の編集部とかに行っても、テストでフュージョンをかけてますもんね。やっぱり比べて、分かりやすくなるんだと思います。

中西:ジャズはジャズで本当に良いんですけどね。

___そっちはそっちでジャズ喫茶のような真空管のアコースティックな音色を追求していくはずですよね。ちなみにお客さんの好みに合わせて音を作っていくところで、アルフレッドさんはレゲトン好きなのでウーハーをズカズカいわせたい。いわゆるドンシャリ系の音になっていくじゃないですか(笑)。例えばギターの音が好きだったりすれば、もっとアコースティックなセットになっていくはずですよね。やっぱりその辺の違いはスピーカーなんでしょうか。

尾林:そうだね。

尾林流のメーカー選び

___そんな中で例えばドンシャリ系の音だったら、どんな おすすめのセットがあるんでしょうか。

尾林:ドンシャリだったら、やっぱりロックフォード(フォズゲート)かな。あとはグラウンドゼロとかね。ちなみにデモ車のハイエースはロックフォードだね。

___やっぱり人気なんですね。ロックフォードは。

尾林:うん。パンチがあるっていうかね。

___逆にアコースティックな中音系だと、どんなメーカーでしょうか。

尾林:ボルボに使ったCDTとかだよね。

___まあ、なかなか車のオーディオマニアでアコースティック好きっていなそうですけどね。

尾林:いや。いるよ。いるいる。

___そうなんですか?

尾林:普段はドンシャリ系の音を好むんだけど、たまに静かでゆるいアコースティックも聴きたいという人はいるんだよね。

___なるほど。

尾林:だからフロントスピーカーに100万円も使ったのに、思いっきりボリュームをあげて聴いてスピーカーを壊しちゃったりするんだよ。

___うわ。

尾林:「ダメだよ」って言ってるのにね。

___ついつい音をでかくしてしまうんですね。

中西:スピーカーは「馴じみが大事」って言いますもんね。いとこの親戚のおじさんがオーディオが大好きで、学生時代に僕もバンドをやっていたのでオーディオのセットを組んでもらったことがあったんですよ。その時にいとこが、ヒップホップをかけようとしたら親父さんが殴りそうな勢いで怒ったんです。

___一同 爆笑。

中西:やめろ!ってね。叔父さんの趣味がクラシックかジャズがメインで、その頃は僕もどちらかというとライクーダーとかアコースティックが好きだったので。

オーディオは手を抜いたところが音に出る

___面白いですね。ちなみに1から音の場を組んでいくと作業としては、どこに時間がかかるのでしょうか。

尾林:まずスピーカーを鉄板につけるでしょ。でも直につけられないから土台を作ってその上にスピーカーをつけるよね。それの周りに防振だったりを施していく。純正のドアスピーカーの取り付けはインナーバッフルといって内張の中にスピーカーがあるんだけど、カスタムオーディオではアウターバッフルにする。音をさえぎる物が無くなるので音が全然良くなる。スピーカーはとにかく外に出した方が、音がいい。しっかりと台にもつくから。細かいことを言うと、取り付けの締め付けのトルクで音が変わっちゃうんだよ。もうそうなってくると、一般の人には分からないだろうけどね。

___そこまで繊細な作業になってくると、だいぶウルサイお客も来るんじゃないですか。

尾林:俺はうるさいお客は相手にしないからね(笑)。特に上から目線でやって来られるとダメなんだよね。「これが俺の音で」みたいなこと言う人は「他でどうぞ」ってなるね。

中西:そうじゃなくて、よかったよかった(笑)。

___「おまかせします」の精神ですからね(笑)。

アルフレッド:「とりあえず納期だけはお願いします」みたいなね(笑)。

___車のオーディオの世界は分からないですが、いわゆる家庭用オーディオの世界は沼と言うか、こだわる人はとことんこだわりますよね。それこそ生活すべてを注ぎ込む人もたくさんいますよね。

尾林:俺がオーディオの世界に入って、師匠に一番最初に「何をすれば一番いい音になるの?」って訊いたのね。師匠は「オーディオは1箇所、手を抜いたらそれが音に出る」と言ったんだ。そういう教えをもらった。配線だったりアンプだったり、手を抜いたところが音に出るから、それはすごく気をつけてるんだよね。

___中を開けて配線ぐちゃぐちゃだったら、いい音が出るわけないよということですね。

尾林:この世界だと「ハンダを使ったらいけない」みたいなことを言ったりもするんだよ。それはアメリカのアンプを作ってるメーカーに訊いたら「アンプの中を開けてみろ」と言うんだ。ハンダだらけじゃねえかと(笑)。

1990年代の黄金期を振り返る

___確かにそうですね。信号の伝導率にこだわりだすと都市伝説みたいになっていきますよね。ちなみに尾林さんがオーディオの世界に足を踏み入れたのは何年頃だったんですか。

尾林:平成3年だね。

___オーディオ系やバンニングの黎明期ですね。

尾林:バンニングはもう流行してたけど、まだオーディオ屋はハイファイ・ショップと呼んでたね。そういう店しかない頃だった。そこで俺がロックフォード(フォズゲート)の社長と知り合って、アメリカ人の技術講師みたいな人を呼んでもらったの。そこから始まったんだよね。そこでカスタムオーディオが始まった。当時は「木にパテを乗せる」って考えられなかったんだよ。それをウチが初めてやって、雑誌にバンバン載せたら「あれどうやって作ってるの」って全国のショップから毎日、電話がかかってきたんだよ。当時は毎週、大黒ふ頭に行ってたね。

___やっぱりそうなんですね。

尾林:大黒ふ頭に行けば大体1人はお客さんが捕まるのよ。出来上がったら大黒行ってを繰り返してたら、ビッグシステムが流行しだしてね。200万~300万円が当たり前のセットを若者がローンを組んで作り出したんだよね。

中西:覚えてます。僕が二十歳頃かな。その当時の大黒はちょこちょこ地元の先輩に連れられて行ってましたね。

___当時の大黒ふ頭は一大カルチャーで、歌手の安室奈美恵さんが来てたりしましたよね。ローライダーもブームだった。

尾林:そうそう。当時は分かれてたんだよ。ローライダーとオーディオとバンニングとで。ほんといい時代だった。

中西:横浜みなとみらいに、ローライダーが何十台も週末になると集まるとか今じゃ考えられないですもんね。

「日本音圧協会」を覚えているか?

尾林:オーディオの取り付けと音質を競う協会があるのね。それをアメリカから持ってきて競技をやったり、それと同時に音圧ブームを作ろうということになったの。誰が150 DB を出すんだと(笑)。「じゃあ賭けよう」となって日本音圧協会を作ったの。

___あー!日本音圧協会、覚えてますよ。CDもあったし、車に貼ってあるステッカーでよく見ました。

尾林:あのステッカーを1000円ぐらいで作ったんだ。売ったら「もうメンバーだぞ」って言ってね。それが流行ったんだよね。当時は渋谷の街なんかに行くと、ブンブンブンブンとウーハーを鳴らしてる連中がいっぱいいたでしょ。しばらくしてから DVD が普及しだして車の中で映画を見たりするようになって、そういう視聴環境を作ったり。その方が主流になっていったね。

___車の中は密室空間で、音楽も楽しめれば映画も楽しめますからね。

アルフレッド:それはバンニングとは違うんですか?

尾林:バンニングの人たちもオーディオはつけてたよ。それは32~3年前の話だね。

アルフレッド:僕が若い頃はもうそのブームが終わりかかっていましたね。だからちゃんと中も見たことないんです。

尾林:みんなお金をかけてたね、当時は。2~3000万という人も当たり前だったから。家建っちゃうぐらいのお金をみんなかけてたよ。

アルフレッド:中がカラオケルームみたいになっていましたよね。

尾林:チンチラ張りにしてね。

中西:そうそう(笑)。

尾林:そういうイベントも当時は盛んにあったんだよね。バンニングの。

___当時は車の趣味系雑誌も隆盛でいっぱいありましたもんね。

尾林:あったあった。

___当時は月刊誌で車を表紙にすれば10万部はかたい、なんて話もあったぐらいなんです。

尾林:かつて一番売れていたカスタムカーも先月から隔月になったんだってさ。それぐらい雑誌が売れなくなっちゃった。

オーディオのアップグレードはキット化する

___そうですね。ヨシノ自動車は今後、オーディオをどう売っていくのでしょうか?

中西:我々としてもオーディオふくめて、もう少しパッケージとして販売していきたくて、一番良いのは自社でカタログを作ることなんですよね。いま作っているんですけどお客さんもそういうものがあった方が、オプションの種類がわかりますよね。「ああいう風にできたらいいな」ってだいたいカタログを見ますよね。

___カタログはあると絶対良いですね。ちなみにオーディオのセットはいくらぐらいからスタートする感じですか。

アルフレッド:100万円スタートぐらいかな。

尾林:うん。それぐらいだろうね。

アルフレッド:もうすでに4台ぐらい納車してるんだけれど、ちゃんとキット化したいんですよ。ただ今はスピーカーの値段がすごく値上がりしているんですよ。

___あー、そうなんですね。

尾林:輸入物が高くなっちゃってさ。セットは松竹梅で作りたいね。そうするとみんな真ん中を選ぶんだ(笑)。

中西:弊社で新型 FH を10台ぐらいストックしているんですが、ほとんどはサイドバンパーやディフレクターなんかの基本的なカスタムはすることになってます。それと一緒にファストエレファントの最初のメニューに音周りも組んで販売するとかね。

尾林:コンプリートカーだね。

アルフレッド:そういえばボルボは最初からサイドバンパーがついてくるけど、スカニアは今後つかなくなるらしいんですよ。オプション扱いになるんですけど、そこはほぼほぼ「つけてください」となりますよね。だから乗り出しは高い。結局、車体の値段が上がっているからそういう周辺機器をオプションにせざるを得なくなってるみたいなんです。そこは、まぁ僕の想像ですけど。

中西:それをいうと出どころの国は、同じスウェーデンなのでボルボも大差ないですよ。それとメーカーさん自体の原価率の問題ですね。ただボルボの場合は販売がUD トラックになるので、間にもう1社入っちゃう。その分が不利といえば不利なんですよね。

カタログで差別化を周知させたい

中西:生産量と会社の規模感はボルボとスカニアでは全然違うわけです。ボルボ本体が本気で日本でスカニアの向こうを張ると決断すれば、もうちょっと価格の交渉もできると思うんです。とはいえ、まだまだこれから年間1000台を目指そうと言っているニッチなマーケットですから(笑)。

___それぐらいは普通に達成できると思うんですけどね。

中西:弊社でさえこれから栃木や木更津の設備を充実させていけば、「年間100台ぐらいの販売は目指せるかな」と思うんですけどね。それぐらいの市場は作っておきたいですよね。

___日野プロフィアが手に入らない分、もうちょっとお客さんがボルボに流れてきてもいいと思ってるんですけどね。

中西:実際に流れては来てるんです。選ぶのはドライバーではなく経営者が考えることだから、やはりふそうやいすゞに流れている可能性もありますよね。(ドライバーは)「チャンスだ、ボルボ だ」と思ってる人たちもいっぱいいると思うんですが。

___やっぱり値段が高いってなっちゃうんですかね。

中西:いやいや。スーパーグレートも本当に高いですね。ボルボも高くなったのですが、仕切り値で200万円ぐらいの差しかないですよ。

___あらら。

中西:200万円の差だったら比較的、ボルボを選ぶ人も多い。ただボルボに乗っちゃうとあれもこれもとさらに高くなっちゃうんですよね(笑)。結果的に500万円ぐらいの差になっちゃうんですよ。

___そこです。その1つのオプションであり、差別化としてオーディオがあるわけですよ(笑)。知人にめちゃくちゃ音楽好きのボルボドライバーがいます。「もっと音良くなるよ」といえば絶対に良いオーディオを入れたくなると思うんだけどな。

中西:そこなんです。その可能性がまだまだ認知がされてない状態だから、営業にまず周知させなければいけないんです。

尾林:オーディオは聴いてみないと、その価値が実感できないからね。

___たしかにそうですね。

中西:やっぱりツールだな。セールスキットみたいな感じで、メーカーのカタログと一緒にファストエレファントのカタログでそれぞれジャンル分けしてあればそれだけで済みますよ。気になればお客さんの方から問い合わせが入るはずです。

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